悪者を追いはらってたらできちゃった県の名前は? 県名の由来を探れば、なりたちや歴史もみえてくる!
公開日:2023/3/7
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突然ですが質問です。
あなたはどの都道府県出身ですか?
あなたはその都道府県の名前の「由来」をご存じですか?
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いきなり「郷土愛」をためすような質問で恐縮だが、日頃から当たり前のように接している都道府県名がどうやってつけられたのか、自分の地元でもあまり考えたことのない人も多いだろう。
越前(いまの福井県)とか駿河(いまの静岡県)とか津軽(いまの青森県)とか、昔から使われてきた土地の呼び名も残っているけれど、いわゆる「県名」はそれとはちょっと違う。実は現在の県名への変更は、明治維新後の明治4年(1871年)の「廃藩置県」で「藩」が「府県」になったことに端を発するが(合併などを繰り返し、現在の47都道府県になったのは昭和22年〈1947年〉だ)、一体何が発想の元になっているのだろう――『そんなわけで都道府県できちゃいました!図鑑』(伊藤賀一:監修、粟生こずえ:文、なかさこかずひこ!:構成・絵/主婦の友社)は、わかりやすい語り口とユニークでカラフルなイラストで、そんな47都道府県の県名の謎を教えてくれる一冊。気軽にパラパラみているだけで、あなたも県名博士になれるかもしれない!
探検家が先住民のアイヌと仲良くなってできちゃった! 「北海道」
幕末の探検家・松浦武四郎がアイヌと親しくつきあったことで「北海道」と名付けられた。「海」はアイヌ民族が自分たちの国を「カイ」と読んでいたことにちなみ、「道」はとても広い地域を指すとのこと。
悪者を追いはらってたらできちゃった! 「茨城県」
名前の由来はズバリ「茨で作った城」。奈良時代の書物によれば、昔、悪者の集団を退治するために朝廷から遣わされた黒坂命(くろさかのみこと)が茨で城を作って勝利したとあり、それにちなんでいるとか(※異説もある)。
残念な過去を忘れるためにできちゃった! 「福井県」
それまで「北ノ庄」と呼ばれていたが、江戸時代のはじめにこの地を治めた藩主・松平忠昌が「北は敗北に通じて縁起が悪い」と「福(が)居(い)る」と名前を変えたのがはじまり。
上記はほんの一例だが、このように「県名」をひもとくことで、その県のなりたちや歴史もみえてくる。さらに各県のお国自慢やデータなどの豆知識、ゆかりの偉人まで紹介されているので、トリビア的な知識も身につきそう。読者対象は小学生で、漢字にはふりがながふってあるので低学年のお子さんからでも楽しめるし、ひいては中学受験対策にも使えそうだ(ちなみに監修は「日本一生徒数の多い社会科講師」こと、スタディサプリ講師の伊藤賀一氏。心強い!)。
実は地理知識というものは、実際に体験(旅行、物産展、テレビや雑誌で見た…etc.)が伴うとより印象深くなるもの。その意味では大人は経験豊富な分、お子さんよりも「なるほど、そういうことかー」とハマってしまうかも…!? 子どもとクイズを出しあうのもいいし、雑談のネタにするのもいい。親子でなにかと楽しめそうな一冊だ。
文=荒井理恵