特別企画
旅×カメラ:OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
小型ボディーに高性能を凝縮 システム充実の“本命”旅カメラ
Reported by上田晃司(2015/5/22 07:00)
筆者のライフワークは「旅」だ。フリーランスフォトグラファーということもあり、まとまった時間が確保できれば必ず旅に出る。
この春、3日間の予定を確保できたので、国内旅行へいくことにした。行き先は北海道の富良野方面と小樽。ゴールデンウイーク明けということもあり比較的リーズナブルに旅ができそうだ。オフシーズンに旅できるのはフリーランスの特権だろう(笑)。
筆者が旅カメラとして重視している点は「機動力」。仕事では中判デジタルなども使用するが、特別な理由がない限り、旅の場合はコンパクトなシステムを選択する。
理由は単純。荷物を極力減らしたいため。疲れが少なければそれだけさまざまな撮影地を回れるので、より多くのシャッターチャンスに恵まれる可能性が高まる。また近年、旅客機での旅はLCC(ローコストキャリア)が話題だが、LCCは荷物の重量制限が厳しい。そういった理由もあり、機材にコンパクトにまとめる重要性を感じている。
ただし、小さくて軽いカメラなら何でもOK……というわけではない。筆者の求める画作りや操作感、レスポンス、レンズシステムが揃っていることが大前提になる。
今回、旅カメラとして選択したのは、2月20日に発売されたレンズ交換式デジタルカメラ「OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II」だ。税込みでの実勢価格は、ボディーのみ11万円前後、レンズキットが16万円前後となっている。
キットレンズも含めて「旅向け」好バランス
簡単にOM-D E-M5 Mark IIを紹介しよう。
OM-Dシリーズの中ではフラッグシップ機「OM-D E-M1」の弟分モデルにあたる。基本性能の多くをE-M1から継承しており、弟分モデルといっても実力は十分。中には新機種のE-M5 Mark IIの方が進化している部分もある。それでいて、小型軽量にまとまっているのだ。
まず、デザインを見てみよう。フィルム一眼レフカメラを思わせるクラシックなルックに、高級感のある外装、造りの良さがわかるボタンやレバー類。重量はSDカードやバッテリー込みで約469gと、見た目以上にずっしりとしていることから、手に持った時の高級感もE-M1に近い。
もちろん信頼性は高く、防塵・防滴、-10℃耐低温性能なども有しており、プロユースでも十分耐える性能だ。
小ぶりなグリップは見た目以上にホールド感に優れている。ずっと持ち歩いていても疲れることはない。ただし男性の多くは親指から薬指でホールドすることになり、小指は少しはみ出てしまうだろう。もし気になるようであれば、金属製外付けグリップ「ECG-2」(実勢価格1万5,000円前後、税込)を使用するとよい。
操作系はよく考えられており、カスタマイズ可能なFnボタンやレバーを搭載。フロントとリアにダブルダイヤルを装備しており、直感的に操作できるのも魅力だ。
メインレンズにはキットレンズでもある「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II」を選択した。
このレンズは28-300mm相当の、いわゆる「高倍率ズームレンズ」だ。画質面で不利といわれる高倍率ズームレンズながら、近接域から遠景まで高い描写力に驚かされた。持って行くレンズを少なくできる上、交換の手間がかからない高倍率ズームは、旅にぴったりのレンズといえる。
その他に持参したレンズは、「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」、「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」、「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」。14-150mm IIで得られないボケ表現を賄うための単焦点レンズ群だ。
4本のレンズ+1台のボディーという布陣になってしまったが、それでも小さ目のカメラバッグにすべて入ってしまう。旅にはコンパクトなシステムがベストだと改めて感じた。
多彩な機能が旅写真をアシスト
注目点はボディー内5軸手ぶれ補正だ。上下、左右のブレに加え、回転ブレとシフトブレも強力に補正してくれる。液晶モニターやEVFを見ていると、まるで風景が張り付いているかのように、強力に手ブレ補正が行なわれている。シャッター速度5段分の手ブレ補正効果は、三脚がなくても手持ちで夜景撮影が行えるほどだ。
三脚は表現を広げるために必要な撮影アイテムだが、荷物をコンパクトにまとめたい旅においてはかさばる。その三脚がなくても多くのシーンで撮影が可能なのはありがたい。
加えて高感度性能も優秀。コンパクトで明るい単焦点レンズが揃っているなど、旅先での夜景撮影が楽しくなるカメラだ。
通常撮影でも遠景の細かなディテールもシャープに表現できているが、ここ一番で解像感が欲しい場合は、「40Mハイレゾショット機能」が便利だ。0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら8回撮影するため三脚は必要だが、より鮮明なディテールを得ることが可能だ。雄大な自然や展望台からの大都市など、感動をそのまま残したいと思う風景でおすすめだ。この機能はE-M1にはない。
強い光と影で構成された街並など、旅先での撮影は光を選べないことがある。そうしたケースでは、HDR機能を活用しよう。一度のレリーズで明るさの違う4枚を連続撮影し、カメラ内で合成する機能だ。HDRを活用すると、肉眼に近い広い階調で撮影できるはずだ。ただし動く被写体には対応していない。
高性能なEVFと便利なバリアングル液晶モニター
撮影に関する重要な部分を見てみよう。
屋外で撮ることの多い旅では、EVFを内蔵していることもうれしい。日差しの強い日中でも使いやすかった。ドット数は236万、倍率は1.48倍。フルサイズ一眼レフ並の倍率だ。眼鏡をかけている筆者でもしっかり確認できた。精細感もある。表示タイムラグは最速0.010秒。
可動式のバリアングル液晶モニターも、旅で役立つ装備だ。人だかりの上からハイアングルで名所を撮影したり、料理や珍しい花をローアングルで撮影。自分撮りだってできる。タッチパネルを採用しているので、ピント合わせも直感的に行える。上下にチルトするだけのモニターと違い、縦位置でもハイ/ローアングルが可能なのはうれしい。
AFも使い易い。実際に撮影してみると静物、動体を問わず快適なピント合わせが可能だった。前機種「OM-D E-M5」に比べると、撮影タイムラグが45%も短縮しているとのことだ。81点のエリアをカバーしているので、思い通りの場所を狙えないということは、まずない。
また、連写性能も進化しており、C-AF時でも約5コマ/秒のAF追従連写ができるので飛行機や動物などもしっかりと撮影できた。
その他機能として注目したいのがデジタルシフトだ。大きな建物を近くから撮ろうとすると、建物のシルエットが台形状にすぼんでしまう。これはある意味仕方がないことだが、デジタルシフトを使えば形状を崩すことなく撮影できる。旅先では名所をはじめ、撮影したくなる建物が多い。そんなとき使いたい機能だ。
オリンパスのカメラでおなじみとなった、アートフィルターも充実している。14種類のフィルターを搭載しており、イメージや自分の好みに合わせて選択するとよいだろう。SNSなどに写真をアップする際には予めアートフィルターで撮影した物をアップすればより印象的になるはずだ。
今回は「ヴィンテージ」、「パートカラー」、「ドラマチックトーン」を使用した。天候が悪くて中々思い通りの色味にならない場合や、人とは違ったイメージで表現したいユーザーにはオススメだ。P、A、S、Mなどの応用撮影モードや動画でも使用できるので用途に合わせて組み合わせてみよう。アートフィルターそれぞれにバリエーションがあり、フレーム効果などを適用できるアートエフェクトも併用できるので、凝り始めるとハマること間違い無しだ。
スナップ感覚でショートムービーを楽しめる新機能「クリップス」も試してみた。1秒、2秒、4秒、8秒の短い動画を記録し、ボディー内でつなげて短編ムービーにする機能だ。旅先でのちょっとしたできごとや家族の様子、移動中の風景などを動画で記録しておけば、あとで作品に仕上げられる。
まとめ:旅に最適なシステム
今回、北海道での旅の中で使ってみたが、改めてOM-D E-M5 Mark IIは最強の旅カメラだと感じられた。画質はもちろんのこと、カメラとしての出来の良さはプロユースの視点から見ても十分。電池も最大で約750枚撮影できるので、予備バッテリーを使用することはなかった。レンズ群も優秀な物が多く、いずれもコンパクトなので旅と写真を心から楽しむことができた。
Wi-Fi機能も搭載しており、スマートフォン専用アプリケーション「OLYMPUS Image Share」を使い撮影したり、写真を取り込んだりして旅先からSNSに投稿することも可能だ。どうせ旅の思い出をアップするならば、綺麗な写真をアップしたい。静止画に限らず、動画も楽しめてしまう万能カメラであり、撮影者のイメージを思い通りに表現してくれる。旅とカメラの親和性は高い。次の休みにはカメラを持って、ぜひ旅に出掛けていただきたい。
協力:オリンパス株式会社