12月

インド 首都デリー


縁あって一緒に暫く旅をしている韓国人女性が、数日前から「私は誕生日とクリスマスが近いからよく一緒に合わせて盛大に祝ってもらうの」とアピールしてくる。


めんどくせー。


自分から言ってくるなよ。


「以前、インドを旅行してた時はたまたま暫く日本人男性が一緒だったから彼が私の為にインドでバンドマン達を探してきてちょとしたライブを私の為にしてくれたわ。」


うわっ。めんどくせー


なにアピールだよ。俺は絶対そんなことやらない。


なんなら、何かしらやってあげようと思っていたけど、それ聞いて何もしたくなくなったわ。


だりー。


人の誕生日とか、とにかくだりー。しかも何かサプライズを期待されている時の誕生日ほどだるいものはない。


俺はあまのじゃくだから、そういう期待をされると特に何もしたくなくなる。


ということで、誕生日の日、結局俺はなにもしてあげなかった。


すると夜までめっちゃ期限悪そうにしている。


めんどくせー。



俺がなにか悪いことをしたのであれば、怒るのはまだ分かる。
しかし、俺は何もしていないのだから怒る必要もないし、もちろん喜ぶ必要もないでしょ。普通にしてればいいのに。


俺は確かに喜ばせることはしていないけど、かといって悪いこともしていない訳だ。
何もしていないのだから、不機嫌になる必要はないはずだ。
別に俺の誕生日だって何もされなくても俺は機嫌は悪くはならない。


勝手に誕生日を盛り上げるのを期待されて勝手に不機嫌というかガチめにキレてるのは意味が分からない。


そして夜の21時くらい。


この宿はwi-fiもないし、何もない。喋らないのに同じ空間にずっといてもつまらない。たまに屋上に俺がタバコを吸いにいくくらいしかやる事がない。


もうずっと不機嫌で同じ部屋にいるのもだるいから、めんどくせーと思いながら宿を出て、冬の夜の寒いデリーの町を徘徊し、なんとか開いていた閉店間際のお菓子屋みたいな店でホールのケーキを見つけた。


500円くらいだっだかな、そんな値段だった気がするがそれを買った。
誕生日ケーキだからロウソクも欲しいなと思ったけど、店主に無いと言われた。まぁ、インドだしな、誕生日ケーキにロウソクとかいう西洋の概念は文化的にも無いのかもしれない。


でもロウソクが無いケーキはただのケーキになるから、寂しいなと思い、ロウソクを探してもらったら、ぶっとい、灯り用の使い途中のロウソクが一本だけあったからそれをくれた。


それしかないから、まぁ、それでいいやと思い、ぶっとい使い途中のロウソクとホールケーキを持って部屋に戻り韓国人女性にケーキを渡したが、全然機嫌がなおらない。キレたまま。


俺もそんな態度にマジでムカついたで、そのケーキの箱を、床に壊れないくらいの勢いでボンっ投げた。


もういいや、だり。まじでダリ。


せっかく人がわざわざ夜な夜なケーキを買ってきてあげたのに、少しくらいは機嫌を戻せよと思ったけど、もういいや。なんで人の機嫌を取ることに気を遣わないといけないんだ。


本来は自由な旅行のはずなのに、ストレスで仕方がない。


なんで俺がいつまでも一緒に旅行しないといけないんだ。勝手に付いてきて。そろそろ一人で自由に旅行したいぜ。


俺はもうすぐにデリーを出発してここで出ていく、もうこんな楽しくない空間は嫌だ。