2018年08月30日
タンザニアで、日本の匠を知る(2018年8月30日)
タンザニアとザンビアを結ぶタンザン鉄道。
タンザニア側の始発及び終着駅は、シティセンターから6キロメートルほど離れ、空港へ行く途中のタザラにあるとの情報を得た。
午前中は、晴れたり曇ったり、雨が降ったりと不安定な天気であったが、さほど気温が上がらず、太陽に焼かれることもないので、タザラにある駅までお散歩に出かけた。
アパート近くの11,000Vの裸電線ではハトが集団で羽を休めていた。そのハトは対地電圧が11,000Vであるが、空中に浮かんでいる状態で、電流が体を伝わって大地に流れないため、電気ショックを受けることはない。
最短の経路を行き、4,50分ほど歩くと、時々、週末に映画を見に行くセンチュリーシネマがあるショッピングセンターのムクキハウスの前を通りすぎた。
買い物、ゲーム、昼食をするには、時間がまだ早いためか、お客さんをほとんど見かけなかった。
さらに、2,30分歩くと、上映開始から2週目になるとチケット代が半額になるシネプレックスが入店しているショッピングセンターのクオリティセンターが現れた。
その先には、樹木の枝葉で覆われた側道があり、白い制服を着た交通警察官2人が自家用車とトラックを停止させて、職務質問を行っていた。
ここから先は、徒歩では足を踏み入れたことがない、未知の世界である。
久しぶりに気分が高まり、体が熱くなった。(風邪か?)
側道に沿って左側に、まずはパナソニックが現れ、その後、電話会社やクオリティーグループの事務所が続く。
そして、クオリティセンターから15分程歩いたところで、立体交差の工事看板が見えてきた。
この交差点は常時渋滞するため、解消に向けて、立体交差の工事が進行中である。
その工事看板をよく見ると、資金は日本のODAによるもので、日本の大手ゼネコンが工事を受注しているとあった。
日曜日のこの日も、工事が行われ完成間近の様相であった。
近くで、この立体交差をみると、その出来栄えは見事なものである。
欄干や付属品は、錆に強いガルバナイズ鋼鈑を用いており、しかも、一目見て耐久性が相当高いとわかる渋い銀色を発していた。
このような高品質のガルバナイズ鋼鈑は、タンザニアでは見たことはなく、おそらく日本製か日本の技術を学んだメーカーのものを採用したのであろう。
橋脚の仕上げは、コンクリート打ちっぱなしで、ジャンカなどは見られず輝いており、スランプ値が一ケタの固いコンクリートを使用したとは思えないほど美しい。
さらに、立体交差の下の道路を封鎖することはなく、その上に道路をわたすことができたのは、まさしく日本が誇る匠の技である。
最近、道路やビルでは、価格面において、日本は中国に太刀打ちできなくなってしまった。しかし、このような高度な技術を要するプロジェクトに関しては、中国は日本の敵ではない。
ただし、火力発電所は、すでに中国の技術でできるようになってきていることから、やはり、技術の進歩をとめることはできないようである。
そういえば、地方都市のイリンガへ旅行した時に、空港から市内へ向かう道路を、「チャイナロード」とドライバーは言っていた。
確かに、中国の会社が道路を建設したが、実は、この道は日本のODAによるものであった。
すなわち、地元の多くの人は、工事中に日本のフラッグを見ることがなかったのである。
その点、この立体交差工事は異なっていた。
看板だけでなく、現場事務所敷地内に建てられた日本国旗が、道路や歩道からも見える。
最後に、私が最も感心したことは、次のことである。
働いている作業員に日本人を見かけることがほとんどないことである。
なにやら先ほど述べたことと矛盾するようであるが、日本人以外を使って工事を行い、日本の品質を確保するのは極めて困難である。
ましてや、無事故で工期を守ることなどは、奇跡に等しい。
もし、工事を始めてから今まで、大きな労働災害が一度も起きていないとすると。日本の工事現場でも、表彰状ものであろう。
この工事を行っている職員に、改めて尊敬の念を表したい。
ところで、タンザン鉄道のタンザニア側の駅はどのようになったのかと言うと、この日はクローズされ、敷地内にさえ入れませんでした。
記念に、歩道から見える駅舎を激写。