アジア最先端の現代アート美術館で会った日本の戦争柄着物/香港 - 戦跡めぐるひとり旅女

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日本各地の遺構、戦争関連ミュージアムをめぐる旅の記録とシングルの日常のぼやき

アジア最先端の現代アート美術館で会った日本の戦争柄着物/香港

M+ (エムプラス) 

2021年オープンの美術館

所在地  香港

訪問時期 2023年11月中旬

 

香港旅行の目的は戦争遺構めぐりではないんだけど、現代アートの美術館でたまたま出合い、「こんなものが!!!」と興奮したのがこれ↓

びっくり。日の丸マークの飛行機の着物!零戦?!こんなの初めて見た!

なぜここに?!

 

▼説明文

説明文を訳すと、こんな感じ。

 

日本

羽織(男性用) 1930年代 絹製

戦争柄は、第二次世界大戦終結までに日本で流行した柄である。戦争柄は裏地で、ここではよく見えるように裏返して展示している。日中戦争の間、日本軍の航空機が、占領していた中国の上空を飛んでいる様子がデザインされている。こういった着物は縁起のいいアイテムとして広く売られ、国が流行させるというよりむしろ一般の人々の間で広まっていった。この柄は戦争を美化し、20世紀初頭の熱狂的な愛国心を象徴している。我々はこの羽織を現代の目線で見るが、このデザインは当時の人々にとっては日常生活の一部であり、その時代の人々の思いや出来事を想起させてくれる。

(最後の訳自信ないデス)

 

うわぁ。一瞬でも興奮して申し訳ない。ふつうにthe⭐︎観光目的で香港に行ったのでこれを見るまで忘れていたが、香港は昭和16年(1941)〜20年(1945)まで日本の占領地だったんである。そして、香港/中国側から見たら、日本軍の飛行機は侵略の象徴なんだよね‥。逆にこれを当時着ていた日本人としては、あの広い中国大陸を我が軍が制圧して誇らしい、といったとこでしょうか。

1930年代はまさに日本軍が中国軍と中国大陸で激突していた頃。

ちなみに、日本では「日中戦争」と言うけど、左側の中国語の解説では「抗日戦争」となっている。一字違うだけで印象がだいぶ異なる。「日中」は並列もしくは対等な表記、「抗日」は中国側から見た言葉だ。

日本にとっては日中戦争って、【中国を攻めに行ったら想像以上に抵抗にあって泥沼化、太平洋でアメリカに負けて結果的に中国からも撤退した】という認識の人が多そうだけど、

でも中国にとっては、【侵略してきた日本に必死で抗い続けた結果日本が撤退していった、屈服しなかった自分たちの勝利だ!】という認識なんでしょう。見ている景色が違う。

日中戦争自体は教科書では習うけど、太平洋戦争(主に対アメリカ)に比べて、日中戦争を題材にした映像や本などは圧倒的に少ない。空襲など被害の歴史は多少知っていたとしても、加害の歴史に触れる機会はますますないのはマズイなぁと。

▲中国の建物に旗めく日の丸と中国の地図

 

あとでググったら、戦時下の日本では戦争柄は割とポピュラーだったみたいで、それにまつわる書籍も出ていた。でも加害にまつわる展示を相手国の紹介で知るっていうのは少し後ろめたいものがあるね。

 

日本との戦争に関わる展示は以上だけど、この美術館が素晴らしくて。

 

エムプラスは、アジア最大級の視覚芸術をテーマにした巨大美術館なのでいろんな展示がある。他のフロアにある常設展示もめちゃくちゃ面白い。

▲あの有名なやつのパロディ

▲これもあの有名なやつ

▲人形。詳細忘れたけど、これは世界を牛耳ってる指導者たちへの皮肉かしら?

▼びっくりしたのがこれ。クリントンエリツィンだと思われる

▼ヒィ‥

ふたりが統治者のときに、大国の正義に巻き込まれた犠牲者ってとこでしょうか

あとはまだまだ

▼こんな、

集合体恐怖症の人が発狂しそうなアートもあるよ。ゾワゾワゾワーッッッ(鳥肌

 

あと、ミニ企画展だったのか(覚えとらん)、イケイケだった頃の日本企業の技術をポップアートとして展示してたのも面白かった。

Emoji  is  art!

 

この美術館が本ッッ当に素晴らしくて、滞在中はずっと「香港スゴ‥‥アジアの中心スゴ‥」ってため息ついてた。展示作品もミュージアムショップの品揃えもロケーションも窓から見える絶景を活かした空間作りも何もかもよき。海沿いに新開発された地区にあり、周りは公園や他の文化施設があるのだ。時間さえ許せば朝から晩までここで過ごしたいくらいだ〜

▲ビビッドなシアター

▲トイレ!

▲エントランス

▲風が気持ちいい屋外の無料スペース

▲の大階段から見える香港の摩天楼

▲屋上庭園からもthe⭐︎香港な景色

 

エムプラスはコロナ禍以降の香港の最新スポットとして有名な場所。期待して行ったら期待のはるか上空を飛んでいる眩しすぎる美術館だったので興奮して鼻血が出た(嘘)

戦争柄の羽織という思いがけない出合いがあったのも思い出に残った。

最寄り駅から歩くとめちゃ遠くて諦めたくなるのでタクシー利用がおすすめです!