観光ではなく釣りのためにスカイツリーを目指す
10月上旬の平日。どうせハゼを釣るのなら、よく釣れるであろう早朝を狙ってやろうと始発で向かうはずだったが、うっかり二度寝をして午前7時にスカイツリーの最寄りである押上駅に到着。
この近所に勤める会社員が、スーツ姿で出勤前に竿を出したりしているのだろうか。
貼られていた地図を確認したところ、スカイツリーの前を流れる川は北十間川(きたじゅっけんがわ)という名前のようだ。川を西に進むと隅田川と合流していて、そっちからハゼが上ってくるのだろう。
東京湾に注ぎ込む川にハゼが住むのは普通のことで、なんなら埼玉あたりでもたまに釣れる。
ハゼを釣るだけならどこでもいいし、もっとたくさん釣れる場所がいくらでもあるのだろうが、スカイツリーの前で釣りたいのである。これはセーヌ川でトライアスロンをやりたがるのと同じ思考回路かもしれない。
駅から地上に上がってもスカイツリーが見えなくて焦ったが、ちょうどビルの陰になっているだけだった。
スカイツリーの前にはお目当ての川。川といってもほぼ流れはなく、スカイツリーを守るお堀のようである。
道路から少し下がった河川敷はきれいに整備されており、数名の釣り人が見えた。ちゃんとこの川でハゼを釣る人がいるようで安心する。
ただ出勤前にちょっと竿を一振りという感じの人は、残念ながら見当たらなかった。
外国人観光客がスカイツリーの前で記念写真を撮っていたので、せっかくなので私も自撮りしてみたが、スカイツリーの根元しか写らなかった。難しい。
とりあえず釣れたのだけど
しばらく周囲をうろうろして、どこで釣ろうかと迷う時間が楽しい。初めて訪れた旅先の飲み屋街で、一杯やる店を選ぶような楽しさだ。
せっかくだからスカイツリーのすぐそばがいいかなとも思ったが、近すぎると全貌が見えないし写真も撮りづらいので、少し西側で竿を出してみることにした。
よく釣れそうな場所というよりは、よく見える場所で選んだ。
ポイントもなにもわからないので、とりあえず適当に仕掛けを川底に落としてみる。竿先をヒョイヒョイと動かしてオモリの重さを確認していると、すぐに微妙なアタリを感じた。
まさかと思いつつ竿をあげると、ものすごく小さなハゼが釣れていた。あらまあ。
さっそく釣れたのはいいのだが、これは狙っているハゼではないようだ。
私が釣りたいのはマハゼというハゼで、それ以外の小さなハゼは同定ができないので全部ダボハゼと呼んでいる。
自分に食べる気がないやつと、ハゼでもキノコでも草でもまったく覚えられない。
二投目も同じ魚だった。一応記念写真。