おばあちゃんと孫と曾孫と私
2023年の4月中旬、佐渡島南部の山奥にある友人のおばあちゃん宅を友人親子と訪ねた。
90歳になったおばあちゃんの家のすぐ裏にある里山へ、この季節の日課である山菜狩りに同行させていただくためだ。
里山という言葉はよく聞くし、概念としては何となくわかるのだが、そこに実際訪れるのは初めてかもしれない。
軽トラやトラクターに最適化された道路をずいずいと登っていくと、これぞ里山の景色としか言えないような、段々になった田んぼに畑、手入れのされた斜面、素掘りの水路が続いていた。
普通の観光では決して見ることができない景色(おばあちゃん達含む)に、ずっと鳥肌が止まらない。
これぞ佐渡島の春だ。やー、すごいわ。
コゴミ、ワラビなどを摘ませてもらう
しばらく里山を登っていくと、そこそこ急な斜面をおばあちゃんがスルスルと降りて行った。
ここは日当たりの悪い側の土地で、水分を好むコゴミ(クサソテツ)がたくさん生えているそうだ。
草刈りなどの手入れがされているであろう斜面は、立派なコゴミが採り放題だった。
おばあちゃんは「東京に住む娘(友人の母)に送るんだ~」と、嬉しそうにたくさん収穫していた。
コゴミを摘んだその先には、日当たりの良い斜面に太くてしっかりとしたワラビがたくさん生えていた。
採り切れないほどのワラビ。これぞ長い冬を越えて大地から湧き上がる里山の恵みである。
当たり前の話だが、どの山にも所有者がいて、余所者が勝手に入ったり、自由に山菜を採ったりしてはいけない。
この集落で管理している山で山菜を採っていいのは、山の世話をしている集落の人とその連れだけ。そこに混ぜてもらって大変ありがたい。
いろいろな山菜を採らせてもらったが、その中でも今回の目的はゼンマイである。
これまで何度も見かけていたのだが、コゴミやワラビのようにすぐ食べられる山菜ではないらしいのでスルーしていた。だがせっかくの機会なので、おばあちゃんに処理の仕方を教えてもらって、伝統の食文化に挑戦してみたいと思う。
手間暇をかけてゼンマイを食べるという行為に、前からとても憧れていたのだ。