残像が残る写真の撮り方
超高速で動くマンガのキャラクターはカッコイイ。目にも止まらぬ連続パンチ、敵の攻撃を避ける高速移動…僕もあんな風に動いてみたい。特に小さい頃はドラゴンボールの「残像拳」に強い憧れを持った。
今回はそんな憧れのシーンの中から、「敵の背後に素早くまわりこむ」シーンと、「首に高速のチョップを当てて気絶させる」シーンを最終的に再現する。
残像と言えば「ドラゴンボール」と「幽遊白書」が僕の中では鉄板。
本当なら現実でマンガのように速くパンチを繰り出したり、敵の攻撃を避けたりしたいが、それをやるとなると膨大な修行時間や、ケガの絶えない激しい死闘の数々が必須となる。
そんな修行をしているヒマは僕にはない。今月の家賃を払えるかどうかもわからない貧乏人は、修行よりも就業の方が大切なのである。世知辛い世の中だ。
だから今回はせめて写真に残して、その寂しい心のスキマを少しでも埋めようと思う。余計に虚しく感じるような気もするが、そこはスルーしておいてほしい。
写真の撮り方
「残像が見える写真」と言われてもどんなものが撮れるのかわからないと思うので、先にどんなものか載せておく。
残像がくっきりと残っている写真。この写真だけでも素早く動いているように見えると思う。
一眼レフなどのカメラで「シャッタースピードを遅くして撮る」という技術を利用すると、このような残像が残る写真を撮ることができる。
本来は動いているものを躍動的に撮ったり、夜景などで車の光線を残すために使用したりする機能だ。
車の光線などの残像を残して撮ると、幻想的な写真が撮れる。
このシャッタースピードを遅くして写真を撮る技術を利用すると、例えばマンガでよくある「高速で動いてパンチを避ける」という写真も簡単に撮ることができる。
こういった敵の攻撃を避けるシーンを…
写真で再現することができる!もちろん編集はしていない。
この写真は、シャッター時間を10秒などと指定し、その時間内で残像を残したい場所で動きを止めると撮ることができる。
先ほどの「高速で動いてパンチを避ける」写真を撮るときは、まずパンチをされている拳の位置で数秒止まって、少し動いて避けるべき位置でまた数秒止まるとできる。
それから、残像を残さない人は、その間はまったく動いてはいけない。意外に辛い。
「高速で動いてパンチを避ける」写真の撮り方。
写真は高速に動いているように見えるが、撮影しているときはなんとも情けない動作になる。ドラゴンボールの激しい戦闘とは程遠く、おじいちゃん同士で太極拳をやっているようにも見える。
スローで動く軟弱そうな二人組。2秒でベジータにやられそう。
日常のなんでもないシーンを高速化する
この写真の撮り方を利用すると、日常のなんでもない動作も高速にすることもできる。
例えばこれは「一つだけ残っているシュークリームを誰よりも速く食べる」という写真だ。
俺は誰よりも速くシュークリームを食べる!!
あと、「パソコンを超高速に操作しているハッカー」のような写真を撮ることもできる。
まさに凄腕のハッカー
もちろんこれも撮影するときは、残像が残るようにものすごくゆっくり動かないといけない。初めてのパソコン教室みたいな雰囲気だ。
こんなハッカーは嫌だ
憧れのシーンを実現する
いよいよ僕がやりたいシーンを再現する。「敵の背後に素早くまわりこむ」こと、それから「首トン」である。
「首トン」とは、首をチョップするだけで、敵を気絶させることができる技である。この技をどうしても僕はやってみたい。
首をチョップするだけで、相手を気絶させるカッコよさは異常!!
ということで、僕の夢を叶えるために、デイリーポータルZの藤原さんに協力してもらうえることになった。今回は藤原さんに高速な首チョップを食らわせて、気絶させたいと思う。
ただ、いきなり首チョップを藤原さんにすると、傷害罪で訴えられる可能性もある。だから、逆に藤原さんにいきなり殴りかかってきてもらい、僕がそれを高速で避けて、素早く後ろに周り込んで、全力のチョップで気絶させようと思う。正当防衛だ。
何言っているかわからないと思うけど、次からそういう話が唐突に始まるからついてきてほしい。
藤原さんが襲ってきたので、首チョップで気絶させてみた
今日はデイリーポータルZの執筆作業のために、ニフティのオフィスに来ている。デイリーポータルZ編集部の人たちはみんな優しくて、いつも分からないことを丁寧に教えてくれる。そして、全力で撮影に協力してくれる。本当にありがたい。
なんて良い人達なのだろうか。こんな良い人達が他にいるのだろうか!!
(良い機会だから、編集部にゴマをすっておこうというわけでないと信じてほしい)
僕「うーん、今回の記事はどうやって書こうかな…?」
作業に疲れたので、僕はトイレに行こうと席を立った。すると反対側から歩いてきた藤原さんと肩がぶつかってしまった。
藤原さんと言えば、デイリーポータルZで僕よりかなり前から執筆している大先輩だ。早急に謝らないといけない。
しかし、僕が謝るよりも早く、藤原さんは怒りを露わにしていた。
僕(あっ、謝らないと…)
藤原「今、肩がぶつかりましたよね?」
肩がぶつかった藤原さんは、唐突に殴りかかってきた。
あとで知ったことなのだが、藤原さんは「肩がぶつかると我を忘れて殴りかかってくる」という狂気的な部分を持ち合わせている人だったのだ。そして、その怒りは気絶するまでおさまらないらしい。
藤原「謝ってくださ~~~~~~~~~~~~~い!!!!」
突如として襲ってきた藤原さんに対して、恐怖や焦りなど感じていなかった。僕はため息をついて「やれやれだぜ…」と一言つぶやく。自分に普段は課しているリミッターを外して、本気をだすことにした。
僕「まっ、本気を出しますか…」
リミッターを外して本気を出した僕は、通常の127倍は速く動くことができる。すべてが止まるほど遅く見える。「亜空間の支配者(ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド)」という僕の能力だ。
激しく体力を消耗するので、普段は発動しないようにしている。まったく…めんどうなことになっちまった。やれやれだぜ…。
僕「遅い…!」
藤原「な、なに…消えた…?」
僕「うしろだ!!」
これ以上は暴れられないように、藤原さんにはおとなしくしてもらおう。僕は藤原さんの首めがけて、高速でチョップを繰り出した。
僕「少しの間だけ眠っていてもらおうか。good night baby(坊や良い子だねんねしな)…」
ズドンッ!!
バタリ!!
こうして藤原さんを気絶させることに成功し、オフィスには平和が訪れた。
悪が現れる限り、僕は闘い続けなければならない。運命という輪廻からは抜け出せない。それが力を背負いし者の使命なのだ…
僕の闘いはまだ始まったばかりだ。
To Be Continued…
実際に速く動くことは不可能だけど、写真でなら速く動いている風の写真を撮ることができることがわかった。憧れのシーンを再現できて、僕的には大満足だ。
カメラさえあれば手軽に撮ることができるので、ぜひやってみてほしい。
全力でチョップしすぎて、最終的に藤原さんを幽体離脱させてしまった。