災害時支援 | 筑波大学アクセシビリティ
menu

ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター

アクセス |

災害時支援

災害時支援

災害時の避難手順  

 大規模災害発生時に障害学生と避難誘導者双方が安全に避難するためには、日頃から役割と手順を明確にしておくことが大切です。

【地震発生時】

  1. 危険物から離れる
  2. 急に飛び出さない
  3. 頭を守る

【揺れがおさまったら】

 授業担当教職員(=避難誘導者)が、災害時における学生等の避難指示・誘導を行います。

  1. 指定の避難場所への誘導
  2. 残留者・負傷者確認

※授業履修者に障害学生等で独力での避難が難しい学生がいる場合には、通常の避難指示・誘導に加えて、以下の手順で行動してください。

  1. 屋外避難の際に情報支援や誘導などの支援が必要な学生の有無の確認。
  2. 避難に支援が必要だが、近くに支援者がいない場合には、その場で配置。

 

 

障害学生の各ニーズ別の困難さとその対応

見ることに困難を有する学生(視覚障害等)

 視覚情報の取得に困難さがあり、視覚による緊急事態の察知や被害状況(壁や塀の倒壊、道路の亀裂等)など周囲の状況を把握することが困難です。

(必要とされる支援)

 避難の手順、避難経路、周囲の状況などについて適切に口頭での情報を提供します。

 移動の際のガイドヘルプを必要とする場合、避難誘導をする際は、障害学生の斜め前に立ち、支援者の肘か肩を学生につかんでもらい歩きます。

 階段を下りる際は、手すりにつかまってもらいます。

 歩行速度に気をつけながら「どの方向に(前後左右)」に「どれだけ動くのか(何歩、何m)」を伝え、また角を曲がる時や階段の昇り降りの際も動く前と止まる時に声をかけて伝えます。方向感覚を保つことができるように、なるべくまっすぐ歩いて誘導します。方向を示す時は、時計の針の位置で伝えると理解しやすいです。

(例えば、時計の文字盤による方向は、右は3時、左は9時、正面は12時) 

 文字情報があれば適切に口頭で伝えます。

 支援者が一時的にその場を離れる際は、壁または柱の近くへ誘導します。

 

 

聞くことの困難を有する学生(聴覚障害・発達障害等)

 聴覚情報の取得に困難さがあり、音声による情報伝達が困難であり、避難警報や避難指示など、複雑な情報理解の把握をすることが困難です。

(必要とされる支援)

 避難誘導者からの説明や校内放送等の音声情報を、障害学生に目に見える形で伝えます。

 情報を示す際に、学生の背後からではなく、前から提示するようにします。

 避難の手順、避難経路、周囲の状況などを、ゆっくりとした発話(口の形を見て読み取ることが可能)、音声の文字化、筆談、携帯やスマートフォンへのテキスト入力、板書、空書、手のひらに書く、身振り等を使用して的確に伝えます。

 避難本部など集合地点に筆談ボードなどを設置し、避難後も的確に情報伝達を行います。

 

 

移動することの困難を有する学生(視覚障害・運動障害等)

 緊急時に早急に逃げることや、避難場所までの誘導がないと避難することに困難さがあります。また、エレベーターが停止すると他の階に移動することに困難さがあり、道路がひび割れていたり、がれき等が落ちていると進むことができません。

(必要とされる支援)

 移動の際のガイドヘルプと周囲の状況についての情報を適切に口頭で伝えます。

 避難誘導の際に、障害学生の身体を押したり引っ張ったりせず、また、学生が持っている白杖を支援者が持ったりしません。(上記の【見ることの困難を有する学生(視覚障害等)】参照)

 障害学生と相談したうえで、移動手段を考えます。

 

 

 

 以下、車いす等での階段の上り下りの際の支援方法は、支援者が不慣れな場合は推奨しません。

 車いすを押す前、止まる前に必ず声をかけながら車いすを動かします。この際、車いすのどの部分を持つべきか、障害学生に注意することはないかを確認します。

  • 1人で支援を行う場合

 避難の際に、エレベーターが停止し、車いすごと階段を下る際は、障害学生に階段を下ることを声がけして、車いすを後ろ向きにしてキャスターが段差に乗っていることを確認しながら、後輪を下ろす。続けてフットレストや障害学生の足が段差に当たらないように気をつけながら、キャスターを上向かせた状態で下ろす。

 階段を上る際は、障害学生に段差を上がることを声がけして、車いすを前向きにし、下りと同様に気をつけながらキャスターを段差に乗せ、後輪をゆっくりと押し上げます。

 

  • 2~4人で支援を行う場合

 階段を下る際は、障害学生に階段を下ることを伝え、また上る際は車いすを階段の正面に止め、障害学生に段差を上がることを声がけします。

 車いすのブレーキはかけ、後輪を固定します(利用者
に、前方に倒れると危険なため背もたれに身体は寄りかかるよう伝えます)。車いすのグリップ、アームレスト、後輪、フットレストの上下をもち、行動を説明しながら持ち上げます。階段では車いすの前が少し高い状態を保つようにしながら移動します。

 また車いすごと移動できない場合は、複数人で障害学生を抱えて移動し、車いすは別の支援者が畳んで運びます。無理なら車いすは運ばず、障害学生本人の移動を優先します。障害学生の障害の状態や程度により、複数の支援者で担架やキャリダン等の避難介助用器具を用いる必要がある場合もあります。

 

 

複雑な情報理解に困難のある学生(聴覚障害・発達障害等)

 緊急時の危険な状況の把握が困難であったり、変化に対する不安や抵抗を感じて情報理解の把握をすることが困難です。

(必要とされる支援)

 避難経路や避難場所について具体的にはっきりと伝え、曖昧な言葉や表現は避けます。

 視覚的な情報を文字や絵を使って目に見える形での説明や、ゆっくりと簡潔に穏やかな声で話しかけます。

 感覚刺激に必要以上に敏感であったり鈍感である場合がありますので、ケガなどをしていないか、本人の言葉だけでなく身体状況を一通りよく見る必要があります。

 個別空間の保障をすると安心できます。

 独力での避難が困難な場合は、教職員や近くにいる学生とともに避難するよう指示します。