戯曲「ポランの広場」にこんな場面があります。 牧者(一歩出る) 「レディスアン、ゼントルメン、わたくしが一つ唄ひます。えゝと楽長さん。 フローゼントリーのふしを一つねがひませんかな。」 指揮者 「フローゼントリーなんてそんな古くさいもの知りませんな。」 楽手たち「そんなもの古くさいな。」 登場する「フローゼントリー」という曲は、原曲が「Flow Gently, Sweet Afton」というスコットランドの曲で、詞はAuld Lang Syne(日本名は「蛍の 光」)の作詞者ロバート・バーンズによるものですが、それを賢治は日本語の詞に 置き換えて「けさの六時ころ」(牧者の歌)として歌わせていま…