宇多田ヒカルの熱愛がスクープにならない理由――芸能記事に影響を与えた“あの告白”(2024/10/15 21:00)|サイゾーウーマン
“噂の女”神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第719回】

宇多田ヒカルの熱愛がスクープにならない理由――芸能記事に影響を与えた“あの告白”

2024/10/15 21:00
神林広恵(ライター)
2024年9月25日、パリファッションウィークでの宇多田ヒカル(C)GettyImages

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 NHKが、旧ジャニーズ事務所のタレントの新規起用を再開させるとの報道が。再開スタートとして、『NHK紅白歌合戦』が有力視されているらしい。先日「週刊女性」が“旧ジャニとNHKが雪解けでSnowMan紅白出場”との記事を掲載したが、それが現実化するかも。

 だが本欄でも指摘したように、ジャニー喜多川氏の性癖を知りながらそれを放置し、発覚後も責任を取ったとは言い難いNHKが、このままなんの説明もせずにしれっと旧ジャニ起用を再開するのか。それも「週女」が指摘したように、低迷する『紅白』の視聴率のために。今後の動きを注視したい。

目次

今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3
宇多田ヒカルの熱愛記事に見る、芸能スクープのいま
二宮和也のエピソードをパクる「女性セブン」
ジャングルポケット・斎藤慎二が性加害で書類送検

今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3

第719回(10/10〜10/15発売号より)
1位「宇多田ヒカル ロンドンでも逢瀬 新パートナーは『エルメスを唸らせた男』」(「女性セブン」10月31日号)
2位「SMAP 『ビストロ』を愛した恩人 急死服部幸應さんからの『愛と遺言』」(「女性セブン」10月31日号)
3位「ジャングルポケット斉藤慎二 不同意性交容疑送検 妻の怒り『何度も裏切られて』」(「女性セブン」10月31日号)
※ 「女性自身」「週刊女性」は合併号休み

宇多田ヒカルの熱愛記事に見る、芸能スクープのいま

 今週は「女性自身」「週刊女性」ともに合併号休みなので、「女性セブン」1誌でのランキングだ。さらに「セブン」も巻頭の皇室記事以外は「スペシャルワイド11連発 スクープ収穫祭」と銘打ったワイド企画。よって、このワイド企画からのランキングといしたい。

 まずワイド企画のトップは、宇多田ヒカルの熱愛ネタだ。デビュー25周年を記念した全国ツアーを終えた宇多田だが、新パートナーが存在するという。そのお相手は、世界的に注目される鹿児島出身のグラフィックアーティスト・YOSHIROTTEN(ヨシロットン)、41才だという。YOSHIROTTENは森山大道、蜷川実花ら多くの写真家とも共作を発表したり、東京・表参道のエルメスのオープン時には、店舗デザインを担当するなど、日本で最も勢いのあるアーティストのひとりらしい。

 すごいな、宇多田。これまで宇多田は映画監督の紀里谷和明と結婚し、画家の福田天人と交際、そしてイタリア人バーテンダーと再婚という恋愛遍歴を残している。傾向としては、アート、芸術系の才能ある男性が好きらしい。そして今回も、世界的に注目されるグラフィックアーティストだ。一貫している。

 ともあれ「セブン」による堂々の熱愛スクープなのだが、しかし記事は、なぜか“熱愛発覚”とか“スクープ!”とか、いつものようにはしゃいだ気配はない。妙に落ち着いている。まるで新パートナーの存在がすでに知られている、既報されているかのような、さらっとしたトーンなのだ。しかも特集記事にするわけでもなく、ワイド企画のひとつという扱いだ。

 その理由は、宇多田のあの告白かもしれないと思った。それは2021年、宇多田が自身はノンバイナリーであると公表したことだ。ノンバイナリーとは男性や女性といった性別の枠組みに当てはめようとしない、当てはめたくないというセクシャリティだ。宇多田の告白は当時大きな話題となったが、こうした宇多田のカミングアウトが「セブン」記事に影響を与えたのではないか。

 単に “誰かと誰かが付き合っている!”“男女の関係”などとはしゃぐのではなく、多様性を意識した熱愛記事。実際、記事では2人の交際について「適度な距離」「パートナーといっても四六時中いっしょにいるのではなく」といった記述も目立つ。

 さらに「セブン」は、鹿児島で個展を準備中のYOSHIROTTENを直撃しているのだが、YOSHIROTTENの「ちょっとそのような質問は。いまは仕事をしていますので……相手にご迷惑をかけない方がいいと思います」というコメントのみで引き下がっている。わざわざ鹿児島まで行ったのだから、もっと食い下がってもおかしくないと思うのだが、直撃取材もさらり。これも時代か。

二宮和也のエピソードをパクる「女性セブン」

 料理評論家の服部幸應氏が逝去した。服部氏といえば、『料理の鉄人』(フジテレビ系)で一躍お茶の間の人気者となった人物だが、「セブン」では服部氏が『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の人気コーナー「BISTRO SMAP」の監修を担当したことを切り口に、SMAPメンバーたちとの関係を紹介する形で追悼をしている。

 当初SMAPの存在すら知らなかった服部氏だが、メキメキと料理の腕を上げていくメンバーたちに驚いていたこと。多忙な服部氏だったが、SMAP愛が深く月に一度は収録現場に姿をあらわしていたこと、などなど。さらに記事ではSMAPだけでなく、嵐との意外な関係が紹介されているのだが、その紹介の仕方があざとい。

「嵐の二宮和也さん(41才)の両親は2人とも服部栄養専門学校で調理の先生をしていました。だから服部さんはニノを見かけると、『坊ちゃん、どうも』と声をかけていたそうです」(芸能関係者のコメント)

 このエピソードは、今年3月17日放送の『だれかtoなかい』(フジテレビ系)に出演した二宮自身が明らかにしたエピソードなのだが、それを“芸能関係者”の匿名コメントとして堂々と“パクり紹介”する「セブン」。その安易さにちょっと笑った。

ジャングルポケット・斉藤慎二が性加害で書類送検

 またしても、芸能界を舞台にした性加害事件が。ジャングルポケットの斉藤慎二が、不同意性交と不同意わいせつの疑いで書類送検された。斉藤は今年7月、都内で駐車していたロケバス内でタレントの女性に性的暴行を加えたとされる。

 現在のところ、斉藤本人は不同意だったことを否定していると伝えられ、妻でタレントの瀬戸サオリも「不同意ではない」旨のコメントを発表し、波紋を呼ぶ事態に。同意か否かは今後の捜査など情勢を見るしかないが、しかし斉藤は、昨年2度の不倫騒動を起こしている。不倫でさえアウトな風潮の芸能界にあって、性懲りもなく――。

神林広恵(ライター)

神林広恵(ライター)

伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」(噂の真相)の元デスク。著書に『噂の女』(幻冬舎)、共著に"『日本を脅かす! 原発の深い闇』『木嶋佳苗 法廷証言』(共に宝島SUGOI文庫)などがある。

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最終更新:2024/10/15 21:00
宇多田ヒカル/SCIENCE FICTION(通常盤/2CD)
『だれかtoなかい』で言ってたってサイゾーウーマンなら書くよ〜