★簡単な紹介
○公開
2005年5月28日
○上映時間
2時間13分
○スタッフ
原作:F.X.トゥール
脚本:ポール・ハギス
演出:
クリント・イーストウッド撮影:トム・スターン
美術:ヘンリー・バムステッド
音楽:
クリント・イーストウッドプロデューサー:ポール・ハギス、トム・ローゼンバーグ、アルバート・S・ラディ
○出演
クリント・イーストウッド(フランキー・ダン)
モーガン・フリーマン(エディ・スクラップ=アイアン・デュプリス)
ヒラリー・スワンク(マギー・フィッツジェラルド)
ルシア・ライカー(青い熊のビリー)
他
★評
1:
演出なんぞから…
1-1:
HIT PIT GYMの壁に掛かってる戒めの言葉。
Winners are simply willing to do what losers won’t.
勝者とは敗者がやろうとしない事を単にやっているだけだ。
1-2:
Mo Cuishla
「愛する人よ お前は私の血」
…ゲール語なんか、分かんないよなぁ。
1-3:
フランキーとマギーが着るガウンの色が緑。
マギーの姓がフィッツジェラルド
Fitzgerald
JFKのFはFitzgerald。
アイルランド系の名前。
Emerald Isle
=Ireland
アイルランドは「エメラルドの島」とも呼ばれています。
エメラルド=緑、
だからガウンの色はミドリ。
1-4:
青い熊
Blue Bear
音が似ているのが、
Bluebeard
青髭
参考→
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E3%81%B2%E3%81%92次々に嫁さんを殺していった金持ち伝説ですから、卑怯で強力な悪役敵役ボクサーに相応しい名前。
2:
希望と絶望、決意と責任、家族と愛情、絆の物語です。
2-1:
前半、マギーの事故までは照明を減らし明暗を明確にし、際立たせています。
顔半分に光りを当て残りを影の中に入れるカットが多い。
色々解釈出来る演出で、まぁ、心が半分満たされていない事の象徴でしょう。
マギーとフランキーの幸せとは言えない家庭環境の象徴で間違い有りません。
そこを埋めるのが、この映画の舞台になるボクシングです。
それがよく分かるのが、ボクシングの試合で、眩い照明の下でやってますからね。
また明暗の対比が強い事は、荒々しい雰囲気を漂わせ、主人公の心の傷を暗示しています。
更に昼間なのに照明が必要なボクシングジムと言う事は、ボクシングで成功する事の難しさを表してるとも解釈出来ます。
2-2:
そして、後半。
ボクシングを失った主人公二人はどうなったか?
これも照明で表しています。
入院したマギーと世話をするフランキー。
同じ昼間のカットでも病院の中は照明が不要で明るい。
トレーナーとボクサーだった二人の関係が、互いを認め必要な人間的な親密的な関係に変わりました。
心を互いに満たしているのです。
2人の年齢差から親子の関係になりました。
2-3:
そして最後の場面へと行きます。
早朝の設定にし、再び明暗の対比を強くしています。
マギーの実の家族は何もやらず、責任放棄。
代わりにフランキーがやりました。
親は子共に対して責任を取る。
自分がやった事に言い訳はしない。
全ては自分の責任。
フランキーがやった事には賛否両論が有りどちらの意見も正しい。
重要なのはその決意と弁解しない潔さ。
その元に有るのが、愛情。
…やっぱりイーストウッドって穏健だよね。単なる拳銃をぶっ放しているだけのアクションスターではないわい。
3:
マギーを演じた
ヒラリー・スワンクが見事ですなぁ。
まず、僧帽筋、広背筋、三角筋に筋や影が出来て、ちゃんと発達してるもんねぇ。
ボクサーらしい体つきになってるし、戦ってる時もボクサーらしい。
演出も巧く最初はTシャツとか着せて体や腕の筋肉を見さないんです。
ある程度練習のカットを続けてからシャツを脱がせ筋肉を見せる賢い演出(^.^)。
表情も素晴らしい。
最初の方の何とかボクサーで成功したいと思ってる時の必死さ、
試合中の顔付き、
物語後半の打ちひしがれた表情、
鎮静剤を投与された時の虚ろさ、
嘆息の溜息が出る素晴らしさ(溜息)。
日本なら中谷美紀や宮崎あおいがこういう表情は出来るだろうけど、ボクサーの体つきになれるか?
4:
映画の構成も非常に巧み。
前半のボクシングなんか、最高。
女主人公マギーが成功するのは分かってますが、それでも、練習を重ね実力を付け、
試合に勝ち実力に磨きを掛ける流れ、やはり観ていて楽しい。
興奮します。
そして、後半の沈痛な場面へ。
単なる重苦しい場面にならないフランキーに自分の気持ちをぶつけるマギー。
言葉には出さねどマギーに尽くすフランキー。
素っ気無いですが、非常に現実的で写実的な愛情に満ちた場面です。
非現実的な甘過ぎる馬鹿馬鹿しい愛情表現は有りません。
5:
欠点は、次の二点が弱い、少々説得力に欠けてます。
5-1:
まず、マギーの悲劇。
敵役の青い熊が卑怯過ぎます。
あれだけ汚い真似を試合中にしていたらマギーを戦う前に失格、ライセンス剥奪になるでしょう。
更にマギーの悲劇では業務上過失傷害罪で訴えられでしょう。
5-2:
最後のフランキーのマギーに対する行為。
写実的な演出ではなく象徴的だと分かっていますが、納得しがたい。
フランキーの行為が現実的過ぎるんです。
あそこは無くても十分分かるはずです。
6:
まぁ、マギーの悲劇は誰にでも起こり得る事で他人事では有りません。
いつも心の隅に意識しておいた方がいい。
7:
佳作です。
面白いとは簡単には言いにくい映画ですが、観ても決して損にはならない映画です。
タグ
クリント・イーストウッド ヒラリー・スワンク モーガン・フリーマン ミリオンダラー・ベイビー★お気に召しましたら、以下の全てのボタンのクリックをお願いします
↓
にほんブログ村
テーマ : アメリカ映画
ジャンル : 映画