2015年 - 不自然
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嬉し楽しや「松」再び(^.^)。国宝『松林図屏風』と国宝『雪松図屏風』

2016年の正月も再び天下の逸品、人類の至宝の「松」です(^.^)。

東京国立博物館長谷川等伯の『松林図屏風
(参考「博物館に初もうで」→http://www.tnm.jp/modules/r_event/index.php?controller=dtl&cid=5&id=8124)

三井記念美術館圓山應擧の『雪松図屏風
(参考「三井家伝世の至宝」→http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html)

逸品、名品、傑作、至宝は何回見ても飽きない物。
だから、今回も行きますよ~ん(^.^)。




タグ 東京国立博物館 長谷川等伯 松林図屏風 三井記念美術館 圓山應擧 円山応挙 雪松図屏風




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宮川香山の回顧展開催!

明治の超絶技巧の工芸品の作者の一人、焼き物の宮川香山の回顧展が開かれます(^.^)。

○場所
サントリー美術館

○日時
2016年2月24日(水)~4月17日(日)

○HP
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2016_1/index.html

サントリー美術館はまだ行ったことがなくて、ちょっと油断していて、最近まで開催されるのを知りませんでした(^_^;)。
宮川香山は『美の巨人たち』で2回取り上げられ(2008年、2011年)、以前から知ってました。
(私の記事『美の巨人たち 宮川香山 「渡蟹水盤」』→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1641.html)
(私の記事『美の巨人たち 宮川香山 「葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶」』→http://cypresshushizen.blog.fc2.com/blog-entry-1656.html)

宮川香山 眞葛ミュージアムは知ってたんですが、横浜だし、土日しかやってないんでちょっと行く機会がありませんでした(^_^;)。
(HP→http://kozan-makuzu.com/)

今回は宮川香山研究の第一人者田邊哲人(たなべてつんど)氏のコレクションが中心だとのこと。
田邊氏のHPの「一般公開」によると、かなり展覧会が開かれ、展示されていた(^_^;)。
参考HP→http://www.tanabetetsuhito-collection.jp/open.html

神奈川県立歴史博物館では常設展もやってる(^_^;)。

今から非常に楽しみです(^.^)。




タグ 宮川香山 サントリー美術館 田邊哲人



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『聖プラクセディス』 ヨハネス・フェルメールに帰属

★展示場所

国立西洋美術館
常設展 『中世末期から20世紀初頭にかけての西洋絵画とフランス近代彫刻』


1:
ヨハネス・フェルメールが描いた作品かもしれないし、2014年NHKの連ドラ『聖女』にも出てきたし、
国立西洋美術館の寄託されたんで、見に行こうと思い、漸く行ってきました。


2:
日本画と日本の絵師の素晴らしさのおかげで、最近は白人絵画に以前程関心が無く、
国立西洋美術館を訪れたのは、記憶を辿ると…
ゴッホ展 1985年10月12日~12月8日
以来の事(^_^;)。
なんと、30年振り(@_@;)。

どひゃ~(@_@;)。

だから、NHKの日曜美術館でも取り上げられたジョヴァンニ・セガンティーニ
(参考、日曜美術館放送分HP→http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2011/0731/)
が2枚も有るのも知らなかったし、
(『風笛を吹くブリアンツァの男たち』、『羊の剪毛』)
ピカソを寄贈したのが梅原龍三郎だったのも知らなかった(@_@;)。
(『アトリエのモデル』、今回展示されていない2点も同氏からの寄贈だとか(@_@;))

その他、寄贈や寄託が多いなぁ…(溜息)。
お金の使い方を知っている方が多く、大変良く喜ばしい(^.^)。


3:
さて、本題の『聖プラクセディス』。
他のフェルメールの風俗室内画と違い過ぎ。
漂う雰囲気の力の無い事、無い事、今年2015年に来た『天文学者』と全く違います。

それでも、状況証拠(笑)がフェルメールではないかと、主張してるそうな(笑)。

国立西洋美術館発行のチラシによりますと、

まず、画面左下、近景の石段の左端、ここにある”Meer 1655”。
これは絵に近付くと肉眼でも見えます。
科学調査によると「描き直されておらず、周囲及び直下の絵の具層と同様に経年変化している」そうです。
ただ、メール(Meer)と言う名の絵師は17世紀オランダに複数いて、中でもユトレヒト出身でイタリア留学経験のある
ヤン・ファン・デル・メールがこれを描いたのではないかと主張している研究者もいるとか。

絵の具に関しては、
空の青には当時非常に高価だったラピスラズリを使っているので、模写や習作とは考えにくい。
白に使っている鉛白は同位体比を調べると、当時のオランダ・フランドル絵画とほぼ同じで、
フェルメールの『ディアナとニンフたち』に使われている鉛白と同位体比は極めて似ていて同時期に製造された可能性もある、とか。

模写に関しては、
一般に手前のモチーフから画面奥へ順番に描くのだが、
この絵では、例えば、赤い衣を先に描きそれか画面手前の壺が描かれている、とか。


3:
また、額縁、これがエラく立派で黒いのが付いてます。
明らかに新しい物。
どうも絵の雰囲気と合っていません。


4:
フェルメールの真筆だとしたら、最初期の作品になり、
まだ実力養成中の作品。
フェルメールの名前が無ければ一瞥のみ、通り過ぎるだけ。

私にとっては、残念なのか残念でないのか分かりませんが、それだけの作品でした。





タグ フェルメール 聖プラクセディス 聖女 国立西洋美術館




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雪舟等楊 『秋冬山水図』

★展示期間
2015年12月15日(火)~12月23日(水)天皇誕生日

★展示場所
東京国立博物館 本館2階 2室

秋冬山水図』のトーハクのHP→http://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=4271

画像は、
「e国宝」から→http://www.emuseum.jp/detail/100146/000/000?mode=simple&d_lang=ja&s_lang=ja&word=%E9%9B%AA%E8%88%9F&class=&title=&c_e=®ion=&era=¢ury=&cptype=&owner=&pos=1&num=4

1:
あの有名な雪舟の国宝『秋冬山水図』です。
画集とか、日本美術の歴史とかでよく目にする絵です。
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年~1519年)とほぼ同時代(1420年~1506年)。
江戸以前になると芸術作品だけでなく何でも極端に少なくなり、この雪舟等楊も同じ。
オマケに京都は応仁の乱(1467年~1477年)で市街地が全焼してるから、雪舟等楊の絵も燃えちゃってるのもあるかも(涙)。
残ってる雪舟等楊の絵は少ないし、滅多に回顧展も開かれず見られる機会は、
ハッキリ言って無しと同じ。

オマケに今回の展示は、何と、9日間(@_@)。
まぁ、1階で環境整備とかやるとか色々トーハクにも都合があるのは分かりますが、
数は少ない雪舟等楊だし、しかも代表作の国宝だからもう少し長く展示して欲しいものです。


2:
と言う訳でウキウキと行ってきましした(^.^)。
二幅、左側が冬、右側が秋の景色。
この絵も小さく、日本の極一般的な狭小住宅に飾るのも可能(笑)。

2-1:
まずは、右側、『秋景』。
一点透視図で中央の楼閣へ視線を集める簡単で誰にも分かりやすい構成。
でも暫く見ると振り子の様に視線が左右に振れ、画面下の近景から中央の楼閣へ向かうのが分かります。
そして、背景の空へぽわ~んと登って行く感じがあります。
改めて実物を見ると、何か、楽しく、面白いですね。
これは、大したもんです。
一点透視図で絵を描くのは簡単ですが、こういう振り子の様な視線のリズムを感じさせるのは我等素人の下手の横好きには出来ません。

岩肌の描写とかもいいんですが、空のボカシ具合、これが出来ないんですよ、素人には。
この墨や水彩のボカシを空にやると俄然空に立体感、空間感覚、奥行き感が現れ、絵に物語感や詩情と言った物が現れます。
つまり、この空や風景の先はどうなっているんだろうと、想像力を刺激します。
この『秋景』なら、「秋」と言う題材から、これから来る冬の厳しさを思うか、それともその先の春と新年を思うか、
色々想像出来ます。

同時に筆の力だけでこういう絵を描けないのは明らかで、豊かな絵心や想像力、感性も必要なのも、
この絵からも分かります。

2-2:
左側、『冬景』。

これ、凄いワ(@_@)。
ダ・ヴィンチの『受胎告知』と比べると白黒だし、聖書の有名な場面でもありませんし(笑)、
単なる風景だし、
大変地味な絵ですが、大変進歩的であり、大変な名品です。

2-2-1:
画面の構成は右側の『秋景』と同じ。
違うのは背景。

中央左寄りになぜか、垂直線が在り、それが折れほぼ中央にまで来て岩の連なりに繋がります。
この垂直線が画面の中で一番目立ち、実物を見る以前から「これは何だ?」と気になっていました。

次に気になるのは、楼閣の背後、画面上では背景に描かれている物。
いやに目立つ垂直線もその一部になってると思われます。
楼閣の後に在るのは、断崖や絶壁とトーハク初めあちこちに書いてありますが、
楼閣や近景の岩場と比べると大きさのバランスがおかしく、自然の壁と思えないのです。
雪舟等楊ほどの絵師が風景画で遠近感を狂わす描写をするはずがありません。

更に分からないのが、この「絶壁」「断崖」の大部分を薄墨で塗りこめていて、地上の物を描いているのか、空を描いているのか、曖昧にしている事。
画面中央では「絶壁」「断崖」をいくらか描写していてるのですが、残りは薄墨。
これで残りも描いてあれば分かるんですが…

楼閣の直ぐ後は紙の白を使い雪を被った崖か山を表している様ですが、
背景の他の部分の表現を見ると、単純に雪を表しているとは思えなくなってきました。

同時に『秋景』では完全にバランスを取っているのに、なぜ中央左寄りに濃い墨で垂直線を加え主張させているのでしょう?
こんな目立つ意味不明の物を加えると絵のバランスを壊すものなのですが、そこは名手雪舟等楊、墨の濃淡が持つ力でバランスを取らせています。
この絵の場合では、薄墨を塗っている部分が多いので、塗り残した白の方が主張が強くなっています。
だから垂直線を左側に寄せ、白の部分を少なくしています。
このため、一見すると墨の垂直線が目立ちません。

2-2-2:
こうなると、問題になってくるのは、「何を描いた」ではなく、「何を表したか」になります。

分かりません(笑)。
絵の力、迫力、不思議な構成に圧倒され、どうでもよくなります(笑)。

何やら訳の分からんもんが、楼閣の背後に現れ圧迫する様に存在している。

雪舟等楊がこの絵を描いたのは晩年、70歳頃らしいので、西暦にすると1490年頃。
応仁の乱が終わってから13年。
室町幕府の政治的、経済的基盤の崩壊、
将軍の権威の失墜、それにより諸大名の権威も失われ下剋上が起きたり、民衆の間では加賀の一向一揆、山城国一揆が起きました。
そろそろ日本が戦国時代へと向かう頃。

とすると、一番簡単な解釈は時代がもたらす不安、これですな。

2-2-3:
しかし、どうもそれだけではないと納得出来ないし、絵を見続けていても他に何かを表している気がしてきます。
ん?
「他に何か?」
解釈の幅が広い、自由に解釈出来る余地が大きい、
こりゃ、抽象画の特徴じゃないか(笑)。

つ、ま、り、この『秋冬山水図』、写実の山水画、風景画ではなく、
抽象画(@_@)。

ヨーロッパでは未だにルネサンスの頃。
抽象絵画が現れるのは、1910年頃、カンディンスキーまで待たないと現れません。
それを雪舟等楊は1490年頃に、カンディンスキーより420年も前に『秋冬山水図』でやってみせた(@_@)。

日本では、
琳派の絵画にはたらし込みを使い、抽象表現ともとれる作品も少なく、
また龍安寺方丈庭園(寺に伝わる話では1500年頃)でお馴染みの枯山水小堀遠州(1579年~1647年)の作庭した庭園等、庭を眺めながら瞑想したり自由に心を遊ばせる場所まであります。

日本の抽象表現の始まりの一つと言えるのではないでしょうか(@_@)?

2-2-4:
ところで、右側「秋景」も背景の空を見て色々想像出来、これも抽象表現と言えるのではと思われるかもしれません。
「秋景」は空と分かる物を描いています。
しかし、左側「冬景」は絶壁や断崖とは簡単に判断出来ない曖昧は表現になっています。
簡単に判断出来るか出来ないか、ここが写実(=具象)と抽象の分かれ道になります。

2-2-4:
これで『秋冬山水図』が名品、進歩的、な理由がお分かり頂けると思います。
これで『秋冬山水図』に凄いと私CYPRESSが驚嘆、唖然としたのもお分かり頂けると思います。


3:
雪舟等楊の『秋冬山水図』と言う絵画、龍安寺方丈庭園枯山水
これらは抽象芸術の先駆者と言っても過言ではないと思います。
欧米に先駆ける事400年(@_@)。
400年ですよ、400年も前から作っていたのです(^.^)。

当の作者達は、抽象だとか写実だとか全く意識せず、単に素晴らしい作品を作りたい、
そのためには今迄に無かった方法も臆せず使ってみようと思っていただけでしょう。
作品を作る人達の大変自由な心の持ち方、そしてその結果出来上がる作品を受け入れる偏見とは無縁の一般人の大らかさ、
このどこの民族にも負けない美点を我等日本人は知り、誇ってもいいのではないでしょうか?




タグ 雪舟等楊 秋冬山水図 ダ・ヴィンチ 枯山水 龍安寺方丈庭園 小堀遠州 抽象画 カンディンスキー 抽象芸術




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『平成27年度特別展 没後100年 五姓田義松 -最後の天才ー』

★簡単な紹介

2015年9月19日(土)~11月8日(日)
神奈川県立歴史博物館

HP→http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/toku/yoshimatsu/index.html


NHKの「日曜美術館」で紹介され(HP→http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2015/1011/index.html)
興味をそそられ見に行ってきました。


1:
日本での油彩の先駆者と言うんですが、800点の展示作品の大部分はスケッチ。
油彩より水彩の方が多いんじゃない?

驚いたのが、殆どが風俗画に分類される物。
市井の人々を描き続けた、と言う事です。
北斎広重歌麿写楽等の誇張した物と違い、西欧の写実で描き、この点がとても新鮮。
更に当時の風俗が分かり、これまたとても貴重。

また、風景画は小林清親の浮世絵と同じく、日本なのに(笑)、空がとても広い。
東京とその近郊は150年前までそれ位建物が少なく、どこでも空を眺める楽しみがあったのです。


2:
で、作品自体はどうかと言うと、
これが、どうもなぁ…
心に響くものが無い(溜息)。

写実力、鉛筆の表現力、水彩の技術、当然ながら我等素人の好事家とは違うレベル。
また、病んだ御母堂を描くとは、とても強い心を持っていたのは間違いありません。
現在と医療のレベルが段違いに低い時代ですから、逆に、諦めが早かったと捉えられないこともありませんが、
自分を育ててくれた母親の衰えていく姿を見つめる心の強さ、驚きです。

それでも今回の目玉、
『老母図』
でさえ雰囲気が無い、
少なくとも私CYPRESSを震わせるものが漂ってません。


3:
悪くはない作品ばかりだし、幕末から明治初期の風俗、風景が良く伝わり貴重ですが、
残念ながら好みではありませんでした(涙)。




タグ 五姓田義松 神奈川県立歴史博物館 小林清親 北斎 広重 歌麿 写楽




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『マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展』

○簡単な紹介

2015年9月19日(土)~12月13日(日)
東京都美術館

前期:9月19日(土)~10月18日(日)→『印象、日の出』展示
後期:10月20日(火)~12月13日(日)→『ヨーロッパ橋、サンラザール駅』展示

東京都美術館HP→http://www.tobikan.jp/exhibition/h27_monet.html
日本TVのHP→http://www.ntv.co.jp/monet/
(混雑状況は日本TVのHPを参照)


1:
クロード・モネの『印象、日の出』が前回来日したのは、21年前1994年ブリジストン美術館だとか。
見に行きました。
見ました。

モネは嫌いじゃないんで今回も行ってきました。

ただねぇ、日本人が大好きな印象派の代表的絵師だから、
入場待ち30分。

今年、絵を見に行って入場待ちをしたのは江戸東京博物館で広重の『名所江戸百景』を見た時以来。

中も人で一杯(@_@)。
オマケに出口の前の特設(笑)モネショップも大混雑。
会場から出るにはここを通らねばならず、入る時だけでなく出る時も大変(笑)。
また、何か買っても支払いに10分は掛かる大行列(@_@)。

主催者側は儲かって堪らんでしょう(笑)。


2:
作品番号1:『印象、日の出』

今回の目玉。
エライ人だかりでした(@_@)。
九十九折に鑑賞者を誘導してるもんなぁ(@_@)。

さて、前回見た時は、
「何か、薄汚ねぇ絵だなぁ」って印象でしたが、
今回久方振りに見ると、全然違ってました。
薄汚さ、皆無(@_@)。
前回見た時と照明が違っていたんじゃないでしょうか?
全体に水色掛かった色使いがハッキリ分かり、そんな悪い絵じゃありません。

ただねぇ、圓山應擧、琳派、長谷川等伯、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳等世界最高峰の日本の絵師を見ちゃうとねぇ、
想像力の奔放さとか発想の大胆さに全然敵わなくて、退屈。

また、圓山應擧の『藤花図屏風』や『氷図屏風』にある使う人間や見る人間への思い遣りなんかも皆無。

単に日の出の風景を描いているだけなんだよなぁ…(溜息)。
自然の中の光、空気、色を描いているだけで、それ以外のものが無い。
それでも別に問題は無いんですが、絵が漂わせてる雰囲気が無い。
これが痛い。

ゴッホの絵が放つ絵を描く喜びとか「絵で俺は訴えたい」、こういうものが無い。
フェルメールの超絶的な描写力が持つ強力な魅力、これも無い。

と言う訳で私には魅力無し。


3:
他の絵も、何か、視線と心を捉える作品無し。
そんな中でも、立ち止まったのは、

作品番号51:『プールヴィルの海岸、日没』

これは、ちょっと違ってました。
絵の題名通り日没の太陽を反射する海面が光っていてビックリ。
どうやって描いたのか、近付いて見ても全く不明。
展示室の天井にある照明を海面の光を反射している部分に当てているは分かりましたが、
どうもそれだけではなさそうです。

世界的に人気のある絵師だけにことはあり、かなりの描写力があるのは分かりました。

でも、やはりそれだけなんだなぁ…(溜息)。
心に訴える雰囲気が無いんです、この絵も(溜息)。


4:
今回改めてモネを見ると、「印象派」と名付けられた通り光と色と空気を捉え表現しようとしたのが、
よく分かりました。

自然もある意味、色自体でしかないのです、モネにとっては。
別に悪い事でもなく、確かにキレイです。
作品番号58:『ジヴェルニーの黄色いアイリス畑』
作品番号62:『小舟』
作品番号63:『睡蓮』
等実物を目にすると、キレイな絵です。

ただ、モネにとって花に心を捉えられたことがあったのか、
美しさに夢中になったのかと考えると、そうは思えない作品ばかりです。
今回来た作品で花を単独で描いた、

作品番号57:『白いクレマチス』
作品番号66:『キスゲの花』

を見ても何かねぇ、目が悪くなった晩年の『キスゲの花』は別かもしれませんが、
「この人、ほんとに花好きなの?」って印象しか与えない絵です。

タケニグサみたいな草でさえ画題にする日本の絵師とは自然の捉え方と距離感が全く違うのがよく分かりました。
心を震わせるものが違う、と言う事です。
狩人蜂やヒジリタマオシコガネを観察するために地面に腹ばいになったアンリ・ファーブルとは違うんです。

で、私の好みは?
当然、ファーブルであり、糸杉の美しさに感動したゴッホであり、藤や松を描いた圓山應擧です(笑)。


5:
今回の展示で一番驚いたのが、モネ愛用のパレット。
これが、薄い(@_@)。
こんな薄いパレット、現代の日本の画材店で売ってません。
オマケに反っている(@_@)。
更に小さい。


6:
さて、会場のモネショップは大混雑で品定めも大変。
東京都美術館の常設ミュージアムショップでも同じ物が入手可能のはずです。
「はず」と書くのはモネショップが込み過ぎていて全部を見て回れなかったから(笑)。
まずはミュージアムショップを入場前に見る事をお勧めします。

図録は買ってません。
図録は本であって、本と言う物は同じ分野の物を集め始めると増殖が止まらなくなるので、
必要な時以外買いません(笑)。
今年だとそごう美術館の『ロバート・ハインデル』ですな、全然知らない絵師だったから。
だから最近買うのは実用品のみ。
クリアファイルはチラシや展示品目録を入れ整理するのに便利でほぼ毎回買うんですが、
今回はちとお値段高めなのと絵柄が気に入らんかったのでチケットホルダーを。
これもクリアファイルと同じ絵柄で値段も同じですが、前売り券を入れる物が無かったので購入。

残念ながらマグカップは無し。
代わりに傘がミュージアムショップに在りました(^.^)。
傘好きで、あの下代\80の透明ビニール傘は趣味に合わないCYPRESSなんで、
2種類あった図柄で『睡蓮』ではなく、『アンルジャントゥイユのヒナゲシ』をプリントした方を買いました(^.^)。
持ち手まで一本の無垢の木の柄にグラスファイバー骨のジャンプ傘。
まぁ、最高とは言えなくてもいい傘。
ジャンプ傘は好みじゃないんですが、軽いし変な柄の一般に市販されてる傘より遙かにましなんで迷いませんでした。


7:
『ヨーロッパ橋、サン・ラザール駅』をまだ見たことないんで、
後期展も行くか、否か。
現在先進国で蒸気機関車なんてのは趣味の物で「都会と蒸気」の風景が絶滅してしまい、
モネの描写力を確認出来ません。
それでもカイユボットも同時代のヨーロッパ橋を描いているんで、見に行くかなぁ。



タグ モネ マルモッタン美術館



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『第62回 日本伝統工芸展』

★簡単な紹介

○期間
2015年9月16日(水)~9月28日(月)

○会場
日本橋三越本店 本館、新館7階ギャラリー

○主催
文化庁、東京都教育委員会、NHK、朝日新聞社、(公社)日本工芸会


1:
日本最大の伝統工芸品の公募展。

以前から行きたいと思っていたんですが、開催期間が毎年2週間程で中々時間を作れず、
今回ようやく時間を作り行ってきました。


2:
出品点数全部で、609点。
まぁ、私の様な門外漢が見ても悪い物はありません、当然か(笑)。

気になったのが展示方法。
テーブルに白い布を掛け、その上に作品を置いただけ(@_@)。
あのぉ、もっと作品の見栄えを良くする展示法があると思うんですが…

実に安っぽい展示法で、日本の伝統工芸を馬鹿にしてるんでしょうか?

ヴィトンの店舗の素晴らしい展示法を見たことないんでしょうか、主催者と三越は?


3:
また、今回初めて三越の日本橋本店に行ったんですが、
その豪華内装にビックリ(@_@)。
流石、江戸から続く三井の末裔。

エレベーターのゴムの手すりの外側の金属がアルミではなく、何と、
真鍮(@_@)。

1935年竣工、東京都選定歴史的建造物に選ばれたことはありますワイ。
でも、お手入れが大変。
真鍮だからあれだけの量を毎日ピカールで磨かんとならん(@_@)。
1時間で終わらせるのは何人必要なんだろう?

こんな事やってるから儲からない。



タグ 日本伝統工芸展



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『生誕200年記念 伊豆の長八 -幕末・明治の空前絶後の鏝絵師』

★簡単な紹介
2015年9月5日(土)~10月18日(日)
武蔵野市立吉祥寺美術館

HP→http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/index.html

松崎町にある伊豆の長八美術館HP→http://www.izu-matsuzaki.com/cyouhachi/cyouhachi.html


漆喰壁の鏝絵の代表絵師で最高峰らしい。
TV東京系『開運!なんでも鑑定団』か何かで観た記憶があり、
ち~と調べると、何と、
伊豆の松崎町の出身(@_@)。
TV版『世界の中心で、愛をさけぶ』のロケ地じゃん(@_@)。

松崎町役場が作った『世界の中心で、愛をさけぶ』ロケ地マップにも伊豆の長八美術館は載ってますが、
流石にロケには使われてません。
PDFファイルのロケ地マップ→http://219.165.117.1/loc_pdf/sekachu.pdf

こりゃビックリ(@_@)。
私のブログにセカチューのカテゴリーがあるくらいですから、この連ドラ、私にとっての第一位(^.^)。
宮浦町、ではなく(笑)、松崎町に松本朔太郎と廣瀬亜紀以外に有名人がいたとは(笑)。


その昔、私は神奈川県横浜市金沢区富岡に住んでいて、
川合玉堂がそこに明治時代に別荘を建て絵も描いていたのを知り、偶然に驚いたもんです(@_@)。
富岡に住んでいた頃は学校でも習わなかったし、何にも知らなかったからなぁ…
しかもその後、川合玉堂は私の好きな絵師の一人になるんだから(@_@)。

その時以来の驚きです(@_@)。

「明治の工芸品」や「超絶技巧」に類した形容詞は大好きなんで、いそいそと見に行ってきました(^.^)。


1:
鏝で漆喰を加工して絵にしています。
壁を平らに塗る左官の仕事がいかに難しいか知らなくても、
伊豆の長八の並々ならぬ腕前は一目で分かります。

例えば、
作品番号:2 「二見浦」
の岸辺に身長1cm程の小さな人物が描かれています。
近付いてよく見ると漆喰の上に岩絵の具で描いているのではなく、
鏝で人物を描き、それに色を塗ってあります。

しかも、チャンと絵になってます(@_@)。

これは、正に超絶技巧の芸術家の一人です、ハイ。


2:
更に、描く時に漆喰を少々盛り上げるので、立体的になり、
人物の顔には不思議な表情が加わります。
また全体的に、3D風の跳び出て来る立体感も生み出しています。

関心を引き、興味を湧き立たせる作品の数々です。


3:
しかし、作品としては、力が弱い。
技術に関しては素人目にも分かる素晴らしさですが、
心を捉える雰囲気が無いんです(溜息)。

あと一歩で完成なんですが、そこまで達している作品がありません(涙)。


4:
平面の絵画と一味違う絵画になる可能性が非常に高い。
現在でもやっていらっしゃる方がいて、大いに期待出来ます。


5:
会場の武蔵野市立吉祥寺美術館は今回初めて訪れました。
HPでも分かりますが、入館料、何と、

¥100(@_@)

や、安い(@_@)。
1980年頃のブリジストン美術館の入館料が¥200か¥250でしたから、
いかに安いか、驚異的な安さか、よ~く分かります。

ただ、会場が狭い。
ちっちぇ~(@_@)。
美術館の展示室の一つすでよ、これ。
最近行った所だと、練馬区立美術館とはエラく大きさが違います(@_@)。



タグ 松崎町 伊豆の長八 入江長八 鏝絵 世界の中心で、愛をさけぶ 川合玉堂



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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

『特別展 蔵王権現と修験の秘宝』

★簡単な紹介
2015年8月29日(土)~11月3日(火)
三井記念美術館

HP→http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html


NHKEテレの「アートシーン」(2015年9月20日(日))で紹介され興味をそそられ、
仏像とか見たことないのでどんなもんかと行ってきました。


1:
ん~、何かなぁ…
どうもう焼き物とかこの彫刻も心に響くものが相変らずありません(溜息)。


2:
それでも、展示されている蔵王権現の古さにはビックリ(@_@)。
鎌倉時代の作は当たり前。
平安時代の物まである(@_@)。
平安時代って「なくよ鶯、平安京」で覚えた西暦794年
から
「いいくに作ろう鎌倉幕府」でお馴染み西暦1192年
までの間でしょう。
1,200年から800年前ですよ(@_@)。

中でもビックリは、蔵王権現像ではなく、

作品番号:2-1 国宝 金銅藤原道長経筒

世界遺産に登録された吉野山の金峯神社(きんぷじんじゃ)蔵。
現在は京都国立博物館に寄託されているとか。
まぁ保存を考えれば当然。
この神社に納められたのが、
西暦1007年寛弘7年(@_@)。
1000年前(@_@)。

弥勒仏が現れるまで経典を保存するための筒。
銅の鍛造で金メッキ。

仏さんの物を神道の神社になんで納めたんだ?
まぁ、1000年後の人の疑問はどうでもいいでしょう(笑)。

藤原道長ってさぁ、現在も存続する京都の冷泉家の御先祖だもんなぁ(溜息)。
歌道の家で藤原定家を祖とし、藤原定家は藤原道長に続いてる(@_@)。
冷泉家と言えば同志社大学そばの冷泉家時雨亭文庫でお馴染み。

作品の質ではなく、古さ、そして道長の信仰心に圧倒されました。
道長自身と家族の健康と家内安全も願ったんでしょうね。
医療や自然科学が発展してなかった時代ですから、神仏に頼るほかなかったんです。


3:
次に驚いたのが、

作品番号:5-19 国宝 蔵王権現鏡像
總持寺(=西新井大師)蔵 東京国立博物館寄託
西暦1001年長保3年の作

作品がどうのこうのよりも、所蔵しているのが、あの東京都足立区の西新井大師です、西新井大師(@_@)。
真言宗豊山派のお寺。
真言宗豊山派と言えば、関東なら東京都文京区の護国寺、
関西なら奈良県桜井市の総本山、長谷寺(@_@)。

西新井大師にこんなお宝、国宝があったとは…(溜息)。
西新井大師のHPに書いてあるワイ(溜息)。
HP→http://www.nishiaraidaishi.or.jp/info/treasure01.html

世の中、知らんことだらけデス(溜息)。


4:
引き続き作品の優秀さではない事で驚かされたのが、

作品番号:6-1 投入堂古材 3本
作品番号:6-2 投入堂棟札 1枚

共に鳥取県三朝町(みささちょう)三徳山(みとくざん)三佛字(さんぶつじ)の国宝投入堂
の修理の際に交換された古材。
古材は平安時代の物(@_@)。
展示の説明によると、奈良文化財研究所の年輪年代測定により平安時代の木材に間違いないとの事(@_@)。
(三佛寺のHP→http://www.mitokusan.jp/sanbutsuji.html)
棟札は西暦1375年南北朝時代永和元年(@_@)。

三佛寺投入堂って三井記念美術館のHPの写真で見て頂けると分かる通り崖の窪みのとんでもない所にあるお堂。
最近TVの旅行番組でもよく取り上げられ観た方も多いでしょう。
三佛寺投入堂HPと
(→http://www.mitokusan.jp/sanpai.html)
鳥取県生活環境部緑豊かな自然課発行三徳山ガイドマップによると、
この投入堂に行くのは完全に登山(@_@)。
片道1.3km、1時間半のコース。
参拝受入れ時間が8:00~15:00。
と言う事は往復時間に余裕を持たせ、12:00以降は入山不可でしょう。
当然ながら悪天候と冬季積雪時は入山禁止。
金具のない登山靴と登山に適した服装のチェックがあるんだそうです。
さすが、修験の場(@_@)であり、2014年に大山隠岐国立公園に編入されるはずダワイ(@_@)。
タバコを初め火気厳禁だし、国立公園の特別地域なんでテントも張れない(@_@)。
食事もご遠慮下さいとHPに書いております(@_@)。

21世紀の現代でもこんな特別は場所なのに、
平安時代によくこんな険しい場所に建て、しかも未だに残っている(@_@)。
地震や台風で壊れず崩れず(@_@)。
設計した人の知恵と工夫、
大工さん達の御苦労、
そして当時の人々の信仰心、
圧倒されます。

それを今に伝える当時の、平安時代の木材。
虫食いの穴がいくつもある木材。

ただ言葉を奪われるのみ(@_@)。


5:
蔵王権現がどんな物かは上記三井記念美術館のHPを見てもらえれば分かりますが、
子どもが見れば怖い。
でも、大人になった私が見ると、意外や、カッコいい(笑)。


6:
蔵王権現は心に響きませんでしたが、
1000年の時間に圧倒されました。




タグ 蔵王権現 三佛寺 投入堂 西新井大師 總持寺 藤原道長 冷泉家



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『浮世絵師 歌川国芳展』 後期展

★簡単な紹介

2015年8月1日(土)~8月30日(日)

前期→8月1日(土)~8月16日(日)
後期→8月17日(月)~8月30日(日)

そごう美術館

HP→https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/15/kuniyoshi/index.html


展覧会は終わっちゃいましたが、好きな絵師の展覧会なので記事にしました。



平成狸合戦ぽんぽこ』がまたTV放送されると言うんで、後期展も見てきました。
尤も、このアニメが放送されなくても行く気でしたがね。

歌川国芳はかなり『平成狸合戦ぽんぽこ』に影響を与えてる気がします。


1:
2回見ても、やはり大らかで仄かなユーモア、笑いが漂い、どれを見ても宜しいなぁ(笑)。
三国志や合戦物の武者を見た当時の西洋人の驚きを想像するのも難しくないし、奴らの驚きの表情を想像するのも楽しい(^.^)。

『開運!なんでも鑑定団』(TV東京系、2015年8月18日(火))で放送された
『龍宮玉取姫乃図』(作品番号:174)も前後期通じて展示されました。
放送された物よりかなり保存状態も良く、汚れも少ない。
(鑑定団放送分HP→http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20150818/05.html)


2:
広重北斎と違い、構図や画面構成に凝るのではないので、あれこれ考えず見て楽しめばいい絵ばかり。

そんな中でも目立ったのは、

2-1:
作品番号:137
『暑中の夕立』
後期展示作品

夕立の中に立つ美女三人の図。
着物の裾と袖のたくし上げ具合からかなり強い雨だと分かります。

雨の描写が秀逸、素晴らしい。
広重の『おおはしあたけの夕立』の細く鋭い雨脚とは違うなぁ、と思ってよく見ると、
太い雨脚で豪雨を表している、
と思ったら違う(@_@)。

圓山應擧の『龍門鯉魚図』(大乗寺蔵、兵庫県美方郡香美町)の瀧の表現と同じと言っていいでしょう。

10本程の細い縦線を描き、その左右を白く飛ばして雨脚を表現し、背景をその雨脚の分だけ飛ばしています。
画面上幅広の雨脚で豪雨を表し、更に背景を部分的に飛ばし見通しの悪さで豪雨を強調しています。

その背景は水溜りやそこに広がる雨が作る波紋です。

これ程見事に雨脚を描いた絵画を見たこと、記憶にありません。
雨を描いた他の絵画と言えば、

川合玉堂の『彩雨』(昭和15年、国立近代美術館蔵)は霧雨にけぶる紅葉と水車小屋を描き、
そこに表現される秋雨の雰囲気は80年近く経った東京都心でも変わらぬ正に「日本の秋」です。
大変素晴らしい作品ですが、雨自体は描いていません。

広重の『おおはしあたけの夕立』は遠景で橋とそこを渡る人々を描いているので、
写実表現としては少々物足りません。

美人画として分類されていますが、それだけではない素晴らしい絵です。


2-2:
作品番号:30
『坂田怪童丸』
全期間展示

これも水の絵です(笑)。
金太郎が瀧の中で巨大な鯉を捕まえている絵です。
「坂田の金時が自分よりデカい鯉を捕まえてるな」と前回は通り過ぎた(^_^;)。

今回、よく見ると、よく出来ている(^_^;)。
鯉が坂田怪童丸に負けじともがいているのを白い水玉で表し、簡単な表現ですが、
意外と効果的。
色を載せないで紙の白を活かすために、版木に水玉型にくり抜いてます。

更に、鯉の体半分に薄く水色を掛け、まだ瀧の中にいるのを表し、これでも鯉の力強さを表しています。

絵師の国芳だけでなく彫師、摺り師も大したもんです(^.^)。


2-3:
作品番号:47
『宮本武蔵と巨鯨』
後期展示作品

国芳の代表作の一つ。
もう一つの代表作である『相馬の古内裏』(作品番号:45)の代わりに展示。
う~ん、この絵、主役がどう見ても宮本武蔵じゃなくて鯨(笑)。
オマケに鯨の体の白い水玉斑点が意外にキレイ。
巨大で大らかで、宮本武蔵なんか全く気にしていません(笑)。


3:
最後に繰り返しになりますが、いい意味で軽さがあり気楽に見て楽しめる浮世絵ばかりでした。



タグ 国芳 広重 北斎 平成狸合戦ぽんぽこ



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『浮世絵師 歌川国芳展』 前期展

★簡単な紹介

2015年8月1日(土)~8月30日(日)

前期→8月1日(土)~8月16日(日)
後期→8月17日(月)~8月30日(日)

そごう美術館

HP→https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/15/kuniyoshi/index.html

国芳と言うとオバケ、妖怪、クジラと宮本武蔵、そして「寄せ絵」。
TVとか画集では見たことありますが、本物を見るのは初めて。
楽しみにして行ってきました(^.^)。

1:
ほほ~、日本のマンガ、アニメーションの原点とも言える作品群でした。
当然ですが、この展示会の作品を観ると日本人の感性や発想は、
国芳が浮世絵を始めた190年前位から、勿論それ以前から、
変わってないのがハッキリ分かります。

平成狸合戦ぽんぽこ』(スタジオジブリ制作、高畑勲監督、1994年)なんか、
国芳が描いた妖怪、幽霊、擬人化動物の丸写し。
タヌキ、キツネ、竜、猫、骸骨、等々国芳以外の何物でもなし。
顔が回転するのは両面相(→作品番号:88、89)。
出て来る骸骨でデカいのは国芳の代表作『相馬の古内裏』(作品番号:45)。
雷神様と風神様は俵谷宗達を初め琳派だな。
勿論国芳高畑勲の絵は違いますが、擬人化に関しては全く同じ。
著作権を考えれば国芳が死んで150年以上経っていますから問題は有りません。
擬人化に関しても、高畑勲以外誰がやっても大同小異でしょう。
高畑勲が国芳や琳派を知らないはずが無く、なぜ同じ様な絵にしたのでしょう?
ただ、マンガやアニメーションを含めた芸術の発展を考えれば工夫が欲しかった。

それ位国芳の擬人化は完成度が高い。
とは言っても国芳よりはるかに古い京都高山寺の国宝『鳥獣人物戯画図』(12世紀~13世紀)があります。
国芳は知っていたのでしょうか?
絵柄や作風と言ったものは違っています。

Amazonの『平成狸合戦ぽんぽこ』のレビューを見ると、国芳の引用をしてる人はいませんね。

2:
国芳に限らず北斎を初め浮世絵師は水の表現が大変巧い。

この展覧会だと、
作品番号:173 『通俗三国志之内 玄徳馬躍壇渓跳図』
作品番号:174 『竜宮玉取姫乃図』
作品番号:48 『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』
作品番号:49 『鬼若丸大鯉退治』

『竜宮玉取姫乃図』の大波の表現は圧巻(@_@)。
東日本大震災で観た津波を思い出す水の「重さ」と「強さ」をとても巧く表しています(^.^)。
飛び散る水泡の表現も見事です(^.^)。
特徴を捉え巧くまとめている、こんな感じの表現です。

『竜宮玉取姫乃図』の大波と竜、『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』の波と鰐鮫で思い出したのが、
1940年ディズニー制作の『ピノキオ』。
中々の出来ですが、最後のクジラの場面、
残念ながら水の表現では国芳に負けてます。
ウォルト・ディズニー初めスタッフ一同、誰も国芳を知らなかったのは間違いありません。
北斎の『神奈川沖浪裏』も知らなかったんだろうなぁ。
知っていたらもう一工夫していたはずです。


3:
作品番号:107 『亀喜妙々』
フランツ・カフカがこの絵を知っていたら、『変身』(1915年刊)はどうなっていたでしょう?

作品番号:109 『荷宝蔵壁のむだ書』
弘化4年(1847年)頃の作。
相合傘が描かれております(@_@)。
こりゃビックリ(@_@)。

作品番号:159 『東都名所 佃嶋』
なんでこんなに高い塔が二つあるんだと思い解説を読むと、
一つは火の見櫓、もう一つは井戸掘りの足場だとか(笑)。


4:
寄せ絵
ジョゼッペ・アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo,1527年~1593年、イタリア)の方が有名かなぁ…
参考→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%82%BC%E3%83%83%E3%83%9A%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%89
国芳の方は上記そごう美術館のHPに図版があります。

人間、誰でも考える事は同じ様なもんなんですな。


5:
妖怪退治

作品番号:28 『源頼光土蜘蛛の妖怪を斬る図』
作品番号:43 『源頼光の四天王土蜘蛛退治之図』
作品番号:46 『蝦蟇僊人と相馬太郎良門』
作品番号:50 『近衛院に怪鳥あらわる』
作品番号:51 『源三位頼政鵺退治の図』

これらを見ると、マンガやアニメのSFっぽいアクションシーンって、国芳と全く同じ。
進化してないのか、日本人だから考え付くことが同じなのか…

6:
その他展示されたのは、
武者絵、豪傑、合戦の図、歴史物語、忠臣蔵、動物の擬人化、妖怪、怨霊、お化け、寄せ絵、両面相、役者絵、美人画、
等々。
全体に漂う雰囲気は広重や北斎の計算し尽した、考え抜いた感じとは違い、
「大らか」ですね。
あの天才広重と同時代の絵師でなりながらも、意識していたのは間違いありませんが、気にしてなかった様な作風です。

ここ数十年のアニメとかマンガは殆ど知りませんが、たまに見ると同じ様な感じばかりですが、
当時の浮世絵師の個性の違いの際立ちの激しい事。
まぁ、現代のアニメとマンガももう少し気を入れて見れば個性が分かるんでしょうが、そこまでして見たいと思うほどの絵がありません。

また、摺りの良さ、美しさ、未だに衰えていません。
19世紀末の欧米人が初めて見た時の驚きを日本人でさえ今でも追体験出来ます。


7:
十分楽しめた展覧会でした。
後期展も行きます。

マンガやアニメが好きな人、志す人、絶対見た方がいいです。



タグ 国芳 平成狸合戦ぽんぽこ 高畑勲 アルチンボルド ディズニー ピノキオ



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『没後10年 ロバート・ハインデル展 光と闇の中の踊り子たち』

★簡単な紹介
そごう美術館
2015年7月4日(土)~7月26日(日)

HP→https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/15/robert/index.html

NHK Eテレの日曜美術館アートシーンで紹介され、画面からでも伝わる雰囲気があるので、
見たくなり、4週連続で展覧会へ行く事に決定(笑)。

ロバート・ハインデルは全然知らない絵師なんで興味津々。
そごう美術館は横浜にあり、横浜と言えば宮川香山の眞葛美術館なんですが、まぁ、いつでも行けるんで、
先に行って見てみると…


1:
これは、ビックリ、やられた(笑)。
久々に大ヒット(笑)。
凄くいい(笑)。

何だかんだと考えさせないただ視線と心を引き付けたままの強力な作品ばかり。
言葉を奪います。

見ているだけで気持ちいい絵なんて、いつ以来?
俵谷宗達『風神雷神図屏風』、酒井抱一『風神雷神図屏風』、『八ッ橋図屏風』、長谷川等伯『波濤図屏風』、圓山應擧『藤花図屏風』、
エドゥアール・マネ『笛を吹く少年』、フィンセント・ファン・ゴッホ『糸杉』、『種まく人』、ヨハネス・フェルメール『天文学者』
何だ、結構あるじゃん(笑)。

20世紀後半から21世紀初頭にこれ程絵心があり、史上最高峰の絵師に匹敵出来る絵師がいたとは…(大嘆息)
芸術家の想像力の枯渇が嘆かれ、久しいのです。


2:
バレエなんて、生で観たこともなければ、NHKのEテレで全編も観たことなし。
CDもオペラは持っていても、バレエは1枚も無し。
それでも、20年位前、『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』に熊川哲也が出て軽く踊ったのは観ました。
でも、これが凄かった。
衝撃的な素晴らしさでした。
バレエの起源は12世紀から14世紀のルネサンス期のイタリアで生まれ、「バレエ」と言う言葉が生まれたのは1533年だそうです。
少なくとも600年は経っている芸術で、未だに無くならないのも、熊川哲也が踊るの観て納得しました。

熊川哲也を初め、バレエの頂点に立つダンサーは、一瞬にして手足の先を、
最も美しい形にし、
最も美しい位置へ動かし、そこに固定する事が出来るのです。
初めて『生ダラ』で観た時、目が点になる程の衝撃でした。

手足の試技の一つでこれだけの素晴らしさと完成度があるのですから、体全体を使えばどれ程の表現力があるか、
我等素人の想像力の届く所ではありません。

この主役を演じられるエトワール、プリンシプルと呼ばれる人々の技を分かりやすく比較すると、
志村けんが、一瞬にして手足の先を、
最も可笑しい形にし、
最も可笑しい位置へ動かし、そこに固定する事が出来るのと、
全く同じです。

しかも、エトワールやプリンシパルはプロですから、主役争いの戦いは熾烈なのは想像出来、
生半可な世界ではないのも、我等部外者の素人にも分かります。

そして熊川哲也を観て以来、器械体操、シンクロナイズドスイミング等点数や時間で競わない競技は、
馬鹿馬鹿しくて見る気を完全に失いました。


3:
これだけの実力を秘めた芸術を他の分野の芸術家の心を捉え離さなくても不思議はありません。

練習、公演の一瞬を切り取った数々。
動きと存在を強調する省略。
油彩では絵具を塗らずにキャンバスの生地を残した絵が多いですが、
描かれている部分に動きがあり目立たず絵の一部になっています。
これ、中々の技術です。

描かれる人物にはまず、顔を細かく、ハッキリ描写していません。
なぜならバレエは表情ではなく体全体で表現、演技するからです。
また、照明があるとは言え、暗めの室内ですから顔が見にくいのも明らかです。

その中で表情と人相が分かるのが、吉田都嬢を描いた2枚。

動いてない人物も動きがある人物と同じ位視線と心を捉えます。
絵に、絵の中の人物に存在感があると言う事です。


4:
面白い技法がありました。
画材が興味深いいんです。
「ミラペーパー(Mylar paper)」に木炭で描いた素描。
木炭のボカシ具合が墨で描いた様に出来るんです。
こんな紙、見たことも聞いこともないので調べてみると、
デュポンが1950年代に世界で最初に工業化したPETフィルムで現在は帝人デュポンフィルム株式会社が製造してるそうな。
(帝人デュポンフィルム社のHP→https://teijindupontfilms.jp/product/name/pet/index.html)
まず、発音は「マイラー」。
紙じゃなくプラスチックと言った方が正解に近いみたいです。
おそらく紙より肌理が細かいので木炭をより薄く延ばしボカせるのでしょう。


4:
絵の基本やエッセンス、キモがよく分かる絵ばかりでした。

4-1:
まずは、省略。
動きの一瞬や動きが無くてもその人物が「現在」やってる事や考え感じてる事を瞬時に捉えるには、
その中心とも言うべきことを捉えねばなりません。
全体的な何か、絵師の視線と心に残ったものだけを描いてます。
この省略と単純化が進むと抽象絵画になり、ある意味、絵師が思考を放棄し鑑賞者に考えさせるようになってしまいます。

ハインデルの作品は「思考放棄」がないので、省略と単純化が多いですが、写実絵画から逸脱していません。
だから分かりやすく、感じやすく、楽しみやすい。

4-2:
次に動き。
絵に動きがあります。
停止している人物を描いていても、見ている人間に「動き」を感じさせています。
言い換えると主張が強い、訴える力が強い、視線と心を捉える力が強い。
魅力的だとも言えます。

4-3:
そして、対比の巧みさ。
この対比が高所から低所へ流れる位置エネルギーの様に「動き」を感じさせるんです。
写実と省略。
写実と単純化。
人物の「動」と背景の「静」。
光と影。
等々。
補色を使わない事も写実的と言えます。


5:
「省略」、「動き」、「対比」、この3点は日本画では強い。
いくらでもあるのですが、私のお気に入りから一つ。

琳派の酒井抱一筆『八ッ橋図屏風』
たらし込みで描いた橋。これは「省略」された抽象表現ですが、とても「動き」があります。
そして意匠化されながらも写実描写のカキツバタ。
これは植物が成長する上方向へ延びる力と植物の形自体が作る下方向へ「動く」力があり、両方の力が互いに消し合い平衡しとてもバランスがいい。
そして絶妙に配置されリズム感と言う「動き」もあります。
橋の抽象表現とカキツバタの写実表現の「対比」の見事さ。
本来ならこの酒井抱一の方ではなく、尾形光琳筆の方を書くべきですが、残念ながら見たことが無いので(笑)。

そして、ロバート・ハインデルを見て改めて分かるのが、酒井抱一を初め日本の絵師の素晴らしさ。


6:
色々書きましたが、ロバート・ハインデルはあーだら、こーだら言ったり書いたりする絵師ではありません。
ただ見て楽しむだけの絵師です。
ある意味、単純であり深みがありません。
悪く言うと退屈とも言えます。

しかし、バレエとその踊り子たちの魅力と素晴らしさ、生の躍動感、
そしてそれに象徴される生への讃歌、生きる事の肯定を描いた「軽い」、「軽み」がある絵なのです。


7:
新しい絵師を知り、とても素晴らしい展覧会でした。
しかし、10年前、肺気腫で68歳で亡くなったとは大変残念であり惜しい。
更に発展、深化、進化して行ったと思うと残念でなりません。

合掌



タグ ロバート・ハインデル 熊川哲也 志村けん 吉田都 酒井抱一



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『春信一番!写楽二番!』特別展 錦絵誕生250年 フィラデルフィア美術館浮世絵名品展

★簡単な紹介
2015年6月20日(土)~8月16日(日)

前期:6月20日(土)~7月20日(月)祝日
後期:7月22日(水)~8月16日(日)

殆どの作品が前後期で展示替えされます。

三井記念美術館

HP→http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html


人生初の3週連続絵画展鑑賞(^.^)。
今回も地下鉄日本橋駅を降り、お江戸日本橋をノンビリ渡り、豪華お金持ち仕様の三井記念美術館へ。


1:
行ってきました。
観ました。

大まかな構成は、

墨摺り

紅摺り絵

錦絵

錦絵の発展、興隆

歴史展の趣が強い。
初期の墨摺りはかなり地味です。
紅摺り絵もまだまだ、って感じです。
北斎広重写楽歌麿、の様なぶっ飛んだ絵師が出るのはまだまだ先の事。


2:
今回、写楽の大首絵を楽しみに行ったんですが、
前期(:6月20日(土)~7月20日(月)祝日)の展示品の保存状態が非常に悪い(涙)。
上記のHPにも図版があり傷み具合が分かりますが、実際にはもっと酷く傷んでます。
最近できた美術館ならとももかく、1876年創立ですよ、1876年。
(因みにこのフィラデルフィア美術館、ダリのあの奇作『茹でたインゲンマメのある柔らかい構図(内乱の予感)』
を所蔵してる所
参考、同美術館HPから→http://www.philamuseum.org/collections/permanent/51315.html?mulR=696806922|6)

こんな保存状態の悪い摺りしか存在してないんでしょうか?
これじゃ後期は行く気にはならん。

でも、他の作品は全て保存状態が良かったのご安心を。
墨摺り、紅摺り絵は中々浮世絵展でも見る機会が無いので、お勧めです。


3:
その他には、広重北斎のぶっ飛んだ作品も無く、ガッカリ。
痛みの激しい写楽のおかげゆっくり見直す気も失せました。

しかし、
この錦絵展の展示室(展示室4~7)の前に展示室1と2に当美術館所蔵の素晴らしい工芸品が展示されました。
出品目録は上記HPにPDFファイルがあるので、そちらを参照して下さい。

その中でも、展示室2に一つだけ(実際には4種類の果物と1種類の野菜)展示された、あの
安藤緑山
『染象牙果菜置物』
(展示番号:K12)
が断トツ、抜群に良かった。
浮世絵を含めこの牙彫が一番良かった。
この牙彫を一番長く見てました(笑)。

作られた野菜は、
ナスが3個
果物は、
ミカン
仏手柑
柿が枝付きで2個
イチジクが2個

中でも柿の細い枝の表現が凄かった。
これも、どう見ても柿の枝で象牙から作られたとは思えない、質感、色、艶。

この柿が2個ついた枝、ほ、欲しい(笑)。

更にスタッフの方に伺うと、何と、展示されてない安藤緑山がまだある(@_@)。
恐るべし、三井家!


3:
とまぁ、こんな感じで私の心を揺さぶる浮世絵はありませんでしたが、
浮世絵の歴史を見るには中々良い展覧会です。

それにしても安藤緑山はやはり文句無く素晴らしいし、
それを所蔵している三井家の財力と美術品を見る極める目の確かさ、
大いに感服しました(溜息)。



タグ 広重 北斎 写楽 歌麿 安藤緑山



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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

『没後30年 鴨井玲展 踊り候え』 北陸新幹線開業記念

★簡単な紹介

2015年5月30日(土)~7月20日(日)
東京ステーションギャラリー

HP→http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201505_Rey_Camoy_Retrospective.html


フルHDの液晶で見ると雰囲気が悪くないので、見る事に決定。
それでもね、健やかな精神とは言えそうもない絵なんで、どうかなぁ…
琳派、長谷川等伯、圓山應擧、歌川広重、葛飾北斎、川瀬巴水、牙彫の安藤緑山、七宝の濤川惣助、眞葛焼きの宮川香山、その他大勢、
こういう傑作を作り出し、私の好みの絵師や工芸家は、健やかな精神の作品しか残してませんからねぇ…
あの自分の精神状態の疑問を感じていたフィンセント・ファン・ゴッホでさえ、残した絵は健やかです。
今更こう言った「狂気」とも言うべき作風を売りにした絵師の絵なんて、明らかに時代遅れ、時代錯誤なんじゃないでしょうか?
ある種、太宰治風と言えるかもしれません。
太宰治も一通り35年前に読みましたが、読み返す気にならないのも似ています。

この回顧展のチラシに書いてある
「人間の心の闇」
なんて言うものは、「人間」と書いてある通り鴨井玲だけのものだけでなく、人間、誰でも持ってるもんなんです。
同じ様に「放浪癖」とか、「寂寥感」なんてわざわざ書いて強調なぞする必要も全く無く、人間、誰でも多かれ少なかれ持ってます。

こんな感じで全く期待せず、でも、見ないことには何も分からんし書けんので行ってきました。


1:
そして、予想に違わず、私の心の響く絵は皆無。
鴨井玲、他に何か描くべき物、者、モノ、もの、無かったんでしょうか?
精神が病んでると言うか、悪趣味と言うか、フルHDの液晶で見た印象と変わらず。
絵は「病んでいる」、「健やかからは程遠い」。

しかし、漂わせる雰囲気は、なぜか、心地いい。
これも、フルHDの液晶で見た時と変わらず。
おそらく私が高校生の時に見れば気に入ったはずです。
こういうある種の暗い雰囲気を漂わせた絵が大好きだったからです。
今でもこの種の暗い雰囲気を漂わせた絵は好きですが、欲しいとも思わないし、夢中になる事も無ければ、心を捉えられることもありません。


2:

薄塗り

フルHDの液晶で分からないのが、筆使い、筆の勢い、絵具の塗り具合等。
こういうものがどんな感じかと近付くと、
おや、TVとかネット、チラシで見た時の印象とは違い、絵具はかなりの薄塗りです。
ゴッホみたいな盛り上げる様な描き方は殆どしていません。
厚塗りの絵は、
展示番号:12 「蠢く」
展示番号:13 「赤い老人」
などの初期の抽象表現の作品でのみ。
全ての作品でかなり近付けるので、よく見ると、
場所によってはキャンバスの繊維まで分かります。

そして展示された遺品の中にはその薄塗りを証明するかの様に筆は、
白い豚毛の硬毛と同じ位茶色系の軟毛の筆が有りました。
豚の白い毛は硬く、油彩独特の硬毛の筆。
強いタッチや荒々しい表現等、ゴッホの絵等によく使われます。
茶色系の軟毛は、コリンスキー、テン、ミンク、タヌキ等の毛で水彩の様に油を多く使い薄く塗る時に使います。
鴨井玲の遺品には軟毛の筆も多く、まぁ当然ですが、残された作品通りです。


3:

肩を広げ、胸を広げる人々

鴨井玲が描く人々は、姿勢と無関係に肩を広げ、胸を広げる人が殆どでした。
表わすのは、声を上げようとする事。
その後はどうなるか、とか考えるのは面倒なので、無し(笑)。
鴨井玲には、わざわざ考えたくなる程の魅力が私にはありません。


4:
こんな感じで私には大したことない回顧展でした。
残念なのは、笠間日動美術館蔵「蜘蛛の糸」が来なかった事。
題名通り芥川龍之介の短編から。
見られなかった代わりにミュージアムショップでクリアファイルを買いました(笑)。
オマケに赤レンガ模様のマグカップも買いました(笑)。




タグ 鴨井玲



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『没後180年 田能村竹田』

★簡単な紹介
2015年6月20日(土)~8月2日(日)
出光美術館、東京丸の内

HP→http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html


田能村竹田と言えば、私にとっては『開運!なんでも鑑定団』なんです。
『なんでも鑑定団』は放送開始時から観てますが、私が観た限りでは、田能村竹田の本物、真筆が出たことが一度も無い。
贋作の多さから変に印象付けられてしまいました(笑)。
それに東京国立博物館にある重要文化財『西湖春景銭塘観潮図屏風』を描いた池大雅の後輩に当たり、また、同じ文人画家だから、
好感が持てます。

今迄にいくつか見たことはありますが、まとめて見るのは初めて。

だから、期待に胸を膨らませ見に行ってきました(^.^)。


1:
期待と違わず、素晴らしい!(^^)!。

1-1:
「筆使い」


池大雅と同じく、筆使いが素晴らしい、とても素晴らしい(^.^)。

例えば、小さい同じ物をいくつも描く木々や葉の描写は、集中力が途切れず形だけでなく筆圧も変わりません(@_@)。
また、広い部分を薄墨で塗り潰しても、ムラが出来ない巧さ(@_@)。
学校以外で水彩をやったことのある方なら、難しさを分かって頂けると思います。

今回驚いたのが、
展示番号:3 『春隄夜月図』(重要美術品)
墨で描いた輪郭線と同じ様に細い線の描写、これが驚異(@_@)。
ペンで描いた様に鋭い。
広重の『江戸名所百景 「おおはしあたけの夕立」』の雨の墨線にも驚きましたが、この墨の輪郭線にも息を呑む思いでした。
あの柔らかな獣毛で出来た筆でこれ程の鋭く、硬い線を引けるとは、竹田の技に完璧に圧倒されました(@_@)。

もう一つ驚いたのが、
展示番号:55 『東山図』
頼山陽の家を訪れ、飲食で歓待され、酔余で描いたのですが、使ったのが、
何と、
破れ紙!(@_@)。
東山や、林の描写はともかく、背景や近景を薄墨で塗り潰しています(@_@)。
ここでも、下手さが分かるムラが皆無(@_@)。
これにもやられました(笑)。

何たる筆使いの巧さ!(^^)!。
まぁ、180年後も作品が残る本物の芸術家ですから、これ位の技術があって当然なんでしょうが、
それでも、毎度のことですが、驚きます(@_@)。

1-2:
「雰囲気」


だからと言って、単なる絵を描く技術に秀でただけの人間ではありません。
田能村竹田も画面から雰囲気を漂わせ、放射し、見る人間の関心と心を捉えます。
その力はゴッホの様な「能弁」と言うべきものではなく、遥に穏やかですが、やはり力強さがあります。
俗世間を離れ、こういう穏やかな山や里なら行ってみたいと思わせ、見ていて飽きません。


2:
日本画と言うと、少々誇張されマンガっぽい表現が少なくありません。
だからと言って一流の絵師はそんなマンガ風の絵しか描けないのでは決してありません。

今回の竹田だと、
展示番号:41 『蘭図』

墨だけで地面に生える蘭を描いてます。
誇張が少なく西洋風な描写です。
筆に勢いがあるので、成長の躍動感があります。
解説に「蘭は高潔の象徴である」と書いてある通り、
濁りの無さ、爽やかさとでも言うべき雰囲気もあります。

大した絵師です。


3:
今回の回顧展の大部分が山水画で、基本的に同じ構図になっています。
上下にジグザグに線が出来、更に各斜線と並行する斜線が入ります。
そこへ垂直線が入り、絵によって上昇、下降の力を与えたり、安定させる錘の役目にしている作品もあります。

画面上に変に偏った力が無く、安定しています。

穏やかさを湛える絵が多いのはこの構図の安定感からも来ています。


4:
今回は竹田と関係のある人の作品も展示されていました。
展示番号:63 『新緑帯雨図』
青木木米
この方、京焼の陶工の方が本業じゃないでしょうか?
開運!なんでも鑑定団』に依頼される木米は焼き物しか出ませんからね(笑)。
この方、指先が器用だったのは間違いありません。
こんな出来のいい絵まで描かれちゃ(笑)、
大したもんです。


5:
今回の出光美術館も、大いに楽しみました!(^^)!。



タグ 田能村竹田 池大雅 青木木米 開運!なんでも鑑定団 出光美術館



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『マグリット展』

★簡単な紹介
2015年3月25日(水)~6月29日(月)
国立新美術館

HP→http://magritte2015.jp/

1:
Rene Magritte

“ne”の”e”の上にアクサンが付くんですが、どうやるか分からんので無しで(笑)。
綴りから分かる通りフランス語圏のベルギー人であります。

ここ数年、再び絵を見始め、琳派、長谷川等伯、圓山應擧、北斎、広重、川瀬巴水、川合玉堂、等々世界最高峰の日本の絵師の作品を見続けているので、
マグリット程度の絵は心に響かんだろうと予想してましたが、
予想通り(溜息)。

マグリットは40年前、いやそれより昔、父親が買ってくれた世界絵画全集のシュールレアリズム編に入っていて50年程前から知っています。
今回来た絵の中で有名物だと、

展示番号:42 『凌辱』
(参考→http://magritte2015.jp/smartphone/highlight_works06.html)
展示番号:79 『光の帝国II』
展示番号:95 『ゴルコンダ』
展示番号:118 『大家族』

等は小学生の頃から知っています。

代表作で今回来なかったのは、

『ピレネーの城』

ですな。


2:
感想

今回の展覧会を見ると…
どうもこの方、言葉で考えるのが得意でなかった様な気がします。
そのため絵に何か、深みとか想像力を刺激する力が弱い、と私には思えます。
フェルメールの様に写実力と構図、構成で描くというタイプでもないですな。
北斎や広重みたいに見る人をビックリさせてやろう、なんて茶目っ気も無し。
ダリの様に写実力で在り得ない物を存在させるのでもなく、
アンリ・ルソーの様に想像力だけで趣味の絵を描いてる訳でもありません。


2-1:
展示番号:79 『光の帝国II』
(参考→http://magritte2015.jp/smartphone/highlight_works10.html)

これ、アンリ・ルソーの『謝肉祭の夜』と同じ構図、構成。
(参考→http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/rousseau_carnival.html)

なんで一目で同じと分かる作品を作ったんでしょう?
個人的にはルソーの『謝肉祭の夜』の方が断然いい、好き。

2-2:
展示番号:95 『ゴルコンダ』
(参考→http://magritte2015.jp/smartphone/highlight_works11.html)

山高帽にスーツ姿の同じオッサンが画面一杯、空中にいます。

単に「いる」だけなんです。
だから、
浮いているのか、上っているのか、落ちているのか、左右に動き出すのか、
消えていくのか、増えるのか、それも一瞬か、一つづつか、法則をもってか、リズムを伴ってか、
見えない糸で吊るされているのか、
不明。

この辺の事が想像力を少々刺激し、面白みがあります。

2-3:
展示番号:118 『大家族』
宇都宮美術館の収蔵品です。
この絵、本展HPに画像が無し、収蔵元の宇都宮美術館のHPにも無し。
曇り空、荒れ気味の海、と言っても中心は曇り空の方。
そこに鳥の形をくり抜き雲が浮かぶ晴の空を描いてます。

嵐を予感させる海と空でも家族が想像させる穏やかな晴、
嵐を乗り越える鳥も家族の強さを暗示、
こんな絵でしょう。

嵐を予感させる空に鳥の形でくり抜き雲の浮かぶ青空を描いてのは、少々面白い。

2-4:
展示番号:116 『現実の感覚』
(参考→http://magritte2015.jp/smartphone/highlight_works14.html)
『ピレネーの城』の代わりだろうなぁ。
1963年の作。
マグリットは1898年の生まれ、明治31年。
亡くなったのが1967年、昭和42年。
第一次世界大戦と第二次世界大戦を経験、その後は核兵器と東西冷戦、ベトナム戦争真っ最中。
「ダモクレスの剣」の感覚が一時も抜けなくて当然だし、
フランスとドイツの両大国に挟まれたベルギーの人だからそんな感覚が抜けたら変です。
(「ダモクレスの剣」参考→https://kotobank.jp/word/%E3%83%80%E3%83%A2%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%89%A3-94463)
(Wikiにはケネディの1961年の国会演説から→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A2%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B9)


3:
今回の回顧展で良かったのは輸入物のマグカップ。
300ccは入る文字通りのマグリットの絵柄のマグ。
幾つか柄があり、私はマグリットらしい『人の子』にしました。

東京国立博物館では尾形光琳の『風神雷神図屏風』から風神様と雷神様の図柄を取ったマグカップを売ってるのですが、
これがマグとは呼べぬ小ささ。
だもんで欲しいんですが、毎回手に取るんですが、再びマグカップは元の位置へ(笑)。


4:
まぁ、こんな感じで予想通り私には退屈でした。



タグ マグリット 新国立美術館



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『尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密』後期展

★簡単な紹介
根津美術館
2015年4月18日(土)~5月17日(日)
(展示替えがあるので、
前期:4月18日(土)~5月3日(日)
後期:5月4日(月)~5月17日(日))

HP→http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html


1:
行ってきました。
連休中と言う事もあり、午前10:30頃にもかかわらず入場券購入待ち行列、美術館前の歩道にまで続く始末(@_@)。
でも、スムーズに進み10分程で支払完了、入場。

そして、根津カフェ。
午前11:00過ぎには早くも席待ち行列(溜息)。
今回もお昼を出来ませんでした(溜息)。

根津美術館でこの季節と言えば、カキツバタ。
HPを見て頂ければ分かる通り5月5日(火)、満開でした(^.^)。
その代り、藤は終わっていて残念。
あの芳香の中でカキツバタを満喫したかったのですが。
それでも今年もカキツバタは美しく、光琳の燕子花図屏風も負けていませんでした(^.^)。


2:
展示作品

2-1:
展示番号14:扇面散貼付屏風 左隻
俵谷宗達

今回はこれを見たかった。
前回の右隻同様、こっちも素晴らしかった。

マックス・エルンストがフロッタージュで描いた様な雰囲気を漂わせています。

「草花を金泥で描き、その上に扇を貼る」、
その非現実感、日常では想像出来ない美しさ、ただただ圧倒され息を呑むのみであります。
こういう絵を作ろうと思う発想がこの上なく素晴らしい。

全体に経年による汚れ、くすみ、絵具や金箔の剥落が多い印象ですが、
近付いてよく見るとそうではありません。
剥離ではなく金泥銀泥で描いたためだと分かります。

ただ展示室2はこの絵を見るには少々狭く、これが欠点でした。
展示していた場所が展示室1から来ると最初の場所になり、
ここに展示される物の説明の垂れ幕がありそれを読む人がいて人の流れが止まり混雑しやすレイアウトになってしまいました。

2-2:
展示番号1:四季草花図屏風
尾形光琳

この絵は意外と手早く作った雰囲気があります。
草花の配置が大体この辺だろうと決め、後は白い花と赤い花を各扇にいれてバランスを取り、
全体のリズム感と空間処理をしたのではないかと思えます。

2-3:
展示番号8:夏草図屏風
尾形光琳

この絵はリズム感ではなく、心地良い穏やかな流れを作ってますね。
右上の真ん中辺りから左下へと向かう緩やかな流れです。

2-4:
展示番号7:孔雀立葵図屏風
尾形光琳

左隻の立葵は垂直線の連なりで安定させています。
よく分からないのが右隻の孔雀。
なんで孔雀を描いたのか、納得出来る答を考え出せず。
具象と抽象の対立、対比の美を面白さ、こんなところでしょう。

2-5:
展示番号5:燕子花図屏風
尾形光琳

はい、何回見てもお見事、いい絵です(笑)。
カキツバタを完全に意匠化し、しかもたったの2色。
これは間違い無くかなり工夫し、頭を使って描いたのに間違いありません。
そうでないと単調になりつまらない絵になってしまいます。
「四季草花図屏風」や「夏草図屏風」とは違います。

2-6:
展示番号6:紅白梅図屏風
尾形光琳

改めて見ると、まぁ、当然ですが、スゲーや(笑)。
左右の梅の木と花が互いに存在感の強さで打ち消し合って平衡させてます。
左隻の梅は幹を殆ど描かず、視線を左側画面外へ誘導しその大きさを見てる人間に想像させ、
頭の中でバランスを取らせてるんです。

ひょっとすると、
神社にある一対の狛犬や東大寺南大門でお馴染み一対の金剛力士像が心の隅にあったのかもしれません。

力対力の大技でバランスを取っています。

そして、かなり「遊び」、つまり自由な心や感性、発想で描いています。
水の表現と画面の中の位置を見れば一目瞭然です。
今回の展覧会の宗達の「扇面散貼付屏風」が完全に写実描写と現実の下で描いているのと好対照ですし、
全体の構成で「燕子花図屏風」よりも抽象化、意匠化が進んでいます。
出来れば宗達の「扇面散貼付屏風」を隣に展示出来れば比較しやすく、見てる人間はもっと楽しめたと思います。

さて、
光琳はこの絵を描く前、下絵や習作を作り入念に考え準備したのでしょうか?
それとも、
モーツァルトの様に頭の中で完成形が全て出来ていて、それを画才と感性、各種感覚に任せて迷いや躊躇無く描いたのでしょうか?
今回の展覧会で光琳の他の絵と見比べると、モーツァルト風に一気呵成に描いた様な感じが伝わってきます。
隣の展示された「燕子花図屏風」の持つ計算され尽した感じとはかなり違うのです。
こういうモーツァルト型とも言うべき事が出来たとしたら、それは勿論今迄の画業、経験があったためです。

もし光琳が、
モーツァルトの様に下書きも無く頭の中で全て完成しそれを憑りつかれた様に、同時に冷静極まりなく描いたとしたら、
恐るべき能力の絵師です。


3:
この様に人類の至宝と美しい庭園を今回も満喫しました(^.^)。

それよりも、
今回気付いた事があります。
金箔、金泥を使う意味。
豪華さ、絢爛さのためだけでないのが分かりました。
今回展示された絵画は殆どが植物を描いています。
墨で輪郭線を描いていないのに、どれもが際立っています。
そう、金箔を背景に使うと植物が際立つのです。
金箔は土の色の薄い色、明るい色でもあり植物の背景として、文字通り、「不自然」ではないのです。
大変写実的表現でもある訳です。

植物画の背景に金箔を使うのは、日本での金の産出量が多いのが理由にあるでしょうが、
やはり、古より山川草木、花鳥風月に親しみ愛でる習慣と感性があり、
影響したのは間違いありません。
土と植物は、自然科学だけでなく、芸術や人間の感性にとっても相性が悪いはずがありません。
植物と金箔の組み合わせは絵として不自然な点が無いのです。
この点を光琳等は気が付いていたに違いありません。

改めて光琳初め日本の絵師の底知れぬ実力に圧倒され、心動かされました(@_@)。


大変素晴らしい経験をした一日でした(^.^)。




タグ 尾形光琳 燕子花図屏風 紅白梅図屏風 俵谷宗達 扇面散貼付屏風



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『特別公開 広重「名所江戸百景展」』後期展

★簡単な紹介

前期:2015年3月28日(土)~4月19日(日)
後期:4月21日(火)~5月10日(日)

東京都江戸東京博物館

HP→http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/project/3811/%e7%89%b9%e5%88%a5%e5%85%ac%e9%96%8b%e3%80%80%e5%ba%83%e9%87%8d%e3%80%8c%e5%90%8d%e6%89%80%e6%b1%9f%e6%88%b8%e7%99%be%e6%99%af%e3%80%8d%e5%b1%95/


1:
行ってきました、後期展も。
今回は祝日。
だもんで、午前10:45頃到着。
今回も3回吹き曝し入場券売り場を目指す。
あの広い階段に人影無し。
「らっき~」と喜んだのも束の間。
何と、前回土曜日正午前より全然多い人間が並んでいる(@_@)。

その数、ざっと見、300人(@_@)。

ウォークマンでビートルズを聞きながら岩波文庫版『孟子』上巻を読みながら、
大人しく並び、待ちました。

ありがたい事に、吹き抜ける風が初夏一歩手前で非常に心地良かった(^.^)。
これが8月とかだったらエライ事ですよ。

20分位並んで買えました。
休日なんで働いてる時と違い時間を気にせず。
30分くらいだったかもしれません。

この入場券購入行列、帰り午後1:00頃は、何と、来た時より少なく、ざっと見、100人程。
何だ、こんなんだったらもっとゆっくり来ればよかった、
と思うのもちゃんと早く来たから(笑)。


2:
作品

2-1:
近像型
さて、今回は何点あるか、絵を見ながら、また「近像型」と呼ぶにはびみょーな物もあるので考えながら、数えてみました。
個人的な判断なのでアダチ版画だとか、渡邊美術木版画舗とかの専門家の皆様方とは違うかもしれません。
悪しからず。

次の19点。

展示番号21:芝愛宕山
展示番号35:隅田川水神の森真崎
展示番号37:墨田川橋場の渡かわら竈(=かま)
展示番号39:吾妻橋金龍山遠望
展示番号43:日本橋江戸ばし
展示番号45:八つ見の橋
展示番号51:糀町一丁目山王まつりねり込
展示番号55:佃しま住吉の祭り
展示番号61:浅草川首尾の松御厩河岸(=まつのおんまやがし)
展示番号62:綾瀬川鐘か淵
展示番号65:亀戸天神境内
展示番号73:市中繁栄七夕祭
展示番号75:神田紺屋町
展示番号77:鉄砲洲稲荷橋湊神社
展示番号81:高輪うしまち
展示番号89:上野山内月のまつ
展示番号99:浅草金龍山
展示番号101:浅草田甫酉の町詣
展示番号115:高田の馬場

2-1-1:
近像型と言っても、ぶっ飛んだ「広重型」と言う物ばかりでなく、大人しい(笑)、真面な(笑)作品も在ります。

展示番号35:隅田川水神の森真崎
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail323.html)

展示番号99:浅草金龍山
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail279.html?sights=sensoji)

遠近法に挑戦する様なマネばかりしている訳ではないのです。
「隅田川水神の森真崎」は桜の花の美しさ、視線の邪魔をする物が無く広がる風景の気持ち良さを表し、
「浅草金龍山」は雪景色の美しさ、雪の静謐さ、そして鳥居自体ではなく、鳥居に掛かる大提灯で神域を表し同時に神聖さも表しています。
厳かな雰囲気、人々の金龍山(=浅草寺)に対する思いが大変よく伝わってきます。

2-1-2:
驚天動地の才能躍如
私の様に絵画の「いろは」を知ってるとその驚き倍増、倍増、倍増、倍増、倍増(笑)。
虚を突かれ、心が一瞬消し飛ぶのであります。
プロの絵描きでなくて良かったと安堵のため息が何回も出ます(笑)。
こんな絵見せられちゃ、描き続けられんゼ。
19世紀末から20世紀初頭のパリのサロンの重鎮達は広重や北斎の傑作を見てどうしたんでしょう?

2-1-2-1:
展示番号21:芝愛宕山
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail143.html)
これ、絵の主題は神事を行う神職が持ってる杓文字か(笑)?
厳島神社のつもり(笑)?
オマケにこの杓文字で絵を縦に二分、どっか~ん(笑)。

2-1-2-2:
展示番号37:墨田川橋場の渡かわら竈(=かま)
(参考→http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312273)
だいたい立ち上る煙を主題にしようとした絵なんて、他にある(笑)?
大気汚染反対、脱硫装置促進のポスターなんじゃないの、これ(笑)?
広重は当時のロンドンの石炭の排煙の被害を知っていたのか(笑)?

2-1-2-3:
展示番号43:日本橋江戸ばし
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail084.html)
これはちょっと面倒臭いので正確な割合を計ってませんが、橋の欄干で画面の三分の一を隠すとは何なんだ(笑)?

2-1-2-4:
展示番号55:佃しま住吉の祭り
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail060.html?sights=tsukudajima)
この絵は題名から分かる通り祭を主題にした絵で、どう考えても中央の神輿と担ぐ人々が主題のはずなんですが、
なんでその神輿と人々を幟でぶった切り隠すんでしょう(笑)?
オマケにこの絵でも幟で絵を縦に二分、どっか~ん(笑)。

2-1-2-5:
展示番号77:鉄砲洲稲荷橋湊神社
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail065.html)
竹竿を二本も立てて何をしたいんだ(笑)?
絵の中ではこういう物は強力で、画面左の竹竿は富士山の稜線をぶった切っています。
そこで富士山の存在感をかなり弱め、竹竿と竿を支える二本の綱で富士山の代わりの「富士山」型を作ってます。
その「富士山型」竹竿の根本は隅田川、そこに浮かぶは米俵を満載した船、船。
そして河岸には蔵、蔵、蔵。
ほ~、ここまで見ると分かってきました。
この絵、富士山を眺め広大な江戸の町並みを楽しむ絵ではありません。
設定された季節は秋ですから、五穀豊穣、人々繁栄を願った絵なんです。

2-1-2-6:
展示番号81:高輪うしまち
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail179.html)
「どひゃぁ~」な絵(笑)。
こんな単純な風景画の中に大八車を入れ見る人々の意表を突く絵。
大八車の車輪は絵の中で強力この上なく、二匹の子豚の如き子犬の存在感を見事に半減(笑)、
普通の子犬にしている、つもりか(笑)?
いや、どう見ても子豚、ミニ豚じゃないか(笑)。
まぁ、そんな戯言を考えさせる程この大八車は強力なんです。
画面左手の虹はこの大八車を画面上でバランスを取るための脇役にすぎません。

2-1-2-7:
展示番号89:上野山内月のまつ
(参考→http://www.bestweb-link.net/PD-Museum-of-Art/ukiyoe/ukiyoe/edo100/No.089.jpg)
こんな松、あるはずねーだろー、
と思ったのは19世紀末の白人も現代の私CYPRESSも同じ。
し、か、し、だ皆の衆。
あるんだ(@_@)。
上野経済新聞の記事↓
http://ueno.keizai.biz/headline/1241/

何もゆー事はありません(笑)。

2-2:
天才の凄味。
天才の恐ろしい程の能力。

近像型で数々のぶっ飛んだ才能を見せた歌川広重
そのもう一つの才能の面を示した一枚が在りました。
それもぶっ飛んだ絵を何枚も示した連作の中に入れました。
広重の伝記や研究書を読んでないので確かなことは分かりませんが、
広重自身は間違い無く近像型の画面構成、構図は絵を壊す事を知っていたに違いありません。
そして自身には絵を壊さずに近像型の作品を作れる才能がある事も知っていたに違いありません。
それを示した、実証した作品が、

展示番号75:神田紺屋町
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail023.html?artists=utagawa-hiroshige-1)

近景の藍染した浴衣生地を何枚も描き、他の近像型に見られる中景と遠景の殆どを見せず殺しています。
特に画面右半分は完全に消し、近景の浴衣生地を強調し、
左半分は小さく描き無理なく遠近感を出しています。
左半分から進む視線の流れは右半分の浴衣生地のおかげで遮られ画面の外へ流れず、「ん?何だ」と画面内に留まり、
浴衣生地の垂直線に沿って動くとそこには版元魚栄(=ととえい)の一文字「魚」。
「魚」の行列。
版元の宣伝を無意識に読まされているのです(笑)。

近像型で絵を壊さない秘訣は、強調した近景の背後に中景と遠景を描かない。
ここまででも脱帽ですが、オマケにその近景に版元の宣伝までする頭の働き具合。

圧倒的な実力、
天才とはこういう能力を言うのです(溜息)。

2-3:
気になる作品。

2-3-1:
展示番号33:四つ木通用水引き船
(参考→http://www.bestweb-link.net/PD-Museum-of-Art/ukiyoe/ukiyoe/edo100/No.033.jpg)
この用水、解説のよると絵と違い真っ直ぐだったとか。
どこが気になるかと言うと、画面左側ほぼ中央、右に向かって三角形の濃い墨の部分。
かなりおかしい。
この濃い墨の三角形が用水の曲がり具合と一致してます。
はは~ん、分かりましたゾ。

画面の中の垂直線や水平線は動きが無いんです。
単なる直線でも斜めにすると動きが生まれるように人間の目には見え、関心を捉えるものなのです。
だから写真で「物撮り」をする時、物を斜めに置いて撮ります。
特に広告では、まず人に見てもらわなければ何事も始まらないので絶対動きを感じさせる構図や構成にします。

この「四つ木通用水引き船」では、用水を蛇行させ絵に動きを与えました。
更に絵に「関心獲得力」を加えるために、今度は明度に強弱を加えました。
それが用水右岸の薄い黄色の道と画面左側の濃い墨の「三角形」です。
「三角形」から違和感、わざとらしさを減らすために形を用水に合わせ三角形にしたんです。

ん~、だからと言って巧いとは言えん。
かなり強引。
広重でも苦し紛れでこういう事をするんだ(笑)。

2-3-2:
展示番号59:両国橋大川ばた
(参考→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail117.html)
これ、広重とは思えない色使いをしています。
それは、お馴染み、べろ藍。
重たく強い色なので大変注意深く広重は使っています。
例えば、川を描く場合、
絵の一番下に入れるか、一番下にならなくても河原等を描き重さを分散させ感じさせないようにする、
などしています。

ところがこの絵では大川の川岸沿いに入れているのですが、
画面上、その下に両国の露店とそこの集まる人々があり、完全に押し潰しています。

これはおかしい。
実に変です。
色のバランス、特に明度のバランスが悪く、絵を壊しています。
広重は何も考えずこんな色使いをするはずありません。

では、広重の意図を考えましょう。
大川に負けぬ両国の露店と江戸の人々でしょうね。
現代の隅田川と当時の大川の恐ろしさは違うのです。
気象衛星と天気予報の無かった時代ですから、川を初め自然は遥かに恐ろしかった。
こう考えると広重の意図も納得。

2-3-3:
展示番号58:大はしあたけの夕立
(参考→http://www.bestweb-link.net/PD-Museum-of-Art/ukiyoe/ukiyoe/edo100/No.052.jpg)
前期後期共に展示されたのは、他に「亀戸梅屋鋪」、「亀戸天神境内」位。

改めて、と言うかもう一度見ると、やはり、墨線の細さと鋭さは、「名所江戸百景」の中でも随一。
木版ではなく、一枚一枚ペンで描いたかの様であります。
彫師と摺師の腕前に感嘆。
やはり傑作です。


3:
まとめ

やはり素晴らしい(笑)。
まぁ、当然か(笑)。

それでも大したことない絵も少なくはありません。
広重の絵心を刺激しない風景と題材だったのでしょう。
おそらく、人の「匂い」や「存在感」を感じない風景だったのではないでしょうか?
単なる田園風景、そんなもんに関心が無かったのかもしれません。
それはそういう風景を見慣れた当時の人だったからで、逆に現代の我々が退屈な田園風景を見るといかに心休まるか、
視線を遮る悪く目立つ人工物ない風景がいかに目に心地良いか、感動しきりだったかもしれません。
この点のことは、石川英輔が書いた『大江戸神仙伝』初め『大江戸シリーズ』で主人公速水洋介が何度も経験しています。

また、花見を初め物見遊山を題材にしても、どうも行楽や娯楽とは見えません。
それぞれの行楽の名所でも人出の少なさが我々現代人には、残念ながら不自然に写ってしまします。
まぁ、幕末の江戸市中の人口は100万人程度だったらしく、現在の東京都だけでも1,300万人もいるんで当然と言えば当然。
逆に、速水洋介が体験する様に行楽地でもない極普通の市街地、田園でも美しかったのでしょう。


4:
オマケ
常設展E3-1
ここに広重の「亀戸梅屋鋪」の版木と摺の見本があります。
この絵は15回摺ったそうな。




タグ 広重 名所江戸百景 石川英輔 大江戸神仙伝 神田紺屋町 大はしあたけの夕立




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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

『尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密』前期展

★簡単な紹介
根津美術館
2015年4月18日(土)~5月17日(日)
(展示替えがあるので、
前期:4月18日(土)~5月3日(日)
後期:5月4日(月)~5月17日(日))

HP→http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html


1:
1年振りに根津美術館へ。

今回も地下鉄表参道駅から歩いて行ったのですが、国道413号(=みゆき通り)の歩道の狭さには閉口(溜息)。
歩行者の多いこと、多いこと。
歩行者の量と歩道の大きさが全く合っていません。
原宿の駅から表参道交差点までは歩道の広さは広いのですが、そこから先の狭さ、非常に不快、不愉快。
何とか拡幅出来んのかね?

オマケに帰りは光琳と俵谷宗達の素晴らしさに日常感覚が麻痺し、原宿駅まで歩いたアホさ加減(笑)。
ポール・スチュワートとかラルフ・ローレンとか寄り道していっても、人出の多さは変わらず。
原宿、青山の人気にウンザリしながら改めて納得したアホでした(笑)。


2:
とは言っても、お昼前に根津美術館自体の人出は入場券待ち行列10人程で安心(^.^)。
帰りは1時半頃でしたが、20人位でそれ程混んでいませんでした。

この季節の根津美術館庭園の呼び物カキツバタは1分咲きと言った程度(4月25日(土))。
それでも心地良い風が吹き渡る庭園をそぞろ歩くのは都会とは思えぬ贅沢な時間でした。
庭園の美しさと心地良さは1年前と変わらず、ま、当然ですナ(笑)。

今回は敷地内の根津カフェでお昼にしようかと思っていたのですが、
お昼前には既に席待ち行列が出来ていて諦めました。


3:
展示作品

3-1:
展示番号6:紅白梅図屏風
尾形光琳

参考、MOA美術館のHPから→http://www.moaart.or.jp/collection/japanese-paintings54/

今回の目玉がこれでしょう。
わざわざ熱海まで見に行く気力が無いので、今回の展示は非常にありがたい。

静かな絵です。
非常に上品な絵です。
圓山應擧の『藤花図屏風』の様な強力な魅力を持った作品ではありませんが、
かなり目立ち視線と関心を捉える絵です。
その理由は中央の水流。
流れの波紋の表現が意標をついています。
派手と言うのではなく、関心と美しいものを求める心の本能的な傾向を捉える絵です。
意匠化、デザイン化、これが大変素晴らしい。
更に色がいい。
他に類を見ない個性的、斬新な意匠を用いたので色で主張する必要がありません。
色は黒と茶(でいいのかな?)。
これ、ルイ・ヴィトンのモノグラムと同じ色使いと構成じゃん(@_@)。
模様は19世紀末、日本の家紋から考え付いたらしいですが、色はどうなのでしょう?
まぁ、人間だから同じ様な物を考え付いたのでしょう。

そして左右の紅白梅。
たらし込みによる幹と枝の表現は抽象的、意匠的ですが写実の範囲を超えていません。
この点は実に見事。
光琳はじめ琳派はこの手の幹に緑青で苔を加えるんですが、これが中々現実感がありいいんです。
近付いて右隻の紅梅をよく見ると、おや、根本から上、真ん中位までは人の両脚と下半身の様な形。
光琳が意識的に描いたかどうかは、当然ながら不明。
左隻の幹は大部分を描かず、画面左側の外へと視線を流し、画面上から枝を下へ向かわせ視線を画面内へ戻します。
それから枝は再び上へ向かい、右へと流れます。
この視線の誘導は、それ程強くなく、あまり意識しているとは思えません。
それだけ中央の流れの描写が強いからです。
次は梅の花。
白と紅。
この左右の屏風の中で色らしい色と言えるのは梅の花の色だけです。
これも目立ち過ぎることもなく、花がもつ美しさを伝えます。

全体は300年の年月を経て、間違い無く出来た当時より鮮やかさが減っているはずです。
金箔の反射が減り巧い具合に派手さが消され、落ち着きが300年前より出ているのではないかと思います。
そして写実表現の範囲内での意匠化の巧さ、その頂点に立つ作品に間違いありません。
写実の範囲内で光琳が思う存分遊んだ作品、と言ってもいいでしょう。
「光琳デザイン」の頂点の一つです。

一つ気になるのは、近付くと分かるのですが痛みが目立ちます。
左隻下部、流れに絵具の剥落が目立ちます。
何とか修復して欲しいものです。

3-2:
展示番号5:燕子花図屏風
尾形光琳

参考、根津美術館のHPから→http://www.nezu-muse.or.jp/jp/collection/detail.php?id=10301

独特のリズム感があり、目に楽しい絵です。
意匠化や遊び心と言った点では、この絵ではあまり意図してないのは間違いないと思います。
花の群青と葉の緑青だけでも視線を奪う美しさ、それを堪能するための作品だと思います。

3-3:
展示番号14:扇面散貼付屏風
俵谷宗達

参考→http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=viewphoto&id=635&c=4

これには、驚きました。
秋草を中心にした風景画とも言える絵を描き、その上に、何と、扇を10も描いているのです(@_@)。
それを写実表現で描写。
シュールレアリズムの如き絵画。
扇屋の広告と言われても、誰も違うとは言わんでしょう。

こんな絵、描く人がいるんだぁ、と圧倒されました(笑)。

この絵には二つの物が、それも二律背反が存在しています。
現実感と非現実感。
日常と非日常。
写実と抽象。
対比の美と面白さ。
対比に魅力に満ち溢れた絵です。
素晴らしい絵です。
これも西洋美術を笑い飛ばす絵です。

宗達の才能にやられました(笑)。
絵画と芸術の広さ、深さに圧倒されました(^.^)。

今回展示されたのは、右隻だけで、
左隻は5月4日(月)~5月17日(日)に展示されるとか。
絶対もう一度見に行きますゾ。

俵谷宗達、スゲー絵師です。
発想力とか感性が並の絵師とは違います。


4:
こんな感じで満足した展覧会でした。
そして俵谷宗達の「扇面散貼付屏風」の左隻、光琳の「孔雀立葵図屏風」が5月4日(月)から展示されるので、
もう一度絶対行くゾ(笑)。



タグ 尾形光琳 燕子花図屏風 紅白梅図屏風 俵谷宗達 扇面散貼付屏風




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『特別公開 広重「名所江戸百景展」』前期展

★簡単な紹介

前期:2015年3月28日(土)~4月19日(日)
後期:4月21日(火)~5月10日(日)

東京都江戸東京博物館

HP→http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/project/3811/%e7%89%b9%e5%88%a5%e5%85%ac%e9%96%8b%e3%80%80%e5%ba%83%e9%87%8d%e3%80%8c%e5%90%8d%e6%89%80%e6%b1%9f%e6%88%b8%e7%99%be%e6%99%af%e3%80%8d%e5%b1%95/

名所江戸百景」をまとめて見られるのはここ数年無かったので喜び勇んで行ってきました。
ただし、HPには前期と後期については明示してません。
前期の終わり間近にまず行ってきました。


1:
JR両国駅に降りたのは、数十年振りだと思います。
この駅は何と言っても大相撲と両国国技館ですよ、ハイ。
構内改札口手前には横綱白鳳の巨大肖像画や歴代横綱の手形のコピーが在り、中々良い雰囲気であります。

土曜日のお昼前に行くと、3回の吹き曝し入場券購入待ち行列は5人程。
帰り午後1:30頃には、これが200人程になり、1階のミュージアムショップ横でも100人程並んでました。
「大関ヶ原展」のおかげで、こちらは入場制限してました。


2:
HPには展示替えがある事は書いてありますが、期間が書いてません。
展示作品も浮世絵は全部で139点。
ほぼ半数が展示替えされます。

入場料は\600と常設展の料金で見られますが、前期後期両方見ると\1,200。
ん~、何か納得いかん微妙なお値段。

でも広重だから全部見たい、2回行くゾ(笑)。

3:
展覧会とか展示法とかに文句は有っても、作品自体に文句があるはずありません。
天才でありますから。

天才の作品ですから、「素晴らしい」に類した形容詞しか書いていませんので、そのつもりで(笑)。
別に提灯持ちのつもりはないんですが(笑)。
でもそうしてしまう実力が未だに衰えないのが広重大先生であります(笑)。


3-1:
これだけ本物が揃ったのは初めて。
まず目に付くのは、色の鮮やかさ。
19世紀後半、初めてヨーロッパの白人が見て驚いたのを容易に想像出来ます。
オマケに多色摺りの版画なんて当時の欧米に無かったからねぇ~。
その技術、特に「見当」には驚いた事でしょう。

色では、やはりべろ藍が一番目立つし、だからと言ってべろ藍を目立つだけにしない色使いと構図の巧みさ。

構図はこれだけ見ると、直線的なジグザグ型が多いのが発見でした。

では、全作品に書くのは面倒臭いから(笑)、
印象が強かった物を、

3-2:
有名どころから、
展示番号30:亀戸梅屋舗
展示番号58:大はしあたけの夕立

3-2-1:
展示番号30:亀戸梅屋舗
(参考、国立国会図書館のHPから→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail348.html?sights=umeyashiki)

私が好きなファン・ゴッホが模写して日本では超有名になった作品。
近景の梅の幹のボカシ具合が非常に美しく、巧い。
19世紀後半の白人はこの幹のボカシを見ただけでも非常に驚いたでしょう。
琳派のたらし込みで表現する幹の効果も素晴らしいですが、この木版でのボカシ具合も美しさを強調する点で大変素晴らしい。

3-2-2:
展示番号58:大はしあたけの夕立
(参考、国立国会図書館のHPから→http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312294)

これもファン・ゴッホが模写し超有名になりました。
天才ファン・ゴッホが気に入るだけあり、この絵も素晴らしい。
この絵、本物を見た方なら納得出来ると思いますが、非常に不安定。
見続けるとくらくらしてくる程です。
こんな不安定な絵、白人は描こうとさえ思った事無いでしょう。
広重が天才と言われる所以は、この大胆な発想を実行出来る点にあるんです。

夕立だけなら、こんな不安定な構図は必要在りません。
では、なぜ?
夕立と仲良し(笑)雷が落ち、火災が発生する恐れですな。
江戸の街は火災だけではなく、大火が多かったのでその恐怖ですよ。
その犠牲になるか、ならないかは大川の彼岸と此岸の差かもしれません。
だから急いで橋を渡ってるのです。

もう一つは、台風の恐怖。
それに台風や高潮による洪水の恐れもあります。
夏の雨から台風の恐怖を当時の江戸の人々が直ぐに連想したでしょう。
現代の東京とは違います。

当時の自然に対する恐怖、これが非常によく、痛い程伝わってくる不安定な構図です。

また、夕立の強い雨脚を表す無数の墨線、これも素晴らしい。
その細さが鋭さを際立たせ、非常に効果的です。

大変素晴らしい絵です。

3-3:
近像型

3-3-1:
展示番号35:真崎辺より水神の森内川関屋の里を見る図
(参考、国立国会図書館のHPから→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail459.html)

これ、何が主題なんでしょう(笑)?
こんな構図と画面構成、絵画的常識を笑い飛ばしとります(笑)。

私の様に少しでも絵の基本を知ってると、ビックリを通り過ぎ笑顔になる絵です。

3-3-2:
展示番号52:赤坂桐畑
(参考、国立国会図書館のHPから→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail123.html)

画面構成上、最も近い桐の木で画面を縦に真っ二つにするは、
絵の主題が桐の木なのか、風景画なのか、常識を吹っ飛ばす怪作、傑作(笑)。
もおぉ~、広重の発想の大胆さとそれを作る実行力、そんな絵を許す版元魚栄(=ととえい)。
こういう絵を見てると、白人の描き続けた絵は退屈で興味を失います。
こういう絵に敵うのは、白人だとファン・ゴッホだけだなぁ、個人的には。

3-3-3:
展示番号72:はねたのわたし弁天の杜
(参考、国立国会図書館のHPから→http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312308)

この絵の主題、舟をこぐ人なのか、羽田の弁天様なのか、
そんな事を笑い飛ばす素晴らしい画面構成の絵。
広重の才能に圧倒されればいい、それだけ(笑)。

3-3-4:
展示番号80:金杉橋芝浦
(参考、国立国会図書館のHPから→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail151.html)

風景画なのか、幟を描いた商品見本の絵なのか(笑)?
大胆不敵の絵師、広重
天才!

3-3-4:
展示番号86:四ツ谷内藤新宿
(参考、国立国会図書館のHPから→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail182.html?sights=naitoshinjuku)

私が広重の才能に驚いた最初の絵がこれです。
馬の後姿を描いた絵なんて、誰が描こうと思いますか(笑)?
しかも前後の両脚だけですよ(笑)。
オマケに小さいながら馬糞まで描く写実描写(笑)。

最初に見たのは、30年前か40年前か、何年前かは覚えてなくても、
その時の驚きは今でもクッキリと記憶に刻み込まれています。

驚天動地の才能です。

こういう天才が同じ日本人にいると日本人として大変誇らしい(^.^)。

3-3-5:
展示番号94:真間の紅葉手古那の社継はし
(参考、国立国会図書館のHPから→http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312330)

これ、いちおー、風景画なんです(笑)。
それなのに、何で画面中央を近景のモミジの葉っぱで隠すんだろう(笑)?
オマケにこれを描いた時、60歳ですよ、60歳(笑)。
現在の60歳の画家でこんなぶっ飛んだ構図の絵を描ける画家はいないだろうなぁ(溜息)。

「天才」と言う形容詞を私がこのブログで殆ど使わないのは広重や北斎がいたからです。

3-4:
不安定構図
こんな絵描く絵師、お茶目な広重以外いないなぁ(笑)。
私が見た限り、北斎でもこういうある意味アホな(笑)絵は描いていません。

3-4-1:
展示番号70:中川口
(参考、国立国会図書館のHPから→http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1312306)

これ、画面左上の川の描写がおかしい。
参考映像を見て頂くとわかるんですが、川の水が溢れそうだしそこにいる猪牙船(=ちょきぶね)が手前、見ている人の方に落ちてきそう(笑)。
ところがもう少し絵に近付いて見ると、その川の上に霞が掛かっていて、その霞が無ければそうは見えない、思えないんです。
つまり、この画面構成、見ている人の関心を掴んでこの絵「中川口」をもっとよく見てもらおうとしてるんです。
こーゆーのを、お茶目と言うんです(笑)。

やられた(笑)。
天才です、広重は(笑)。

3-4-2:
展示番号78:鉄砲洲築地門跡
(参考、国立国会図書館のHPから→http://www.ndl.go.jp/landmarks/details/detail053.html?artists=utagawa-hiroshige-1)

この絵では、後景の築地本願寺が大き過ぎ、明らかに遠近感が狂ってます。
しかし、この絵も「何でだ?」ともう一度見直すと、築地本願寺の手前にある霞のおかげで遠近感が狂ってる様に見えているだけなのが分かります。

またしても広重の思う壷の嵌ったCYPRESSです(笑)。

広重、お茶目(笑)、最高(笑)、大好き!(^.^)。


4:
天才の圧倒され続け、あーだこーだと書くつもりはないけど…、
書いているか(笑)。
構図や色使い、画面構成の分析、こーゆーのはやる気が起きません。
面倒臭いから(笑)。

ただ、今回気付いたのは、べろ藍で水を強調してる事。
川岸両岸に使い際立たせたり、水流の中央に使い川の流れを強調してます。

その理由を考えるのが面倒臭くなる、それが天才の実力であります(笑)。


5:
この展覧会で気になったのは、説明の中で「ベロリン・ブルー」と書いてある事。
「べろ藍」でしょう、浮世絵なんだから。
カッコつけただけのカタカナ表記は非常に醜い。


6:
後期展も絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、行くゾ(笑)。





タグ 広重 名所江戸百景 江戸東京博物館




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CYPRESS

Author:CYPRESS
最近好きな女優は杉村春子と中谷美紀。
好きな監督は黒澤明と張藝謀。
気になる監督は堤幸彦。
山田孝之の実力が分かってきました。

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