CAC(Common Access Card)とは|サイバーセキュリティ.com

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CAC(Common Access Card)

CAC(Common Access Card)は、アメリカ国防総省(DoD)が発行するスマートカードで、軍関係者や政府職員が使用するIDカードです。 CACは、軍人、民間職員、契約業者などに配布され、物理的なアクセス管理と情報システムへの安全なアクセスを提供するための多機能カードです。米国国防総省が持つセキュリティニーズに対応するため、CACは従業員の本人確認を行うとともに、コンピューターネットワークに安全にログインし、重要情報へのアクセスを制御する手段として活用されます。

CACはスマートカード技術を利用し、カード内にICチップが組み込まれており、暗号化された情報が格納されています。これにより、二要素認証や公開鍵インフラストラクチャ(PKI)を用いた高いセキュリティレベルが実現されています。

CACの主な機能

CACは、物理的な施設への入場や情報システムへのアクセスにおいて重要な役割を果たしており、以下のような機能を持っています。

1. 身分証明機能

CACは、カード所有者の氏名、階級、役職、所属機関などが記載され、顔写真も印刷されているため、公式な身分証明書として利用されます。物理的な施設への入場時には、IDカードとしての役割を果たし、カードリーダーを通じてアクセス制御が行われます。

2. ログイン認証

CACは、政府や軍事システムへのアクセスに必要な認証手段として使用されます。カード内に格納されている暗号化された認証情報を利用し、システムログイン時に二要素認証を提供します。これにより、パスワードだけでなく、カード自体とPINコードを用いることで、より安全な認証が可能になります。

3. 公開鍵インフラストラクチャ(PKI)によるセキュリティ

CACは、デジタル証明書を格納しており、これを用いて電子メールの暗号化や署名を行うことができます。これにより、情報の機密性やメッセージの真正性を確保します。たとえば、暗号化された通信を行う場合、カード内の証明書を利用してデータを保護します。

4. 物理的アクセス管理

CACは、特定の施設やエリアへの入場許可を管理するために使用されます。アクセス許可が設定された施設の入り口でカードをリーダーにかざすことで、許可された人だけが入場できるように制御されます。

5. セキュリティトークンの役割

CACはセキュリティトークンとしても機能し、ネットワークやVPNへの接続時にカードを使用してアクセス認証を行います。これにより、遠隔地からでも安全にネットワークへアクセスできます。

CACの利点

1. 高いセキュリティレベル

CACは、暗号化されたデータやデジタル証明書を用いて、高度なセキュリティを提供します。物理的なカードとPINコードの組み合わせによる二要素認証が、情報の不正アクセスを防止します。

2. 多機能な認証手段

CACは、身分証明書、ログイン認証、電子署名、暗号化通信など、複数の用途で使用できるため、統一されたセキュリティ対策を提供します。

3. 政府や軍事機関での利用に最適

CACは、米国国防総省の安全基準に適合したカードであり、政府機関や軍事施設におけるアクセス管理に最適です。これにより、関係者のみが情報や施設にアクセスできるように制御されています。

CACの課題

1. 専用のリーダーが必要

CACを利用するためには、カードリーダーが必要であり、これが導入されていない環境では使用が制限される場合があります。

2. 管理と発行にかかるコスト

CACの発行や管理にはコストがかかり、大規模な組織ではその管理に関する運用が負担となることがあります。

3. ユーザーの利便性に制限

二要素認証の一環としてPINコードの入力が求められるなど、セキュリティが強化される一方で、利便性が低下する場合もあります。

まとめ

CAC(Common Access Card)は、米国国防総省が発行する多機能なスマートカードで、物理的な施設のアクセス管理から、情報システムへの認証、電子メールの暗号化など、幅広いセキュリティ機能を提供します。二要素認証やPKIを活用することで、高いセキュリティレベルを維持し、国防や政府関連の重要な情報を保護するために重要な役割を果たしています。セキュリティの観点から多くの利点を提供する一方で、管理の手間やコストが課題となる場合もあり、効果的な運用が求められます。


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