ベネチアの運河のほとりで、趣味の翻訳の続き。これぞIS-LMモデルの出発点。
J. R. ヒックス『ケインズ氏と「古典派」たち』
ほとんどの人はヒックスの原論文を読んだことがないはずなので。しかしこれでわかること。
- ヒックスもちょー性格わりぃ。特に冒頭部分のぶちかまし方は……陰湿な日本の風土なら一斉ハブ攻撃レベル。
- もっとケインズ様マンセー論文だと思っていたら……
- ケインズがこれを見て「古典派の扱いがよすぎる」と文句を言ったのもよくわかる。
- しかしこのまとめは見事。ヒックス、天才。やはり歴史に残る名論文だと思う。
で、その後ヒックスが、このすべてを否定したとかいうIS-LM: An Explanation (1980) が読みたいんだが、どっかに転がってないものだろうか? jstorとかにあるはずなんだけど……
付記:……と書いたら、すかさずこっちに転がってきた。TNX!! うーむ、ケインズ氏と古典派の最後にも出てきていやな予感がしたが、やっぱりヒックスも静的な均衡モデルを否定して動的モデルのほうに流れたんだね。あと、均衡モデルを未来の話に使おうとすると不確定が多すぎるので使えないという議論は???? という感じ。ケインズは静的モデルなのがいいんじゃん、といい、IS-LMとニューケインジアン両方使って比べるのが大事よというクルーグマンの意見との対比でどう考えるべきか、思案中。いや、でもヒックスの後の議論も、とてもsplunge だと思う。
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