- 作者: 石田おさむ,細山敏之,小島寛之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/04/26
- メディア: 単行本
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ケインズのマンガ。理論的な説明はあまりなく、もっぱらケインズの生涯の説明が中心。一応、有効需要の話や公共投資の話も出ているが、基本はケインズが世界の問題を解決しようとした志が解説されている。
監修解説は小島寛之だけれど、マンガそのものには小島(ひいては小野善康)的な偏り(むろんかれらは自分たちこそケインズの可能性の中心だと思ってるだろうけど、あくまで世間一般的な理解から見た偏りね)はない。解説は(その分、かな)小野理論の宣伝がものすごい比率となる。小野理論は、価格のねばっこさを想定しなくても動的に不況が描けるというんだが、でも実際に世界で価格のねばっこさは観測されているので、それなしの理論というのが本当に現実の説明モデルになるのか、それとも理論のための理論になるのかは、説明の必要があると思うなあ。それと、現在の問題解決に活躍する経済学者として、清滝信宏を挙げるべきか? いや「問題」の種類にもよると思うんだけどね。
ま、マンガの読者が解説まで細かく読むかどうか。生涯の理解にはいいけど、これでケインズ理論がすべてわかるとは……まさか思ってないよね?
山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.