USCPA(米国公認会計士)の仕事内容とは?日本の公認会計士との違いと将来性を解説
国際的に通用する会計のスキルを身につけ、世界中の企業で活躍できるチャンスを手に入れられるUSCPA。しかし、その仕事内容や日本の公認会計士との違いについて、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、USCPAの主な仕事内容や、日本の資格との比較、そして将来目指せるキャリアまで徹底的に解説します。USCPAを目指すべきか迷っている方、この資格で何ができるのか知りたい方はぜひ最後までご一読ください。
USCPAは確かに魅力的な資格ですが、具体的なキャリアパスや一人ひとりの経歴や目標によって大きく異なります。マイナビ会計士では、USCPAを含む会計資格に関する幅広い知識と経験を持つキャリアアドバイザーが在籍しています。興味があるもののまだ迷っている方や、より詳しい情報が欲しい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
マイナビ会計士編集部
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目次
グローバルに活躍できるUSCPA(米国公認会計士)
USCPA(米国公認会計士)の資格は、アメリカ合衆国で認められた会計のプロであることを証明するもので、取得者はグローバルな舞台で活躍できる高度な会計専門家です。アメリカには数十万人のUSCPAが活躍しているとされ、その影響力は世界中に及んでいます。
日本企業の国際化が進む中、単なる会計知識だけでなく、国際的な会計基準や法規制にも精通したUSCPAの需要は年々高まっているといえます。そのため、グローバル企業や多国籍企業での活躍を狙えるでしょう。また、監査、税務、財務コンサルティングなど、幅広い分野で専門性を発揮できることも大きな特徴です。USCPAの基本についてより詳しくは、下記ページもご覧ください。
USCPAの主な仕事内容は?3つの業務領域
USCPAの主な仕事内容は、大きくわけて3つの業務領域に分類されます。それぞれの領域で、高度な専門知識と国際的な視点を活かした業務が求められます。
- 監査業務
- 会計・税務業務
- 内部統制業務
監査業務
監査業務は、USCPAの中核的な業務の1つです。企業の財務諸表が適正に作成されているかどうかを独立した立場から検証し、意見を表明します。実際に働いて担う仕事内容としては、以下のようなものがあります。
監査の種類 | 内容 |
---|---|
財務諸表監査 | 企業の財務諸表が一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されているかを検証する |
内部統制監査 | 企業の内部統制システムの有効性を評価する |
特別目的の監査 | 特定の取引や契約に関する監査を行う |
USCPAは、国際的な会計基準や監査基準に精通しているため、グローバル企業の監査でも上記に対応できます。また、一定の英語力を示せることで大手を含む監査法人への就職も期待できるキャリアパスの1つです。この監査法人への就職・転職について詳しくは、下記ページで触れています。
会計・税務業務
会計・税務業務は、USCPAの専門知識を活かせるもう1つの領域です。国際的な会計基準や税法に精通しているUSCPAは、以下のような仕事内容を任せられます。
- 財務会計における国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US GAAP)に基づく財務諸表の作成や分析
- 経営者の意思決定に役立つ会計情報の提供や分析などの管理会計
- 税務コンサルティングとして国際税務や移転価格税制など、グローバルな税務戦略の立案や助言
- SEC(米国証券取引委員会)向けの報告書作成など、国際的な財務報告業務
USCPAは、日本企業の海外進出、そして外資系企業の日本進出の際に、会計・税務面でのアドバイザーとしての役割を果たすものだということです。USCPAの会計・税務業務では単なる数字の処理にとどまらず、企業の戦略的意思決定に貢献できるのです。
内部統制業務
内部統制業務は、企業のリスク管理や業務効率化を支援する領域です。USCPAは、この領域において企業の業務プロセスを分析し、効果的な内部統制システムを設計・構築します。また、企業が直面する様々なリスクを識別・評価したり、法令遵守や企業倫理の徹底を支援したりするほか、非効率な業務プロセスを特定して改善策を提案することもあります。
加えて、USCPAは国際的な内部統制フレームワーク(例:COSO)に精通しているため、グローバル企業の内部統制業務にも対応できます。内部統制業務はUSCPAの専門知識と分析力を活かし、企業の健全な経営と持続的な成長を支える重要な役割を担えるでしょう。
USCPAと日本の公認会計士における3つの違い
USCPAと日本の公認会計士は、どちらも会計のプロとして高い評価を受けていますが、実際には重要な違いがあります。以下に、USCPAと日本の公認会計士の主な3つの違いを見ていきます。
- 日本国内で独立できない
- 税理士に登録できない
- 国際相互承認協定参加国で働ける
日本国内で独立できない
USCPAの資格保持者は、日本国内で会計士として独立開業できません。公認会計士法により、公認会計士の資格を取得したのち、日本公認会計士協会がそなえる公認会計士名簿への登録が必要だからです。(公認会計士法第17条)。
また、USCPAは米国の資格であり、日本で仕事を行う際に求められる会計制度や法律に特化した知識を保証するものではありません。とはいえ、国際的な会計基準や実務への精通を示すため、グローバル企業や外資系企業の経理・財務関連職では高く評価されます。
税理士に登録できない
次に、USCPAの資格保持者は日本国内で税理士としても登録できません。USCPAの試験内容が日本の税法や会計制度に特化していないため、仕事内容に対応できないからです。加えて、税理士として登録を行う際に資格を証する書面としてもUSCPAは使えません。
USCPAの試験には税務関連の内容も含まれますが、日本の税法や会計制度に関する深い知識とは異なります。日本で税務のスペシャリストとして活動したい場合は、別途で公認会計士または税理士資格の取得を検討してください。
国際相互承認協定参加国で働ける
USCPAの日本の公認会計士にはない魅力は、国際相互承認協定(MRA:Mutual Recognition Agreement)参加国で会計士として働ける可能性があることです。MRAは、相互承認協定を結んでいる各国で、会計士の資格を取得しなくても同じ仕事内容を担える制度のことです。MRA参加国の例としては、以下が挙げられます。
- オーストラリア
- カナダ
- ニュージーランド
USCPAは米国での会計業務だけでなく、世界各国でのキャリア展開を可能にする「パスポート」のような役割を果たすものだと考えてください。国際的なキャリアを目指す方にとって、USCPAは魅力的な選択肢となるでしょう。
USCPA(米国公認会計士)と公認会計士はどちらを選ぶべき?
USCPA(米国公認会計士)と日本の公認会計士では、仕事内容やここまで触れた違いを踏まえた上でどちらを選ぶべきか迷っている方も多いでしょう。結論から言うと、英語力に自信がある方やグローバルな環境で働きたい方、そしてすでに公認会計士を取得している方はUSCPAを検討する価値があります。
まず、両者における試験制度や活躍できる場所など、比較表にまとめました。USCPAは世界的な知名度が高く、国際相互承認協定参加国でも活動できるため、海外での活躍の機会が豊富です。また、国内の外資系企業でもその仕事内容の専門性から重宝される資格です。
比較項目 | 日本の公認会計士 | USCPA(米国公認会計士) |
---|---|---|
知名度 | 国内での知名度が高い | 世界的な知名度が高い |
活躍の場 | 国内企業や監査法人での活躍の場が広い | 海外や国内の外資系企業での活躍の機会が豊富 |
特徴 | 監査証明業務の独占権を持つ | 国際相互承認協定参加国でも活動可能 |
受験のしやすさ | やや低い | 高い |
合格率 | やや低い傾向 | 高い傾向 |
勉強時間 | 約3,000時間 | 1,000〜1,500時間程度 |
とはいえ、いずれを選ぶにしても自分のキャリアプランや強みに合わせて選択することが賢明です。迷っている方は、ぜひマイナビ会計士のアドバイザーへご相談ください。経験豊富なアドバイザーが、個々の状況に応じて最適な選択をご提案いたします。
USCPA(米国公認会計士)を取得する魅力は?
USCPA(米国公認会計士)の資格を取得する主な魅力は以下の3点です。
- グローバルにキャリアを展開できる
- 経理の仕事に活かせる
- 年収アップを狙える
グローバルにキャリアを展開できる
USCPAの魅力は、グローバルなキャリア展開の可能性を大きく広げることです。この資格は、国際的な会計基準や米国会計基準(US GAAP)に精通していることを示すため、多国籍企業や外資系企業での活躍の機会が増えます。
例えば、外資系企業の日本法人や、海外展開を目指す日本企業での財務・経理部門での活躍が期待できます。また、海外勤務のチャンスも広がり、グローバルな環境で自身のスキルを磨くことも可能です。
ただし、「本当にUSCPAを取得してキャリアプランは広がるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。確かに、資格取得だけでなく、実務経験や語学力も重要です。この点についてより詳しくは、下記ページをご覧ください。
経理の仕事に活かせる
USCPAの資格は、経理の仕事においても大きな強みとなります。資格を取得する過程で、会計、税務、財務に関する幅広い知識を身につけることができるからです。特に、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(US GAAP)に関する深い理解は、グローバル展開を進める企業の経理部や財務部で重宝されます。
例えば、海外子会社の財務諸表の分析や連結決算の際に、その知識を活かすことができるでしょう。また、内部統制やリスク管理の観点からも、USCPAの知識は有用です。企業のコンプライアンス強化や経営判断のサポートなど、経理の枠を超えた幅広い業務に貢献できます。
年収アップを狙える
USCPAの資格取得は、年収アップの可能性を高めることも魅力です。なぜなら、この資格は国際的な財務報告の質を向上させ、グローバルビジネスにおいて大きな価値を持つからです。
特に、企業の国際化が進む現代では、国際会計基準や税務に精通した専門家の需要が高まっています。USCPAは、そうしたニーズに応える高度な専門性を証明する資格として認識されています。具体的な目指せる年収については次の項目で詳しく見ていきましょう。
なお、USCPAを取得するメリットについてより詳しくは、下記ページをご覧ください。
USCPAの年収は約1,000万円を目指せる
USCPAの年収は経験や勤務先、任せられる仕事内容により変動しますが、平均して約400万円から1,000万円程度を目指すことが可能です。日本国内の会計士・税理士の平均年収が約640万円であるのに対し、USCPAはより高い水準が期待できます。
また、アメリカでのUSCPAの年収はさらに高く約1,332万円、日本国内のUSCPA向け求人情報では年収の幅が400万円から1,500万円です。特に高い年収が期待できる勤務先は、以下が挙げられるでしょう。
- 監査法人
- コンサルティングファーム
- 金融機関
グローバル化が進む現代のビジネス環境において、年収の面から見てもUSCPAの資格は価値があります。より詳しい年収や推移については、下記ページをご覧ください。
実際の求人から見る年収と仕事内容
USCPAの資格を持つ方の実際の求人情報を見てみると、その年収と仕事内容が具体的に分かります。以下の表は、マイナビ会計士が保有する5つの代表的な求人例から、仕事内容をまとめたものです。
企業種別 | 年収 | 主な仕事内容 |
---|---|---|
コンサルティングファーム | 800万円~1,200万円 | 経営企画/CFO支援、財務・経理業務支援、M&A関連業務 |
アドバイザリー会社 | 500万円~1,200万円 | M&A実行後のPMI支援、財務・経理領域の改善 |
監査法人 | 650万円~2,500万円 | M&A関連の財務デューデリジェンス、経営統合支援 |
総合ファイナンス会社 | 600万円~1,114万円 | 連結決算業務、開示業務、M&A・PMI対応 |
アドバイザリー会社 | 600万円~1,200万円 | M&Aアドバイザリー業務、デューデリジェンス対応 |
上記の求人情報から、USCPAの仕事内容は主に以下のような領域に集中していることがわかります。
- 財務・経理業務の高度化支援
- M&A関連業務(デューデリジェンス、PMIなど)
- 経営管理・戦略立案支援
- 国際会計基準対応
- 内部統制・ガバナンス強化
USCPAの資格保有者は、その専門知識と国際的な視点を活かし、企業の重要な経営判断や財務戦略に深く関わる仕事内容をこなすことになります。ぜひ、下記ページから実際の求人を見て、自分にマッチした求人がないかを探してみてください。
やめとけ?USCPAに向いていない人の特徴とは
米国公認会計士(USCPA)は、グローバルに活躍できる魅力的な資格ですが、仕事内容や活躍できる業界を鑑みてもすべての人に向いているわけではありません。例として、USCPAに向いていない可能性がある人の特徴をいくつか挙げてみましょう。
英語の学習が苦手な人
意見交換や提案が苦手な人
安定した雇用を求めている人
グローバル企業を目指していない人
長期的な勉強を継続できない人
会計や簿記、監査に苦手意識がある人
あくまで一般的な傾向であり、個人の努力や環境によっては克服できる可能性もあります。しかし、この特徴に当てはまる方は、USCPAの取得や関連するキャリアパスが必ずしも最適な選択肢とは限りません。自身のキャリア目標や適性をよく見極めた上で、USCPAの取得を検討することが大切です。詳しくは、下記ページも一緒にご覧ください。
USCPAの取得者が日本で働く場合に目指せるキャリア
USCPAの資格保持者が日本で働く場合、グローバルな知識と英語力を活かせる仕事環境で、高い年収や専門性を発揮できる職場が多数存在します。以下に、USCPA取得者が目指せる主なキャリアをリストアップしました。
- 監査法人(特にBIG4)
- 会計事務所・税理士法人
- コンサルティングファーム
- 一般事業会社
- 日系グローバル企業
- 外資系企業
- 総合商社
- 金融機関
- ファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS)
上記のキャリアでは、監査、国際税務、クロスボーダーM&A、海外関連の事業再生業務、経理・財務、経営企画、CFOポジションなど、幅広い分野での活躍が期待されます。また、非常勤やアルバイトとしての柔軟な働き方も選択肢の1つです。
このように、USCPAではその知識を活かしつつ、仕事内容や自身のライフスタイルに合わせた就業形態を選ぶことができます。自身の経験や希望に合わせて、最適な職場を選ぶことが望ましいでしょう。非常勤やアルバイトのUSCPAについては、下記ページもご覧ください。
AIに代替される?USCPAの将来性は
AIの導入により、USCPAの仕事内容においても業務効率化が進んでいます。定型的な作業はAIによって処理されることが増えていますが、USCPAの価値を低下させるものではありません。むしろ、USCPA保有者の役割がより高度化・専門化していく傾向にあると考えられます。主に、USCPAの将来性が高い理由は、以下のとおりです。
- AIの処理結果の解釈と最終判断が必要であること
- クライアントとの信頼関係構築は人間が行うこと
- 複雑な状況の理解は人間にしかできないこと
- 新たな会計・税務問題への対応にAIは遅れが出ること
- 戦略的なアドバイスの提供にとどまること
AIの導入は、USCPAの取得者がより付加価値の高い業務に集中できる機会を生み出すサポートをするものだと考えてください。このことから、USCPAは今後も高い将来性を持ち、AIと共存しながら専門的で創造的な役割を担っていくでしょう。
USCPA(米国公認会計士)の仕事内容に関するよくある質問(FAQ)
最後にUSCPA(米国公認会計士)の仕事内容に興味を持たれている方から、よく寄せられる以下の質問についてお答えします。
- USCPAは未経験でも転職できる?
- USCPAの資格を取得する難易度は?
- USCPAは就職に有利ですか?
USCPAは未経験でも転職できる?
USCPAの資格を持っていれば、会計や財務の実務経験がなくても転職は十分に可能です。未経験者でも、USGAAP(米国会計基準)を採用している事業会社や監査法人、会計士事務所・税理士法人、コンサルティングファームなど、専門性を活かせる転職先が多数存在します。
USCPAの資格は、国際的に通用する会計知識と分析力を証明するものです。そのため、企業はUSCPA保有者の潜在能力を高く評価し、未経験でも採用を検討するケースが少なくありません。ただし、実務経験がない分、入社後の学習意欲や適応力は重要になるでしょう。詳しくは、下記ページもご覧ください。
USCPAの資格を取得する難易度は?
USCPAの資格取得は、日本の公認会計士試験と比較すると、合格しやすいと言えます。ただし、USCPAには学位と単位に関する要件があり、受験資格を得るためのハードルが高いのが特徴です。受験者は会計・ビジネス分野の大学教育を受けていることが前提となります。
試験自体は4科目(監査、財務会計・報告、企業概念・環境、規制)で構成され、各科目の合格率は40〜60%程度です。全科目合格までの期間は個人差がありますが、平均的に1〜2年程度かかると考えましょう。詳しくは、下記ページでも触れています。
USCPAは就職に有利ですか?
USCPAの資格は、グローバル化が進む現代のビジネス環境において価値があり、就職で有利に働きます。具体的には、以下の点で優位性があります。
- 国際的な会計基準(USGAAPやIFRS)へ精通していること
- 英語での専門的な会計知識を習得していること
- 会計、監査、財務分析などの専門性の証明になること
- 国内外の様々な業界や職種でのキャリアが拡大すること
ただし、資格のみならず実務経験や他のスキルも総合的に評価されることに留意が必要です。とはいえ、USCPAは就職市場での差別化とキャリアの可能性を広げる有利な資格といえます。
まとめ
USCPA(米国公認会計士)は、グローバルなビジネス環境で高く評価される資格です。国際的な会計基準や税務に精通し、監査、会計・税務、内部統制など幅広い仕事内容を担うことになります。また、日本の公認会計士とは異なり、国際相互承認協定参加国での就業機会も広がるのも特徴です。
USCPAの取得は、年収アップやキャリアの幅を広げる可能性を秘めています。ただし、英語力や継続的な学習意欲が求められ、すべての人に向いているわけではありません。自身の適性と目標を見極め、現在の状態から目指せるキャリアと今後のプランを決めることが失敗しないためのポイントです。少しでも不安を感じたり、迷ったりした際にはぜひマイナビ会計士へご相談ください。現在の状態から目指せるキャリアプランや希望にそった求人情報をご提案いたします。
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