AROUND the WORLD in 38 DAYS : TAIWAN
夜の顔と昼の顔
ホーチミンから台北の桃園空港まではわずか3時間のフライトだ。
空港から市内までは地下鉄を利用した。
タクシーは使わないと決めていた。台北はバスと鉄道網が整っていて旅行者にも使い易い。正確で清潔なところは日本によく似ている。
台湾には何度も来ているが台北以外には行ったことがない。いつかは南端の町に行こうと思いつつ実現せずにいる。今回も沖縄に繋ぐためのわずか3泊なので台北から出るつもりはなかった。いつ来ても飽きない、ここだけでおなか一杯の満足感がある、台北はそんな町だ。
桃園空港から地下鉄に乗り、民権西路で乗り換えて中山國小駅で降りると徒歩5分で宿に着いた。中心街からは離れた大通り裏のこじんまりした宿で、至近距離に夜市街がある。タイやベトナムの全く読めない文字と違って、漢字表記の案内が嬉しい。
荷解きをしてすぐ出かけた台湾食堂は、何の飾りも無いが味に間違いも無かった。
タイ、ベトナムから台湾へ、アジア圏に戻ってからは食に不満はない。中南米やアフリカの味を思い返せば、やはり東南アジア人に生まれて良かったとつくづく思う。
医者に処方してもらった抗アレルギー薬は毎日飲んでいたが、生魚を食べることは無かったので安全。抗生物質のお世話にもならなかった。
今回の宿のフロントにいる若い女性は、どこへ行くにも正確にルートを教えてくれた。乗降する電車の駅、バスの路線と行き先から、お得な1日フリーパスの買い方まで。台湾女性の勤勉性と有能なことにはいつも感心する。
台北で初めての場所、猫空ロープウェイで丘の上から台北市街を眺めた。
台北タワー101で直下の台北を見たことはあるが、離れた場所から一望する台北には別の趣があった。床が透明なカゴを選んで乗ったが、高所恐怖症の身には大胆な経験だった。
午後の半日は地に足をつけて故宮博物院でゆっくりと過ごす。
ゆっくりと言っても、広い館内の夥しい数の展示物を見て回るのはなかなか忙しい。
展示場所と展示内容の案内にヘッドホンセットを借りた。
無数にある展示室から好みの展示物を探し、至近距離で眺め、移動し、時折通路のベンチで休み、また歩く。スマホのアプリによると館内移動で1万歩以上を歩いていた。
30年ぶりに再会した翠玉白菜や肉形石は小さくなった気がする。
今夜の食事は豚の角煮と白菜キムチに決めた。