特設ページ『ACT for RETRIAL』の制作をサポート|日本弁護士連合会 再審法改正実現本部事務局|企業事例インタビュー | ネオマーケティング

特設ページ『ACT for RETRIAL』の制作をサポート

公開日:2024年03月13日 | 更新日:2024年09月18日

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日本弁護士連合会 再審法改正実現本部事務局次長・弁護士  亀石倫子様
設立:1949年9月1日
事業内容:弁護士や弁護士事務所への指導、連絡および監督。市民に開かれた司法とするための改革運動など                   登録会員数:4万4777名(2023年12月1日現在)


特設ページ『ACT for RETRIAL』の制作をサポート


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日本弁護士連合会(日弁連)様は、制度的・構造的な問題を抱えている「再審法(刑事訴訟法「第四編 再審」に関する規定)」の改正を求めて長く活動を続けてきました。その流れをさらに加速するため、2022年6月に「再審法改正実現本部」を設置。

国会議員へのロビーイングなどさまざまなアプローチで、再審法改正を訴えており、その取り組みの一つとして制作されたのが、特設ページ『ACT for RETRIAL』です。再審法の問題点や法改正が必要な理由をどうしたら、一般の方に自分ごととして知ってもらえるのか? ネオマーケティングからもさまざまな提案をさせていただきました。

今回は日弁連再審法改正実現本部事務局次長で広報部会の部会長である亀石倫子さんに、『ACT for RETRIAL』の制作経緯などについて伺いました。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/retrial/act_for_retrial/about.html

 

 


再審法改正への流れを加速させるために


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――まず、日弁連様が再審法改正の特設ページ『ACT for RETRIAL』を制作するにいたったきっかけを教えてください。

日弁連は、日本全国の弁護士が所属する組織です。人権を守る活動は日弁連の仕事の一つで、刑事再審手続きに関する刑事訴訟法の規定についても長く問題視してきました。

再審制度は間違った判決によって有罪の確定判決を受けた人——えん罪被害者を救うとても重要なものですが、じつは現行の刑事訴訟法では明確なルールがないまま運用されているのです。

たとえば、検察官に証拠を開示させるルールがないため、検察官は自分たちにとって不都合な証拠を出さなくてもいいし、また、裁判所が再審開始を認めても、検察官はそれに対する「不服申立て」ができます。そのため、再審開始決定が上級審で覆ることもあり、いつまでも「再審をするかしないか」が決まらず、えん罪被害者が何十年も無実の罪に苦しめられる、ということになってしまっているのです。

 


――有名な「袴田事件」はずいぶん前に再審開始決定が出ているのに、再審公判が始まったのは2023年ですよね。

なんとか、この再審法を改正しなくてはと、2022年6月に日弁連に「再審法改正実現本部」が設置されました。日弁連としてこれまで以上に再審法改正に力を入れて取り組むことになったのです。

実現本部には、国会議員にロビーイングをするなど国会対策をおこなう部会や改正法案を検討する部会などがあるのですが、私はその中の広報部会に所属しています。そして、広報部会として最優先で取り組むべきこととなったのが、再審手続の問題点と法改正の必要性をわかりやすく伝える特設ページの制作だったんです。

 


――そこで、BtoBのマーケットプレイスで募集をかけたのですね。


私たち弁護士には、広報やPRの知識はほとんどありません。これは専門の方の力を頼るしかない、ということで広く事業者さんを募集しまして、最終的にネオマーケティングさんにお願いすることになったのです。

 

 


根拠をもとにした「調査PR」に惹かれた


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――完成した『ACT for RETRIAL』は有識者の方々の対談や、えん罪と再審制度に関する意識・実態調査など、さまざまなコンテンツとなりました。

ネオマーケティングさんに決める前段階で、各社さんからさまざまなご提案がありました。「再審のイロハ」をかるたのように見せるとか、アニメーションを使うとか、それぞれの得意分野を生かした企画案ばかりです。

ただ、いろいろなご提案をいただいた中で、私たちにもっとも刺さったのが、「調査してデータを取り、それに基づいてプロモーションする」というネオマーケティングさんの案だったのです。

 


――調査PRに興味を持っていただけたのですね。

「職業病」かもしれませんが、我々、弁護士は根拠がないと落ち着かないんです。裏がちゃんとあるとか、理屈がしっかり通っているとか、そういうのがやっぱり好きなんですね。

データにもとづいたマーケティング、調査PRはネオマーケティングさんの強みでもあり、私たちが職業柄、大切にしていることでもあり、そこが合致したのです。ただ……大変でした。

 


――それは、どういうことでしょうか?

これもまた職業病だと思いますが、一つ一つの質問の意図の正確さや言葉の使い方へのこだわりがあるのです。広報部会は全員で16人いて、それぞれから出される意見の取りまとめは、なかなか大変でした。

おそらくですが、広報は正確さや理屈以上に、メッセージがどれだけ届くか、その見せ方が重要なのだと思います。でも、弁護士はどうしても正確さや論理性を優先してしまうので、広報に向いていない職種だなとつくづく思いました(笑)。

 


――調査は全国の18歳〜86歳までの市民1200名を対象に行いましたが、調査結果に発見はありましたか?

改めて、再審法の問題点が知られていないのだと思いました。もちろん、「えん罪」という言葉は知っているし、「えん罪はよくない」と感じてはいる。けれど、裁判をやり直す「再審」という手続きについてはよく知らないという人が多くいらっしゃいました。

そして、問題点を知れば、ほとんどの人が「それはおかしい!」「変えなきゃいけない!」と思ってくれる。メッセージが伝わっていく道筋がよくわかりました。

 


――再審法改正の必要性を、広くわかりやすく伝えることはやはり重要だとわかったのですね。

そうですね。特設ページ『ACT for RETRIAL』の制作が一段落したら一息つけると思っていたのですが、すぐに日弁連の改正案の内容をわかりやすく伝えるためのマンガを使ったパンフレットの制作に取り掛かるなど、1日も早く法改正を実現するため、広報の必要性をより強く認識するようにもなりました。

 

 


最初の提案には広報チームの全員が「これは違う!」


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―― 特設ページ『ACT for RETRIAL』は、「いま、変えるとき。」という強いメッセージを打ち出しつつ、明るく前向きなウェブページになりました。

私たちはクリエイティブに関してはまったくわからないので、基本的にはネオマーケティングさんにご提案いただいたものを判断するスタンスでいこうと決めていました。

プロジェクトメンバーはみんな、実際の再審事件に弁護団として、あるいは元裁判官として関わっているので、一般の人にどういうメッセージが響くのか、客観的にわからなくなっている部分もあるんです。

ですから、基本的にはネオマーケティングさんが出してくれたタグラインやデザイン、構成を尊重して、ご提案をいただいた中から選んでいくというのを基本スタンスとしました。

そのわりには、いろいろと申し上げてしまいましたけど(笑)。

 


――ブロジェクトメンバーのみなさんにはいろいろな“思い”はあるでしょうから、当然です。

そうですね。再審制度の問題点を知りすぎているからこそのこだわりは、確かにあります。その部分と「クリエイティブについては外部の意見を尊重しよう」という基本方針のバランスを取るのが、窓口である私の役割で、それはなかなか大変なことでしたね。

たとえば最初、ネオマーケティングさんからいただいたご提案は、もっと明るいイメージだったんです。「良い未来のため、良い法律に変えてこう」というコンセプトで、写真もかなりポジティブなものが使われていました。

それに対しては、内部から「これは違う!」「こんなキラキラした話じゃない!」という意見がでたんです。

 


――チームのみなさんが、見てきた現実と違ったんですね。

「前向きに未来志向でいこう」というメッセージ自体に問題はありません。ただあまりにもキラキラしたものは、冤罪で何十年も苦しんでいる人たちと一緒に戦ってきた私たちには、どうしても違和感があるんです。

私自身も鹿児島の大崎事件という再審事件の弁護団の一員なのでその気持ちはよくわかります。そのため、間に立ってバランスをとることを意識しました。

 

 


「ネオマーケティングの提案を聞こう」と思った理由


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――完成した特設ページはいかがですか?

ゆるすぎもせず、かたすぎもせず。絶妙にちょうどいい感じに仕上がったと思います。当事者の方にもご登場いただき、切実な声を伝えつつ、前に進もうとする力強さもある。とても満足しています。

それができたのは、本当にネオマーケティングさんの柔軟性のおかげです。こちらからの要望をきちんと受けて、意向を踏まえた新たな提案をしてくださいました。いろんな提案をいただいた中から決めることができたのは、ありがたかったです。

 


――制作過程で印象に残っていることはありますか?

いろいろありますが、ひとつは「高校生とその親御さんにインタビューをしたらどうか」というご提案をいただいたときでしょうか。

この企画については、広報部会で「一般の高校生やその保護者に話を聞いて、何か意味あるのかな」「それって、どうだろう?」と、最初はあまりピンときていなかったのです。

でも実際に、インタビューをしてみたらとてもいいお話が聞けて、私たちの中でもお気に入りのコンテンツになりました。

登場してくれた高校生は、鹿児島の大崎事件に長年取り組んでいる鴨志田祐美弁護士の著書を読んで再審制度に関心をもち、ある程度の知識もある生徒さんです。

お話から一般の方と法律との接点が浮き彫りになり、読んだ人も自分ごとに感じられる内容になっていました。

ご提案にはそういう意図があったんだ!ということに気づき、さすがだなと思いました。「プロの仕事はすごい」と、メンバーも言っていましたね。

 


――数々のご苦労もありながら、『ACT for RETRIAL』は2023年7月に無事、オープン。反響はどうですか。

『ACT for RETRIAL』は前例のない試みでもありますから、弁護士仲間からは「短期間でよくここまでやれたね!」「こんなかっこいいコンテンツができるのか!」という反応が多かったです。

なんとしてでも再審法を改正したいというみんなの思いがあったから、できたことだと思います。

2023年7月はちょうど、「袴田事件」の再審公判が始まったタイミングでもあり、メンバーとしては「間に合った」という気持ちですね。

 


――一般の方からの反応はありましたか?

「再審法改正実現本部」では、全国行脚をして、各地の弁護士や市民の方々を集めたシンポジウムなどを開催しています。そうした機会に、今回制作した対談動画やリレーメッセージを見ていただいたり、制作したリーフレットに二次元コードをつけて、特設ページを紹介したりしています。多くの人から「知ったことで、意識が変わった」という声をいただいています。

 

 

 

意図を汲み取ってくれ、スピーディにプロジェクト進行ができた


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――プロジェクトを一緒に進めていくパートナーとしてはいかがでしたか?

「汲み取る力」は制作過程でも感じましたね。広報チームの中で「ここはちょっと違うんだよね」となったとき、私から「内部からはこんな意見が出ています」とお伝えすると、次、きっちりと軌道修正して良い案を出してくれる。

こちらの意図が伝わらず、進行が滞るということがほとんどなく進められたのはありがたかったです。

 


――終始、スピード感をもって進めることができたのですね。

特設ページの制作の企画に入ったのが2022年12月後半で、『ACT for RETRIAL』がオープンしたのが2023年7月です。たった半年であれだけのものができたのは、すり合わせがスムーズにできたからだと思います。

 

 

 

超絶早い担当者のレスポンス


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――ほか、ネオマーケティングの印象はいかがでしょう?

私にとってなにより良かったのは、担当者のレスポンスが超絶早かったことです。こちらからのお願いで、連絡はビジネスチャットを使わせていただいたんですが、「お世話になっております」といった前口上なく、単刀直入に用件を伝えられ、しかもすぐにお返事がいただけたのは本当によかったです。

私、ものすごくせっかちなんです(笑)。レスポンスが遅いとイライラしてしまうのですが、ネオマーケティングさんとのやりとりでは一切、そうしたストレスを感じることがありませんでした。

リアクションが本当に早くて、たとえば、ネオマーケティングさんの中で検討が必要だったり、答えを出すのに少し時間かかったりする場合でも、いったんは必ずすぐにお返事をくださる。そのご連絡一つで、安心感がぜんぜん違うんですよね。

短期間で特設ページを完成させることができたのも、そのおかげだと思います。ネオマーケティングさんでなければ、クオリティ的にもスケジュール的にも実現できなかったと思います。

 


――ネオマーケティングに期待すること、要望があればお願いします。

無事に『ACT for RETRIAL』が開設でき、特設ページを見てくださった方からいろんな声が寄せられています。せっかくなので、新聞の投書欄のように、一般の方の声を可視化するコンテンツを『ACT for RETRIAL』に追加できないかなと考えているところです。

 


――一般の方々の声は身近な声として、多くの人にとどきますね。

2024年度、おそらく「袴田事件」の再審公判の結論が出るはずです。そのときに、再審法改正を求める声が最高潮になるよう私たちも取り組んでいかなければいけません。

再審法について知った人が、さらに関心を高め、持続的に興味を抱いてもらうためのコンテンツも必要で、それには新しい切り口が必要です。

 

 

ネオマーケティング担当者から

最初は再審法をとりまく現状や環境を知らないところから始まりました。
当初、タグライン(メッセージ)の中に入れていた「未来」という言葉。
いつか来る明るい未来を想い、ポジティブな意味合いを込めていましたが、再審法改正をすすめる弁護士の皆さんから、「今」変えないとタイムリミットが迫っていることを知り、熱意に感化されていきました。
多くの方に再審法を知ってもらい行動を起こすことが、世の中を変え、冤罪に苦しむ方を救うことになる。
その想いをコピーやビジュアルや動画やインタビューで表現できたと考えています。
Make everyone Wonderfulというネオマーケティングのビジョンを叶えるようなことが、自分が関わる仕事でできるかもしれないと思うと感慨深いものがあります。(T.T)

ACT for RETRIAL 再審法改正プロジェクトが始まった当初は、ここまで深刻な問題があることも、それに向かって戦っている人がいることも知らず、何も意識せず生活している側の人間でした。
今回弁護士の先生方とご一緒し、法改正が必要な理由や当事者の方々の声を聞く機会がありましたが、実状を深く知れば知るほど、重く困難な問題だと理解し、当事者意識を持つことができました。
そんな状態で、法を変えるという強い使命感をもった亀石様や、他の先生方は、とてもパワフルな方ばかりで、自分も引っ張られるように熱量がどんどん増していったので、本当にすごい方々だなと感嘆しておりました。
まだこの取り組み自体は続きますので、少しでも法改正に向け尽力できればと思っております。(O.S)


クリエイティブディレクター
T.T
コンサルタント
O.S

 

 

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