洋蘭を楽しむ北国の家ができるまで 2021年11月
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宮城県 青根温泉 不忘閣へ その3

お昼が遅かったので夕食も遅めの時間にお願いしてその間に温泉を何度も楽しみました。

食事処は昔、湯治場として使われていた趣きのある建物の二階の畳張りの個室でいただきます。

旧湯治場は東西南北をガラス戸と廊下に囲まれて、中央に長い廊下が通っていてその左右に障子張りの部屋がならんでいる一室が私達の今夜の食事場所、楽しみにしていた夕食が順にでてきました。

柿ワインで始まり、先付けは銀杏豆腐、柚子釜 続いて八寸はワカサギの奉書巻き、網茸、ムカゴなど秋づくし。





伊達家の家紋の雀と竹紋のお椀は鱸塩焼きと楢茸





お造りは蔵王美澄鱒、ヒラメ、イカ、甘海老

ヒラメは透き通っていてどれも活きがいいです。





お凌ぎは近所にある川根亭の手打ちそば、大きなお椀で供されました。

この蕎麦屋のそばを食べるためにはるばる青根まで来る蕎麦通も多いそうです。





煮物はもち米饅頭です。





焼き物は鰆の西京焼きにつぶ貝、さつまいも
栗の葉ともみじを添えて。





台物 塩ちゃんこ風寄せ鍋





揚げ物は海老アーモンド揚げ、れんこん挟み揚げ





茶碗蒸しが出たあとはひとめぼれの新米とナメコ汁にお新香でお腹がいっぱいになりました。





湯上がり酒に加えてハイボールで火照った体を冷やしながら窓側の障子を開けて廊下へ出ると目の前に青根御殿、照明が入って幻想的な眺めです。





そして最後のデザートは栗プリンに紫色は巨峰、皮を剥きやすいように刃が入っています。





仲居さんは笑顔で特に急がせるわけでもなく、一時間ちょっとの程良いペースで食事が進みました。

遅めの食事時間をお願いするとせっかくの食事が冷めていることもあります。

さすがにこの宿ではお刺身など冷たいものは冷たく温かいものは適度に温かく、
天ぷらはやけどをするほど熱々、どの料理もとても美味しく見た目もきれいで
板前さんの気持ちよく食べてもらおうという想いが感じられるひとときでした。


まだ挑戦していない湯が三つありましたが、夕食後と翌日にかけて全部制覇しました。

ここは御殿湯、左側の壁の向うにも浴槽がありこちらと男女入れ替え制になっています。

洗い場のあるのは男女ともこの御殿湯だけで他の4つのお風呂は純粋にお湯を楽しむ作りです。






そしてここが大湯、ここも土蔵の中に大きな浴槽、何十人も入れるお風呂ですが貸切状態でゆっくり入ることができました。

材は総ひのき造りで釘を使わない伝統構法で作られています。

大きな湯口からは大量のお湯が常時注がれてとてもダイナミックなお風呂でした。
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ここは亥之輔の湯、半露天風呂で外に見える石積みは青根御殿の石垣です。

ここも貸し切り風呂で家族での利用が可能ですが湯船が小さいので二人用ぐらいでした。





宮城県 青根温泉 不忘閣へ その2

遅い昼食を食べた農家レストランを出て道の駅などを覗いたり、途中の酒屋で缶ビールを調達したりしながら、およそ30分弱で今夜の宿、不忘閣へ到着しました。

ここが不忘閣の正門、永々湯主 佐藤仁右衛門の看板がかかっていますが500年近く前、伊達藩主伊達政宗御用達の湯宿だったそうですので、永々の文字は納得がいきます。





早速フロントでチェックイン、後ろの壁にかかっている大湯という看板は昔は伊達のお殿様が、その後は地域の共同浴場に、そして今は釘を一本も使わない伝統構法で全面改修され宿専用の浴場の名前だそうです。





私達が泊まる一階の部屋は並びに4部屋、階段を登った不忘庵に10部屋の全14室のこじんまりとした宿です。

次の間付きの十畳の部屋、お風呂はありませんが広縁からは中庭がよく見えます。





その奥には青根御殿がそびえ立っています。

伊達政宗公はこの御殿に泊まり御殿湯に浸かって一帯で鹿などの狩りを楽しんだのだそうです。

そういえば原田甲斐が命を懸けた鹿狩りの描写が出てくる「樅の木は残った」は山本周五郎がこの御殿に泊まって執筆したのだそうです。

今はこの御殿は宿泊はできず伊達様関連などの資料の展示室になっています。





この宿にはお風呂が6つあります。

うち大湯、新湯、御殿湯(大、小)の4つは時間によって男女入れ替え制、そして亥之輔の湯、蔵湯の2つは貸し切りで空いていれば何度でも利用でき無料です。

早速貸し切りの蔵湯へ行きました。

行灯の灯った御影石敷きの細い通路を通り1つ目の土蔵を過ぎ、その間にある屋敷神を過ぎて2つ目の土蔵が目指す蔵湯です。





昔ながらの蔵戸をガラガラと開けてビックリ、二階建ての蔵の床をぶち抜いて梁だけ残した巨大な空間にま新しい土壁です。

こちら側が脱衣場になっていますが湯船までは10mもありそうです。(笑)

長身の私でも湯船には踏み台に乗らないと入れない高さで大きさもご覧の通り、源泉かけ流しでお湯もたっぷり。

これだけのお風呂はそうあるものではないですね。





しばしお湯に浸かって体が温まったので館内を散策、喫茶兼資料室がありました。

昔の宿の写真や雑貨、それにコーヒーや冷たい水なども用意されていていてセルフサービスでいただきます。





こちらには一升瓶が氷の一斗樽に入って湯上がり酒の説明とともにおいてあります。

「あたごのまつ」という蔵王の地酒でフルーティな香りのお酒、これもセルフサービスでもちろん無料です。




この時間は男性用なので新湯にも入りました。

名前は新湯ですが二番目に古く石組みは伊達公が入られた頃から変わっていないとのこと。

ここは湯温がほかより熱いので体がすぐに温まります。





というわけで夕食前に4回お湯に浸かってそのたびに湯上がり酒をいただきました。

夕食までまだ間があるので館内を歩いてみました。

不忘庵と名付けられた10室は健脚のお客様用と聞きましたが、見に行ってみました。


山の斜面に作られた宿ですので階段がずうっと上の方へ続いています。





やっと登りきったと思ったら、その先にはまた長い階段が待っていました。

全部で80段ほどあるそうですが、お風呂が6つもあるのでそのたびにこの階段を上がったり下りたりは流石に大変そうです。
下の部屋にして本当に良かったと思いました。



宮城 青根温泉へ その1

コロナの感染状況も今は収まっているので久しぶりに温泉宿に行ってみようということになり、前から泊まってみたいと言っていた宮城県にある青根温泉へ足を伸ばしました。

東北自動車道を南下、仙台を過ぎ村田ジャンクションから山形自動車道に入り宮城川崎ICで高速道を降りればまもなく青根温泉、我が家からは230キロ、3時間弱の行程です。

せっかく遠出するので、村田ジャンクションのある村田町に寄り道することにしました。

ここは宮城県で最初に重要伝統的建造物群保存地区に指定された蔵のまち、明治大正時代に作られた土蔵が並ぶ町並みが残っています。

通りには無料駐車場やトイレも整備され観光案内所ではパンフレットも用意されています。





江戸時代の村田商人は上方や江戸の商人と取引しており、仙南地域で取れる紅花の集積地して上方や京都で売りさばき、帰りの船で仕入れた雑貨類を持ち帰り荒物として販売したようです。後には集積された繭や生糸でも財を成したようです。

今に残る豪壮な土蔵造りの店の多くは紅花商人をはじめとして財を成した商人によって明治以降に建てられたものだそうです。

通りに面した店舗の間口は江戸時代の税制の関係で3〜6間と狭く店の脇には立派な表門が設えてあります。

店舗の奥が住居、その奥には何棟かの土蔵という構造になっているのだそうです。





こちらは乾坤一の醸造元の大沼酒造のお店です。

もう300年以上もお酒をつくり続けている老舗です。






看板をみるとここは喫茶店のようです。

二枚目の写真は土蔵造りが二軒並んでいますが、今のお店と違ってショーウインドウがないし内部は暗いので何を売っているお店か不明です。(笑)
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通りを歩いていると民宿かな?と思える土蔵があり、入り口の方に声をかけて料金をお聞きすると素泊まりだけとのことでしたが、内部を案内してくれました。

土蔵の二階にベッドが2つあり、一階はとても大きく明るいお風呂にミニキッチンがあります。

また来ることがあればお世話になってもいいかな、と思いました。





ちょうど週末のお祭りの準備をしている最中なので、少し早いけど見ていってくださいと奥も見せていただきました。

狭い間口の土地を有効に使うためでしょう、長く狭い外通路を通って母屋の脇を抜けたところにある土蔵に展示してあるんだそうです。





なまこ壁の2階建ての土蔵です。以前は更に奥にも土蔵があったのだそうです。

この家も昔は荒物屋だったとのこと、昔は土蔵が何棟も立ち並ぶ長者さまだったのでしょうね。





土蔵のなかにはつるし雛、七段飾りのお雛様が飾られていました。





そして脇の棚にはたくさんのコケシ、おじいさんが集めたものだそうですが、とても全部は展示しきれないので別の棚に紙に包んで保管してありました。





書庫に使っている二階に上がるのはまだまだ現役の階段箪笥、今ではもう見ることも無くなってしまいました。





通りに空き地がありましたが驚いたのはその奥行です。

あとで調べてみたら長い地所だと裏通りまで48間、86mちょっとですので徒競走ができる距離です。

確かにこれだけ奥行きがあれば土蔵の三、四棟は楽に建つ広さです。



今回は偶然にも古い商家の地所や土蔵を垣間見ることができ、良い思い出になりました。





2時間ほどこの町を散策したあとは一般道を通って途中にある川崎町に向い遅い昼食をとることにしました。

ちょうど通り道なので事前にネットで調べておいたこの食堂、農家レストラン森の栞、外観は一般家庭そのものです。

平日の13時過ぎでしたので他のお客はなく、日当たりもよくとても静かでした。
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女あるじは栞セット、私はヒレカツセットにしました。

まずはスープに前菜、大根の煮物、パイナップル生ハム、紫のじゃがいもシャドークイーンの千切り煮。

栞セットはタケノコ、里芋、エビのフライにクリームコロッケです。

私の食べたヒレカツは本当にサクサクの衣、肉はしっとり、農家レストランとは思えない美味です。(失礼)

デザートはシナモンの香りがするりんごのワイン煮、ブラマンジェ、チーズスフレも美味、このお店を選んで大正解の昼食でした。





この料理がひとり1,200円ですから、もし近くなら間違いなくリピーターになると思います。

このあとはゆっくりと車を走らせ青荷温泉へ向かいました。

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Author:kaz
間もなく定年退職を迎える埼玉在住のサラリーマン→2011年9月で定年になりました。
どこに行っても人だらけの都会から雪の降る故郷が恋しくなるのは年のせいか→'11年10月にやっと盛岡に戻ることができました。
古い柱時計、真空管ラジオの修理をしながら洋蘭を育てるのが趣味。

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