WindowsのDLLだけが危ないのか? DLL hijacking vulnerability概説(前編) (1/2)|CodeZine(コードジン)
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実例で学ぶ脆弱性対策コーディング

WindowsのDLLだけが危ないのか?
DLL hijacking vulnerability概説(前編)


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 本連載では、最近話題のDLL hijacking vulnerabilityと呼ばれるプログラムのDLL読み込みに関する脆弱性について、前後編の2回に分けて解説します。前編では、DLL hijackingがどういった脆弱性なのか、その概要や関連するこれまでのイベントについて説明していきます。

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はじめに

 今回は、最近話題のDLL hijacking vulnerabilityと呼ばれるプログラムのDLL読み込みに関する脆弱性について解説したいと思います。この脆弱性は、"DLL preloading attack"と呼ばれたり"binary planting vulnerability"と呼ばれたりすることがありますが、これらは同じ問題の別称です。ここでは便宜上「DLL hijacking」という言葉で統一します。

 この脆弱性は、スロベニアのセキュリティ会社Acros Security(Acros)が8月18日に公開したWindows向けApple iTunesの脆弱性"Remote Binary Planting in Apple iTunes for Windows"において、メディアの注目を集めました。前後して、UC Davisの研究者が同様の問題に関する学会発表を行っていたり、著名なセキュリティ研究者であるHD Moore氏が独自にツールを開発して同脆弱性の影響を受けるアプリケーションについて調査していた件をブログで公表したり、Acrosが独自に行った調査結果をMicrosoftと共有していたり、とセキュリティ業界ネタとしてさらに注目を集めました。

 現在は、8月23日にMicrosoftが公式に対策方法に関するドキュメント(後編で詳述)を公開したことでひとまず騒ぎは落ち着いているという状況です。実は2008年にも同様の問題が公表され、メディアに取り上げられるなど話題になりました。この問題は、Windows OSだけの問題なのでしょうか。また、実際にはどれくらい深刻な問題なのでしょうか。以下に、本問題に関するイベントを時系列にまとめてみました。

DLL hijacking vulnerabilityに関するイベント

2008年

 セキュリティ研究者Nitesh Dhanjani氏が"Safari Carpet Bomb"と呼ばれる攻撃手法についてApple社に通知し修正された旨を自身のブログに公表し、注目を集める(CVE-2008-2540)。

 Microsoftの研究者David LeBlanc氏のブログに"DLL Preloading Attacks"がポストされる。

  • 5月頃
  • 8月20日

2010年

 スロベニアのセキュリティ会社Acros SecurityがWindows版 VMWare ToolのRemote Binary Plantingについて公表。

 カリフォルニア大学デービス校の研究者Taeho Kwon氏、Zhendong Su氏らがISSTA 2010にて論文発表を行う(タイトル:"Automatic Detection of Vulnerable Dynamic Component Loadings")。

 Acros Securityが"Remote Binary Planting in Apple iTunes for Windows"と題したセキュリティアドバイザリーを公開。

 Microsoftのセキュリティアドバイザリ(2269637)"Insecure Library Loading Could Allow Remote Code Execution"が公開される。

 MicrosoftのSecurity Research & Defenseブログに"More information about the DLL Preloading remote attack vector"がポストされる。

 David LeBlanc氏のブログに"Another technique for Fixing DLL Preloading attacks"がポストされる。

 Inj3ct0rにPoC(Proof of Concept)コードが大量に投稿され始める。

 HD MooreがDLLHijackingAuditKit v2を公開。「metasploit blog: Better, Faster, Stronger: DLLHijackAuditKit v2」。

 Acros Securityが、本脆弱性の影響有無を無料で調べることができるテスト"Online Binary Planting Exposure Test"を公開した。

今後の予定

 DeepSecセキュリティカンファレンスでAcrosの研究者が"Remote Binary Planting -- An Overlooked Vulnerability Affair"を発表予定。

  • 11月25日

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この記事の著者

久保 正樹(JPCERT コーディネーションセンター)(クボ マサキ(JPCERT コーディネーションセンター))

脆弱性アナリストJPCERTコーディネーションセンター慶応義塾大学環境情報学部卒。ソニーでデスクトップPCのソフトウェア開発に携わったのち、米国ダートマス大学にてオーディオ信号処理、電子音響音楽の研究を行い、電子音響音楽修士を取得。2005年4月よりJPCERTコーディネーションセンターにて、脆弱性...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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