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3DプリンタでMagSafe充電器スタンドをつくる

この秋にリリースされるiOS 17では、充電中のiPhoneに情報を一目でわかるように表示する「スタンバイ」機能が搭載されるそうだ。iPhone 14 Proの常時表示ディスプレイと組み合わせると便利そうだ。

これを活用するには充電中のiPhoneを一定の角度に保つ充電スタンドが必要になる。MagSafe充電器 ワイヤレスなら、充電器ごとに設定を記憶してくれるようだから、MagSafe充電器タイプが望ましい。市場には、MagSafe充電器が一体になったスタンドや、単体のMagSafe充電器と組み合わせて使う製品がある。今回は3Dプリンタを買ったことだから、メイカー精神を発揮してみる。

試作1号

MagSafe充電器の大きさをノギスで測ると、直径は55.9 mm、厚みは5.5 mmある。そこから例によって、Fusion 360モデリングする。MagSafe充電器が少し高い位置に一定の角度で固定されていれば用が足りるので、70度に傾けた枠に愚直に支柱をつける。iPhoneの分だけ重心が手前にくるから、台座も手前に伸ばしてある。

これを3Dプリンタで出力する。ツリー状のサポートをつけている。

一見するとうまくできているが、オーバーハング(せり出し)部分で精度が悪化し、荒れてしまった。内側もその影響を受けて、MagSafe充電器に干渉し、うまく収まらない。パーツを分割して出力するとよいのだろうか。

使用感も確かめてみると、最低限スタンドとしての役には立つ。iPhoneが浮かんで見えるのは格好がよい。ただ、支柱部分の剛性が足りていないのか、iPhoneの重みで僅かなたわみが生まれ、振動してしまう。iPhoneを操作するたびに振動するので、使い心地はよくない。

試作2号

全体的な剛性を確保するために、支柱で支える構造をやめた。ケーブルを裏側にまわすついでに、ひろく穴を空けてMagSafe充電器の充電中の熱が後ろへ逃げるようにしている。

3Dプリンタでの出力時には、MagSafe充電器まわりの精度が出やすいように、倒した状態にしている。

出力してみると、精度は十分で、剛性もある。使用感にも問題がない。

素材が軽いので、iPhoneを近づけると磁力でスタンドの方が動いてしまう。錘をつけると改善されるかもしれないが、困るわけではないので、このままでもよいだろうか。

感想

CADの操作に慣れて、少し複雑な形でもモデリングできるようになった。ただしCADでどんなに自由にかたちを作っても、それでうまくいくとは限らない。素材の特性や加工する装置にあわせて設計しなければ、まさに机上の空論だ。

今回は最低限度、MagSafe充電器スタンドとして使えるものができた。ヒンジで角度を調整できるとか、改良したい箇所もあるが、そもそもヒンジをどう作ったらいいのか、見当がつかない。いくらでも学ぶことがある。

3Dプリンタで何かを作るプロセスは、頭の中にあるものを現実で試し、失敗や成功の経験をするもので、刺激的でおもしろい。これは相当におもしろい。