ドローインでおなかが引き締まる?効果を最大限に引き出すやり方を解説
公開日:2024.09.26
文:織田 ユウヤ(トレーナー)
画像提供:服部 恵美
おなかまわりが気になってきたと言う方におすすめのトレーニングがドローインです。特別な道具を使うこと無く、隙間時間に簡単にできるトレーニングで、インナーマッスルの強化や姿勢改善にも役立ちます。
本記事では、プロのトレーナーが、ドローインの効果を最大限に引き出す正しいやり方と、注意点を詳しく解説します。ぜひ最後まで読んで、おなかまわりの引き締めにドローインを取り入れてみてください。
ドローインとは?ドローインで鍛えられる主な筋肉
ドローインとは、体幹のインナーマッスルを鍛えるエクササイズのことです。基本の動作は、おしりの穴を締め、息を吐きながらおなかを凹ませるだけなので、とても手軽にできます。
ドローインで鍛えられる主な部位は、次の3つです。
・多裂筋
・骨盤底筋群
これらの筋肉は個別に働くのではなく、協調して腰部の安定に貢献します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
腹横筋
腹横筋(ふくおうきん)は、体幹のもっとも深層にあり、まるで天然のコルセットのように腰部を包み込んでいます。トレーニングで鍛えた「割れたおなか」をつくる腹直筋の内側に位置するため、普段は意識しにくい筋肉ですが、体幹の安定や美しい姿勢の維持に欠かせません。
多裂筋
多裂筋(たれつきん)は、背骨の両側に沿って縦に走る、小さな筋肉群です。腰から首まで、背骨全体の骨を1つひとつ繋いでいます。背骨を支えて背筋をまっすぐに保つのに重要な役割を担っています。
骨盤底筋群
骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)は、骨盤の底にハンモックのように広がる筋肉の総称です。体幹を下からしっかりと支えています。骨盤内にある膀胱や子宮などの臓器を支え、排泄のコントロールも担う、大事な筋肉です。
ドローインの主な効果4つ
ドローインの効果は、以下の4つが期待できます。
・腰痛予防
・腹囲減少
・スポーツパフォーマンスの向上
それぞれについて見ていきましょう。
姿勢改善
ドローインを行うと、骨盤や背骨が自然と正しい位置に整い、姿勢が美しくなります。これは、ドローインがインナーマッスルを強化し、背骨を支える力が高まるためです。たとえば反り腰に悩む方がドローインを継続すると、腰の過度な反りが改善され、美しいS字カーブを取り戻せます。また、反り腰だけでなく、猫背やストレートネックなどの悩みを抱える方にも有効です。
腰痛予防
腰痛の原因はさまざまですが、その1つとして腹横筋の機能低下が挙げられます。腹横筋が十分に機能していないと腰部が不安定になり、腰痛のリスクが高まると言う研究結果もあります。ドローインは、この腹横筋を効果的に活性化させるエクササイズです。継続して行うことで、腰痛予防につながることが期待できます。
腹囲減少
3つ目の効果は、腹囲の減少です。ドローインを継続することでウエストが引き締まり、見た目がすっきりします。ドローインでは脂肪を燃焼させられませんが、ドローインによって腹横筋がコルセットのように働き、おなかが内側に引き込まれるためです。
スポーツパフォーマンスの向上
ドローインで体幹のインナーマッスルを鍛えることは、スポーツにおいても大きなメリットをもたらします。速く走る、遠くへ投げる、高くジャンプするといった動作には、体幹の安定性が不可欠だからです。実際に、アメフトやサッカーのプロ選手もインナーマッスルのトレーニングを重視しています。ドローインは一般の方からスポーツ選手まで、すべての人に役立つトレーニングと言えるでしょう。
ドローインのやり方3種類を紹介
ドローインのやり方は、いくつかの種類があります。ここでは、誰でも簡単にできる代表的なやり方を3つ紹介します。
あおむけでのドローイン
もっとも手軽にはじめられるのが、あおむけに寝て行うドローインです。寝たまま呼吸するだけで、体幹のインナーマッスルを効果的に鍛えられます。まずはあおむけでのドローインが正確にできるようにしましょう。
2. 鼻から息を吸い、おなかをふくらませる。
3. 口をすぼめて、10秒間以上かけて息をゆっくり吐く。このとき、おなかを最大限に凹ませるように、ゆっくりと息を吐き切る。
4. 息を吐き切ったら、ゆっくりと息を吸い込み、おなかを元に戻す。
5. 2~4の動作を10回を目安に繰り返す。
呼吸中は、アゴが上がらないように注意しましょう。アゴが上がると首に力が入り、おなかに意識が集中しにくくなります。
座った状態でのドローイン
あおむけでのドローインに慣れてきたら、次は椅子に座って練習してみましょう。座った状態では、骨盤を立てることを意識することがポイントです。
2. 鼻から息を吸い、おなかをふくらませる。
3. 口をすぼめ、10秒間以上かけて、おなかを最大限凹ませるように息をゆっくりと吐き切る。このとき、腰が丸まらないよう注意する。
4. 息を吐き切ったら、ゆっくりと息を吸い、おなかを元に戻す。
5. 2~4の動作を10回を目安に繰り返す。
座位でのドローインは、デスクワークの合間など、ちょっとした空き時間にも実践できます。腰が丸まるとインナーマッスルがうまく働かないため、背筋を伸ばし、おなかと背中の距離を縮めるように意識して息を吐きましょう。
立った状態でのドローイン
立った状態でのドローインはやや難易度が高いものの、習得できれば日常生活のあらゆる場面でトレーニングができるようになります。
2. おなかを意識せず、鼻から自然に息を吸い込む。
3. 口をすぼめ、10秒間以上かけて、おなかを最大限に凹ませるように息をゆっくり吐ききる。このとき、腰が丸まらないよう注意する。
4. 息を吐き切って、おなかを凹ませた状態を5秒間キープする。
5. 鼻からゆっくりと息を吸い込み、おなかを元に戻す。
立位でのドローインは、最初は難しく感じるかもしれませんが、継続することで自然とできるようになります。日常生活のなかで、気がついたときに繰り返し行いましょう。
ドローインを行う際の注意点
最後にドローインを行う際の注意点を紹介します。
● リラックスする
● 日常的に行う
● 腰が痛いときは控える
呼吸を優先する
ドローインでもっとも重要なのは、呼吸を優先することです。ドローインは、呼吸によっておなかが自然と内側に引き込まれることで効果のあるトレーニングだからです。おなかの筋肉を無理に使って凹ませても、本来の効果は得られません。息をゆっくりと吐き出し、吐き切る瞬間に腹筋が自然と収縮するのを感じましょう。呼吸と連動することで、インナーマッスルが効果的に働きます。
リラックスする
ドローインは、リラックスすることが大切です。緊張した状態では、体の表面にあるアウターマッスルが優位に働いてしまい、内側にあるインナーマッスルへの効果が薄れてしまいます。落ち着いた環境で、肩の力を抜き、気もち良くドローインを行いましょう。
日常的に行う
ドローインは、毎日の習慣にすることが成功の秘けつです。なぜなら、ドローインで鍛えるインナーマッスルは、日常生活で常に使われている筋肉だからです。短い時間でも毎日ドローインを行い、無意識にでもインナーマッスルが働く状態を目指しましょう。
腰が痛いときは控える
腰に痛みがある場合は、ドローインを控えましょう。ドローインは腰痛予防に効果的ですが、痛みがある状態で無理に行うと、症状を悪化させる可能性があります。少しでも違和感を感じたら、早めに医療機関を受診し、専門家に相談しましょう。
まとめ
今回は、ドローインの効果を最大限に引き出す正しいやり方と、注意点について解説しました。ドローインを正しく実践することで、体幹のインナーマッスルが鍛えられ、おなかのひきしめだけで無く、姿勢改善やスポーツパフォーマンスの向上に役立ちます。ウエストを引き締めたい、腰痛を予防したい方は、ぜひドローインを毎日の習慣にしてみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
ヒューマン・アナトミー・アトラス 2024
織田 ユウヤ
順天堂大学スポーツ科学部スポーツマーケティング学科卒業。スポーツショップやフィットネスメーカーの勤務を経て、スポーツジムやメディカルフィットネスジムでトレーナー兼マネージャーを務める。トレーナー歴は15年以上。
各種トレーナー資格、健康運動指導士、NSCA-CPTなどの資格を保有
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