「セラピストはやめとけ」は本当?セラピストの退職理由や向いていない人の特徴を紹介
公開日:2024.09.03
文:伊東浩樹(理学療法士)
セラピストについて情報収集する時に「やめとけ」という検索ワードを見ることがあるかもしれません。セラピストといえば、理学療法士などのリハビリ専門職のほか、アロマセラピーやエステティシャンといった職種も含まれます。
今回は、セラピストの仕事にネガティブな印象を感じた方に向けて、「やめとけ」といわれる理由や、向いていない人の特徴などについてお伝えします。
セラピストとは?
セラピストと呼ばれる職種は多くあり、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった医療系国家資格を持つリハビリの専門職をはじめ、アロマセラピストやエステティシャンなどの仕事もあります。
セラピストといっても1つの仕事を指すわけではなく、心身のケアやリラクゼーションを提供する仕事だとイメージするとよいかもしれません。
「セラピストはやめとけ」といわれる理由
さまざまな種類があるセラピストの仕事ですが、やりがいがあると同時に、「やめとけ」といわれるようなデメリットもあります。
セラピストの仕事を目指すうえで、ネガティブな面を知ることも今後の判断材料になるかもしれません。続いて、セラピストがやめとけといわれる理由について紹介します。
体力的な負担が大きい
リハビリ職やアロマセラピスト、エステティシャンなど、セラピストとして実際の仕事内容は異なりますが、いずれも「人に対して施術をする」という共通点があります。
その際、自身の手や体を使うことになるため、それなりに体力が必要です。
リハビリやリラクゼーションとして時には全身を施術することになり、立ち仕事になることがほとんどです。例えば理学療法士なら、患者さんを抱えるような動作もあります。
思ったより体力の消耗が激しいこともあり、肉体的な負担から「やめとけ」といわれることがあるようです。
コミュニケーション力と向上心が求められる
厚生労働省が運営する職業情報によると、アロマセラピストやエステティシャンの多くは女性で、自営業が多い職種とされています。
安定した収入を得るためには、さまざまなお客様と信頼関係を築くため、丁寧なコミュニケーションが欠かせません。理学療法士などのリハビリ職も、患者さんやご家族とのコミュニケーションだけでなく、病院や施設内の他職種とのコミュニケーションが必要です。
加えて、いずれの仕事も、お客様や患者さんに満足・納得いただけるように、常に成長をし続けるような自己研鑽が求められます。
こうしたコミュニケーション力や向上心がない場合には「やめとけ」といわれるかもしれません。
高収入を目指すのが難しい
セラピストの仕事内容は業種によって異なり、同様に平均年収も違います。ですが、いずれの場合も、年収600万円以上といった高収入を目指すのは、かなり難しい傾向にあります。
厚生労働省が運営する職業情報サイトによると、医療系国家資格を持つ理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の平均年収は約432万円(平均年齢 約35歳)でした。一方で、民間資格もしくは無資格が多いアロマセラピストの平均年収は約394万円(平均年齢は約41歳)、エステティシャンの平均年収は約320万円(平均年齢は約34歳)となっています。
働き方や職場によっても異なりますが、上記の結果から、医療系国家資格を持つセラピストでも平均年収は500万円以下であり、高収入を期待してセラピストを目指す場合、ハードルが高く「やめとけ」といわれることもあるでしょう。
セラピストが退職する理由
どのようなセラピストであっても、共通して「サービス業」であることには違いありません。働き方によっては土日祝日も出勤し、お客様や患者さんの希望に応じて施術をすることもあります。
こうした背景からセラピストを退職する理由として、「安定した休みが欲しい」と考える人が多いようです。そのほか、理学療法士などの医療系セラピストは、キャリアアップとして違う職場に挑戦するために退職するケースも多く見られます。
また、アロマセラピストやエステティシャンは女性が多く活躍しているため、結婚や出産などを機に退職に至ることもあります。
セラピストに向いていない人・向いている人
セラピストはやめとけといわれる面もありますが、人に感謝され、やりがいもある仕事です。せっかく目指すなら、自分がセラピストに向いているかどうかも確認しておきましょう。
セラピストに向いていない人
セラピストに向いていない人の特徴として、大きく4点あります。
・体力的に不安がある
・長期的なキャリアプランを考えるのが苦手
・開業を目指す場合、経営に関する知識がない
セラピストは人を相手にする仕事です。コミュニケーションが苦手で、できれば1人でコツコツ仕事をしたいと思うのであれば、セラピストには向いていないでしょう。
また、先にもお伝えしたとおり、どんなセラピストでも、ある程度の体力が求められます。現時点で、体力の少なさに不安を感じている場合には、向いていないかもしれません。また、今は問題なくても、加齢によって誰しも体力が低下してくるものです。長期的な視点をもって、計画的に今後の働き方を考えるキャリアプランが描けない場合も、長続きしない可能性があります。
加えて、アロマセラピストは全体の9割、エステティシャンは全体の5割が自営業とされています。自身が経営者となって、安定した収入を得るには経営力も必要です。なんとなく楽しそうという気持ちでセラピストを目指し、開業してしまうのはリスクがあります。
いずれにしても、将来性を考えて計画を立てるのが苦手な方は、セラピストに向いていないかもしれません。
セラピストに向いている人
一方で、セラピストに向いている人の特徴は以下のとおりです。
・生涯、スキルアップを続けていこうという向上心がある
・専門性の高い仕事に達成感を得られる
セラピストは人と向き合って、人を心身ともに癒す仕事であり、さまざまな人とコミュニケーションを楽しめる人は向いています。また、セラピストとして専門性を高め、生涯に渡って学び続けたい人、学ぶのが楽しいと感じられる人もセラピストに向いているでしょう。
自身の専門的なスキルによって、患者さんやお客様の笑顔や感謝の声をもらうことに達成感を得て、そこに喜びや楽しみを見つけ出すことができる人もセラピストは適職でしょう。
自分に合った仕事を見極めよう
セラピストといっても、資格の有無や職場によって仕事内容が大きく違います。どのような仕事であっても、自分に合った働き方を見つけることが大切です。仕事は人生のなかでも、とても多くの時間を占めています。
より豊かな人生を送るためには、自分が満足できる仕事を見つけてみましょう。
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参考
伊東 浩樹(理学療法士)
理学療法士として総合病院で経験を積んだ後、予防医療の知識等を広めていくためにNPO法人を設立。その後、社会福祉法人にて障がい部門の責任者や特別養護ホームの施設長として勤務。医療機関の設立や行政から依頼を受けての講演、大学、専門学校等での講師なども勤める。
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