仕事で明石に行った時、少しだけ時間があったので、いっちょ、明石焼を食べることにした。
明石焼は、明石駅の南側、魚の棚商店街周辺にいくつもの店がある。
専門店もあれば、他のものと一緒に売っている店、中には喫茶店もあるのよね。
今回は、魚の棚商店街の中にある
「よこ井」だ。
時間が中途半端だったので、客はC級呑兵衛1人だった。
入口の焼きスペースを横目に、奥の店内へと進み腰をかける。
おかあさんが1人、水を入れてくれるまでは良かったんだけど、
そのまま、注文を聞かれることもなく、入口の方に行ってしまった。
早速、焼きに行ってくれたようだ。
店内を見回すと、ほー「明石焼とタコ焼とのちがい」ですか。
中の具や、鍋などはフンフンと思ってみてたんだけど、
「ん?つめたい汁で冷やして食べる?」当店の明石焼は、冷えた方が美味しくなります、とも書いてあるな。
明石焼が出来て、テーブルに持ってきてもらった時に、
「つめたい汁で食べるのって初めて聞いたんですけど」と尋ねると、
そこからのおかあさんは、半分呆れ疲れたような話しぶりで語りだした。
「何故、ダシがいるか分かりますか?」、そう始まった。
そもそも玉子焼なので、そのまま食べるものであって、
それでも、熱い明石焼を、やけどしないで食べることが出来るようにと、冷たいダシで冷まして食べられるようにした、のだそうだ。他の店では、熱い明石焼に熱いダシが出るけれど、それはおかしい、と話す。
もともと明石焼は、作りおきをして冷めたものを1個単位で売っていたそうな。
それが、店内でも食べられるようになると、当然、焼きたてを食べることになる。それが、現在の形式につながっているというわけだ。
「明石焼は明石で食べても東京で食べても同じもの。でも、他の店とうちは違う」と断言する。
専門店だからメニューがない、だから注文も聞かない。そういう経緯があるのね。
いやというほど、客から「明石焼とタコ焼とのちがい」を聞かれ、このパネルも作ったというが、
表面的な味や話題性だけでなく、昔から受け継いでいる明石焼、そのルーツや正確な理解をしてほしいようだ。
1人前500円。
もちろん、そのまま口に運ぶ。ふわっとしているんだけど、玉子焼という表現の通り、濃密な玉子の香りと食感が楽しめる。
「ん?これはお酢?」と思わせるその容器には、冷たい汁が入っていた。
こだわりを語ると止まらないおかあさんだったんだけど、
とっても優しくて、帰りには明石を楽しんでとマップや地元のフリー冊子を手渡してくれた。
■「行ってみたい」とふと思った人へ
店名:よこ井
場所:
明石市本町1-1-13時間:10:00~17:30 木休(祝日の場合は営業)
電話:078-913-0068