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三菱重工、NTT Com、NECネッツエスアイの3社、既存データセンターにおける二相式ダイレクトチップ冷却を使った実証検証を開始
2024年11月22日 06:30
三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)、NECネッツエスアイ株式会社の3社は20日、二相式ダイレクトチップ冷却を搭載した高性能サーバーを稼働中のデータセンターに導入し、既存設備を大幅改造することなく、データセンターの冷却能力を高める実証検証を12月に開始すると発表した。
実証は、三菱重工の二相式ダイレクトチップ冷却を使ったデータセンターへの導入が、東京都産業労働局よりGX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業に採択されたことを受け、実施する。この実証により、サーバー電力の省エネ化と、既存データセンターの設備活用によるCO2排出低減を目指すとしている。
3社は、生成AIなどの普及に伴い、GPUなどの高性能なプロセッサーの利用が増加している一方、消費電力が大きく発熱量が高いため、設備の増強が必要となっていると説明。こうしたプロセッサーを搭載した高性能サーバーに対応するため、新設のデータセンターでは最新の冷却ソリューションを採用できるが、既設のデータセンターでは、既存設備の入れ替えが必要となり設備投資の増大が課題となっているという。
こうした課題に対して、既設データセンターにおいて、既存設備を有効活用することで設備投資を圧縮し、消費電力を削減しながら、高発熱サーバーの冷却に対応するソリューションの開発に向けた実証を行う。
実証は、NTT Comの東京都内にある稼働中の空冷式データセンターで、三菱重工が提供する二相式ダイレクトチップ冷却を使用し、高性能サーバーの冷却を実施する。二相式ダイレクトチップ冷却では、サーバー内部のプロセッサー上のコールドプレートに水ではない絶縁性冷媒を二相式(液体/気体)で循環させ、冷却を行う。水を使用しないため万が一サーバー内冷媒漏えいが起きても故障の心配がない。また、二相式によりプロセッサーの熱を効率的に排出し、自律制御による冷媒循環で電力効率を高める。
また、NECネッツエスアイは、IT機器の構築およびサーバー稼働の実証を、三菱重工とともに実施する。実証により、従来型の空冷データセンターにこの二相式ダイレクトチップ冷却を適用することで、稼働中のデータセンターへ既存設備を大幅改造することなく、高性能サーバーの導入を実現する。実証により、既存設備を有効活用することで、高発熱サーバー需要に対応したサービスを検討し、GXに資する製品とサービスの社会実装を目指す。
プロジェクトでは、三菱重工がプロジェクト統括、二相式ダイレクトチップ冷却の提供および実証を担当。NTT Comがデータセンターサービスの提供、NECネッツエスアイがサーバー調達、IT負荷・保守性検証をそれぞれ担当する。
三菱重工グループは、将来的な市場の伸長が予想されるAIデータセンターに対し、高い信頼性と高効率の電源・冷却システム・監視システム、統合制御をワンストップで提供し、カーボンニュートラル社会の実現と地球環境保全に貢献していくとしている。
NTT Comは、持続可能な社会を実現するため、二相式ダイレクトチップ冷却を活用したソリューションに加えて、新しい通信ネットワークのIOWN APNや、液冷方式のサーバー機器に対応したコロケーションサービスである、Green Nexcenterの提供を進めていく。グリーンICTを活用して、生成AIや高性能GPUといった顧客のニーズに応えていくとしている。
NECネッツエスアイは、同社の強みである総合的なSI力を生かし、カーボンニュートラルに寄与する次世代データセンター向けソリューションの展開、サポートを通じて、地球環境保全に貢献していくとしている。