研修その後

会社は10年ちょいで退職して高校教員になりました。物理・化学・数学・電気基礎などを教えていました。「など」というのは他にも科目を教えていたからです。ちなみに当方の教員免許は取得時工業一級でしたので,物理や化学は一時的な臨時免許を出してもらって教えていました。正規採用されてから半分数学も教えましたが,そちらはなぜか臨免は必要なかった様です。

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ともあれ,ここからの話は社員研修ではなく当時始まった教員の新任者研修です。
当時は,教員の世界は閉じていて「新卒者でもすぐに先生と呼ばれていてケシカラン」という風潮もあったのでしょう。だから新任者には研修が必要だと。お陰で民間経験の長い私なども採用していただいたのでしょう。教職員組合は新任者研修に反対していました。週1日ツブして研修させるのは時間のムダ,現場で経験積んだほうが良いと。まあどちらも言い分があります。かつて私がいた会社なら,しっかり働かせた上で研修は無給扱いで休日か夜にやったことでしょうが,流石に教員にそんなあからさまなブラックな事はさせられなかったのでしょう。当方は通勤時間も食っていましたし,それだけでもありがたい事でした。

毎週繰り返される新任者研修は,1日ツブしてリフレッシュさせてもらっている風情でした。その日はいつもと逆にクルマを走らせました。新任者研修は当時法律改正により義務付けられたもので,実施する側も試行錯誤だったのではないでしょうか。


以下にネットのAIによる高校の新任者研修の説明を置いておきます。

高校教員の新任者研修は、教育公務員特例法に基づいて行われる研修で、採用日から1年間、教諭の職務に必要な実践的な研修を受けることが義務付けられています。

初任者研修では、学級や教科・科目を担当しながら、校内と校外で研修を行います。
校内研修は、指導教員を中心とした指導や助言による研修で、週5時間程度、年間150時間程度実施されます。このうち、年間100時間は授業研修、年間50時間は一般研修です。

校外研修は、教育センター等で実施され、週1日程度、少なくとも30日程度受けています。
研修の目的は、新任教員に実践的指導力と使命感を養わせるとともに、幅広い知見を習得させることです。研修を通して、教員としての心構えや幅広い知見、実践的な指導力を養っていきます。



高校の研修では感じられませんでしたが,おそらく研修ビジネスの様なものがあったのではないかと思います。民間企業にはR社のものが有名で,それらの研修には三文字の英文字が当てられ,最後の文字は"Development"のDでした。小中高の教員に初任者研修などを受けさせる他,大学等の教員にはFD; Faculty Developmentなるものが出てきました。これの出席は法的義務でもないのか医学部の教授さんとかは見かけませんでした。「何とかに関する研修」と言うものに行くと,「今なぜ何とか?」と。おいおいそれに関する研修に来たのに。訳わからないままグループディスカッションをさせられたり。どうもテーマの中身に関する研修ではなくてその研修をやることに意味があったのでしょう。

それと相前後してだったか,悪名高い教員免許更新制がスタートしました。更新制度などなかった教員免許を有効期限を付け,教員たちに手弁当・自己負担で研修を受けさせるわけです。いわば私が経験した会社のブラック研修みたいなものだったわけです。ちなみに研修を受けなかった当方の教員免許は失効しましたが,すでに高校教員は辞めていたのでセーフでした。


「公務員はけしからん,民間を見習え」みたいな風潮がありましたので,両方経験した当方から言わせてもらえば,何も民間のアホなところを見習う必要もないのにと思いましたが,残念ながらそういう事をしてしまった様です。

良いとこどりを出来ればいいとは思いますが,必ずしもそうはなりません。他方に対する無知のせいでしょう。昨今の「働き方改革」。多少無理しても納期はきちんと守るというアタリマエの事が失われつつあるのではないかと危惧します。むろん働きすぎは良くありませんが,それならば真に必要な仕事だけに注力し,重要な仕事であっても時間効率化を図らなければなりません。それなしに時間だけ切ったら。。。GDPが下がるのもムリはありません。

昨今の不都合は,「民間はこうだ。」「公務員はこうだ」と,過剰一般化もしくは思考停止した単純化でマズい政策をゴリ押した結果ではないかと考えます。


新任者研修の中身を書こうと思いましたが,ついつい余計な事を書いてしまい,中身を付け足すのも収まりが悪いので記事を改めることにします。

この記事へのコメント

  • kazg

    「何も民間のアホなところを見習う必要もないのに」
    直接体験してはいませんが,人づてに聞いている情報と思い合わせても、全くおっしゃるとおりと思います。一方で,自主研修(職場内でも、職場の外で、休日に、手弁当でやる場合もありましたが)は、以前の方がよほど盛んで、官製研修より比べものにならないくらいためになりましたが、だんだんと下火になりました。直接の妨害だけでなく、忙しすぎてそれどころでなくなった面もありそうです。
    2024年10月28日 14:49
  • Enrique

    kazgさん,
    当方の想像ですが,官製の「民間見習え研修」だったのではないかと思います。毎週1日つぶしての研修でしたから,休日や夜に無給でやるブラック研修では無くその点は助かりましたが,後の教員免許更新制の研修はブラックでしたね。させられる側はもちろん,大学のする側も大変だったと思います。一種のいじめ合い研修だったと思います。
    官製の研修はそうやってやっても,自主研修は業務が忙しすぎてやれないでしょうね。民間は無茶苦茶忙しかったですが,それが公務員の世界にも伝播してしまいました。
    2024年10月28日 18:06