ITベンチャー社長のTwitter活用戦術について - chokudaiのブログ

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ITベンチャー社長のTwitter活用戦術について

主語がちょっと大きいですが、せっかく話題になったので、自分のTwitterに対する戦術・考え方を書いていきたいと思います。

あんまりこういう戦略を書くものでもないと思ってはいるものの、色々誤解されてるよりは、考えを把握してもらえた方がまだ理解が得やすいかなあ、ということで。興味がある方だけどうぞ。

 

前提

  • BtoCの要素があるサービスを運営している
  • サービス内容が理解されづらい
  • お金がそんなにない

サービスを使ってもらうには?

何かサービスを作ったとして、それを多くの人に使ってもらうにはどうしたら良いでしょうか?

一般的な戦略は、

  • 興味を持ちそうな母集団に対して広告を打つ
  • 広告を見て興味を持った人に使ってもらう

みたいな流れになります。ただ、これにはいくつか欠点があり、

  • 広告を打つのはかなりお金がかかり、ベンチャーには辛い
  • 知るだけで興味を持ってもらいやすいコンテンツであれば単なるWeb広告でも良いが、そうでない場合は別の仕掛けが必要

ということがあり、単なる広告が刺さりにくいです。弊社の場合は、「プログラミングコンテストに参加しよう!」って広告があったとして、参加してくれる人がどれだけいますか?と言うと、正直ほぼいないと思います。

口コミを発生させるTwitter

ここで僕が選んだ方法が、Twitterを使ったマーケティングです。厳密には、口コミを使ったマーケティング、という形になるのかな?と思います。

画像一枚で「面白そう!やってみたい!」って思ってもらうのが無理なのであれば、動画、もしくは直接のコミュニケーションくらいしかないです。

となった時に、サービスに引き込むためには、「知っている人が直接布教する」ということが必要になるわけです。ただ、競技人数がそんなに多くないサービスでは、有力な布教者がそんなにいない。そこで、社長が広告塔になるわけです。

当然ここは、「社長」ではなく「会社の広報アカウント」でも構わないです。多くの企業はそれを採用しています。ただ、それが使えるのは、「みんなが知っている企業の広報アカウント」だからであって、「謎のサービスの広報アカウント」なんて誰もフォローしません。無名ベンチャーであれば、せめて社長って肩書を付けて多少は人間自体に興味を持ってもらう方がマシかなー?と個人的には考えてます。

自分の場合は、国際大会の入賞実績、連載などの執筆実績があるので、この点はちょっと楽でした。人に興味を持ってもらうのであれば、当然これまで為してきた事がかなり影響します。

サービスに人を引き込むツイートとは?

さて、そういうことでTwitterで直接マーケティングをしていくわけですが、そのサービスに関連することだけ呟けば良いでしょうか?

これなんですが、答えはNOだと僕は思ってます。理由は簡単で、そのサービスの周辺に関するツイートをしても、そのサービスにもともと興味がある人しか反応しないからです。となった時に、Twitterで新規ユーザを獲得するために大切なのは、そのサービスに興味のないフォロワーを獲得することです。

そして、その流れで獲得したフォロワーに対して、サービスの内容をツイートして、継続的に読ませることにより、フォロー後数週間~数ヶ月で参加させる、という流れを目指しました。

実際、この試みはそれなりに成功していて、「chokudaiさん経由で競プロを知りました。フォローした時はプログラミングしてなかったんですが、面白そうだったので始めてみました!」みたいな人は相当数います。

単純にフォロワーを増やすだけなら、大衆受けをするツイートだけを狙ってツイートすべきです。ですが今回作りたいのは、発信したいものを発信出来るアカウントなので、そうしたツイート内容を極端に制限したアカウントの作り方は相性がよくありません。

ツイートの話題選び

AtCoderの現在のメインターゲットは大学生です。なので、大学生とか高校生に受けるネタ、かつ、AtCoderに合いそうな感じのテーマで呟くのを狙ってます。ただ、あくまでも「最初は発信者に興味を持ってもらう」という戦略なので、「興味のない分野を勉強する」などは基本的にせず、興味を持った範囲で受けそうな話をする、というのが基本戦術になってます。

Twitterで受けるネタの大半が時事ネタだと思ってます。ニュースがあればそのニュースで大喜利を始めるのがTwitterです。これに反応できないと話にならないし、これを自分のフィールドで調理出来るかが一番大切です。

性の絡む話題の選択について

これも取り扱いがめちゃめちゃ難しいです。程度が色々あって、女性がたくさん出てくるソーシャルゲームの話もあれば、露骨な下ネタもあり、なんともいえないです。個人的なボーダーラインとして、ゲーム周りは年齢制限がついてなければ全然ツイートしても良いと思ってるし、それを越えるラインであれば、何かしらの理由付けがない限りはツイートするべきではないかな?と思ってます。

例えばこのあたりとかは、一般的に社長がツイートしていたら、「常識がない」と言われるツイートかなぁ、と思います。

 一応、自分の判断基準として、「直接迷惑する女性が存在しない(いるにしてもツイート許可を取る)」、「ハラスメントと言われにくい」、「ちゃんとネタとして面白い」の3つを満たしていれば投稿しちゃう、みたいなスタンスを取ってるつもりです。そうじゃないただの欲望垂れ流しの下ネタとかは気持ち悪いだけなので……。

このツイートでchokudaiを知って競プロを始めた、という人を二桁知っているので、こんなツイートでも新規ユーザ獲得にはかなり繋がります。すでにサービスを利用してるユーザからすると「何いってんだこいつ」ってなるものではありますが、新規ユーザ獲得にはかなり役立ってるんです。

ただまぁ、この辺りのツイートを現時点でするべきか、って言われると、正直かなり微妙です。このあたりは、後述の「役割の変化」で書きます。

広報専用アカウント

さて、今まで新規ユーザについての話ばかりしていますが、新規ユーザはそのうち新規ではなくなり、常連ユーザになります。常連のコアユーザーになると、欲しい情報は社長のネタツイートではなく、サービス自体の情報のみとなります。もちろん、社長をずっと好きで居てくれたらありがたいのですが、人は寄ってきたり離れたりするもので、「昔は好きだったけど最近はちょっと……」というのはどんな人でもなります。他にも、流入経路が違うのに、公式情報を得るために、社長のよくわからないツイートを見せられるのは苦痛です。

こうなった時に出てくるのが、広報専用アカウントです。サービスに関する告知はそこから先行して出し、社長アカウントからは、そのツイートのRT/引用で情報発信をすることにより、公式のサービス情報だけを見たい人は、そこから見られる、という形にするわけです。

 

この体制をちゃんと確立したのが弊社は1年くらい前からで、それまでは社長アカウントで普通に情報発信したりしていたので、ちょっと既存ユーザに申し訳ないことをしてたなあ、とは思ってます。最近はこれがかなり徹底されていて、初出しの重要な情報は@atcoderから必ず出しているので、不便することはないと考えています。

(もちろん、社内の状況とか、どういう経緯かとかが気になる場合は@chokudaiを見る必要があるんだけど、それはもうサービスじゃなくて個人の営業とかの話になるので、会社公式から出すのは不適切だし、サービス利用にはいらない情報かなあ、と認識しています。)

繰り返しツイートと告知ツイート

広報アカウントは、基本的に「告知」のみを行う方針でいます。というのも、広報アカウントは、通知をONにしてもらい、全ての発言に目を通してもらう構造にしたいからです。

ですが、例えば、「問題を解くためのアドバイス」なんてものは、常に需要があり、でも同じものは1度見れば十分だったりします。こうしたものは、広報アカウントで発信するのはせいぜい1回までで、それ以降は社長アカウントで定期的に呟くようにしています。曖昧な情報なんかも社長アカウントで呟くことが多いです。

この辺りを、どこまで広報アカウントで、どこまで個人のアカウントで発信するか、という線引は非常に難しいです。現状の線引は、多くのユーザに取って、「公式アカウントでの発信が少ない」と思われているっぽさがあり、このあたりの調整は難しいなあ、と感じています。

ただまぁ、広報アカウントでこれ以上に告知を増やすと、通知ONにするのが少し辛くなるので、となると準広報アカウントを作る……?とか色々検討しています。この辺りの良い仕組みが思いついたら誰かコメントを……。

エゴサとフォロー

サービス名でのエゴサはめちゃめちゃ重要です。まずサポートに不具合報告が来るよりも先にツイートされます。

新規ユーザの獲得にもめっちゃ重要です。興味がありそうな人にリプライを送れば、結構な確率で次回から参加してくれます。

物凄く正直な話、フォローの有無は、自分がツイートを見る/見ないにほぼ関係がないのですが、フォローをすることで「見ている」という印象を与えられるのか、好感が得やすくなる印象があります。

もちろん、サービス名などでエゴサしているので、ちゃんと言及されてたら見てるつもりですし、出来るだけいろんな意見を拾っているつもりです。届いてなさそうだったらリプライください><

段階ごとの役割の変化

サービスをやっていく上で、母集団の何%が参加してくれれば良いでしょうか?

1%が目標であれば、95%に嫌われても良いから、残り5%に好かれるような戦術を取っていくのが良いです。この目標が10%であれば、90%に嫌われていてはとても達成出来ません。

Twitterをする上で、賛否が分かれる内容は議論を生み、バズりやすい傾向にあります。ですが、50%の人が強く賛成、50%の人が強く反対するツイートを10回したら、それぞれを独立事象とすると、全部賛成の人は0.1%しか残りません。現実的には、思想が似る部分があるので、残るのは多くて10%くらいでしょう。

 

AtCoderは、これまでは、割と「多少嫌いな人が居ても、好きな人だけやれば良い」というサービスだったと思います。積極的に嫌われるような発言はしていないつもりですが、主張をする上で反対意見とぶつかることもあり、僕の事が嫌いな人は一定数いると思っています。

ですが、ユーザ数は爆発的に伸びており、「周りのみんながAtCoderをしている」という環境も増えてきました。

こうなると、 

  • そもそも社長を通じた口コミより、ユーザ同士の口コミの方が影響力が大きくなってくる
  • リスクを取った発信で嫌われるより、無難な発言で嫌われない方が良い。

ということで、これまでの戦術から転換する必要が出てくるわけです。もちろん、現状は未だに僕の発信経由で参入してくれるユーザ数は無視出来ない状態ですし、即座に変える、というわけではありません。ですが、緩やかに発言傾向を変えていくのが良いかなあ、と思ってます。

とはいえ、弊社のサービス内容的に、今度は「世の中の色々な認識を変える」ということが必要になってくるかな、と思っていますし、それにはある程度語調の強い発言がやはり必要になって来ちゃうかな?と思っています。世間のIT人材などの認識がかなり甘く、エンジニアにとって地獄のような待遇がたくさんあるので、そうした世の中を変えていかないと、ユーザが幸せになれる環境が増えず、ユーザ数の増加に追いつきません。その上で、これまでのツイートで培ってきた発信力は十分役立つと思っていますし、うまく転用出来ると良いなあ、と考えてます。

 

まとめ

多くの人は、「余計なことを言わないのが正解」と考えがちで、減点法で評価しがちですが、広報活動などでTwitterをする場合、どこで加点するか、というのを考えなければ、何も生み出さずに終わってしまいます。

どういうツイートをしたら、どういう加点があって、どういうリスクがあるか、というのは、広報活動でTwitterをする上で、めちゃめちゃ大切です。

面白いツイートを楽しく続けた上で、いろんな人を巻き込んでいくのが、Twitterの良い使い方だと個人的には思っています。

おまけ

女性が絡むネタ・オタク向けネタって本当に有効なの?

これがpaizaのサービス

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これがCodeIQ(昔存在した問題を解くサイト)の広告

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似たようなことをやっている他社さんの動向を見る限り、やっぱりこの辺は、人を引き込むネタとして強いんだと思ってます。ただ、ツイートのネタにはしても、サービスにこういった要素を組み込まない、という思想を今の所持っています。(他サービスが二次元女性を起用すること自体が悪いとは思っていません)

公私混同してないの?

してるかしてないかでいえば、してます。そりゃまぁ僕のアカウントで自社サービスを呟いてる時点で公私混同です。ただ言った通り、その公私混同こそが現戦略ですし、そうした戦略を取っている人間は少なくないので、そこを一概に否定するのはどうなのかな?とは思ってます。完全に分けるのが正義ではない、と個人的には思っています。

ツイート自体はかなり楽しくしています。ストレスなく継続出来る方法を取るのは、企業の経営上必須だと思いますし、この戦略を取る上で、「本人が楽しそう」というのはかなり大切な要素だと思ってます。

僕の最近のツイートについて

なんかあんまり面白いツイートが出来てないな、とはちょっと思ってます。反省。経営自体は順調なものの、運用面で一部うまく回っていない点はあり(作問ペース、いろんな周知等)、少し言い訳がましくなってるかなぁ、とは思ってます。運営視点だと、「お金とリソースがあれば出来るけど無理なんだよお!」とか「日本人全員連れてきても無理だよう!!」とかそういう感じの気持ちはあるんですが、そんなんユーザからしたら知ったこっちゃないので、期待に答えられるようにがんばります><

結局、叩かれる、叩かれないって、話すテーマにもよるんだけど、面白い/面白くないで受け入れられる/受け入れられないが変わるものだと思ってます。面白くないから社長としてふさわしくない。それだけだと思ってます。いわゆる「軽率」って呼ばれるツイートは、「面白さ」よりも先に「不快感」が来るものだと思っていて、これは単純に能力・努力不足です。

そもそも競プロ布教するのにコンテストに出てないのが良くないよなあ、と思いつつ、ABCは閲覧権限があるから出れないし、ARCは大体企業コンだから出れないし、AGCは最近日程が合わず……ぐぬぬ……コンテストがたくさん欲しいと叫ぶユーザの気持ちがよく分かる……><

AtCoderが好きだが、僕の発信スタイルが嫌いな人へ

正直申し訳ないなあと思いつつ、いろんなことを総合的に考えると、自分にできるスタイルはこれしかないと思ってます。申し訳ないです。

競プロサイトは多数あるものの、AtCoderで提供しているものがオンリーワンになっている自信はあるし、AtCoderに参加する上で、めっちゃ目障り、みたいになってたら凄い幸福度下がりそうだし物凄く申し訳ない……。

まず、コンテストに参加する上で、社長の発信を見る必要はないようになっているので、ブロックしてください。ブロックした上でAtCoderを楽しんでもらえると嬉しいです。社長が嫌いでもサービスは使えますし、悪口をぐちぐち言われたらそりゃ不快ですけど、さくっとブロックしてくれたら、見つけたとしても、ちゃんと自己防衛してて偉いなって思います。

それでもダメならyukicoderや、海外サイトのCodeforcesなどを楽しんでもらえると……。

触れないで良い話に触れているのはなんで?

良い意見・悪い意見を両方見ている、というのはきちんと発信するべきだと考えています。肯定的意見しか反応されない状況というのはやっぱり良くないので。

とはいえ、攻撃的/批判的な意見に反応をすると、それについて他の方々が攻撃しに行ってしまうことはあるので、出来るだけ空中リプライで、言われた内容に対して、言葉を変えて要約して状況を説明しつつ、相手を特定しづらいように反応しています。だから相当回りくどい感じになってるかも。

副社長のツイート内容について

一部で言及があったので。

自分はいつもはツイート検索からTL見ているので、彼のツイートを全然見ていなかったのですが、先程確認したら、確かにちょっと不用意に攻撃し過ぎかなあ、というものは確かに存在するように見えます。ちょっといくつか確認をした上で、週明けに話し合ってみようと思ってます。