入居者からのクレームにはどう対応すべきか | 賃貸の森

入居者からのクレームにはどう対応すべきか

不動産経営をするにあたって、入居者が過ごしやすい環境を整えることは大切です。入居者の満足度が高まれば、継続的な入居につながり、より安定した収益化が可能になります。

しかし、時にはうまくいかず、入居者からクレームが出ることもあるでしょう。クレームは頭を悩ませるものですが、うまく対応できれば入居者の信頼を勝ち取ることも可能です。今回は、入居者からのクレームの対応方法について解説します。

 

表に出てくる不満は10分の1だと心がけよう

まずは、クレーム対応について意識すべき点です。「表に出てくる不満は10分の1」ということを心がけましょう。これは本当に正しいのでしょうか。

この点について、自らがクレームを出す側に立って考えてみましょう。自分が購入した商品やサービスに何か不具合や不満点があった場合、みなさんはクレームを出しますか?もちろん、利用できないレベルの不具合があれば、事実を説明し、製品の交換や返金対応をしてもらうのは当然でしょう。

しかし、そこまでいかない軽微な不具合の場合、不満を飲み込んでいる方も多いのではないでしょうか。面倒・時間がない・クレーマーだと思われたらどうしよう、などさまざまな考えが浮かび、実際にクレームを出すまでいかない方も多いはずです。

つまり、1人クレームを出す方がいるということは、潜在的に10人程度不満を抱えている方がいる可能性があるということなのです。10人中9人は、不満を持ちながら、それを告げることなく生活している可能性が高いです。そういった方は、不満が解消されなければ、何も告げることなく退去してしまいます。不満の原因を取り除けていないため、次の入居者も同様の不満を抱える可能性があり、退去の悪循環につながってしまうかもしれません。

「表に出てくる不満は10分の1」ということを徹底的に理解し、ひとつクレームがあったら他にもクレームがあるのではないか、といった意識で入居者と接することが大切です。

クレームを待たずに入居者に問い合わせることも大切

上記の点を踏まえると、クレームは実際に出されてから対応していたのでは遅いといえます。潜在的な不満を抱えている入居者に対応できないためです。しかし、多くの大家さんが勘違いしています。「うちは管理会社が巡回してくれているから大丈夫」と。

一方で、よくあるクレームのひとつである「騒音トラブル」は、多くの場合夜間に発生します。これは、昼間の管理会社による巡回では対応できません。また、排水設備の故障・機器の不調などは、居室内で発生するものであり、管理会社の巡回で発見できるものではありません。管理会社が巡回しているから大丈夫という考えは、今すぐ捨て去りましょう。

管理会社がしっかりと対応していても、物件のすべてを把握することは難しいでしょう。そこで、大家さんが入居者へ不満を直接訪ねることが大切になります。たとえば、台風が過ぎ去った後には、「何か壊れた設備はありませんか?」や、普段から「何かお困りのことはありませんか?」と定期的に声掛けをし、いざという時に不満を伝えやすい環境を作るのです。そうすることで、不満がクレームとなる前に拾い上げることができます。

 

3大クレームとは何か?

入居者からクレームには、とくに多いといわれる「3大クレーム」が存在します。ここでは、3大クレームの内容とそれぞれの対処法についてご紹介します。

騒音クレーム

3大クレームのひとつめが「騒音クレーム」です。もっともクレームにつながるケースが多いトラブルですが、対応が難しいのが実情です。音の聞こえ方は人によって大きく異なります。他の方にとっては普通の音でも、特定の方が「うるさい」と感じる可能性もあるのです。

騒音に関するクレームが入ったら、まずは事実関係を確認しましょう。たとえば、202号室について201号室の住人からクレームが入った場合、203号室や階下の102号室へヒアリングを行います。すべての住人が「うるさい」と感じているなら、202号室への注意は必要ですが、それ以外のケースはどちらか一方の意見のみを聞くことがないようにしましょう。

また、クレームに関する注意喚起を行う場合は、該当のお部屋以外にも行うと効果的です。「みなさんへ」といった形で出すと、該当のお部屋の入居者に不快な思いを与えずに済みます。

設備不良に関するクレーム

次がエアコンや給湯器など、設備不良に関するクレームです。「エアコンの冷風が出ない」「電気がつかない」「オートロックが閉まらない」など、さまざまなバリエーションがあります。

クレームのなかには、実際には壊れておらず、使い方が間違っているケースも含まれています。故障の場合は、どこがどのように壊れたのかを聞き取り、今後の対応を正確に伝えましょう。使い方が間違っている場合は、あくまで入居者の話を聞いたうえで、「このボタンを押してみてはいかがでしょうか」のように、相手に行動をうながすのがおすすめです。

ゴミ関連のクレーム

最後はゴミ関連のクレームです。ゴミは地域によって分別方法や出し方が異なるため、新しい入居者が間違えてしまうこともあるようです。単純なミスの場合、該当者へ軽く注意する程度でトラブルにはならないでしょう。

また、ごみに関するクレームは、同じ建物の住人だけでなく、近隣住民から寄せられることもあります。場合によっては、ごみの回収業者から連絡がくることもあるでしょう。その物件の入居者が住みにくくならないよう、迅速に対応することが求められてます。

 

クレーム対応の6か条

クレームは、適切に対応しないと、さらなるクレームやクレーマーへとつながりかねません。そこで、クレーム対応の際に意識すべきポイントを6か条としてご紹介します。

  • 丁寧かつ正しい対応を心がける
  • 入居者に生じた問題を詳しく聞く
  • 納得できない理由や入居者の求めるものを聞き出す
  • 納得できないことに対して適切な対応を行う
  • 理不尽な要求・クレームに対応する
  • 必要であれば法的対応に関する説明を行う

クレームには、根拠がある正しい主張もあれば、言いがかりに近いものも存在します。しかし、正しい言い分ではなかったとしても、相手の主張を聞き、納得できない点についてこちらの対応を説明することで納得してもらえる可能性もあります。法的対応の可能性に触れるのは、最後の手段として理解しておきましょう。

また、クレーム対応するか否かの基準については、大家さんやオーナーごとに設けていることも多いです。ただ、新しく基準を作ろうとする場合は、緊急性の高さを考えるのがおすすめです。

たとえば、「電気がつかない」「水が出ない」といったクレームは、住居としての基本的な性能を満たしていないことになり、万が一対応が遅れてしまうと別途慰謝料を請求される可能性や、家賃の減額請求をされる可能性があります。緊急性の高いクレームについては、さらなるトラブルに発展するのを防ぐためにも、迅速に対応しましょう。

 

まとめ

不動産経営を行ううえで、入居者からクレームは避けられません。とくに、マンションやアパートといった複数住居を抱えると、その可能性はより高くなります。トラブルに発展してしまうと、今後入居者が現れにくくなる可能性も考えられます。緊急性をもとに対応順を決め、適切かつ迅速にクレーム対応を行いましょう。クレームをうまく処理することができれば、大家さんに対する入居者の信頼度アップにもつながります。

 

 

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