武蔵国の守護神 【武蔵国府八幡宮】
2023.02.22
去年10月の「十二社熊野神社」の記事で参照した「大正末期の京王線沿線案内」というポスターは当時の沿線観光案内で、多くの寺社仏閣が掲載されている。
その中に「八幡神社」というのがあり、たまたま近くを通ったのでお参りすることにした。
八幡神社とは「武蔵国府八幡宮(府中八幡宮)」のこと。
沿線案内には「八幡前」という駅も記載されており、駅名になるくらいだからさぞかし立派な神社だろうと思いきや、こぢんまりした社殿(本殿または拝殿)で、木々に囲まれひっそり鎮座まします。
ちなみに八幡前駅は廃駅となって現存しない。(こちらを参照)

旧甲州街道に北面する一ノ鳥居

一ノ鳥居から続く参道

京王競馬場線の踏切と二ノ鳥居

二ノ鳥居と神門

神門は2010年に大國魂神社より移築された
“国府”(府中ともいう)とは、奈良~平安時代に地方政務機関“国衙”の置かれた都市で、現在の県庁所在地みたいなもの。
国府八幡宮とは文字どおり国衙の鎮守として国府に創建された八幡宮を指し、当社「武蔵国府八幡宮」は武蔵国の守護神として建立されたものである。
江戸の地誌『江戸名所図会』にも記載がある。


斎藤幸雄 [等著] ほか『江戸名所図会』第2, 有朋堂書店, 昭2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1174144 (参照 2023-02-24)
――府中六所宮の末社にして、甲州街道八幡宿の道より左にあり。(中略)相伝ふ、聖武天皇の御宇、日域の国々に勧請し、営宮する所のもの皆これ八幡村の八幡宮といふ。多くは総社神祠の近きにあり。当社も古は本社礼殿並び建て、荘厳蕩々たり。其後は漸く衰弊に逮び、今は即ち茅宮の小社なり。
江戸時代にはすでに“衰弊”した“小社”で、“府中六所宮の末社”となっていたわけである。

“六所宮”とは「大國魂神社」のこと。
――第45代聖武天皇の御代に、各国に一国一社の八幡として創立された社であると伝えられている。京都の石清水八幡宮が皇城の守護神であるように、諸国にある八幡宮もその国府の守護神として建立されたため、此処の八幡宮は西向きになっている。(大國魂神社HP「国府八幡宮」)

三ノ鳥居で90度東に向き直る

向き直った正面に拝殿
各地の国府八幡宮は、国府の鎮守と伝わるものと国分寺の鎮守と伝わるものがあり、両者が混同されているとみられている。
武蔵国では国分寺の鎮守と考えられるものに国分寺市西元町の八幡神社があり、両者が明確に分かれている例外的なケースとされる。(こちらを参照)

[DATA]
武蔵国府八幡宮
東京都府中市八幡町2-33
[Today's recommendation]

https://youtu.be/RswU079wqwo


去年10月の「十二社熊野神社」の記事で参照した「大正末期の京王線沿線案内」というポスターは当時の沿線観光案内で、多くの寺社仏閣が掲載されている。
その中に「八幡神社」というのがあり、たまたま近くを通ったのでお参りすることにした。
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八幡神社とは「武蔵国府八幡宮(府中八幡宮)」のこと。
沿線案内には「八幡前」という駅も記載されており、駅名になるくらいだからさぞかし立派な神社だろうと思いきや、こぢんまりした社殿(本殿または拝殿)で、木々に囲まれひっそり鎮座まします。
ちなみに八幡前駅は廃駅となって現存しない。(こちらを参照)

旧甲州街道に北面する一ノ鳥居

一ノ鳥居から続く参道

京王競馬場線の踏切と二ノ鳥居

二ノ鳥居と神門

神門は2010年に大國魂神社より移築された
“国府”(府中ともいう)とは、奈良~平安時代に地方政務機関“国衙”の置かれた都市で、現在の県庁所在地みたいなもの。
国府八幡宮とは文字どおり国衙の鎮守として国府に創建された八幡宮を指し、当社「武蔵国府八幡宮」は武蔵国の守護神として建立されたものである。
江戸の地誌『江戸名所図会』にも記載がある。


斎藤幸雄 [等著] ほか『江戸名所図会』第2, 有朋堂書店, 昭2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1174144 (参照 2023-02-24)
――府中六所宮の末社にして、甲州街道八幡宿の道より左にあり。(中略)相伝ふ、聖武天皇の御宇、日域の国々に勧請し、営宮する所のもの皆これ八幡村の八幡宮といふ。多くは総社神祠の近きにあり。当社も古は本社礼殿並び建て、荘厳蕩々たり。其後は漸く衰弊に逮び、今は即ち茅宮の小社なり。
江戸時代にはすでに“衰弊”した“小社”で、“府中六所宮の末社”となっていたわけである。

“六所宮”とは「大國魂神社」のこと。
――第45代聖武天皇の御代に、各国に一国一社の八幡として創立された社であると伝えられている。京都の石清水八幡宮が皇城の守護神であるように、諸国にある八幡宮もその国府の守護神として建立されたため、此処の八幡宮は西向きになっている。(大國魂神社HP「国府八幡宮」)

三ノ鳥居で90度東に向き直る

向き直った正面に拝殿
各地の国府八幡宮は、国府の鎮守と伝わるものと国分寺の鎮守と伝わるものがあり、両者が混同されているとみられている。
武蔵国では国分寺の鎮守と考えられるものに国分寺市西元町の八幡神社があり、両者が明確に分かれている例外的なケースとされる。(こちらを参照)

[DATA]
武蔵国府八幡宮
東京都府中市八幡町2-33
[Today's recommendation]

https://youtu.be/RswU079wqwo


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