W富士から、知る人ぞ知る焼き肉+αな名店へ 【あらはた】
2020.01.05
久米水天宮の御縁日には参道に50近く? いや、もっと…? というくらい多くの出店が並ぶが、たった1日の営業であっても狭い坂道を運んで設営する労力をもいとわないほどに売れる… ということだろう。
前記事にも書いたが、このあたりには飲食店も小売店もほとんどないので、正月気分&年に一度のお祭りですっかり財布のひもの緩んでいるおびただしい数の参拝客のつぎ込み先は… という需要供給バランスになっている。
屋台の焼きそばや広島風お好み焼きもいいが、綿密な計画性に基づいて行動する自分としては昼食のお店もきっちりスケジューリングされているわけで v ( ̄▽ ̄) オーケ
水天宮のある鳩峰の丘陵を神社の裏手側に下ったあたりにある、知る人ぞ知る焼き肉屋さん「あらはた」。
行ってみたら“準備中”の札 ヾ(ー ー ) ォィ
Googleのナレッジグラフによれば11:30開店。
あと20分ほどあり、この際せっかくだから富士山に行こうということになった。
鳩峰の隣の丘の上に“富士山”がある。
「荒幡富士」は人工の富士山、いわゆる富士塚である。
所沢市のHPによれば、1899(明治32)年完成。
僕の見てきた富士塚では最大規模のもので、なかなか存在感があるのでしばしば訪れているのだ。
山頂からは特に南~西の眺望が開け、今日は本物の富士山がきれいに見えている。
富士山頂から富士山を拝む。正月早々縁起よさげな眺めである。
一緒に山頂にいたおばちゃんが、「『掬水亭』じゃまくさいわね」と。
まったくだ。
さて、荒幡の丘陵を下って再び「あらはた」へ。
このあたりは最近あまり通らなくなったが、20年ほど前に初めて見たとき、「あらはた」はすでに懐かし系雰囲気を漂わせていた。
1970~80年代にはやったドライブイン型焼き肉バイキング店を思わせるものがあり、いい感じなだけに「惜しい…」と。文字も読み取れないほど色あせた看板とあたりの人けのなさに、とうていやっているようには思えない。郊外によくある、やめてほったらかしになった物件かと思ったのだ。「実に惜しい」と。
現役のお店であることに気づくまでにしばらくかかった。
去年、車で入間方面へ向かう途中に通ったら、のぼりが出ている。
「まだやってるんだ。これは絶対入らなければ」と思っていた。
でもやっぱり、ひっそり静まり返り、やっているようには見えないのである (-"- ; A
階段を上っておそるおそる入り口に近づくと、さっき“準備中”だった札が“営業中”に OK!!( ̄▽ ̄)δ
扉を開くと、そこには温かな食べ物と賑やかな人々の気配が。
あまりに自然に活気のある料理店だったので、こちらが戸惑ってしまうほど。家族そろいの客が多く、地元によく根着いていることがわかる。
店内は中央の通路を挟んで両側が座敷になっている。左側の座敷の襖の向こうにも客間があるように見え、キャパはかなり大きそう。
メニュー帳には“ご宴会、ご法事、ご会食に50~60名様くらいまでのご予約を承っております”とある。
おもしろいのが、予約は日本料理、釜飯、焼き肉の3コースあること。業態の垣根の高そうな多角化路線であるが、さらに興味深いことに、のぼり等から僕が抱いていたこちらのイメージが“焼き肉&ラーメンの二枚看板”。
フトコロが深そうで、なんともワクワクさせられるお店なのである。
靴を脱いで座敷に上がるとすっかりくつろいでしまった。
はじめテキトーに済まそうという様子だった相方も、席に落ち着けば感じるところもあったらしく、「ここはちゃんと焼こう」となった。で、1品目はUSカルビセット890円。
もう1品は、当初のイメージどおり“お昼のラーメンセット”から、ミニビビンバと味噌のセット880円。
焼き肉のセットは、ご飯とみそ汁のほかにサラダ、キムチが付く。ラーメン・ビビンバセットにもサラダとお新香。このずらっと並んだセット、合わせて1770円(税込み)と、おそろしくコスパ良好である。
カルビは、カットは小さめだが厚みがある。サシはあっさりめで下味もくどさがないので、肉そのものを味わうという感じ。
味噌ラーメンはつるっとした中太ストレート麺にすっきりしたみそ味がなんとも懐かしく、やはり昭和の終わりころにはやったロードサイド型ラーメン店が思い浮かぶようだ。
ビビンバのナムルはゼンマイをはじめ素材の味が生きる本格派。
内装が焼き肉店としてはだいぶ趣がある。
柱や梁がいい感じに古びていて、座った横の壁に触れると漆喰。
かつて昭和の家屋によくあった、電気の配線が柱にはっているところや変色したスイッチが郷愁を誘う。
若主人風の方に相方が「漆喰の壁がいいですね」と話すと、なんとご自分で塗られたとのこと。
包丁使いと鏝の扱いは共通するところがあるそうだ。
「ペンキを塗ったり、いろいろ自分で直すのが好きでして…」
好きという言葉をこれほど気持ちよく聞けたのは久しぶりな気がした。好きで手を入れながら続けてきた店内だから、こんなに気持ちがいい空間なんだな。
よく見れば太い梁や柱も、焼き肉の煙で汚れるどころか磨き込まれて黒光りしている。建物自体は築50年だそうだが、すでに古民家のような雰囲気を醸し出している。
最近よくあるリノベとか、そんなのじゃなく、すごく自然。
団体さんの帰ったあと、実にていねいにテーブルと品書きを拭いているおかみさんの姿に納得させられるものがある。
ここは半世紀の間、大切に維持管理されてきたに違いない。
外から見ただけではまったくわからなかっただけに、この店を知ってよかったとしみじみ思えた。
[DATA]
あらはた
埼玉県所沢市大字荒幡433-1
[Today's recommendation]
https://youtu.be/_Jmxyjrza5E
久米水天宮の御縁日には参道に50近く? いや、もっと…? というくらい多くの出店が並ぶが、たった1日の営業であっても狭い坂道を運んで設営する労力をもいとわないほどに売れる… ということだろう。
前記事にも書いたが、このあたりには飲食店も小売店もほとんどないので、正月気分&年に一度のお祭りですっかり財布のひもの緩んでいるおびただしい数の参拝客のつぎ込み先は… という需要供給バランスになっている。
屋台の焼きそばや広島風お好み焼きもいいが、綿密な計画性に基づいて行動する自分としては昼食のお店もきっちりスケジューリングされているわけで v ( ̄▽ ̄) オーケ
水天宮のある鳩峰の丘陵を神社の裏手側に下ったあたりにある、知る人ぞ知る焼き肉屋さん「あらはた」。
行ってみたら“準備中”の札 ヾ(ー ー ) ォィ
Googleのナレッジグラフによれば11:30開店。
あと20分ほどあり、この際せっかくだから富士山に行こうということになった。
鳩峰の隣の丘の上に“富士山”がある。
「荒幡富士」は人工の富士山、いわゆる富士塚である。
所沢市のHPによれば、1899(明治32)年完成。
僕の見てきた富士塚では最大規模のもので、なかなか存在感があるのでしばしば訪れているのだ。
山頂からは特に南~西の眺望が開け、今日は本物の富士山がきれいに見えている。
富士山頂から富士山を拝む。正月早々縁起よさげな眺めである。
一緒に山頂にいたおばちゃんが、「『掬水亭』じゃまくさいわね」と。
まったくだ。
さて、荒幡の丘陵を下って再び「あらはた」へ。
このあたりは最近あまり通らなくなったが、20年ほど前に初めて見たとき、「あらはた」はすでに懐かし系雰囲気を漂わせていた。
1970~80年代にはやったドライブイン型焼き肉バイキング店を思わせるものがあり、いい感じなだけに「惜しい…」と。文字も読み取れないほど色あせた看板とあたりの人けのなさに、とうていやっているようには思えない。郊外によくある、やめてほったらかしになった物件かと思ったのだ。「実に惜しい」と。
現役のお店であることに気づくまでにしばらくかかった。
去年、車で入間方面へ向かう途中に通ったら、のぼりが出ている。
「まだやってるんだ。これは絶対入らなければ」と思っていた。
でもやっぱり、ひっそり静まり返り、やっているようには見えないのである (-"- ; A
階段を上っておそるおそる入り口に近づくと、さっき“準備中”だった札が“営業中”に OK!!( ̄▽ ̄)δ
扉を開くと、そこには温かな食べ物と賑やかな人々の気配が。
あまりに自然に活気のある料理店だったので、こちらが戸惑ってしまうほど。家族そろいの客が多く、地元によく根着いていることがわかる。
店内は中央の通路を挟んで両側が座敷になっている。左側の座敷の襖の向こうにも客間があるように見え、キャパはかなり大きそう。
メニュー帳には“ご宴会、ご法事、ご会食に50~60名様くらいまでのご予約を承っております”とある。
おもしろいのが、予約は日本料理、釜飯、焼き肉の3コースあること。業態の垣根の高そうな多角化路線であるが、さらに興味深いことに、のぼり等から僕が抱いていたこちらのイメージが“焼き肉&ラーメンの二枚看板”。
フトコロが深そうで、なんともワクワクさせられるお店なのである。
靴を脱いで座敷に上がるとすっかりくつろいでしまった。
はじめテキトーに済まそうという様子だった相方も、席に落ち着けば感じるところもあったらしく、「ここはちゃんと焼こう」となった。で、1品目はUSカルビセット890円。
もう1品は、当初のイメージどおり“お昼のラーメンセット”から、ミニビビンバと味噌のセット880円。
焼き肉のセットは、ご飯とみそ汁のほかにサラダ、キムチが付く。ラーメン・ビビンバセットにもサラダとお新香。このずらっと並んだセット、合わせて1770円(税込み)と、おそろしくコスパ良好である。
カルビは、カットは小さめだが厚みがある。サシはあっさりめで下味もくどさがないので、肉そのものを味わうという感じ。
味噌ラーメンはつるっとした中太ストレート麺にすっきりしたみそ味がなんとも懐かしく、やはり昭和の終わりころにはやったロードサイド型ラーメン店が思い浮かぶようだ。
ビビンバのナムルはゼンマイをはじめ素材の味が生きる本格派。
内装が焼き肉店としてはだいぶ趣がある。
柱や梁がいい感じに古びていて、座った横の壁に触れると漆喰。
かつて昭和の家屋によくあった、電気の配線が柱にはっているところや変色したスイッチが郷愁を誘う。
若主人風の方に相方が「漆喰の壁がいいですね」と話すと、なんとご自分で塗られたとのこと。
包丁使いと鏝の扱いは共通するところがあるそうだ。
「ペンキを塗ったり、いろいろ自分で直すのが好きでして…」
好きという言葉をこれほど気持ちよく聞けたのは久しぶりな気がした。好きで手を入れながら続けてきた店内だから、こんなに気持ちがいい空間なんだな。
よく見れば太い梁や柱も、焼き肉の煙で汚れるどころか磨き込まれて黒光りしている。建物自体は築50年だそうだが、すでに古民家のような雰囲気を醸し出している。
最近よくあるリノベとか、そんなのじゃなく、すごく自然。
団体さんの帰ったあと、実にていねいにテーブルと品書きを拭いているおかみさんの姿に納得させられるものがある。
ここは半世紀の間、大切に維持管理されてきたに違いない。
外から見ただけではまったくわからなかっただけに、この店を知ってよかったとしみじみ思えた。
[DATA]
あらはた
埼玉県所沢市大字荒幡433-1
[Today's recommendation]
https://youtu.be/_Jmxyjrza5E