ホヤをめぐる冒険 【角上魚類 小平店】
2022.07.07
梅雨が明けてカーッと暑くなるこの時期に食べたくなるもの――ナス漬け、ところてん、ホヤ…。
ほや【海鞘】 尾索綱ホヤ目の原索動物の総称。海産で汽水にも生息し、単体、または群体をつくる。単体のものは球形ないし卵形で、岩や海草に固着。(デジタル大辞泉)
…という書き出しは3年前の記事のセルフコピペだが、日付としては今回のほうが3週間ほど早い。
梅雨明けが平年より3週間ほど早かったわけだから、本能の赴きは正常といえよう。
ホヤが食べたくなって夕方に「角上魚類 小平店」へ。
ときどき書いているが、僕は三陸の漁村の生まれで、子どものころ祖父が道楽でやっていた沿岸漁業を手伝わされたりしていた。海産物には漁協が出漁の可否を決めるものがあって、夏季に解禁されるのがアワビ、ウニ、ホヤ。アワビ・ウニと違ってたいして金にならないホヤは“口開け”(解禁)もルーズで、ひと夏開きっ放しでいつでも漁ができる状態で、街の会社に単身赴任していて週末に帰ってくる父親が気晴らしみたいにホヤ捕りをしていた。それに連れていってもらっていたのが、ホヤをめぐる記憶の大きな部分を占める。
夕方、品薄状態でも撮らせていただき、ありがとうございます
そのへんの海産物にお金を払うことにいまだに抵抗があるんだが、思えば親元からアワビやウニが送られてこなくなって久しい。
ホヤ1個180円。
安いものだ。
このくらいは自分でもさばける。
ホヤといえば、キュウリと酢の物。
しみじみ、うまいじゃないか。
[DATA]
角上魚類 小平店
東京都東久留米市柳窪2-8-16
https://www.kakujoe.co.jp/shop/kodaira.php
[Today's recommendation]
https://youtu.be/mV9rANDqkK8
梅雨が明けてカーッと暑くなるこの時期に食べたくなるもの――ナス漬け、ところてん、ホヤ…。
ほや【海鞘】 尾索綱ホヤ目の原索動物の総称。海産で汽水にも生息し、単体、または群体をつくる。単体のものは球形ないし卵形で、岩や海草に固着。(デジタル大辞泉)
…という書き出しは3年前の記事のセルフコピペだが、日付としては今回のほうが3週間ほど早い。
梅雨明けが平年より3週間ほど早かったわけだから、本能の赴きは正常といえよう。
ホヤが食べたくなって夕方に「角上魚類 小平店」へ。
ときどき書いているが、僕は三陸の漁村の生まれで、子どものころ祖父が道楽でやっていた沿岸漁業を手伝わされたりしていた。海産物には漁協が出漁の可否を決めるものがあって、夏季に解禁されるのがアワビ、ウニ、ホヤ。アワビ・ウニと違ってたいして金にならないホヤは“口開け”(解禁)もルーズで、ひと夏開きっ放しでいつでも漁ができる状態で、街の会社に単身赴任していて週末に帰ってくる父親が気晴らしみたいにホヤ捕りをしていた。それに連れていってもらっていたのが、ホヤをめぐる記憶の大きな部分を占める。
そのへんの海産物にお金を払うことにいまだに抵抗があるんだが、思えば親元からアワビやウニが送られてこなくなって久しい。
ホヤ1個180円。
安いものだ。
このくらいは自分でもさばける。
ホヤといえば、キュウリと酢の物。
しみじみ、うまいじゃないか。
[DATA]
角上魚類 小平店
東京都東久留米市柳窪2-8-16
https://www.kakujoe.co.jp/shop/kodaira.php
[Today's recommendation]
https://youtu.be/mV9rANDqkK8
ホヤをめぐる諸問題(と追憶) 【角上魚類 小平店】
2019.07.31
先週、記事に書いたあたりからずっと「ホヤ食べたい!」症状が続いていて、探してはいるが見つからない。
こないだまで普通に見かけていたものなのにいざ買おうとなるとなかなか見つからないことって、よくありますよね。
ホヤ [水産]:東北地方、宮城県の地域ブランド。宮城のほやの漁獲量は全国第1位で、全国シェアのおよそ8割を占める。ホヤ(マボヤ)は主に初春から夏にかけて獲られる。(『事典 日本の地域ブランド・名産品』より)
ホヤの生産量全国第1位、宮城県。女川町をはじめとするホヤ産地では、東日本大震災の津波により養殖施設が全壊・流失するなど甚大な被害を受けた。それに追い打ちをかけたのが“禁輸”措置。震災前、県産ホヤの7~8割が向けられていた韓国は、原発事故に伴う汚染水流出を理由に被災地を含む東日本8県産の水産物の輸入を全面禁止とした。ホヤ養殖は震災3年後に初水揚げにこぎ着け復活を遂げるも、販路が断たれていた。
日本政府は2015年、禁輸解除を求めWTO(世界貿易機関)に提訴。1審に当たるWTO小委員会は昨年2月、日本の言い分を認めホヤ、サンマなど28魚種の禁輸撤廃を促したが、今年4月11日、最終審である上級委員会が日本を逆転敗訴とする判断を下した。
――これが国内のホヤ養殖をめぐる現状である。日韓関係は悪化の一途をたどっているだけに事態の打開は困難と言わざるを得ず、首都圏など国内大消費地での消費の拡大は喫緊の課題となっている。
で、冒頭に戻るわけだが、探しても見つからない。
実は今年一度買っており、それが近所の普通のスーパーだったので県の水産関係者の努力が実って国内流通が拡大しているのかとも思ったのだが、なかなかコンスタントというわけにはいかないようだ。
ワタクシ、普通のスーパーまで探し回っておきながら、こちらの存在をすっかり忘れていたのでした (-"-;A…
「角上魚類 小平店」
ホヤ、ありました。フツーに。
宮城県産1個150円。背後のウニの半値。
これ、獲る側の立場からいうとホヤのほうが10倍くらい難易度が高いのだ。まあ、天然物の話だけど。
とにかく売っててよかった… と2個購入。
子どものころ、よく父親とホヤ獲りをした。
ホヤは比較的深場にいるので、小舟を出し、箱めがねでのぞきながら長い竹竿の先にくくりつけた鈎で引っかける。鈎はホヤ用三本鈎。
ホヤは群体をつくり、群体が大きいほどごっそり採取できるので効率がよいが、その分力仕事になる。岩にしっかり根を張ったホヤの塊を根こそぎ、あるいは岩ごとひっぺがすので子どもには無理な作業だ。僕の役目は、指示どおりに舟を櫂で操ること。
父は「魚が釣れる」と言ってホヤ獲りに誘い出した。ホヤをひっぺがすときに根元に生息しているゴカイのたぐいが海中に放散され、それを餌とする大型の底生魚が集まってくるのだ。しかし漁の最中は櫂を使っているので釣りどころではなく、漁が一段落して「じゃ、釣りしようか」となったときには大型魚は撤収している。魚が釣れたためしがない。
――といった回想シーンが脳裏を駆け巡る、夏&郷愁の味覚。
キュウリとシソを添えて酢の物に。ホヤにはなぜか古くさい味のビールが合う
[DATA]
角上魚類 小平店
東京都東久留米市柳窪2-8-16
https://www.kakujoe.co.jp/shop/kodaira.php
[Today's recommendation]
https://youtu.be/LVlDSzbrH5M
先週、記事に書いたあたりからずっと「ホヤ食べたい!」症状が続いていて、探してはいるが見つからない。
こないだまで普通に見かけていたものなのにいざ買おうとなるとなかなか見つからないことって、よくありますよね。
ホヤ [水産]:東北地方、宮城県の地域ブランド。宮城のほやの漁獲量は全国第1位で、全国シェアのおよそ8割を占める。ホヤ(マボヤ)は主に初春から夏にかけて獲られる。(『事典 日本の地域ブランド・名産品』より)
ホヤの生産量全国第1位、宮城県。女川町をはじめとするホヤ産地では、東日本大震災の津波により養殖施設が全壊・流失するなど甚大な被害を受けた。それに追い打ちをかけたのが“禁輸”措置。震災前、県産ホヤの7~8割が向けられていた韓国は、原発事故に伴う汚染水流出を理由に被災地を含む東日本8県産の水産物の輸入を全面禁止とした。ホヤ養殖は震災3年後に初水揚げにこぎ着け復活を遂げるも、販路が断たれていた。
日本政府は2015年、禁輸解除を求めWTO(世界貿易機関)に提訴。1審に当たるWTO小委員会は昨年2月、日本の言い分を認めホヤ、サンマなど28魚種の禁輸撤廃を促したが、今年4月11日、最終審である上級委員会が日本を逆転敗訴とする判断を下した。
――これが国内のホヤ養殖をめぐる現状である。日韓関係は悪化の一途をたどっているだけに事態の打開は困難と言わざるを得ず、首都圏など国内大消費地での消費の拡大は喫緊の課題となっている。
で、冒頭に戻るわけだが、探しても見つからない。
実は今年一度買っており、それが近所の普通のスーパーだったので県の水産関係者の努力が実って国内流通が拡大しているのかとも思ったのだが、なかなかコンスタントというわけにはいかないようだ。
ワタクシ、普通のスーパーまで探し回っておきながら、こちらの存在をすっかり忘れていたのでした (-"-;A…
「角上魚類 小平店」
ホヤ、ありました。フツーに。
宮城県産1個150円。背後のウニの半値。
これ、獲る側の立場からいうとホヤのほうが10倍くらい難易度が高いのだ。まあ、天然物の話だけど。
とにかく売っててよかった… と2個購入。
子どものころ、よく父親とホヤ獲りをした。
ホヤは比較的深場にいるので、小舟を出し、箱めがねでのぞきながら長い竹竿の先にくくりつけた鈎で引っかける。鈎はホヤ用三本鈎。
ホヤは群体をつくり、群体が大きいほどごっそり採取できるので効率がよいが、その分力仕事になる。岩にしっかり根を張ったホヤの塊を根こそぎ、あるいは岩ごとひっぺがすので子どもには無理な作業だ。僕の役目は、指示どおりに舟を櫂で操ること。
父は「魚が釣れる」と言ってホヤ獲りに誘い出した。ホヤをひっぺがすときに根元に生息しているゴカイのたぐいが海中に放散され、それを餌とする大型の底生魚が集まってくるのだ。しかし漁の最中は櫂を使っているので釣りどころではなく、漁が一段落して「じゃ、釣りしようか」となったときには大型魚は撤収している。魚が釣れたためしがない。
――といった回想シーンが脳裏を駆け巡る、夏&郷愁の味覚。
キュウリとシソを添えて酢の物に。ホヤにはなぜか古くさい味のビールが合う
[DATA]
角上魚類 小平店
東京都東久留米市柳窪2-8-16
https://www.kakujoe.co.jp/shop/kodaira.php
[Today's recommendation]
https://youtu.be/LVlDSzbrH5M