今回は、今となっては休刊となった、絵のある文芸(雑誌)
『鳩よ!』を紹介する。
*昨今、文学は衰退したが、決して消滅まではしていない。
文学は形こそ違えども、記録媒体を変え、
未来永劫、人間と共に生き続ける事だろう。
しかし価値観の多様化、娯楽や趣味の多様化により、
以前よりは縮小を余儀なくされている事は明白な事実である。
しかし、それであっても、人間を記録し、
また観察し、洞察し、内省するには、文学と呼ばれる、
芸術活動しか存在し得ないのであるから、人が滅亡する時まで、
日記であれ、またドキュメントであれ、執筆形態は変貌しても
存在し続けることは間違いない。
この『鳩よ!』は良い雑誌ではあったが、
やはり、今の様な文学が衰退した時代には
順応出来ないとみえ、とうとう休刊となってしまった。
これも時代の流れであろう。
この号の特集は、今なおファンが多い澁澤龍彦の特集である。
表紙は澁澤の写真であるが、この写真は余り見る事は無い様に思う。
(雑誌を見たら、表紙写真澁澤龍子提供とある)
内容は「死とエロティシズム」と題された、野坂昭如と澁澤龍彦との対談。
自作年賦。書斎の写真。サド裁判について。
澁澤龍子が語る澁澤龍彦の思い出等々
1992年3月マガジンハウスから発売。