読書「新潮45」編集部編「殺人者はそこにいる」 - 古書蒐集日記

読書「新潮45」編集部編「殺人者はそこにいる」

殺人者はそこにいる
逃げ切れない狂気、非情の13事件
新潮45」編集部編
平成18年10月25日19刷
新潮文庫

屠られた者たちは、その刹那、眼前に何を見たのか。
あの殺人鬼たちはどこへ消えたのか…。市民という仮面の下で、
人間の業深き本性が嗤う。
男と女の情痴殺人から、自壊していく家族の惨劇、
どす黒い邪欲に溺れた鬼畜の凶行、さらに、ほくそ笑む凶徒の姿が
見え隠れする未解決事件―。隣人が羅刹と化す恐怖、突然襲う不条理。
新潮45」誌上で大反響を呼んだ、傑作ノンフィクション集。
(本書紹介文より抜粋)

事実は小説よりも奇なりという言葉がある。
これは英国の詩人バイロンが彼の作品の「ドン・ジュアン」が
由来といわれてる。私は未読なので詳細は知らない。
この文庫本には架空ではない、現実に起きた事件が書かれている。
どれもこれも普通ではない事件ばかりだ。
(未解決事件も含む)

以前、2023年12月14日に、本ブログに書いたように、
平山夢明著「独白するユニバーサル横メルカトル」はどうにも
私には合わない作品で、ネットでレビューを読むと
この作品の元ネタは昔タクシー運転手が起こした殺人事件とか
書かれており、私がまだ知らない事件だったので興味を持ち、
調べてみた。そうしたらこの文庫にいきついた。
この文庫の「新潮45」編集部編のノンフィクション事件シリーズは
有名なので名前だけは知っていたが、まだその時は読んでなかった。
読んでみることにし、絶版になっていたが、少しづつ買い、読んでいった。
全5冊をすべて読み終えたので、その中から印象に残った事件を書いていく。

葛飾「社長一家」無理心中事件。
この事件は自殺実況のテープの文字起こしで有名な事件で、
この事件は検索すれば、事件の概要が判るほど有名な事件。
彼の場合は自己破産するしか方法がなく、何も家族を巻き込んで
無理心中はないなと思う。恋愛結婚の末結婚した妻、大学4年で就職が
内定している優しい娘23歳を自分で殺して、その殺しに使った、
ケーブルで今度は自分が首を吊るために車で彷徨している。
自殺には勿論躊躇しててなかなか出来ないが、そんなものすんなりと
出来るわけがない。それなら最初から自己破産で再起を図ったのが
いいだろうに。彼は自殺後、妻子と同じ墓に入れられることを親族から
拒否されたらしい。

世田谷「青学大生」殺人事件。
この事件は全く知らない事件だった。
犯罪者カップル(共に20歳)の男女が犯罪目的にアパートへ侵入したが、
目的の住人が不在でそのために、その隣の住人に目をつけ、
犯罪者カップルがその隣人の青学大生を拘束し、カップルの男が
殺す前に女を抱かせてやると言い、青学大生の下腹部を露出させ
自分の女を青学大生に乗せる形で抱かせようとしたが、
自分の女が性的な反応を示したために、男が女を青学大生から
引き剥がし性交後、拘束中の青学大生を殺した事件。
この事件を元にして映画化もされたらしいが、未見。 
息子を殺された遺族からすれば、自分の息子を殺した、
カップルの映画なんて作られてはたまらない。
この事件の概要も検索すれば出てくる。

広島「タクシー運転手」連続四人殺人事件。
この事件は全く知らない事件だった。
タクシー運転手が乗せた女に売春を持ちかけ、運転手は借金があり、
金に困っていたために、性交してから女を殺せば性交もただで出来て
金も手に入ると思い、性交後、女を殺してから金も奪った事件。
全部で四人の女を殺して既に死刑執行されている。
この事件も検索すれば事件概要が出てくる。