ふと「月のテーブル」に行ってみようと思いついた。車に乗ってからだ。お店をやってるかどうかは怪しいけど。けいこさんがいるかどうかもわからない。何年ぶりだろう。
インドのタッサーシルクで知られている真木テキスタイルスタジオの真木千秋さんのご主人パルバさんの実家である。ここはパルバさんの妹のけいこさんがやってるカフェ&ギャラリーで、僕は10何年か前に個展などでお世話になっている。
駐車場からお店の入り口に向かう川沿いの小径である。変わらない風景だ。
お店の入り口の門である。左の柿の木の葉っぱは秋にはすばらしい色になる。名前が「あまてる」に変わっている。後で解ったが、これは3.11以降のことだそうだ。そう、あれから確かに何かが変わった。
けいこさんは変わっていなかった、ので安心した。お店の中もテーブルや椅子などが変わってなくて居心地よく感じていた。ただ、あの頃小さかった娘さんが結婚したんだそうで時の流れを感じた。
いろんな話をしたが、話が途切れないのにいつの間にか注文の飲み物ができていくので不思議な人だと思った。
けいこさんは話しているときに決して目をそらさない。ああそうだったなあと懐かしんでいた。
初めて受け持ったクラスの子に「先生はまっすぐ目を見て話すんだね。」と言われたことがあった。自分ではそのときまで気づいていなかった。自分のそんなことさえ知らなかったんだ、と思った。いっちょまえに教師なんてやってたけど、ほんとに駆け出しだったんだ。一生懸命だったことは確かだけど、だからといって済まされるものじゃあないぞ。こどもたちがよくぞ着いてきてくれたもんだ、と思う。