漁師の作業小屋で見つめ合うネコと少女の姿が微笑ましい、冬の漁港で猫写真家が切り取った一枚の風景

猫と人間が見つめ合っている姿はとっても情緒的。その関係性や背後にどんな物語があるのか、あれこれと想像しているだけで微笑ましい気持ちにさせられます。

猫写真家の熊谷忠浩さんは、ある冬の日、秋田県にかほ市にある象潟(きさかた)漁港で、窓から外にいる猫と見つめ合っている少女の姿を撮影しました。

漁師小屋の窓から猫を見つめる少女の写真
写真提供:熊谷忠浩さん

窓からのぞく少女の顔は、猫を見てビックリする様子もなく落ち着いていて、顔見知りの相手に向けるような柔らかい眼差し。一方、屋根の上を歩きながら少女の顔を見つめる猫。前にせり出したヒゲやピーンと立てた尻尾からは、嬉しそうな気持ちが伝わってきます。

熊谷さんによると、この写真に写っている建物は漁師さんの作業小屋で、窓から顔を出しているのは身内の女の子、そこに住み着いている猫という関係なのだそう。

そして、その状況については「寒空の下に出て行った猫を、女の子が「帰ってこないなぁ」と心配して外の様子をうかがっている場面」としたうえで、「猫の姿を見てホッとした瞬間なのでは」と推測してくれました。

もともと風景やスナップ写真を撮影していた熊谷さんが猫に興味を持ったのは、今から10年ほど前、動物写真家・岩合光昭さんの写真に感銘を受けたことがきっかけ。厳しい環境で健気に生きている猫の姿を捉えた作品に大きく心を打たれたのだそうで、地元である秋田県内を中心に猫の写真を撮り始めるようになったと言います。

これまで漁港や農園、牧場、街角など、さまざまな場所で暮らす猫たちを撮影してきた熊谷さん。猫の自由なところに被写体としての魅力を感じているのだそうで、猫の行動を予測して思い通りに撮影できた時に大きな充足感を感じるのだとか。

りんごに手を伸ばすリンゴ農園で暮らす猫
リンゴ園の猫ちゃん

その作品には猫がのびのびとしている瞬間が捉えられていますが、撮影するときに何か意識していることはあるのでしょうか。熊谷さんに聞いてみると「顔の表情がよく分かるようにすること」としたうえで、「外猫の場合はその生息している環境を写し込むことを意識しています。」と、猫のいる風景にも着目している様子。

雪の道路に佇む猫 in 秋田県
秋田の漁港の猫ちゃん

撮影した作品は自身のSNSをはじめ、主催する Facebookグループ「猫っこくらぶ」「猫っこクラブ別館Gallery Meow」でも公開されているほか、来年2月に開催される「ねこ写真展@CP2024今を生きる猫たちのキオク」にも展示される予定となっています。

取材協力:猫写真家 熊谷忠浩(Tadahiro Kumagai) あきたの猫さん

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