借金を解決する方法の1つである「任意整理」。
任意整理は裁判所を通さないため、「自己破産」よりも手軽に行えます。
任意整理をすることで、借金の減額が可能です。
主なメリット
○ 当事者間の話し合いによるため、柔軟な返済計画を組むことが可能
○ 引き直し計算により、借金の額の減額が可能
○ 受任通知により取立てが止まる(全ての手続に共通)
多くのメリットがある任意整理ですが、「信用情報機関に事故情報が登録される」などいくつかデメリットもあります。
主なデメリット
○ 当事者間の任意の話し合いのため、話し合いに応じない貸金業者に対する強制力がない
○ 事故情報に登録される恐れがある(全ての手続に共通)
そこで今回の記事では、「任意整理で発生するデメリット」を詳しく解説します。
任意整理とは?
任意整理とは、借金を減額するために債務者と債権者が交渉を行い、返済条件を変更する手続きのことです。
一般的に弁護士や司法書士に任意整理を依頼して、賃金業者やクレジットカード会社と借金の利息や返済の延期について交渉します。
通常任意整理は数年程度で完済することを目指すことがほとんどです。
ちなみに任意整理を弁護士や司法書士に依頼するといった場合、1社に就きおおよそ4~5万円程度だとされています。
任意整理のデメリットとは?
任意整理は利息の支払いがなくなることから、月々の返済額が減らせるといったメリットがありますが、デメリットもあります。
ここでは、任意整理のデメリットについてご紹介します。
ブラックリストに掲載される
任意整理のデメリットには、信用情報に傷がつきブラックリストに掲載されることが挙げられます。
一般的に金融事故の履歴に登録されることを「ブラックリストに載る」といいます。
ブラックリストに掲載されると、ローンやクレジットカードの利用、車の所有などにも悪影響を及ぼすためこれまで通りの生活が送れなくなることも。
事故情報の登録をおこなう信用情報機関には以下のものがあり、それぞれ取り扱う内容が異なります。
信用情報機関 | 主に取り扱う個人情報 |
---|---|
JICC | 延滞歴、債務整理・減額等の申し入れ、自己破産申立、個人再生申立など |
CIC | 支払い状況に関する情報(報告日、請求額、入金額など) |
KSC | ローンやクレジットカードなどの契約内容・返済状況など |
収入がないとできない
任意整理はあくまで息をカットしたり支払期間を延長したりすることができるものであり、元本の返済自体は任意整理後も続きます。
したがって、任意整理後も継続して返済できるだけの収入がなければそもそも利用できないので注意が必要です。
任意整理は借金をゼロにするものではないのでその点も気をつけなければいけません。
借金の返済義務はなくならない
先にも述べたように任意整理は今後支払う利息が減額されるものなので、借金の返済義務そのものはなくなりません。
自己破産と異なり、借金の元金やこれまで発生した利息が免除になるわけではないので返済義務は残り続けます。
もし借金の金額が多く将来の利息見直しだけでは返済できそうにないのであれば、任意整理ではなく自己破産がおすすめです。
また任意整理では過払い金が発生しているとき以外、借金総額を減額してもらいにくくなっています。
したがって債務整理の種類として挙げられる自己破産や個人再生と比べると大きな借金減額は見込めず、かえって返済負担が大きくなるといったことも。
月々の返済額があまり変わらず返済が難しいのであれば、自己破産もしくは個人再生などを検討してみたほうが良いでしょう。
任意整理を認めてくれない人もいる
任意整理は原則、裁判を起こさずに債権者と交渉しながら進める手段であることから、債権者の同意を得られないと手続きはできません。
基本的に債権者は返済期間が延びても全額支払ってほしいと思っているので、任意整理に応じてくれることがほとんどでしょう。
しかし中には任意整理を認めてくれない債権者もいますし、任意整理に応じても分割回数の制限を求められるケースもあるので注意が必要です。
任意整理のメリット
ここでは、任意整理のメリットについてご紹介します。
督促や取り立てがなくなる
通常任意整理を専門家に依頼した場合、代理人となったことを債権者に通知する「受任通知」が送られます。
受任通知を受け取った貸金業者は債務者に直接取り立てをしてはいけないと法律で決まっているので、任意整理をすれば督促や取り立てが一時的にこなくなるメリットがあります。
月々の負担を減らせる
任意整理では今後発生する利息分がカットされ、元金3~5年程度で分割し返済していくので月々の返済額が減らせるといったメリットがあります。
ただし任意整理によって月々の返済額がどれだけ減るかは人それぞれ。
気になる方は債務整理のシミュレーションができるサイトもあるのであらかじめチェックしておくといいでしょう。
第三者に知られるリスクが少ない
任意整理ではブラックリストに掲載されるデメリットはありますが、自己破産や個人再生のように官報に載ることはありません。
官報とは、法律・政令などの制定・改正情報や破産・相続などの裁判内容を掲載する、国が行政機関の休日以外毎日発行する新聞のことを指します。
官報は誰でも見ることができ、「信用情報機関」「市町村の税担当者」「闇金融業者」といった人たちが見る可能性も大いにあります。
したがって、できるだけ他人に債務整理をしたことを知られたくないと考える人にも任意整理はおすすめです。
過払い金が戻ってくる可能性がある
任意整理をすることで利息の払い過ぎが証明できれば、過払い金として返還してもらうことができる可能性があります。
過払い金とは主に2007年以前の借入が対象となり、法定金利よりも多く支払っていた利息を指します。
過払い金の有無や金額はケースによるものの、戻ってくればその分を返済に充てられるので調べてみる価値はあるでしょう。
任意整理は弁護士など法律の専門家に手続きや利息の引き直し計算と呼ばれる過払い金の計算を依頼するのが一般的なので、確認したい方はぜひ検討してみてください。
任意整理がおすすめの人の特徴
以下の特徴に当てはまる人は任意整理がおすすめです。
借入総額が年収の3分の1以上である
年収の3分の1を超える貸付け(総量規制)の場合、この範囲であれば多重債務者を減少させられると考えられているので、借入総額が年収の3分の1以上であれば債務整理をしたほうがいいでしょう。
5年以上支払っても完済できない可能性がある
5年以上支払っていてもなかなか元金が減らず完済できない借金があれば、任意整理を検討することをおすすめします。
なぜならカードローンなどだと5年以上返済を続ければ、はじめに借りたお金の4割以上の利息が発生してしまうからです。
ちなみに借金の返済に充てられる金額は以下の式で計算できます。
月々の返済可能額=1ヶ月の収入(給料など)-1ヶ月の生活費(家賃や食費など)
もし上記の計算式で月々の返済額を出して5年以上返済しても完済できないと判断したら、任意整理も選択肢のひとつにしてみてください。
忙しくて債務整理に時間をかけられない
任意整理は裁判所を通さずに手続きできるため、忙しくてなかなか債務整理に時間をかけられないといった方におすすめです。
任意整理でも専門家からの電話やメールの連絡はありますが、基本的には弁護士など専門家が全ての手続きを代行してくれます。
また、個人再生や自己破産のように半年以上かけて手続きをする必要もないので時間短縮を目指す人にも向いているでしょう。
保証人に迷惑をかけたくない
任意整理は手続きする債権者を選べるので、保証人が付いている借金以外の手続きができます。
したがって、なるべく保証人に迷惑をかけずに返済負担を減らしたいといった方には向いているでしょう。
借金返済の請求も保証人に届かないので、迷惑をかけるリスクもありません。
任意整理後の生活への影響とは?
ここでは、任意整理後の生活への影響についてご紹介します。
和解成立後は3~5年程度で借金を返済していく
任意整理後の和解成立後は返済計画通りに借金を返していきます。
通称任意整理をして債権者と和解が成立した後は、約3~5年で残債を返済していくケースが多いといわれています。
しかし債権者との交渉結果や借金総額によっては、任意整理後も月々の返済負担がそれほど変わらない可能性もあるので注意しなければいけません。
任意整理後は賃貸契約の審査に落ちるおそれがある
任意整理後に新たに賃貸契約を結ぼうとした場合、保証会社の審査に落ちるおそれがあります。
賃貸契約の保証会社には以下の2種類があります。
信販系 | クレジットカード会社の関連企業なので、信用情報機関に加盟している |
独立系 | 信用情報機関に加盟しておらず、独自のデータベースで審査を行う |
保証会社の中でもとくに審査に落ちてしまう可能性があるのは信販系の会社です。
したがってもし任意整理後に賃貸契約を結びたいのであれば、独立系の保証会社がついている賃貸住宅がおすすめです。
完済後5年程度はクレジットカード作成・ローン借入ができない
和解成立後に借金を完済してから約5年間は、信用情報機関に事故情報が登録されてしまうので、事故情報が登録されている間は以下の取引ができなくなります。
- 新しくクレジットカードを作成する
- 新たなローン借入
- 所有しているクレジットカードを使う
- 携帯電話の分割購入
ちなみにクレジットカードのような使い方をしたいといった場合は、デビッドカードの作成や家族カードを使用するなどでも代用ができます。
任意整理は弁護士に依頼するのがおすすめ!
今回は任意整理のメリット・デメリット、どのように生活に影響するのかについてご紹介してきました。
任意整理はさまざまなメリットがありますが、その分デメリットもあるので注意しなければいけません。
また任意整理の手続きは専門知識を必要とするため、司法書士や弁護士に依頼するのが一般的です。
任意性を弁護士に依頼するメリットとしては、「周囲にバレるリスクを回避できる」「経験豊富なので交渉力がある」「手続きの手間を大幅に省ける」ものが挙げられます。
今回の記事をぜひ参考にしてみてください。