銀行ローンは、消費者金融会社やクレジットカードのキャッシングに比べて低金利なのが魅力です。
お金を借りたい方のなかには、利息のことを考えて銀行ローンの利用を検討している方も多いでしょう。
しかしカードローンを利用する際は必ず審査が必要です。
さらに、銀行ローンの場合は、審査に時間がかかります。
スムーズに借入れするためにも、銀行ローンの審査について知識を深めておく必要があります。
今回は、銀行ローンの審査基準について詳しく解説しています。
審査の流れや必要書類、審査に通らない理由についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
銀行でローンを組む際に審査が行われる理由
銀行でローンを組む際に審査が行われる主な理由は以下の3つがあげられます。
銀行でローンを組む際に審査が行われる主な理由
- 貸し倒れによる損失のリスクを抑えるため
- 申込者の返済能力を見極めるため
- 反社会的勢力と繋がりがないかを確認するため
それぞれの理由について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
貸し倒れによる損失のリスクを抑えるため
銀行でローンを組む際に審査が行われる主な理由は、貸し倒れによる損失のリスクをできるだけ抑えるためです。
銀行ローンの審査では、申込者の勤務状況や年収などを厳しくチェックし、返済能力を見極めています。
なお、銀行は貸付業者を対象とした貸金業法の総量規制の対象外ですが、総量規制の考え方に準じた独自の規制を設けて審査を行う場合もあります。
他社からの借入れを含めた総合的な借入れ状況を把握し、返済能力を超える金額の貸付けを避ける取組みを行っているためです。
総量規制とは
総量規制とは、借りることのできる額の総額に制限を設ける、新しい規制のことです。
この新しい規制は、平成22年6月18日から実施されています。
具体的には、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、新規の借入れをすることができなくなります。ただし、すでに、年収の3分の1を超える借入残高があるからといって、その超えている部分についてすぐに返済を求められるわけではありません。
引用元:金融庁
反社会的勢力と繋がりがないかを確認するため
銀行は、申込者が反社会的勢力と繋がりがないかを確認するため、警察庁データベースへの照会を行うことが義務付けられています。
照会結果が出るまでには1営業日以上の時間がかかるため、銀行のローンは即日審査に対応していない場合が多いです。
銀行ローンの審査の流れは4ステップ
銀行ローンの審査の大まかな流れは以下の通りです。
銀行ローンの審査の流れは4ステップ
- STEP1 申込手続きを行う
- STEP2 本人確認書類の提出
- STEP3 審査が行われる
- STEP4 契約完了
STEP1 申込手続きを行う
まず、インターネット、電話、郵送などの方法でローンの申込を行います。
銀行によって申込方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。
STEP2 本人確認書類の提出
申込後、本人確認書類の提出を求められます。
本人確認書類には、運転免許証や個人番号カードなどが必要なほか、希望する限度額によっては収入証明書が必要な場合があるため事前に用意しておきましょう。
STEP3 審査が行われる
申込内容と提出した書類をもとに審査が行われます。
審査では、信用情報機関や警察庁データベースへの照会が行われ、申込者の返済能力や信用情報などをチェックしています。
また、電話による在籍確認が行われる場合もあります。
勤務先への電話確認が不安な方は、申込先の金融機関へ事前に相談しましょう。
なお、審査には時間がかかるため、余裕を持って申込することをおすすめします。
STEP4 契約完了
審査に通過した後、契約締結が行われます。
契約完了すれば、銀行が指定する方法で借入れ可能です。
借入れ方法は、提携ATMや口座振込など銀行によってさまざまですが、ローンカードが必要な場合もあります。
銀行ローンの審査基準は銀行によって違う
銀行ローンの審査基準は銀行によって異なります。
銀行が独自の審査基準を持つ理由は、それぞれの銀行が異なるリスク管理方針や貸出方針を持っているためです。
最近では審査AIを導入し、審査の迅速化を図る動きも見られます。
また、申込者の属性やローンの利用目的によっても審査基準が異なります。
以下では、銀行ローンの審査基準をケース別に解説していますので、ぜひ参考にしてください。
銀行ローンの審査基準
- 一般的な審査基準
- 自営業の審査基準
- パート・アルバイトの審査基準
- 増額・他社からの借り換えが目的の審査基準
一般的な審査基準
一般的な審査基準では、以下の内容が主要なポイントといえるでしょう。
審査基準の主要ポイント | |
---|---|
年収と勤務状況 | 安定した収入源があるかどうか、勤務先の種類や勤続年数など |
信用情報 | 過去の借入れや返済履歴、延滞の有無など |
他社からの借入れ | 他の金融機関からの借入れ状況と返済状況 |
財産状況 | 保有資産や不動産などの財産 |
これらの基準を通じて、銀行は申込者がローンを返済する能力があるかどうかを判断し、貸し倒れのリスクを最小限に抑えることを目指しています。
また、独自の審査モデルを使用している場合も考えられるため、まったく同じ条件の申込でも審査に通過できるかどうかは銀行によって異なります。
自営業の審査基準
自営業は、正社員に比べて失業や倒産などのリスクが高いため、銀行ローンの審査が厳しくなる傾向にあります。
そのため、審査するうえで安定した収入を得ているかどうかは重要なポイントといえるでしょう。
銀行によって異なるものの、自営業や個人事業主の場合は、確定申告書の控え(税務署の受付印があるもの)、所得証明書などが必要です。
具体的な必要書類は申込を検討している銀行に直接確認することをおすすめします。
また、住宅ローンなど特定のローン商品によっては、追加で必要書類の提出を求められることもあります。
パート・アルバイトの審査基準
パート・アルバイトでも安定した収入があれば、審査内容は一般的な審査基準と同じです。
ただし、安定した収入とは、毎月の給料日に一定の金額を受けとっていることを指します。
単発だったり、クラウドソーシングやお小遣いサイトなどで収入を得ていたりする場合は、安定した収入と見なされない場合があるため注意しましょう。
増額・他社からの借り換えが目的の審査基準
増額を目的とした審査の場合、希望する金額によっては収入を証明する書類の提出を求められる可能性があります。
合わせて、これまでの取引状況が重視されるため、日頃から延滞しないよう、決められた返済日に確実に返済することが大切です。
また、他社からの借り換えにおいても、これまでの返済実績が重視されています。
銀行ローンの審査を受ける際に必要なもの
ここでは、銀行ローンの審査を受ける際に必要なものについて詳しく解説します。
銀行ローンの審査を受ける際に必要なもの
- 本人確認書類
- 収入証明書
- 住宅ローン|物件関連書類
- おまとめローン|返済予定表・残高証明
銀行ローンの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
本人確認書類
銀行ローンの審査を受ける際は、本人確認書類(写し)の提出が必要です。
具体的な本人確認書類は、以下の書類があげられます。
いずれの場合も、有効期限内のもので正しい内容が記載されていることが必要です。
引越しや入籍などで新しい情報への書き換えがまだの方は、早めに書き換えするようにしましょう。
収入証明書
希望限度額によっては、収入を証明できる書類の提出を求められる場合があります。
- 直近の給与明細書
- 源泉徴収書
- 確定申告書の控え(税務署の受付印があるもの)
- 所得証明書
住宅ローン|物件関連書類
住宅の購入やリフォームのために住宅ローンを申込む際には、物件関連の書類が必要です。
具体的には、以下の書類があげられます。
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 建物図面
- 地積測量図
- 登記済権利証または登記簿謄本など
物件関連の書類は、住宅ローンの審査において購入する物件の価値や状態を評価するために重要です。
具体的な書類については、申込を検討している銀行に直接確認しましょう。
おまとめローン|返済予定表・残高証明
おまとめローンを申し込む際には、返済予定表や残高証明書などの書類が必要です。
具体的には、おまとめ対象のローンの資金使途、残高および返済予定額が分かる資料の提出が求められます。
- 返済予定表:現在のローンの返済スケジュールを示すもの
- 残高証明書:現在のローンの残高を示す公的な書類
銀行ローンの審査に通らない理由として考えられるもの
ここでは、銀行ローンの審査に通らない理由として考えられるものについて解説しています。
審査に通過できるかどうかが不安な方は、それぞれのポイントをしっかり押さえましょう。
銀行ローンの審査に通らない理由として考えられるもの
- 収入が安定していない
- 在籍確認が取れない
- 信用情報に金融事故の履歴がある
- 複数のカードローンに申込している
収入が安定していない
収入が安定していない場合は、審査が通らない可能性が高いです。
銀行ローンの審査では、申込者本人の返済能力を厳しくチェックしています。
そのため、希望の利用限度額は少なめに設定することをおすすめします。
在籍確認が取れない
在籍確認が取れない場合は、審査に通過するのは難しいでしょう。
在籍確認とは、申込者が申告した勤務先で働いているかどうかを確認しています。
申込者の勤務先が大企業だったり社員数が多かったりすると、電話に対応した社員がすべての社員の名前を把握するのは難しいでしょう。
そのため、電話による在籍確認ができず、審査に通過できない場合が考えられます。
なお、申込者の勤務先へ電話をかけて確認する以外にも、収入証明書などの書類による在籍確認もあります。
電話による在籍確認が難しい場合には、申込先の金融機関へ事前に相談するのがおすすめです。
信用情報に金融事故の履歴がある
信用情報に金融事故の履歴があると、銀行ローンの審査が通らない可能性が高いです。
金融事故とは、返済の延滞や未払い、自己破産、任意整理などが原因で、信用情報機関に事故履歴として記録されることを指しています。
金融事故の履歴は、以下のような事例で記録されるのがほとんどです。
- 長期にわたる返済の延滞
- 自己破産や任意整理などの債務整理
- 借金の踏み倒し
- 携帯電話料金の未払いや延滞
金融事故の履歴は、一定期間後には消去されますが、その期間は事故の種類や信用情報機関によって異なります。
例えば、任意整理の場合は5年、自己破産の場合は最長10年です。
自分の信用情報に金融事故の履歴があるかどうかを確認するには、信用情報機関から情報開示を受けることができます。
日本の信用情報機関は、CIC、JICC(日本信用情報機構)、JBA(一般社団法人全国銀行協会)の3社で、いずれも公式サイトから有料で開示手続きが可能です。
複数のカードローンに申込している
複数のカードローンに同時に申込している場合、審査に通過できない可能性があります。
その理由は、短期間に複数の申込があると、返済能力に不安があると判断されるためです。
たとえ、審査に通過できたとしても、希望通りの金額が借りられない場合もあります。
そのため複数のカードローンに申し込む前に、現在利用しているカードローンの利用限度額を増額できないか、または他の金融機関のカードローンの条件を比較検討することが大切です
銀行ローンの審査日数は1~2週間前後
銀行ローンの審査日数は1~2週間前後が目安です。
ただし、申込の状況や金融機関の審査体制によって異なるほか、申込が集中する時期や書類に不備があると審査に時間がかかる場合があります。
審査がスムーズに進むためにも、必要書類を漏れなく準備し、正確な情報を申告するようにしましょう。
また、申込先の銀行口座を保有しているかどうかでも審査日数が異なります。
以下では銀行口座を持っている・持っていない場合の審査日数について解説します。
銀行口座を持っている・持っていない場合の審査日数
- 口座を持っている場合
- 口座を持っていない場合
口座を持っている場合
申込先の銀行口座を持っている場合、審査がスムーズに進む可能性があります。
その理由は、銀行が既存の顧客の情報を保有しており、迅速に審査を行えるためです。
審査期間は、最短で2営業日〜4営業日を目安にするといいでしょう。
口座を持っていない場合
申込先の銀行口座を持っていない場合、審査に時間がかかる可能性があります。
自社の銀行口座を持っていない場合でもローンを申し込めるかどうかは、銀行によって異なります。
なかには、口座開設が必要なケースもあり、その場合には口座開設までの日数も考慮しなければなりません。
ネット銀行などオンライン手続きで口座を開設する場合には、1営業日〜3営業日程度の時間がかかることがほとんどです。
銀行のローンの審査は厳格になってきている
銀行のローン審査は近年、より厳格になってきています。
平成29年6月に一般社団法人全国銀行協会は「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を踏まえた取組み等を公表しました。※参照:一般社団法人全国銀行協会公式サイト
これにより、銀行では以下のような取り組みが行われています。
銀行のローンの審査における主な取り組み
- 返済能力の詳細なチェック
- 多重債務の防止
- 警視庁のデータベースへの照会
返済能力の詳細なチェック
1つ目は、返済能力の詳細なチェックです。
申込者の年収や雇用形態、勤続年数などを基に、継続的に返済できるかどうかを細かににチェックしています。
また、銀行は総量規制の対象外ですが、総量規制のルールに順ずる規制を設けているところが多いです。
多重債務の防止
2つ目は、多重債務の防止です。
多重債務とは、複数の金融機関から借入れを行い、それらの返済が困難になっている状態のことを指します。
過剰な融資で多重債務問題に発展することを防ぐため、全国銀行協会は自主規制を行い、審査の厳格化を進めています。
警視庁のデータベースへの照会
警視庁のデータベースへの照会を行い、申込者が反社会的勢力との繋がりがないかを調べています。
そのため、銀行ローンは即日融資ができなくなるケースが増えています。
銀行とローンに関するよくある質問Q&A
ここでは、銀行とローンに関するよくある質問についてまとめています。
銀行とローンに関するよくある質問Q&A
- 銀行ローンの審査をスピーディーに進める方法は?
- 銀行ローンの審査期間はどのくらい?
- 銀行ローンが即日審査に対応していない理由とは?
- 消費者金融と銀行ローンの違いが知りたい
銀行ローンの審査をスピーディーに進める方法は?
銀行ローンの審査をスピーディーに進めるためにも以下のポイントを押さえましょう。
- 本人確認書類や収入証明書など、審査に必要な書類を事前に揃えておく
- 申込書の記入漏れ・誤りがないか、提出書類が最新のものであるかなどをチェックする
- 銀行の審査が混み合う時期を避けて申し込む
- 審査スピードが早い金融機関に着目する
銀行ローンの審査期間はどのくらい?
銀行ローンの審査期間は金融機関によって異なりますが、事前審査で2~3日程度、本審査で1~2週間が一般的です。
ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、個々の申込内容や金融機関の状況によって前後することに留意しましょう。
また、ネット銀行などの一部の金融機関では、スピード審査を売りにしているため、より短い期間で審査結果が出る傾向にあります。
銀行ローンが即日審査に対応していない理由とは?
銀行ローンが即日審査に対応していない理由には、2つあげられます。
1つ目は、申込者が反社会的勢力との繋がりがないかを確認するためです。
警察庁のデータベースへの照会が義務付けられており、この照会結果が出るまでには1営業日以上の時間がかかります。
2つ目は、時間をかけて慎重に審査を行なっているためです。
これまで銀行による過剰な融資で自己破産を選択するケースが発生し、社会問題へと発展しました。
そのため、銀行ではカードローンの審査の見直し・整備を行い、より厳しい審査を行なっています。
消費者金融と銀行ローンの違いが知りたい
消費者金融と銀行ローンにはいくつかの違いがあります。
主な違いは以下の通りです。
ローン会社 | 消費者金融 | 銀行 |
---|---|---|
金利(年) | 3.0%~18.0% | 1.0%~15.0% |
審査時間 | 最短30分程度 | 最短で2営業日〜4営業日 |
総量規制 | 対象 | 対象外 |
法的な枠組み | 貸金業法 | 銀行法 |
まとめ
ここまで、銀行ローンの審査基準について解説しました。
審査基準の主要ポイント | |
---|---|
年収と勤務状況 | 安定した収入源があるかどうか、勤務先の種類や勤続年数など |
信用情報 | 過去の借入れや返済履歴、延滞の有無など |
他社からの借入れ | 他の金融機関からの借入れ状況と返済状況 |
財産状況 | 保有資産や不動産などの財産 |
銀行ローンを申込む際は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。