銀行員の平均年収はいくら?年代別・男女別・地方銀行やメガバンクなど分類別にも解説|日経転職版

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銀行員の平均年収はいくら?年代別・男女別・地方銀行やメガバンクなど分類別にも解説

銀行でのキャリア選択を考えるなら年収は大きなポイントです。年代別や男女別による年収の違い、銀行の主業務や求められるスキル、年収を上げるためのポイントを解説しました。銀行のキャリアアップや転職に興味のある方は必読です!

目次

銀行員の平均年収は783.5万円

日経転職版の年収調査(2022年11月から2023年10月までの間に登録した新規会員のうち大卒以上に絞った調査)によると、業界別で「銀行(都市・信託・信金・信組)」の平均年収は783.5万円(平均年齢40.0歳)でした。全体の平均年収702万円に対して、銀行(都市・信託・信金・信組)の平均年収は高めといえます。

年代別の平均年収

銀行業界 年代別の平均年収

同調査から、業界「銀行(都市・信託・信金・信組)」の平均年収を年代別に集計しました。20代は461.1万円、30代は651.0万円、40代は950.5万円、50代は1,143.3万円となりました。年齢が上がるとともに年収もアップし、10歳ごとに約200万円増えていることが分かります。特に30代から40代では約300万円の伸びで、40代でどんな役職に就き、活躍するかが年収を決める要因といえます。

銀行員の男女別の平均年収の違い

銀行業界 男女別・年代別の平均年収

同調査の業界「銀行(都市・信託・信金・信組)」の平均年収を男女別に比べました。男性の全体平均は946.5万円、女性は537.3万円で、400万円以上の差があります。年代別に比較すると、20代は100万円程度の差ですが、年代が上がるにつれて300万円、400万円と差が大きくなりました。これは、女性の総合職が少ないこと、管理職比率に差があることなどが原因と考えられます。しかし、最近は銀行業界でも女性管理職の育成やキャリアアップ支援が進んでおり、今後は男女の平均年収の差は縮小していくと思われます。

主な銀行の分類別平均年収

銀行の種類によって平均年収に差が見られます。都市銀行(メガバンク)、地方銀行、流通系銀行・ネット銀行、政府系金融機関の平均年収をまとめました。(有価証券報告書、日経会社情報DIGITALより。数値はすべて2023年3月現在)

都市銀行(メガバンク)

都市銀行は大都市を中心に、全国各地に店舗を展開している銀行を指します。3メガバンクと呼ばれる三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の平均年収は806.8万円(平均年齢39歳)でした。

メガバンクの平均年収

  従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均年収(円)
三菱UFJ銀行 32,786 39.4 7,846,000
三井住友銀行 27,839 39.4 8,428,000
みずほ銀行 24,652 39.5 7,932,000
平均 28,426 39 8,068,667

地方銀行

地方銀行は各都道府県を基本的な営業基盤とする銀行です。主要20行の地方銀行の平均年収は654万円(平均年齢40歳)でした。

地方銀行(主要)の平均年収

  従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均年収(円)
横浜銀行 4,274 40.4 7,714,000
千葉銀行 3,695 38.5 7,509,000
福岡銀行 3,494 36.4 7,234,000
静岡銀行 2,593 38.9 7,533,000
北洋銀行 2,442 42.7 6,711,000
常陽銀行 3,089 40.8 7,393,000
西日本シティ銀行 3,214 40.9 6,473,000
広島銀行 3,246 41.3 6,702,000
七十七銀行 2,461 38.7 7,122,000
京都銀行 3,303 38.7 6,744,000
八十二銀行 2,942 42.1 6,715,000
群馬銀行 2,860 41.2 7,066,000
中国銀行 2,645 39.1 7,234,000
北陸銀行 2,163 40.2 5,953,000
十六銀行 2,386 43.4 6,886,000
伊予銀行 2,603 37.7 6,842,000
百五銀行 2,204 40.8 7,110,000
東邦銀行 1,777 41.3 6,060,000
南都銀行 2,103 40.3 6,749,000
大垣共立銀行 2,476 38.7 6,286,000
平均 2,799 40 6,540,100

流通系銀行・ネット銀行

流通系銀行はコンビニなど商業施設と連携し主に決済サービスを提供する銀行、ネット銀行はインターネットバンキングを主体にサービスを提供する銀行です。主要な流通系銀行・ネット銀行の平均年収は708.4万円(平均年齢40歳)でした。

流通系銀行・ネット銀行(主要)の平均年収

  従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均年収(円)
セブン銀行 549 41.4 6,990,000
イオンフィナンシャルサービス 212 42.6 7,324,000
楽天銀行 827 37.1 6,351,000
住信SBIネット銀行 592 39.2 7,672,000
平均 545 40 7,084,250

政府系金融機関

政府系金融機関は政府が出資する金融機関で、日本国内の経済発展や中小企業の活動支援、海外事業の推進業務などの役割を担っています。主要な政府系金融機関の平均年収は877.5万円(平均年齢39歳)でした。

政府系金融機関(主要)の平均年収

  従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均年収(円)
日本政策投資銀行(DBJ) 1,270 37 10,709,000
国際協力銀行(JBIC) 809 38.6 8,081,000
日本政策金融公庫(JFC) 7,288 41.8 8,466,000
商工組合中央金庫(商工中金) 3,377 38.8 7,845,000
平均 3,186 39 8,775,250

銀行員の年収の特徴

銀行業界の年収の特徴として、銀行の種類や役職による違い、仕事内容による違い、地域による違いといった要素が年収に影響しています。

銀行の種類や年次、役職による違い

都市銀行(メガバンク)や政府系金融機関は事業規模が大きく、給与水準も高い傾向にあります。地方銀行は業務内容によっても異なりますが、都市銀行に比べてやや低くなります。また、年次につれて給料が上がる年功序列型の制度が残っているところが多いです。

役職は大きく分けて5段階で、支店長代理、課長、副支店長、支店長、執行役員です。20代後半〜30歳頃に支店長代理、30代後半〜40代で課長、副支店長に昇進し、このあたりで年収は1000万円の大台にアップします。40代〜50代で支店長、執行役員を目指す流れです。

仕事内容による違い

同じ銀行内でも、職種によって年収に差があります。例えば、営業職や投資銀行業務の担当者は市場分析や顧客との関係構築などの高度なスキルと専門知識が求められ、年収は高くなります。統計や数理分析を使うクオンツのような極めて専門性の高い職種も高年収です。一方、バックオフィス業務の中でもデータ管理など事務的な業務を主とするポジションでは年収は比較的低くなります。

地域による違い

都市部や経済発展に力を入れる地域では銀行の需要は高い一方、地方や人口の少ない地域では需要が低く、事業規模も小さくなるため、地方の平均年収は下がる傾向にあります。

銀行員の仕事内容

銀行の業務は幅広く、さまざまな職種がありますが、基本的には、預金業務、融資業務、為替業務、営業・販売業務に分かれます。ここでは業務の違いを理解しておきましょう。

預金業務

預金業務は顧客からの預金の受け入れ、預金商品の提案、口座管理を行います。具体的には新規口座の開設や既存口座の維持管理、預金の取引、利息の計算や付与、相談対応などが含まれます。顧客との信頼関係を築くためにていねいな対応やコミュニケーション能力が求められます。また、金融商品に関する情報を分かりやすく伝える能力も必要です。

融資業務

融資業務は資金が必要な企業・個人にお金を貸し付ける業務です。返済能力の審査、融資額や返済方法の検討、契約の締結、返済の管理などを行います。信用力の分析やリスク管理のスキルが必要であり、法律や金融市場に関する知識も求められます。また、さまざまな条件やスケジュールを調整することもあり、折衝力や交渉力が求められる場面も多いです。

為替業務

為替業務は金融機関の口座間の資金移動などでお金の受け渡しを行います。なかでも外国為替業務は外貨の両替や外国への送金、貿易取引などの業務を担い、さらに外国通貨や債券の売買もあります。国際金融に関する知識と理解、市場動向を把握して売買タイミングを見極める能力が求められます。数字に強く、世界経済の動向や政治的リスクに敏感であることも必要です。

営業・販売業務(口座開設・金融商品)

営業・販売業務は、新規顧客の獲得や口座開設、金融商品の提案・販売を行います。具体的には、顧客の発掘、商品説明や提案、契約手続きなどが含まれます。顧客と対面するポジションのため、相手のニーズを把握し信頼を得ながら、的確に情報を伝えるコミュニケーション能力が求められます。金融市場のトレンドも理解していることが重要です。

その他

銀行の業務は幅広く、上記以外にもさまざまな業務があります。例えば、ビジネスに伴うリスクを評価・計量化し管理するリスク管理部門、信頼性の高いシステムを構築するITシステム部門などです。どちらもビジネス拡大には必須で、専門スキルを持った人材のニーズは強くあります。

銀行員が年収をアップさせる方法

銀行に勤める人が年収をアップさせるにはどんな方法があるのでしょうか。王道は今の勤務先で昇給・昇格を目指すことですが、より年収の高い銀行への転職、異業界への転職などの方法もあります。

昇進・昇格する

同期の人間が数百人規模にもなる銀行は、厳しい競争社会です。その一方で、まだ年功序列の文化が強く、昇進・昇格には時間がかかります。評価は減点主義のところもあり、一度出世コースを外れると挽回することはなかなか難しいようです。どんな成果を上げた人が評価されチャンスを与えられるのか、しっかり把握することが大切です。階級が一定レベル以上になると、昇格試験・昇進試験を受けなくては役職が上がりません。IT系のエンジニア職でもあっても、社内で決まった資格を取っていないと役職に就けないルールの銀行もあります。

資格を取得する

銀行の業務を遂行するために必要な金融知識や法律知識などがあります。資格・検定などの取得義務、取得推奨があれば、なるべく早い時期に取りましょう。そのほか、レベルアップのために、財務諸表を理解する日商簿記2級、税金、保険、年金の知識を学べるFP技能検定2級などがあります。

転職する

ほかの金融機関や異業界の企業への転職は、年収アップを実現する有効な手段のひとつです。同じ金融でも、企業によって異なる給料水準やキャリアパスを提供している場合があり、転職先で自身のスキルや経験が高く評価されて、年収アップにつながることがあります。また異業界では、銀行員の金融知識や専門性、仕事の正確さなどが買われるケースもあるようです。

ただし、一般的に銀行の年収は他の業界に比べると高水準、かつ福利厚生も充実しているので、待遇面では転職先候補の企業は見劣りしてしまうこともあります。「年収アップを望むなら、銀行から異業界への転職は勧められない」と言う転職コンサルタントもいます。

銀行からの転職で年収アップを実現しやすい有力な業界は、「コンサルティングファーム・シンクタンク」です。日経転職版の年収調査では、「コンサルティングファーム・シンクタンク」の平均年収は992.2万円でした。企業のDX推進や事業モデル改革のニーズなどを背景に市場拡大が進み、人員確保のため採用にも積極的です。

銀行の転職市場の動向

銀行の人材獲得は新卒一括採用が主でしたが、2022年以降は中途採用(キャリア採用)が大幅に増えています。3メガバンクの24年度の採用計画調査によると、中途、新卒を合算した採用数は2650人、中途採用は1200人に達する見通しで、採用計画の中途比率は45%と5割に迫る勢いです。

中途採用の強化の背景には、デジタル技術の活用や富裕層向けビジネス、プロジェクトファイナンスなどの広い分野で即戦力となる専門人材のニーズが高まっていることがあります。銀行の業務が高度化・複雑化しているため、それに対応できる人材を外部から獲得しようという狙いです。

内製化が進むIT部門、グローバルで高度な対応が求められる法務部門、世界的に注目度が高まるサステナビリティ関連部門などでも専門人材の中途採用が進んでいます。SIer、コンサルティング会社などからの転職事例が見られます。また、従来からある営業職でも、窓口業務ではないフロント業務、為替業務、セールス業務などで積極的に採用があります。証券会社などから転職するケースが多いほか、法人営業経験者の採用もあります。

転職サイト・転職エージェントを利用する

転職活動では、転職サイト・転職エージェント(人材紹介会社)を利用したほうがよいでしょう。特に金融業界に特化した転職エージェントでは、求職者の経歴を正確に読み取り、個別のアドバイスやキャリア戦略を提供してくれます。求職者の要望を理解した上で適切な求人案件を紹介してくれるので、自身のキャリアプランに合致した転職が実現しやすくなります。また、転職エージェントは企業の非公開求人も持っており、一般には知られていない求人を紹介してくれることもあります。応募書類や面接に関するアドバイスのほか、年収交渉などでもサポートしてくれるため、年収アップをかなえたい人には有益といえるでしょう。

銀行の年収、転職に関してよくあるQ&A

銀行の年収や転職について、よくある質問と回答をまとめました。さらに詳しいことを知りたい場合は、金融業界に強い転職エージェントなどに問い合わせるとよいでしょう。

銀行に転職できるのは何歳まで?

30代前半から40歳までがひとつの目安です。銀行では役職定年(一定年齢に達した社員が役員や部長・課長などの役職を外れる制度)を迎えるのが50代と早いため、40代半ばで転職してもすぐに役職定年になり、活躍できる期間が短くなります。

地方銀行から都市銀行(メガバンク)への転職は可能か?

メガバンクは中途採用を大幅に増やしています。地方銀行からメガバンクへ転職したケースは多く、十分可能です。年収アップにもつながりやすいです。

まとめ

銀行の平均年収は約780万円で、一般的な水準よりも高めです。さらに銀行の種類、役職、年次、職種、地域の違いになどよって、年収に違いが生まれます。高い年収を得るためには、昇進・昇格、資格取得でスキルアップ、転職などの方法があります。銀行で働く人は、以前は新卒採用からの生え抜き社員が主流でしたが、ここ数年は高い専門性やスキルを持つ人材を求めて中途採用が増えています。銀行への転職のハードルは低くなっています。

この記事を監修したコンサルタント

本杉裕樹の写真
本杉 裕樹株式会社日経HR
大手総合不動産勤務を経て、2011年に大手人材紹介会社へ入社。法人営業としてコンサルティング、製造、サービス、金融、メディカルなど幅広く業界を担当する。17年からハイクラスのキャリア転職支援・採用支援サービスに従事。18年4月から日経HRでエグゼクティブ層を中心に、企業と求職者双方の転職支援を担当。累計300人以上の転職を支援。

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