働くシングル女性の悩み大解剖
~女性が子どもを持ちながらいきいきと働き続けるためのパートナー選び~
はじめに
1997 年以降専業主婦世帯よりも共働き世帯数のほうが多く、これ以降その差は年々開いている。少子高齢化により労働人口の減少が進んだことで女性の社会進出が進み、女性の生き方は多様化していることから、女性のライフキャリアに関する悩みも多様化しつつある。
2015年には、仕事で活躍したいと希望するすべての女性が個性や能力を発揮できる社会の実現を目指す女性活躍推進法が制定され、これを機に男性育休の推進や女性管理職登用などの取り組みが進められている。しかし、本調査で働く23歳-39歳で未婚かつ子どもがいない女性に対して「将来的に子どもを持ちながら仕事をつづけていけるか不安を感じるか」を聞いたところ7割が不安を感じており、若年層ほど不安感は強いことがわかった。【図1】
そこで、本レポートは働く未婚女性の理想のライフキャリアと悩みを明らかにするとともに、実際に子どもを持ちながら働く既婚女性で仕事の満足度が高い人の特徴をもとに、子どもを持ちながら働き続けたい未婚女性の悩みを解決するためのヒントを探り、今後の参考となるような情報を提供することを目指す。また、この情報が企業において女性が働きやすい環境を整備するためのヒントとなれば幸いである。
【図1】将来的に子どもを持ちながら、仕事をつづけていけるか不安を感じるか(単一回答)
※回答ベース:正社員として働く23-39歳の未婚かつ子どもを持たない女性
働く未婚女性の理想のライフキャリア
結婚についての理想
未婚女性の7割が結婚願望があり、若年層ほど高くなった。結婚したい理由は年代によって異なるが、結婚したくない理由は全年代「必要性を感じないから」で共通している結果となった。
また、結婚相手に求める条件は、未婚女性の年収500万円以上では学歴や職業に加えて仕事への理解や生活力を重視しており、年収が高い人ほど結婚相手に求める条件が多い様子がみられた。【図2】
【図2】結婚相手に求める条件(単一回答)※「とても重視する」+「やや重視する」の合計で比較
出産・子育てについての理想
将来的に子どもを希望する女性は54.4%で、希望しない女性は45.5%となり、子どもを希望する人が多かった。子どもを希望しない理由は「子どもが好きではないから」「育児の心理的・肉体的負担に耐えられないから」が上位となった。
また、結婚相手との出産後の家事・育児の分担は「結婚相手と二人でシェア」が若年層ほど高かった。結婚相手の育休取得を望む割合は5割で年代別では20代で多い一方で、育休は取得せずに子育て参加を望む人は3割で年代別では30代で多いことがわかった。【図3】
結婚相手の育休取得を望む理由は、「一方だけに子育てをまかせるのはよくないと思うから 」がもっとも多くなった一方で、結婚相手の育休取得を望まない理由は20代で「結婚相手のキャリアを優先して欲しいと思うから」「育児休業後の職場への復帰に不安があるから」「育児休業の取得が出世に影響するのではないかと思うから」が、30代で「収入が下がることを避けたいから」が全体より高くなった。【図4】
【図3】結婚相手の育休取得に対する考え(単一回答)
※回答ベース:「子どもが欲しい」と回答した人
【図4】結婚相手に育休取得してほしくない理由(単一回答)※上位5項目、
※回答ベース:「育児休業は取らないが子育てしてほしい」と回答した人
仕事・キャリアについての理想
出産後に希望する働き方は正社員が7割で、管理職では非管理職より6.9pt高かった。福利厚生の充実や雇用の安定性という点から出産後も正社員を希望する人が多い一方で、専業主婦や正社員以外の働き方を希望する人は3割程度おり、家事・育児との両立しのやすさから正社員以外の働き方を希望する人が多い様子がみられた。【図5】
しかし、出産後に正社員以外の働き方を希望する人に、仕事と子育ての両立ができる場合に出産後も正社員として働き続けたいか聞いたところ、そう思う割合は約6割となった。また、将来的に管理職になりたい割合は28.8%で若年層ほど高く、20代前半で44.0%であった。【図6】
【図5】出産後に希望する働き方(単一回答)※回答ベース:「子どもが欲しい」と回答した人
【図6】仕事と子育ての両立ができる場合、出産後も正社員として働き続けたいか(単一回答)
※回答数:72※回答ベース:出産後の希望雇用形態を「正社員・専業主婦以外」と回答した人
人生100年時代に向けた今後の働き方
人生100年時代に向けた今後の働き方を聞いたところ、20代前半では「ライフイベント(育児や介護など)の機会に働き方を変えたい」「定年の有無に関わらず、働けるうちはいつまでも働きたい」「いいところがあれば転職してキャリアアップしたい」が全体より高くなった。20代前半はZ世代にあたり、柔軟に働き続けたいという考えやキャリアアップのための転職意向が強くみられたことから、今後同じ会社で長く働く働き方が変化していくことが予測される。【図7】
【図7】人生100年時代に向けた今後の働き方(複数回答)
働く未婚女性の抱える悩み
現在の悩み
現在の悩みは「生き方・暮らし方」「収入・家計」「自分のキャリア・仕事」「恋愛・結婚」に関する悩みが上位となったが、年齢・収入・役職・希望するライフコースごとに異なることがわかった。【図8】
【図8】現在の悩み(複数回答)
仕事・キャリアについての悩み
現在の仕事・キャリアに関する悩みを聞いたところ、20代・30代ともに「給与が低い・上がらない」がもっとも多く、4人に1人以上が給与面での悩みを持っていることがわかった。
また、 20代や管理職に就いている人、高年収の人では「出産後にこれまで同様に仕事を続けていけるか」が多く、高年収の人ほど悩みが多岐にわたり「今後どのようなキャリアを築いていくか」「周りにロールモデルがいない」「出産後にこれまで同様に仕事を続けていけるか」などが高くなった。 「悩みを相談できる相手や機会がない」という悩みは、20代や結婚するが子どもを希望しない人で多くみられた。【表1】
【表1】現在のキャリアや仕事の悩み詳細(自由回答)
※回答ベース:現在の悩み「自分のキャリア・仕事」と回答した人
出産後にこれまで同様に仕事を続けていけるか
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在のキャリア・仕事に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
27歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 時短などしていても問題なく働けるか。 |
37歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 育休後に復職をしても自分の居場所があるのかが心配。 |
29歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 現在は仕事を重視しているが、子どもが生まれた場合に自分の中で育児・家庭と仕事の重視度のバランスがどう変わるか予測できない。そのバランスが現在とは大きく異なることになった場合、新たな理想のバランスに合わせて会社が処遇を変更、柔軟に対応してくれる か分からない。 |
今後どのようなキャリアを築いていくか
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在のキャリア・仕事に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
31歳 | 非管理職 | 結婚願望も子どもの希望もない | キャリアを積んで管理職にはなりたいが、管理職になると残業が多くなるため、仕事中心の生活になるのではないかという悩みがあ る。 |
33歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | スキルを身に付けて開業したいが、出産育児でブランクが空くからキャリアプランを立てにくい。 |
37歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 現在女性管理職であるが、上からは役員への昇進などキャリアアップを薦められるが、今後のキャリアが漠然としておりイメージがわかず、そこまでの責任を負いたくないためどうしたいかがわから ない。 |
39歳 | 管理職 | 結婚して子どもは持たない | 新卒から十数年同じ会社で働いてきましたが、この仕事に行き詰まりを感じており、今後転職すべきか悩んでいる。 |
周りにロールモデルがいない
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在のキャリア・仕事に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
29歳 | 非管理職 | 結婚して子どもは持たない | 周りに目指したいと思えるロールモデルがおらず、将来像が見えな いから。 |
32歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 自分の上には役員しかおらず、不在にしていることも多い。尊敬できる上長がおらず、今後どのようにすべきか、悩むことが多い。 |
給与が低い・上がらない
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在のキャリア・仕事に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
29歳 | 非管理職 | 結婚願望も子どもの希望もない | ボーナスも一定金額で基本給も上がらないのに物価がどんどん高くなっていっているため。 |
39歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 数年間横這い。給与を上げるための機会がない。 |
34歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 管理職でも仕事の量と責任だけが増え、給料は上がらないしボーナスも全然期待できない金額しかもらえない。 |
悩みを相談できる相手や機会がない
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在のキャリア・仕事に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
24歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 友達と職場の愚痴を聞きあって慰め合うことはあるが、踏み込んだアドバイスをしてくれる相手はなかなかいないし私も相手にするのは難しいと思う。 |
27歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 男職場で店舗に女性営業がおらず、バリバリやっている同期の女性もいなかったため、仕事に関する相談ができなかった。(客からのセ クハラなど) |
34歳 | 非管理職 | 結婚して子どもは持たない | 直属の先輩、上司と関係がうまくいっておらず、相談しようにも情報が漏れそうでできない。 |
恋愛・結婚についての悩み
現在の恋愛・結婚に関する悩みを聞いたところ、全年代で「適当な相手にめぐり合わない(交際相手がいない)」がもっとも多く、4人に1人以上がパートナー選びについて悩みを持っていることがわかった。また、高年収の人ほど悩みが多岐にわたり「仕事が忙しすぎて出会いがない」「悩みを相談できる相手や機会がない」「年々結婚相手に求める基準が高くなる」などが高くなった。 【表2】
【表2】現在の恋愛・結婚の悩み(単一回答) ※回答ベース:現在の悩み「恋愛・結婚」と回答した人
適当な相手にめぐり合わない(交際相手がいない)
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在の恋愛・結婚に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
25歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | テレワークかつ、部署に既婚者が多いこともありあまり出会いがない。 |
30歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 最近付き合っていた人と別れたので、またイチからの出会いを求めて、いい人に会えるかわからないので不安。 |
29歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 自分で自分がどういう相手を良い、適当と感じるのか分からない。 |
年々結婚相手に求める基準が高くなる
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在の恋愛・結婚に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
31歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 見た目や中身など、いろいろな条件を見てしまうことが増えたから |
37歳 | 非管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 好みのタイプよりも「嫌いなタイプ・絶対に結婚したくないタイプ」を考えてしまい、嫌なところが目につくようになってしまった。 |
仕事が忙しすぎて出会いがない
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在の恋愛・結婚に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
38歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 夜も海外の同僚との会議が多いため、予定を入れるのが難しい。 |
32歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | とにかく忙しくていまでも出会う時間がとれないから。 |
37歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 仕事を優先し過ごしているため、出会う時間がない。また、疲れて帰ってくる為、積極的に行動することもなく面倒と感じてしまう。 |
悩みを相談できる相手や機会がない
年齢 | 役職有無 | 希望ライフコース | 現在の恋愛・結婚に関する悩み詳細 |
---|---|---|---|
33歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 理解して本気で考えてくれる人はいないと感じる。 |
32歳 | 管理職 | 結婚して子どもを持ちたい | 実家から離れて家族も友人も近くにいないから。 |
悩みの相談について
相談したい悩みは20代で「自分のキャリア・仕事」、30代で「恋愛・結婚」がもっとも多くなり、 「キャリア・仕事」「恋愛・結婚」の悩みを相談したいが、相談相手がいない人は2割となった。【図9】
【図9】悩みを相談したいと思ったことがあるか(単一回答)
※回答ベース:各項目について現在悩みがあると答えた人、※n=30未満は参考値とする
働く未婚女性の理想のライフキャリアと悩みに関するまとめ
将来的に結婚・出産を希望する未婚女性が多く、20代や管理職・高年収の人ほど子どもを持ちながら働き続けられるか悩みを抱えている人が多いことがわかった。また、悩みを相談できる相手や機会がないことや、その状況に悩んでいる人も多いことから、悩みを解決するためのヒントとして、悩みを相談できる環境を政府や企業が整えていくことが求められると考える。
ここからは子どもがいる既婚女性がどのように仕事と育児を両立しているかについてのデータを示しながら、女性がキャリアを諦めることなく子どもを持ちながら働き続けるために必要なことについて探っていきたい。
先輩女性はどう乗り越えてきたのか~仕事と育児の両立をするためには~
仕事・キャリアに関する満足度
子どもを持ちながら働いている既婚女性の7割は、現在の仕事・キャリアに満足している。【図10】
【図10】仕事・キャリアに関する満足度 ※回答数:742
仕事・キャリアの満足度が高い人の結婚について
仕事・キャリアの満足度が高い人が、結婚相手に求めた条件は「自分の親と同居してくれる」「転勤がないこと」が高かった。女性がキャリアを諦めることなく仕事と子育てを両立するためには、結婚相手だけでなく親など周囲の協力を得ることや結婚相手の転勤を理由とした不本意な退職や転職をなくすことなどが重要となっているとみられる。
また、仕事・キャリアの満足度が高い人は、不満層より【結婚相手を選ぶ際にライフプランを考慮した割合】が+12.0pt、【結婚相手を選ぶ際にキャリアプランを考慮した割合】が+6.5pt、【仕事を選ぶ際にライフプランを考慮した割合】が+5.4pt、【仕事を選ぶ際にキャリアプランを考慮した割合】が+4.9pt高いことから、特に結婚相手を選ぶ際に自分のライフプランやキャリアプランを考慮することが、仕事やキャリアの満足度を高めるうえで重要だと考えられる。【図11】
【図11】結婚相手・仕事選びの際にキャリアプラン・ライフプランを考慮したか(単一回答)
仕事・キャリアの満足度が高い人の家事・育児について
仕事・キャリアの満足度が高い人は、仕事と育児の両立を行うために家庭で「結婚相手の家事・育児の協力」を得ていた割合がもっとも高く、パートナーとの家事・育児分担については二人でシェアしている割合が高くなった。また、出産前に「家事の分担方法」「子どもの計画」をパートナーと共有・話し合っていた人が多いことがわかった。【図12】
【図12】仕事と育児の両立を行うために家庭で行ったこと(複数回答)
仕事・キャリアの満足度が高い人の仕事・キャリアについて
仕事・キャリアの満足度が高い人は、結婚前・出産前にライフキャリアプランについて明確な目標やビジョンがあった割合が高く、理想のキャリアプランを実現するために結婚前に「昇進・昇格」「理想のキャリアプランの明確化」「上司や会社に対してキャリアプランや目標の相談・共有」「資格取得などの自己研鑽」などを実施していたことがわかった。【表3-1】【表3-2】
また、結婚前にパートナーと互いのライフプランやキャリアプランを共有していた割合が高い様子がみられた。さらに、会社における仕事と子育て両立のための制度・環境として「周囲の理解・協力」や「上司や先輩社員とのコミュニケーションを取る機会」がある割合が高く、一方で結婚相手の会社における仕事と子育て両立のための制度・環境として「周囲の理解・協力やコミュニケーションを取る機会」「転勤制度の廃止」がある割合が高いことがわかった。
【表3-1】理想のキャリアプランを実現するために結婚前に仕事を行う上で取り組んだことや意識していたこと(自由回答)※回答ベース:仕事・キャリアに関する満足度が高い人
昇進・昇格
年齢 | 役職有無 | 理想のキャリアプランを実現するために 結婚前に仕事上で取り組んだこと・意識していたこと |
---|---|---|
33歳 | 管理職 | 目標は出産前に中間管理職につくことだった。子育てをしながら働くことができるよう、 ある程度自分で仕事を管理できる立ち位置にいることが、理想だった。そのため、職場で昇進するために必要な研修を、予定を立てて受けていた。また、自分自身のアピールになるような、公募型のプロジェクト等に進んで参加した。 |
35歳 | 管理職 | 結婚するまでに役職に着いておきたかったので、誰よりも仕事を引き受け、結果を出し続け た。結婚、出産を経ても働き続けられる女性社員のモデルケースにもなれるよう、後輩にも長期でキャリアプランを築く重要性を説いた。 |
48歳 | 管理職 | 結婚当時の年齢で課長レベルのキャリアまで行きたかったためそれに向けて行動した。 |
業務上での工夫
年齢 | 役職有無 | 理想のキャリアプランを実現するために 結婚前に仕事上で取り組んだこと・意識していたこと |
---|---|---|
31歳 | 非管理職 | 責任ある仕事を振られるよう、全体の指揮をとることを率先した |
40歳 | 管理職 | 営業で実績を上げ、内部の仕事も任せられるスキルを身につけ、自分の意見にまわりが耳を 傾けてくれる立ち位置を得てから出産に臨んだ。 |
41歳 | 管理職 | 年間の仕事の流れを計画して、実行できるようにした。 |
47歳 | 管理職 | 周りに目を配り、自分以外の人の仕事にも興味を持つ。 |
理想のキャリアプランを明確化
年齢 | 役職有無 | 理想のキャリアプランを実現するために 結婚前に仕事上で取り組んだこと・意識していたこと |
---|---|---|
29歳 | 非管理職 | 希望部署に異動できるよう会社内で有名になろうとして社内コンテストに参加した。 |
36歳 | 非管理職 | 何年後にどうなりたいかから逆算し、資格取得等を行った。 |
29歳 | 管理職 | 徹底して定時で帰ること。仕事に効率を求めることで、業務のこなし方を学んだ。また結婚 前の働き方から「この働き方であれば働き続けることができるか」を意識していた。 |
【表3-2】理想のキャリアプランを実現するために結婚前に仕事を行う上で取り組んだことや意識していたこと(自由回答)※回答ベース:仕事・キャリアに関する満足度が高い人
上司や会社に対してキャリアプランや目標の相談・共有
年齢 | 役職有無 | 理想のキャリアプランを実現するために 結婚前に仕事上で取り組んだこと・意識していたこと |
---|---|---|
29歳 | 非管理職 | 上司にライフプランを伝えた上で、いつ昇格したいか伝えた。そのために努力して、結果を 残すことで結婚後も理解を得られた。 |
42歳 | 非管理職 | 上司へ相談し、自分に出来る事、必要な事は何かを明確にし、それに向けてビジョンを立てた。 |
49歳 | 管理職 | 同僚と上司全ての理解を得る様に日常的に話をしておいたこと。 |
収入アップ
年齢 | 役職有無 | 理想のキャリアプランを実現するために 結婚前に仕事上で取り組んだこと・意識していたこと |
---|---|---|
30歳 | 非管理職 | まずは社内で様々なことに挑戦したり、目標を達成することで地位や年収の向上。そこをベ ースにして、他企業への転職で更なる年収UP。 |
39歳 | 非管理職 | 目標の収入までたどり着けるよう努力した。 |
仕事選び
年齢 | 役職有無 | 理想のキャリアプランを実現するために 結婚前に仕事上で取り組んだこと・意識していたこと |
---|---|---|
33歳 | 管理職 | ライブイベントとの両立のため、制度や風土のある企業に転職した。 |
47歳 | 管理職 | 転勤がなく女性総合職の採用が多い会社を選んだ。 |
自己研鑽
年齢 | 役職有無 | 理想のキャリアプランを実現するために 結婚前に仕事上で取り組んだこと・意識していたこと |
---|---|---|
31歳 | 非管理職 | 異動を通して、学び直しをした。 |
40歳 | 非管理職 | 業務上必要と思われる研修には職場内外問わず参加した。 |
30歳 | 管理職 | 子供が小学生くらいになる頃に転職をしたかったので、資格取得と転職後のキャリアに活き るような仕事を、積極的に請け負った |
仕事・キャリアの満足度が高く、子どもを持ちながら働く既婚女性の特徴まとめ
- 自分の理想のライフキャリアプランが明確にあり、それを上司やパートナーに相談・共有している
- お互いが主体的に家事・育児を行えるパートナーを選んでいる
- パートナーに女性の仕事への理解がある
- 自分の価値を高めていくために自己啓発や早めに昇進するなどキャリア形成に取り組んでいた
- 自分の会社とパートナーの会社ともに周囲の理解・協力やコミュニケーションを取る機会、多様で柔軟な働き方がある
女性が子どもを持ちながら仕事も充実させるためには
おわりに
今回の調査結果から、働く未婚女性に悩みが生じているのは、自分の理想に対する現実とのギャップ(差)を感じることが要因だと考えられる。例えば、未婚女性の7割が結婚願望があり結婚する未来を理想としているが、適当な相手にめぐり合わない(交際相手がいない)といった現実があることから「理想」と「現実」のギャップを感じ、それは“未来への不安”となっている。この未来への不安が現在の悩みを生んでいるとみられる。そのため、悩みや不安を解決するためには、理想と現実のギャップを埋めて理想に近づくことやそのためにどのような行動が取れるかを知ることが必要だと考えられる。
しかし、女性の仕事やキャリアは結婚や出産、育児などのライフイベントに左右されやすく、さらに変化の激しい時代では予測しにくいことも多い。多様な選択肢がある中で自分の理想を明確にすることは大事だが、その時々の環境の変化や出会いに合わせて柔軟に対応していくことも必要であると考えられるため、「綿密すぎるプランは、必ずしも必要ない」ことは理解する必要があるだろう。
実際、子どもがいる既婚女性で仕事・キャリアの満足度が高い人のうち、希望していたキャリアを歩んでいる割合は63.6%にとどまることから、自分の思い描いたキャリアプラン通りに進まなかったとしても、現在の仕事・キャリアの満足度は高い人がいることがわかる。【図13】
【図13】希望していたキャリアを歩んでいるか(単一回答)
※既婚女性で仕事・キャリアの満足度が高い人、※回答数:519
しかし、調査結果では、理想のライフキャリアのプランを明確に持っており、それをパートナーや上司に共有・相談していた人の方が仕事・キャリアの満足度は高かった。このことから、理想は状況により変わるものではあるが、理想とするビジョンや目標はある程度明確である方が、それを目指すための行動や選択を取ることができるため、一旦自分の中で明確化することが重要であると考える。
そのため、もし理想が漠然としており、明確に定まっていなかったり、イメージがはっきり湧いていない場合は、周囲の人に相談したり、事例を集めてみたりすることが大切であり、この相談相手やロールモデルとの交流の機会を政府や企業はより整えていく必要があるだろう。
そうすることで、理想の実現のための手法や悩みを解決するヒントを女性が受け取ることができるのではないだろうか。また、価値観が多様化していることからも、女性が子どもを持ちながら仕事を続けていくためには、パートナーと協力して、互いの理想とするキャリアやライフプランを共有して互いに諦めることなく、実現できる方法を探ることが求められる。
男女ともにお互いの立場や考えを尊重し合うと同時に、理想とする未来に向かって、時に相手に歩み寄り、時に相手の手を引くことがいきいきと働き続けることに繋がるだろう。
キャリアリサーチLab研究員 三輪希実