表題の「國家と革命」は眺めてしかゐないから、この纏めは未完のレーニン 〈力〉の思想を読む (講談社学術文庫)と新版 はじまりのレーニン (岩波現代文庫)を流し讀んだ纏めになる。
ヨーロッパと日本での近世つまり 17 世紀以降で、自然科學屋の外で唯物論を、名を冠しただけでなく本當に唯物論をやった者は、管見の限りでは世界を見ても Sigmund Freud さんと Влади́мир Ильи́ч Ле́нин さんの二人しか知らない。この觀點で今は Ле́нин さんに關心を持ってゐる。
社會に對する Ле́нин さんの解は、第一次大戰前後當時のドイツの帝國主義的な市民社會を主に觀察して煉り上げたもので、かつ當時のロシアの基盤の上で意義を持ったものだ。今では各國の社會がもっと多くの隘路を例示しているから、それぞれに對應した解、しかも現在に各隘路が同時に在る中での解を考へねばならぬ。だがそもそも Freud さんや Ле́нин さんの考へは日々の暮らしを勇氣附けかつ掣肘するもので、たぶんかういふ側面を輕んじる事は社會の階層をより極端に分ける樣に働く。