死者
行方不明者
住宅損壊
浸水
(2018年11月6日現在、消防庁まとめ)
活発な梅雨前線による豪雨で、気象庁は7月6~8日、岡山や広島など計11府県に大雨の特別警報を出し、「重大な危険が差し迫った異常事態」と最大級の警戒を呼び掛けた。48時間雨量は広島市や岐阜県高山市など124地点で観測史上最多を更新、各地で甚大な被害をもたらした。7月平年比の雨量は、近畿225%、山陽(岡山、広島県)216%、四国210%-と軒並み200%を超えた。防災科学技術研究所は「100年に1回程度の非常にまれな大雨だった」と分析している。
各気象台所在地の値
死者
行方不明者
重傷者
軽傷者
2020年6月4日現在(関連死除く、岡山県危機管理課発表)
住宅全壊
半壊
床上浸水
床下浸水
地図(■は人的被害伴う、■は住宅被害のみ)をクリックすると詳細が見られます。
岡山地方気象台のまとめによると、 岡山県内24市町村に大雨特別警報が発令された7月6日の雨量は、県内25観測地点のうち7地点(表■)で観測史上最大を記録した。7月の総雨量も全地点で平年の3~1・5倍に達しており、そのほとんどが5~7日の3日間に集中していた。
主な6日の雨量は、 新見市千屋で198・0ミリ▽ 井原市芳井町佐屋190・5ミリ▽新見市新見189・0ミリ▽真庭市下呰部185・0ミリ▽笠岡市158・0ミリ-など。
また、7日午前までの48時間雨量は新見市新見420・0ミリ▽鏡野町恩原409・0ミリ▽真庭市久世400・5ミリ-などで、20地点で観測史上最大だった。1カ月間の雨量で400ミリを超えたのは、鏡野町恩原525・0ミリ、真庭市下呰部493・0ミリ、新見市新見478・5ミリ、津山市452・0ミリ-など16地点。岡山市は372・0ミリ、倉敷市は323・5ミリで、ともに平年の2倍余りだった。
岡山地方気象台発表
【決壊の主因】地区の3割(1200ヘクタール)が水没した倉敷市真備町地区の小田川と3支流(末政、高馬、真谷川)の計8カ所は、周囲より低い部分から「越水」し、堤防が外側から削られたのが主な要因。「越水」は旭川、高梁川2カ所、矢掛町内の小田川3カ所でも起きていた。砂川は「越水」と、堤防やその地盤に水がしみこんで崩れる「浸透」が発生。 尾坂川、岩倉川、高屋川は、水流で堤防の内側が崩壊する「浸食」が生じていた。
6日
11:30
倉敷市全域の山沿いに「避難準備・高齢者等避難開始」発令
22:00
真備町地区に「避難勧告」発令
22:10頃
小田川の観測所(矢掛町)で氾濫危険水位(3.2メートル)を超える
22:40
倉敷市に大雨特別警報
23:45
小田川南側に「避難指示」発令
7日
0:47
国交省岡山河川事務所が倉敷市に小田川の越水を連絡
1:30
小田川北側に「避難指示」発令
1:34
高馬川で堤防決壊を確認と公表(後日、未確認だったことが判明)
6:52
小田川(東側部分)で堤防決壊(約100メートル)を確認
12:30
小田川(西側部分)で堤防決壊(約50メートル)を確認
豪雨発生直後には、岡山県内の自治体が設けた避難所などに住民が殺到した。総社市には7月7日未明、39避難所に7291人(倉敷市真備町地区の被災者を含む)が避難。県全体では一時、2万5千人以上が身を寄せた。生活再建が進むにつれてその数は徐々に減少したが、被災から1カ月たった8月5日時点でも、倉敷市真備町地区を中心に2千人余りが避難所生活を余儀なくされた。
山陽新聞社まとめ(避難者1000人以上の市)
岡山県災害対策本部まとめ
中国電力岡山支社によると、7月6日以降、高梁、総社、倉敷、岡山市など20市町村で延べ約5万1200戸が停電した。被災後、最大で約1700戸に上った倉敷市真備町地区の停電は12日午後7時10分ごろ、すべて復旧した。その他地域でも電力供給が順次再開され、14日に全面復旧した(住宅の配線の不具合や、電気製品の故障などで電気が使えないケースなどは除く)。
岡山県災害対策本部まとめ
岡山県の発表によると、浄水場や水源地が冠水するなどしたため、倉敷、高梁、新見市など6市町約3万1千戸で断水した(7月8日午後9時現在)。地区の約3割が水没した倉敷市真備町地区では、真備浄水場(総社市)が冠水し機能が停止したほか、送配水管が24カ所破損し全区域(約8900戸)が供給不能に陥った。真備町地区全域に水道水が供給されたのは24日だった。また、県内で最も長く断水が続いたのは新見市南部の草間台地区の約540戸で、28日午後0時半にようやく解消した。
岡山県災害対策本部まとめ
岡山県内のJR在来線は7月5日以降、最大で全10路線が運休。全線再開までに57日を要した。井原鉄道の井原線は、運転を見合わせていた三谷―総社間が9月3日に再開し、全線復旧。同県内の鉄路の不通は全て解消された。
被災自治体の社会福祉協議会は「災害ボランティアセンター」を相次いで開設。岡山県内外から集まったボランティアが、家財道具の片付けや土砂の撤去などに汗を流した。県社会福祉協議会によると、10市町で被災後1カ月間(7月8日~8月6日)に延べ約4万6千人が活動。週末には5千人を超える日もあった。
岡山県社会福祉協議会まとめ(参考値、8/28現在)
7月6日
・気象庁が岡山、広島など8府県に大雨特別警報を出したと発表、最大級の警戒を呼び掛ける。岡山県では初
・井原市で民家に土砂が流入。女性が死亡
・総社市で、冠水した国道180号にいた14人が流され、2人が行方不明に(後に死亡を確認)
・伊原木隆太知事が自衛隊に災害派遣を要請
・総社市下原の朝日アルミ産業の工場が午後11時35分ごろ爆発。付近の住民多数がけが
7日
・未明から朝にかけ、倉敷市真備町地区の小田川、高馬川や岡山市東区の砂川などの堤防が次々と決壊。10河川、18カ所に
・県内各地で家屋浸水や土砂崩れが発生。消防、警察や自衛隊の救助活動が続く
・笠岡市のヒルタ工業に土砂が流入。従業員6人が生き埋めとなり2人死亡
8日
・倉敷市が真備町地区の推計被災戸数を4690戸と発表
9日
・1階が水没し孤立状態だった 「まび記念病院」の患者ら全員を救助
10日
・県内の犠牲者が54人に。行方不明5人。10市町59カ所の避難所に3900人
11日
・倉敷市社協がボランティアセンターを開設
・安倍晋三首相が真備町地区の被災者を激励
13日
・岡山県が犠牲者のうち52人の名前を公表
14日
・真備町地区で浸水したディスカウントストアが営業を再開
15日
・石井啓一国土交通相が真備町地区を視察し、決壊した小田川の高梁川との合流点付け替え工事の完成を前倒しする方針表明
・死者が61人に。風水害では戦後2番目の多さ
17日
・JR津山線が部分復旧。金川―岡山間はバス輸送
18日
・県内で全半壊した家屋が2555棟に上り、風水害被害では戦後最悪に
19日
・豪雨被害への緊急対応のため、伊原木知事が146億円の補正予算を専決処分
・爆発した朝日アルミ産業の工場を県警が業務上過失傷害容疑で家宅捜索
21日
・倉敷市の国重文・大橋家住宅の土塀が30メートルにわたって倒壊。豪雨も影響と専門家
22日
・倉敷市の公営住宅と、総社市の「みなし仮設住宅」の提供が始まる
23日
・大量の災害ごみを処理するため、県が倉敷市に中間処理プラントを整備へ
・倉敷市が仮設住宅200戸の建設を県に要望
24日
・政府が西日本豪雨の激甚災害指定を閣議決定
・真備町地区の断水が解消。新見市草間台地区540戸で依然、断水は続く
25日
・熱中症で救急搬送された県内の患者が7月16~22日の1週間で573人と過去最多に。被災地住民やボランティアの搬送も
28日
・新見市草間台地区で通水。県内の断水が解消
29日
・台風12号が岡山を通過。被災地住民らが不安を抱えて過ごす。7市町、7万7000世帯に避難勧告が出たが、大きな被害なし
30日
・倉敷市の伊東香織市長が災害緊急対応のため、137億円の補正予算を専決処分
31日
・落ち込む観光需要の喚起へ、県が宿泊代を5000円割引するクーポンを8月3日から発行すると発表
8月1日
・一部不通となっていたJR伯備線が全線再開
2日
・天皇、皇后両陛下が皇居で、被災した岡山、広島県知事に励ましの言葉
・政府が西日本豪雨被災地へ総額1000億円規模の「生活・生業再建支援パッケージ」
・西日本豪雨の7月6日の雨量が、県内7地点で観測史上最大だったことが判明
3日
・豪雨で決壊した10河川18カ所の堤防で仮復旧工事が完了
・倉敷市の避難者約2000人の約3割が高齢や障害、病気などの要配慮者であることが判明
4日
・水没して閉庁となっていた倉敷市真備支所で一部業務が再開(16日に全面再開)
5日
・JR津山線が全線復旧