タコの卵のてっちゃぎとの米子旅行記の続き。
米子といえば近年は皆生温泉というよりも、境港市の水木しげるロードに観光に行くというイメージがある。
よくよく考えてみれば米子市は米子市であって境港市ではないし、水木しげるロードの最寄り駅にしたって境港駅であって、米子駅からは一時間くらいの距離がある。しかし、どうしたってみんな米子に泊りガチだ。
なぜならば境港駅周辺はかつて栄えた昭和の漁港の町って感じで、古い商人宿みたいなのはいくつかあったが、あんまり泊まって楽しそうなところでもなかったからだ。それから、水木しげるロードの注目とともにホテルなんかも建って、すっかり様変わりしてしまったが、それでも基本的には何にもないところなので、宿泊としては安いビジホが多い米子駅前か、観光客向けの温泉ホテルの多い皆生温泉かを選ぶ人が多い。そんなわけで米子ー境港ラインが自動的に形成されてきた。
僕自身、米子に来たついでに水木しげるロードに行くようになって(水木しげるファンだったのと、18きっぷ移動だったのも大きかった)、次第に米子=境港という構図が頭の中に刷り込まれていった面もある。当初は米子に対するイメージはまるで何も無かったのも事実。「米子ってたしかそこそこの規模の街だよね」くらいものだった。だから境港に行くにしても、「都会である米子」に宿とるかってなもんで…。
しかしその印象も、最初の訪問の頃(2005年とか2006年とかそのへん?)こそはそれなりに有効だった気もするけど、近年では寂れ感も出てきて、よくわからなくなってくる。たしかに駅前とかは小奇麗にはなったけど。セブンイレブンも出店してきたけど。
ちなみに米子市の人口は2004年ごろにはピークを過ぎた感じだった。そして鳥取県全体の人口は着実に減少傾向だ。
そんなことをあれこれ考えつつ(本当は考えて無かったかもしれないが)てっちゃぎを引き連れて何度目かの水木しげるロードに行ってきた。車を出してくれたのは、やはり鳥取のB氏だ。
タコの卵のてっちゃぎは水木しげるロードは初めてなので楽しいはずだ。しかしてっちゃぎは水木しげるが特に好きなわけではないのでそのへんは微妙だったりする。あんまり気にしても仕方がないので出たとこ勝負で頑張ろうと思う。
水木ロードは車で来たとて、JRの駅前からスタートする。 駅前でお出迎えしてくれるのは水木しげる像であって何度見てもテンションがあがるのだ。これについてくる鬼太郎もかわいいし。まあでも予想通り、水木しげるにさほどの思い入れもなさそうなてっちゃぎは華麗にスルー。気にせずどんどん見て行こうと思う。
悪魔くんも前から何となく1体あったのだが、いつごろからか埋れ木真吾悪魔くんも設置されるようになっていたのだった。これは水木しげる漫画でもあまり知られていない『最新版 悪魔くん』の主人公だ。埋れ木真吾悪魔くんファンは狂喜できる。
90年代にアニメになったバージョンの悪魔くんと言えば知っている人も多いかもしれない。『最新版~』はそのアニメのコミカライズみたいな位置づけだった。コミックボンボン誌を読んでた人はそんなに多くないので知られてなくて当然。
「悪魔くんのバージョンって何だそれ?」って人はまるで相手にしてない展示が最高だ。悪魔くんは大まかに3人いて、それぞれ松下一郎、山田真吾、埋れ木真吾という名前がある。ここでは説明しないので興味があるなら調べて欲しい。
てっちゃぎの反応としては「!?!!?」みたいなものだった。
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『テレビくん』に出てくるテレビくんこと山田もブロンズ像に。わりと後年出来た像だ。『テレビくん』は水木しげるの代表作で誰もが読んでる作品ではあるが、水木しげるに興味ない人は全く知らないであろう作品だけど、ちゃんと設置しているのが偉いし、こういうファン目線を忘れないところが水木ロードの…(以下略
テレビくんは水木漫画の中でもメジャー作家になるターニングポイントになった作品だし、屈指のこだわりショタでもあるので門外漢であっても覚えておいて損はない。というか出来れば読んでもらいたい。「鬼太郎と悪魔くんを足して割ったようなやつやん!」とか言わずに。
てっちゃんは「貞子やん!」とか言ってた。門外漢というのは、時として鋭いことを言いガチ。
もしかしたら水木ロード発足の最初期のラインナップ(ストリートファイターで言えばリュウケン本田ガイル春麗ブランカダルシムザンギエフに相当)だったかもしれないねずみ男。少なくとも僕が初めて訪れた時にはあった。そりゃ水木しげるを代表するキャラクターですものね。ブロンズ像もかなり大きいし(もしかしたら等身大?)存在感はかなりのもの。そしてポーズが実に良い。つい握手したくなる。
ブロンズ像の右腕が黄金化している!!!写真ではあまり輝き具合がわからないけど!!!
観光客とあまりにも握手したせいでツルツルに研磨されてブロンズの地が見えてしまった状態なのだろう。なんとも素晴らしい。ねずみ男の観光に対する貢献度が黄金の輝きに見えてしまうかのようだ。もちろん僕らも握手させてもらう。
目玉も触られスギィィ!!!?
貧乏神のところにお金が並べられるのももはやお約束となっている。そして寄進がさくまあきらとなっている。そう、水木ロードのブロンズ像は、お金さえ払えば好きなキャラクターを設置できるそうである。それもあってチョイスがマニアックになっていっている面もある。さくまあきらが貧乏神をチョイスした理由はやっぱり桃鉄なのか。そうなんやろね。
他にも、フーシギくんとか、おばけのムーラちゃんとか、コケカキイキイなんかがブロンズ像にされていたりする。オタが寄進しまくりである。最低100万円かららしいので、お金持ちはぜひ…。僕としては鬼太郎に出てくるバージョンのカワウソをブロンズ像化して欲しい。(妖怪百物語かなんかのかわいくないカワウソは初期からある)
漫画ファンの聖地的な場所は、とことんマニアックに走ってくれて良いと思う。わざわざ足を運ぶオタの気持ちを受け止めるためにも。水木しげるロードにあって、他の漫画の町おこしにないのはそういう精神やで。(単なるイラストだけとはいえ、横山光輝三国志のキャラ勢揃いの新長田はちょっと良い)
目玉おやじの頭も黄金化していた!!!撫でられスギィィ!!!?
ショキショキおじさんも頭や尻が黄金化…。触りやすいんやろね…。
かつては昭和の廃れた港町を歩くといった愉しみもあったが、今ではすっかり綺麗な遊歩道として整備されてしまった水木ロード。まあ、観光地としちゃあ、この方がええんやろね。
高層ホテルも見える。かつては考えらなかった。
多少は昔の面影も。十数年前くらいは、こんな手作り感のある店ばっかりだったので、ある意味で圧巻だったのだが。昔の画像も残ってるはずなのでいつか較べてみたい。
裏通りなんかもわりと古い建物は取り壊されてしまった感があるが、それでも多少は妙なものもあったりして。この倉庫みたいな建物の上部のでっぱり小屋が気になったりする。
現代的になりました。
水木しげる記念館が一応の水木ロードのゴール。特に思い入れのないてっちゃんは入りたいとも言わずスルー。寂しい。中に入ると水木しげる漫画が読み放題だったりなかなか楽しいのだけど、こんなところへ来て漫画をゆっくり読まれても困るという事情もあった。なんとも世知辛い。一ヶ月くらい旅行したい。
鬼太郎は言わずもがなだが、河童の三平、テレビくん、山田真吾悪魔くんのチョイスが良い。
倉ボッコを撮影するてっちゃぎ。とりあえずは楽しんで貰えているみたいで良かった。いつもはわりと妖怪のきぐるみを来た人がウロウロしていてなかなか怖いのだけど、この日はお休みの日だったのがぜんぜんいなかった。てっちゃぎに見てほしかったのだけど残念。
僕や鳥取のB氏の知る境港はこんなもんだったが(これでも十分に楽しいのだが)、この後に境港の新しい魅力を発見してしまうのだった。観光地といえども進化や変化や発見があるものだとつくづく思った。てっちゃぎという新たなパーソンの参戦による刺激も良かったのかもしれない。
境港の新しい魅力についてはつづく。