これの続き。
秋の乗り放題パスを利用して、小松駅から金沢駅に移動する。金沢が当初の目的地だった。やっと到着。といってもまだ昼である。大阪からほぼ始発で来ると各駅停車といってもこんなものだ。北陸は遠くない。
金沢駅前といえばビグ・ザム的なこれ。金沢に泊まるのは数年ぶりなんだが、富山方面へ行く際に必ず乗換駅になるので、金沢駅には行き帰りで必ず下車していたのであんまり久しぶり感もない。とくに駅ビルのスーパーには随分とお世話になっていた。やたら品揃えが良いのだ。金沢のおみやげに困ったら駅ビルの２階だか３階だかのスーパーがオススメである。
今回は久しぶりに金沢を堪能するために下調べをしておいた。金沢駅前に石川県有数のゲーセンがあるということだ。今までは全く気が付かなかった。地方のゲーセンをわざわざ訪ね歩くという趣味が無かったからだ。しかし馴染みのゲーセンが潰れまくっている昨今、地方都市で生き残っているゲーセンが気になり始めたのがある。いつしかゲーセンが貴重なものになりつつあった。あれほどありふれた文化だと思っていたゲーセンが。
金沢駅駅前のゲームパラダイスは、パチンコ屋の二階にあるゲーセンだという情報だったので、パチンコ屋の二階的なものを想像していたが、見た瞬間に良い意味で裏切られた。
むちゃくちゃ建物がデカかった。しかもホームランとか書いてある。意味がわからない。調べたらパチンコ屋の名前がホームランGOGO金沢店というらしい。地元民はホームランだけでわかるのだろう。大阪人的な感覚からいってあまりパチンコ屋には見えないが。実際、下の階はパチンコ屋だが、上のフロアはゲーセンとパチンコ屋になっており、エンタメの総合結社的なビルになっていた。ミドルティーンからハイティーンの男女、パチンコおじ＆おば、ジジババまで全てカバーする遊戯の殿堂がそこにあった。これであと映画館でも入っていたら最強だっただろう。
娯楽の殿堂の勝手がわからず、広大なパチンコ店を彷徨ったあげく、やっとのことでエスカレーターを発見してゲーセンエリアに到達した。ゲームパラダイスが思った以上に立派で度肝を抜かれる。どうせ田舎ゲーセンとか高をくくっていた自分が恥ずかしい。昨今見ないレベルで綺麗。ラウンドワンのゲーセンに勝るとも劣らない。
ゲーセン自体はデカくとも、格闘ゲーム系なんかはちょびっとしかないのが近年のゲーセン事情だが、そんな少ないエリアの中にあってスト３の3rdが2セットも用意されていたのには驚く。今は大きめのゲーセンでも、ネシカ版の3rdなら出来るけど…みたいなところがほとんどで、それすらないとか当たり前なのに、実機の3rdの対戦台が設置してあるとかただならぬこだわりを感じる。
しかも！3rdの対戦待ちソファーまで！
「石川県あたりで3rdをやるならゲームパラダイスだよ」という情報は間違いではなかったようだ。今でも夜とか週末になれば3rd勢が対戦を繰り広げているに違いない。岐阜のトッププレイヤーであるヒライがホームにしていたという話もうなずけた。
時間はまだ昼間。ガンダムとかやっている人たちはいたけれど、さすがに誰も3rdをやっていなかった。しょうがない。店に敬意を払ってCPU戦を堪能した。100円2クレ設定は良心的だしメンテナンスも完璧だった。夜に来れたらまた覗いて見ようと思いつつゲームパラダイスを後にする。
そういえばナンパお断り！みたいな張り紙がやたら目についた。最近はプリクラコーナーは男性は入っては行けないとか、そのへんむちゃくちゃに厳しくなってきていて、女性のみのゲーセン文化（といってもプリクラだが）が形成されつつあるようだ。どんな形にせよ、若い女性がゲーセンを安心して使えるのは良いことだ。
駅前をはなれて片町の方にてくてくと歩いていく。あいかわらず暑い日でちょっとキツく感じる。リュックを背負っている背中には汗が滲み始めている。少しでも日陰を歩きたいところだが、あいにくと金沢駅から繁華街の片町までは何も日よけになるものなんか無いのだ。道もけっこう広めだし。
金沢の片町は街の中心の繁華街であって、兼六園とか武家屋敷といった金沢の観光地で有名なものもだいたいそっち方面だと考えてよい。このところは金沢駅前もホテルだのなんだのいろいろと出来てきたが、やっぱり中心は片町だと考えて良い。普通はバスで移動するんだろうけど、以前に来た時は歩いて行ってるので、そんなたいした距離でもないからと歩いてみたものの、記憶しているよりも結構遠かったりして驚いた。普通は一回歩いた道なんかは、わりと近く感じたりするものなのに。何年も来なかったので、そういう効果が失われてしまったのかもしれない。
途中で変な看板を見たりして愉しみながら歩くしかない。
寄るまっし着まっし、見まっし、
石川県の言葉？このあたりの方言はなんて言うのだろうか。金沢弁？石川弁？よくわからない。そういえば福井の方言もなんて言うのか知らなかった。
JRと片町との間に、近江町市場というのがあって、金沢の中心的な市場だが、そこの近江町いちば館という近代的な市場ビルの地下がフードエリアになっている。気がつけばふらふらとそこに迷い込んでいた。そしてあれほど満塁ホームランカレーで腹いっぱいになったにも関わらずフードエリアにあるカレーのチャンピオンに入ろうかどうか迷ってしまっていた！
「ゲーセン行ったりかなり歩いたりしたから食っても良いかな？」などと考えてしまっている。思えば近江町市場まで来るのも数年ぶりなのである。ちなみに金沢駅から一番近いカレーのチャンピオンがここの店だ。
やっぱり入ってしまっていた。金沢カレーのはしご。
「連続で食べた方が比較しやすいから…」などとまだ言い訳している自分がいた！
そして水を飲もうとして気がついた。このプラコップのデカさはカレーの市民アルバと同じやということに。今まで知らなかったけれど、食器だけでなくコップの大きさも同じ思想だった。同じ日にはしごした成果が早くも現れてちょっと興奮。無茶をしてみるもんである。
とはいってもさすがに全部乗せとかいう無茶はしない。スタンダードなカツカレーだ。チャンピオンのカツは薄めで上品な感じ。これならぜんぜん食べれそうだった。デカイサイズのカツとかにしなかった自重心に自ら拍手をおくりたくなる。
チャンカレー（カレーのチャンピオンの略称）はフォークで食べるタイプだというのを明確に理解した。カレーの市民アルバは先割れスプーンなのである。
それにしても連続で食べたからこそわかることだが、僕はチャンカレーのルーの方が少し好きかもしれない。前にゴーゴーカレーと比較した時もチャンカレーだと思った。どこがどうとか語れるレベルで比較したわけでもないけど、なんとなくチャンカレーのルーの方がグッとくるのだ。腹いっぱいのハズなのに美味しいし。ということで今のところ金沢カレーの個人的暫定一位はチャンカレーということにしておく。はしごはしてみるものだ。
いずれチャンピオンカレーのデカ盛り系のメニューも挑戦してみたい。
同じエリアにはだし巻き卵専門店というなんとも尖った店があって興味を惹かれる。だし巻きやで生ビールを注文するというフレーズもたまらないものを感じる。普段だったらだし巻き（ハーフ）と生ビールでもやっていってしまうのだろうけれど、さすがにさすがに金沢カレーのはしごの直後ではそんな気分になれなかった。３度目の正直である。次の宿題にしておこうと思う。旅は心残りを作っておくと良いし。
近江町市場をあとにして武家屋敷あたりまでやってきた。ここまで来たら片町は目と鼻の先といって良い。
ちなみに、武家屋敷のちかくには秋吉の香林坊店がある。前から行ってみたいと思っていたが、情報によると関西の秋吉に無いメニューのアブラが無い店舗とのこと。なんとなく残念だ。そしてまだ営業時間前である。
懐かしいなあとぶらぶらと歩いていたら、変な大柄な外人カップルに捕まってスマホの画面を見せられた。スマホの画面には地図が表示されており、すぐ裏の武家屋敷までの道順が示されていた。どうやら武家屋敷に行きたいようだが、どう行けば良いのか教えて欲しいらしい。地図の通り行けよ！と思ったので、地図の通りの道順を指で示してやったら納得したらしく彼らはそっちの方向へ歩いていった。
狐につままれるようだとは、まさにこういうことではないだろうか。夢でもみていたようだ。
