人材派遣業と付き合うと会社が潰れる理由 - 温玉ブログ

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人材派遣業と付き合うと会社が潰れる理由

もてラジ村民ブログを読んでいると色々と面白いネタが転がっている。

 

今回はアウトソースについての問題。アウトソースというとかっこいい気がする。スマートな経営というか。そういえば在りし日のホリエモンがドヤ顔で語っていたのもアウトソース化の話だった。

kimniy8.hatenablog.com

 

自分は仕事をとってきて、あとはなんでもかんでも専門業者に頼めば良い。ビジネスとしては至極もっともな意見だ。右から左に仕事をふって、自分はアイデアだけを挟んで利ざやを稼ぐ。在庫も専門技術も人材も抱えない。いかにも頭脳労働て感じがする。

 

たしかにそれはそうなのだけど、それが出来たら苦労しないという問題もある。誰だってそうしたい。しかしそんな夢みたいなことは誰にでもは出来ないから、とりあえずは、店や作業所を構え、人材を雇い、在庫もかかえ、専門技術を磨いたりするのだ。

 

そんなまっとうな商売や会社をやっててそこそこ売り上げるようになってきた。必ず忍び寄ってくるのがアウトソーシングの甘い罠。

 

たいていは自分で望むことではなくて相手からの勧誘によるものだ。ここがポイントなんだろう。

 

いちばんわかりやすくて、今の御時世でもっとも話題になるのは、なんといっても人材派遣業というやつではないか。

 

人材派遣というのは、求人と雇用に関する業務のアウトソーシングだ。言われなくてもわかるだろうけど。人材派遣には恐ろしい罠が潜んでいたりする。

 

派遣というと、労働者が搾取されてひどい目にあうというイメージばかりあるけれど、これ実は会社も相当に搾取されているのだ。

 

なぜって、誰でも知っているだろうけど、人材派遣会社から派遣されてきたバイトに、会社はかなりの時給を払っている。求人、雇用、解雇、これらの業務をすべて人材派遣業が代行してくれるわけで、それらの面倒事をすべて引き受けてくれるなら、少々時給に色をつけて払っても差し引きではお得になるという理屈。

 

なるほどたしかにそんな気がしてくる。集まるかどうかわからん求人広告出すだけでも費用というのはバカにならんのだ。そしていらなくなった人材の解雇だって、普通の人が考えているよりずっと厄介な仕事だ。

 

それを全部やらなくていいなら……。

 

人手の確保に苦しんでいる経営者は多い。そこでうっかり人材派遣業者の口車に乗ってしまうのである。

 

人材派遣業者の介入で失われるもの。

 

労働者のクオリティ。なにしろ、人件費のピンハネこそが人材派遣業の収入源なのだ。醍醐味といっていい。

 

考えてもみてほしい。最低時給スレスレで雇ってきた人間を、1000円を軽く超える時給で雇う羽目になるのだ。この不合理を受け入れる事が出来る人間はよほど感覚が鈍いか、かなり運良く人材に恵まれたか、もともと多大な利益幅を確保出来ていた事業かのどれかなのだろう。

 

しかし求人広告費もかからなくなったし、人事部の経費も削れたし、たとえ時給780円レベルの人間に1500円払ってたとしても、やはりトントンなんじゃないの?

 

そこが癌だったりする。人材派遣業の介入によって、労働のクオリティーだけはなく、求人や人事のノウハウだって失われてしまう。効果のある求人方法、労働者の見極め、上手い解雇の仕方。そういったものは簡単には培えない。それら一切合財を捨てて、立派な人材派遣業依存体制が出来上がる。

 

これは最悪だ。人材派遣業に利益を提供するために仕事を受注してるようなもんである。

 

そんなヘボな人材しかよこさない人材派遣業なんて信用なくなって契約を切られてしまうんじゃないか?

 

そうかもしれないけど、今の御時世はどこの人材派遣業だって似たり寄ったり。だから人材派遣業体質になってしまった会社に残された選択肢としては、悪辣なA社から、悪辣なB社に契約を変更することくらいだ。

 

人材派遣業も、会社をみて商売しているから、経費が潤沢にある大企業相手にはかなり便宜を図って仕事をもらいにいく反面、こういう切羽詰まっている会社はとことんカモにしようとする。いくら人材派遣業社を変更したって同じである。本当にやるべきことは人材派遣業と縁を切ることなのに。

 

そういう脇の甘い会社であるから、当然のことながら銀行からの借り入れだって多い。すると銀行の金利の支払いにも利益が吸い上げられている。

 

そして他にも業者に丸投げしてる業務も多いやろし、そもそも自社の本業というのが下請け業務だったりして、そっちでもひたすら価格を叩かれてたりしてるとしたら目も当てられない……。

 

あかん、悲しくなってきた。なんでこんな会社をやってしまっているのだろうか。これでどこに利益が残るんだ?

 

そうなってくると最後に手を付けるのは、従来からの人件費だったりする。古株の技術のある社員の給料を叩く。リストラの名目で退職させてみたり。もしくはむやみにサービス残業をさせてみたり。こうして会社からの人離れは加速する。

 

人材派遣業に手を出したばっかりに骨と皮だけしか残らないような会社…。(こんなもんに手を出す会社は、元から色々な方面で問題を抱えていたという説が有力だけど)

 

丸投げというのは、旨味をぜんぶ吸い上げたダシがらみたいなんを、飢え死にしそうになってる相手にチラつかせて儲けることをいうわけで、ただその業務が「めんどいから」とか、「ノウハウがないから」とかいう理由で丸投げすると、ハイエナみたいな連中に旨味も何もかもみんな持っていかれることになる。

 

国家の食糧問題にしてもそうだろう。自分ところで作らなくても、他所の国から輸入すれば良いとか言ってると、いざというときに何も出来なくなってしまう。ほんとに困窮している人間には、誰だって高値で売りつけようとするもんだ。世界一の輸入大国のアメリカは、世界でも有数の石油生産国で小麦やとうもろこし市場を牛耳っているという事実を忘れてはいけない。

 

アウトソーシングとか、コンサルティングみたいなもんには、うっかり騙されることなかれ。よほどの閃きでもないかぎり、自分でコツコツやらんもんが儲かるわけがないのである。

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