在留欧米人から見た四国の魅力:愛媛県
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序章:私の旅行スタイルについて
私はポーランド人の20代後半の女性で、リゾートホテルなどで何もせず過ごすのは苦手で、アクティブに観光することが何より楽しいです。また、カメラが趣味なので、旅行先できれいな写真がたくさん撮れれば、それだけで満足です。
ガイドブックをなぞってしっかりと予定を立てたりはしませんが、観光スポットを数か所だけ選んで、それを中心に動くことが多いです。それ以外の場所にも行けたら、ラッキーだと思いますが、休みなので無理せず、のんびり回る程度になります。また、荷物も常に多いため、ホテルは変えず、一か所を拠点として周辺を探検することが私のスタイルです。ホテルへのこだわりは基本的にロケーション、専用お風呂の有無と朝ごはん付きプラン、という3点になります。
そして、もう一つ大事な背景の話をさせていただきますと、ポーランド出身なので、母国にも海(バルト海)はあります。ただ、それは国の北にありまして、私の出身地は南の方で、逆に山(タトラ山脈)に近いところです。そのため、陸生まれの者として、海はとても貴重な存在で、学生の頃はいつも夏の象徴となっていました。大人になってからは、旅行先に海のある場所を中心に選んでいるわけではないのですが、やはり海があった方がテンション上がりますし、非日常の体験がたくさんできるのではないか、と今でもワクワクします。
もちろんポーランド人・欧米人全員が同じ傾向があるとは限りません。人によってはしっかりと予定を立てたり、立てなかったりして、それぞれに異なるお休みの過ごし方があるかと思います。
念願の愛媛旅行
日本に住んでいて、まだ訪れていない県が多く残っているなか、なぜ愛媛県に行ってみたいと思ったのでしょうか?
瀬戸内海はもともときれいだと思っていましたし、陸ではあまりない感覚の「本州とは違う島」に行けることに対して、楽しみと期待が大きかったので、前から興味があったのですが、交通の面では少し心配なところもありました。しかし日本にしばらく住み、電車やバスの調べ方・乗り方が十分にわかるようになってからは、旅行の計画が立てやすくなりました。
さて、四国や愛媛に興味を持ち軽く調べ始めた時は、まず観光地が多いところにかなり驚きました。日本で愛媛といえばみかんを連想される方が大勢いるかと思いますが、私にはそのイメージもありませんでした。
そのため、愛媛県にはきれいなお城が複数あって、ジブリ作品の『千と千尋の神隠し』の舞台モデルだといわれている温泉や駅があり、日本らしい街並みや棚田、更に猫島と呼ばれる青島もあると知ったら、行きたい気持ちがより強くなって、どういう順番で回ればよいのか、という楽しみとワクワクに満ちた想像はもう止まりませんでした。
そして、実際に愛媛県に行ける機会が訪れました!ただ、滞在時間がかなり限られてしまい、週末の2日3泊となりました。行きたいスポットすべてに行くには時間が足りませんので、懸命に選ぶしかなかったのですが、1日目は観光で2日目は体験を中心に過ごす、という風に分けて、欧米人目線での無理のない最適なモデルコースが出来上がりました。
愛媛名所巡り
愛媛県松山空港に着いたのは金曜日の夜で、松山市駅周辺のホテルに滞在することにしました。最も行きたい場所は道後温泉でしたが、2023年現在、本館は修復中のため、今回は候補から外れてしまいました。(またいつか愛媛に戻るきっかけになれば、それはそれでうれしいです。)そして、朝食をホテルで済ませてから一日中アクティブに観光するのが私個人のスタイルで、その方が時間に余裕ができるので、ホテルからは直接松山駅に向かうことにしました。
一日目:観光
・内子町
最初に訪れたのは内子町でした。松山駅からは電車一本で行けるのですがICカードが使えず、チケットを直接買わないと行けないところは唯一の驚きでした。とはいえ、十分に分かりやすいので、面倒ではありませんでした。
そして、目的地は八日市・護国の町並みでしたが、観光案内を見たら、内子座(芝居小屋)も近くにあることに初めて気付いて、両方回って行けることはかなりうれしかったです。(全く知らない場所の観光スポットの位置関係は、やはり行ってみないとかなり把握しにくいところです。)
内子座の建物も内子町の歴史的な街並みもとてもきれいで、小さなカフェやお土産店も多くあったので、全体的に雰囲気もとても素敵で、もっと時間があれば、浴衣姿での撮影を行いたいぐらいの気持ちでいました。こんなにも素敵な場所なのに、驚くほどに人が少なかったです。良く言えば、写真撮影にはピッタリの状況ではありますが、もう少し観光客が訪れてもいいような場所だと、素直に思いました。
内子町からはバスに乗り、大洲市(おおずし)に向かっていきました。
↑ 内子座
・臥龍山荘
リサーチの時に見かけた臥龍山荘(がりゅうさんそう)の写真に魅了されて、自分でも似たような写真が取れればうれしいな、と思って、次の観光スポットにはそこを選びました。
よくある傾向だと思いますが、やはり旅行先で写真映えはかなり重視していますので、そこで行先を選ぶことが多いです。メインの目的地の近郊には、大洲神社やポコペン横丁、おはなはん通りなど、回りたいスポットがありました。時間が限られている中、目的地の近くに興味をひかれる場所があればあるほどタイムパフォーマンスが良くなり、得した気分になります。
↑ 大洲神社前
↑ ポコペン横丁
さて、臥龍山荘について、どこに魅力を感じたかと言いますと、やはり建物造りから日本らしい風景が広がり、自らその景色の一部になれることに対して価値を感じます。しかも、日本庭園がとてもきれいで、周りには川と森のきれいな景色が広がり、歴史と自然を同時に満喫できるスポットとなっています。
↑ 臥龍山荘
写真を満足に撮り終えた後、カフェで一息ついてから、近くの大洲駅まで、大洲城が見える周りの景色を楽しみながら、歩いていきました。後から気付いたのですが、その駅が『すずめの戸締り』で猫のダイジンが訪れた場所の一つでしたので、そう考えるとテンションがあがります。そして、ワンマン列車でJR下灘駅を目指しました。
↑ 伊予大洲駅
・JR下灘駅
移動を含めて観光はやはり時間がかかってしまうので、次の目的地がその日の最後となりました。道後温泉には行けなかったのですが『千と千尋の神隠し』の世界観が感じられる下灘駅の写真はもう譲れないと思って、行くことにしました。(海外でもジブリ映画、特に『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』はかなり知名度が高く、人気もあるので、プロモーションに使うのは間違いないと思います!)
第一印象としては、小さい駅にも関わらず、回ってきた場所の中ではおそらく一番混んでいました。それでも皆が丁寧に自分の写真撮影の順番を待っていて、たまに写真を撮り合ったりして、とても快適な雰囲気となっていました。
私の目的もやはり写真であったので、その目的を無事に果たしたら、大変満足を感じて、一日の終わりにはピッタリのスポットでした。そして、帰りの電車まではかなり時間の余裕もあったので、海辺でのお散歩も楽しんでから、夕方は松山市に戻りました。
↑ JR下灘駅
二日目:体験
同じホテルに滞在したので、夜はゆっくり休めましたし、疲れもさっぱり取れました。そして、翌日は早起きして、朝食を済ませてから次の冒険に出掛けて行きました。
・ちょこっと観光:松山城
朝は早起きして、体験の予約時間までは余裕がありましたので、午前5時から見られる松山城を軽く回ることにしました。8時半からはリフト・ロープウェイにも乗れるので、チケットを買って、片方は1人乗りのリフト、帰りはロープウェイに乗ることにしました。
松山城は思ったより高い位置にあり、上から眺める松山市は周りの海や緑の山の景色が本当にきれいで、とても印象的でした。お城自体も立派で、中の展示物も歴史を感じられるものが多かったです。
そして、入り口の近くには無料でお借りできる和風の傘が置いてあったので、それを使い、とても楽しく写真撮影をさせていただきました。こちらもやはり写真は欠かせない観光の一部となるので、そのような取り組みは外国人からしてもとてもありがたく感じました。
↑ 松山城
・ドルフィンファームしまなみ:イルカと泳ぐ体験
さて、ここからは体験版の本番となるのですが、愛媛を訪れたのは8月だったため、夏らしく海に入りたいとは思っていたのですが、伯方島(はかたじま)ではイルカとのふれあい体験があると知り、思わずそちらを予約しました。
伯方島はしまなみ海道のコースにあるので自転車でも行けますが、何年かぶりに自転車に乗って、いきなり20キロぐらい乗り続ける自信は全くありませんでした。そのため、バスでの行き方を調べて、今治駅前からそちらに向かっていきました。
水族館とは全く違う形で、イルカが海を泳いでいる姿は本当にきれいな眺めでした。レクチャーをしっかりと受けてから、自分も同じ海に入って、触れ合いができたのはものすごくうれしかったです。体験の内容自体は、イルカのヒレにつかまって泳ぎ、水中での泳ぐ姿を観察する流れでしたが、母国ではできないことなので、こちらは間違いなく一生の思い出となりました。
また、水中ではイルカのクリック音やなき声も聞こえてきて、それも水族館で体験してきたイルカショーとは全く違う体験なので、動物好きの方には心からおすすめします。
みかんは?
すでに気付いているかもしれませんが、現地のグルメや食べものについては何も書いていません。そこもポイントになるかと思いますが、私の場合には食を目的に旅行することはそこまでありません。
やはり食べてなくなるものよりは目で見れるもの、体験できるもの、写真に残せるものを重視して旅行先を決めています。現地のグルメをチェックする余裕があればそれはうれしいのですが、間に合わなくても、何かを損している思いはありません。ただ、形に残るものが好きで、お土産だけは必ず買うタイプなんです。今回は、今治タオルやみかんのハンドクリームを買いました。自分好みのお土産が簡単に見つかるように、現地の生産物のプロモーションはとても重要だと思っています。
さてさて、皆さんも愛媛県に行きたくなったのでしょうか?少なくとも私は、他の季節に行けばどんなものが待っているのかな、と想像しつつ、いつかはまた愛媛に戻りたいと思っています。