意外と知らない中国と日本の病院事情の違い
こんにちは、日本在留中の中国出身のshokoです。一つの国に在留する時間が長くなると、病気になって病院に行くことは避けられないと思います。
今回の記事では、主に自分の経験(※患者として病院に行く時の個人の経験がメインとなります)を元に日本と中国で病院に行く時の違いや困りごと、それぞれの良い点・悪い点を比較しながら紹介したいと思います。
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風邪でも大学病院に行くのが中国では当たり前
日本に来て最初に驚いたのは、日本の病院・クリニックのシステムと診療時間でした。この点に関して日本が特殊というより、中国のほうが特殊であるかもしれないですが、私の故郷上海では、日本の街中にあるような小さいクリニックはあまりないです。
中国で保険が使えるのは公立病院のみです。公立病院は規模によって1〜3級に分かれており、1級は最も規模の小さい病院(それでも日本のクリニックより大きい)で、3級は大学病院に相当する大きい病院です。地元の病院を例にすると、1級病院の初診料は6元(約122円)、3級病院の初診料は18元(約364円)ぐらいです(医師のレベルによって初診料が変わります)。そんなに値段の差がないので、高熱があったら直接3級病院(大学病院)に行くのが当たり前で、小さいクリニックで紹介状をもらい大学病院に行くという日本の流れはほとんどありません。
また、日本の病院・クリニックは、1週間に2〜3日の休診日があるのは普通で、日曜日や祝日、夜間にも開いてるところはとても少ないです。一方、中国の3級病院には夜間や日曜日に「急診」という救急診療があります。「急診」は特に病院に電話確認する必要はなく、自分で行けます。
病院内の流れについての違い
予約・受付
中国では近年WeChatやAlipayのミニプログラムを使って予約するのが一般的です。その都市の保険証を持っていれば、セルフ受付もできます。また、保険診療の場合は全ての病院で一枚の社会保障カードで受診できます。
日本では初診の度に診察券が増えていくので、少し不便を感じました。
(上海の病院の受付機とAlipayの予約画面)
問診
中国では経験が豊富なお医者さんは大きい病院に多いというイメージがあり(特に大都市の場合)、どこの病院に行くかはあまり迷いません。
日本では、私はよくGoogleマップでクリニックの口コミをチェックして選びます。ただ、極端に口コミが割れている時もあり、その時は本当に迷います。
一方、中国では一人一人に対する問診時間が日本より短く、プライバシーもあまり重視されていません。服を脱がない内科などの場合、一人の患者さんが診察室に入っても基本的にドアは開けっぱなしで、ひどい時は次の患者さんも勝手に診察室に入って、中で待つこともあります。
検査
中国の病院では、日本より検査を勧められることが多いです。検査をしすぎることもあるかもしれないですが、比較的早く病因を特定できます。
支払い
中国では、基本的に問診が終われば、すぐに支払いができます(セルフも可能)。そのため、初めて日本のクリニックに行った時、支払いにも待ち時間があって少し驚きました。
もう一つの違いは、中国の処方箋は基本同じ病院内の薬局でしか使えません。病院内の薬局は病院の一部となります。
日本では症状を表すオノマトペが多い
最後は外国人として日本の病院・クリニックで困ったことについて紹介したいと思います。
日本のお医者さんは外国人患者に対し、なんとなく簡単そうな子ども用語やオノマトペ、カタカナ語を多用する傾向があると感じています。しかし、大人になってから日本語を勉強し始めた外国人の場合、日本人が小学校に行く前に覚えたオノマトペや子どもの用語を学ぶ機会がすごく少ないのです。
特に中国人にとっては、日本人からしたら難しそうな漢字の病名の方がわかりやすいという場合もあります。例えば「頭痛」は「頭がキンキン」よりずっと分かりやすいです。私自身が歯科に行ったとき、「カチカチ・ギリギリしてください」と言われたことがあり、日本語の教科書に全くない言葉なので、本当に想像で意味を推測するしかありませんでした。
また、中国は日本と同様に漢字を使用するので、知らない日本語の言葉を中国語で推測しがちです。中国語では「肩が凝る」ことを「肩膀酸」「肩膀酸痛」と言います。日本人からしたら不思議かもしれませんが、「肩が酸っぱい」という表現を使いたくなります。(※「肩膀酸痛」の「酸」は中国語で味の「酸っぱい」を意味するほか、頭痛などの痛みとの区別として、「筋肉痛」のことを指す)
今回の記事では患者目線で中国(※大都市の場合)と日本の医療事情について比較してみました。どちらがいいとははっきり言えませんが、個人的に日本のお医者さんの態度の良さ、待合室の雰囲気が好きで、中国の効率の良さが好きです。
皆さんにとって今回の記事でおもしろい発見ができれば幸いです。