「○○の壁」日本在住外国人が意外に困っていることは?
こんにちは、カナダ出身のジェイリーンです。
「日本は長いですか」とよく聞かれますが、その答えは意外と複雑です。なぜなら、会社員として日本に住むのはあともう少しで2年目になりますが、その前は学部や大学院時代を含めて3回も日本に留学したことがあるからです。1ヶ月のグループ留学プログラム、1年間の交換留学、そして10ヶ月(一部はリモートで)の上級日本語教育プログラムです。合計すると、約3年です。
日本での生活に慣れてきましたが、まだ一つだけ、大きな壁にぶつかっています。それは、「名前の壁」です。
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予想すらしなかった「名前の壁」
初めて来日した時、カルチャーショック、言語や文化の壁、ホームシックを予想しましたが、名前の壁を予想しませんでした。現在カルチャーショックなどはほぼないですが、名前の壁はまだ大変です。もちろん、私の名前は結構珍しいので発音しにくいところもありますが、問題になっているのは名前の「長さ」と「表記」です。
今までは五月雨式の在留でしたので、手続きには非常に慣れています。転居届、銀行口座開設などの手続きは何度もやってきました。しかし、電子の手続きになると、HTMLの入力できる文字数制限があり、名前が漢字やひらがなではない場合にはそれぞれのサービスには違う表記の基準が設けられているので、何も統一されていないのです。ローマ字や長音符(ー)すら入力できないサービスも多数あります。その結果、簡単であるはずの手続きが余計に複雑になります。
デジタル化が及ぼす影響とは?
私の名前を例にすれば、ミドルネームもあるのでフルネームはローマ字で20文字、カタカナで14文字です。空白をカウントすると、22文字と16文字です。漢字やひらがなの名前を想定してHTMLフォームを作成すれば、22文字はとんでもない数字です。そのため、ミドルネームがほとんどの会員情報の入力欄に入らないのです。
在留カードにはミドルネームが記載されていますので、銀行口座などを開く際、在留カードの名義と一致するように入力しなければなりません。フルネームがHTMLフォームに入るなら電子申請は問題ないのですが、そうではない場合、直接銀行に行くかコールセンターに電話する必要がでてきます。デジタル化が進めば進むほど、その対処方法ができなくなっています。
例えば、ガスや電気の使用開始、その手続きは文字数制限があった携帯端末で行われたため、空白なしの表記にするほかありませんでした。でも、登録した名前が統一していないと他のサービスと連携することができなくなるので、それもそれで大変です。
推し活も大変なことに
この間、「名前の壁」に関するおもしろいエピソードがありましたので、最後にご共有したいと思います。
それは、知り合いがあるライブに行けなくり、そのチケットを私に譲ることになった時のことです。在留アメリカ人の友人に「What’s your L〇wson name?」(訳:ロ〇ソンの名前は?)と聞かれて、一瞬何を言っているかわかりませんでした。でも、そのチケットは専用アプリを使えば分配できる仕組みになっていて受ける側の名前を入力する必要があります。ローマ字の名前を持つ私達はローマ字、大文字、全角、フルネーム、頭文字、カタカナのどれで登録されているか、それぞれのサービスによって違うので、間違えて違う表記を入力しないための確認だったそうです。つまり、「ロ〇ソンの名前は?」は「ロ〇ソンに登録している名前の表記は?」という意味でした。
その意図を理解した瞬間、「日本在住外国人のあるあるですね」と大笑いしましたが、やっぱりこのシステムを改善してほしいです。