ひばらこ。
裏磐梯最大の天然湖は、なんと明治生まれ。
湖周37km。歩いて一周しようものなら日も暮れよう。これほど立派で堂々とした天然湖が、明治21年7月15日の朝を迎えるまでは、その片鱗もなく見渡すかぎりの原生林だった。ただ、良質な材を求めて移り住んだ木地師らの集落が、森のあいだに埋もれるようにぽつぽつと見え隠れする、そんな土地だった。
その朝、磐梯山は噴火と地震の衝撃で頂稜をなす四つの峰のうち、小磐梯山があとかたもなく崩落。山ひとつ分にあたる未曾有の土砂が岩なだれとなって原生林に襲いかかり、五つの集落と477人もの命を呑み込んだ。かわりに生まれたのが桧原湖と300余の大小の湖沼群だった。
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湖岸形状
北岸
西岸
磐梯山噴火記念館
2017年夏に、かねてから行ってみたかった磐梯山噴火記念館を観覧。最初の展示室。噴火前の磐梯山の巨大模型が夜明けの照明にシルエットとして浮かぶ。噴火後、照明が明るくなると、いつの間にか小磐梯山がごっそりなくなっていて驚いた。
他に目を引く派手さはないので興味のない人には入館料は高いと感じるかもしれないが、そんなに遠い話ではない裏磐梯湖沼群の成因や、火山国日本の逃れられない現実をじっくりと見て体感するには良い施設だった。
桧原湖は、深田久弥の『日本百名山』にも磐梯山の項で裏磐梯湖沼群とともに言及があるが、もっぱら表の猪苗代湖側に贔屓で、裏磐梯湖沼群については「確かに魅力的だが」という文脈でどこかつれない。
レジャー
スモールマウスバスの聖地。セブンイレブンでもルアーやワームも販売。
凄惨な自然災害の生き証人である桧原湖も、今や「裏」磐梯という言葉がそぐわぬほどにレジャーや観光客を惹きつける表の顔となっている。西岸側の湖を見おろす高台には道の駅があり、南岸側には土産物店、食事処、釣りや遊覧用のレンタルボート店がたち並ぶ。
スモールマウスバス釣りの聖地の様相があるが、明治生まれの新しい湖沼だけに外来魚云々とうるさく言わぬ気風があるのかもしれない。裏磐梯のセブンイレブンには、ブラックバス釣り用のルアーやワームまで売っている。
レンタルボートは充実しており、エレキ船はもちろん、免許不要の2馬力エンジン船からフィッシングガイド付きまでとりどりだ。人気スポットとはいえフィールドが広いだけに混雑感というほどのものはない。
また、マイボート派にはボート店にて有料でボートスロープも使わせてもらえるようだ。
ワカサギなど漁業権に含まれる対象魚の釣りは入漁料が必要。