内容紹介
CREは社会的価値を創出するためのプラットフォーム企業不動産(CRE:Corporate Real Estate)とは、企業が事業を継続するために使用するすべての不動産を指します。本社、研究拠点、営業店舗、工場・物流拠点といったCREは、地域社会に何らかの影響を及ぼす「外部性」を持つユニークな経営資源です。
本書では、CREを企業にとって重要な経営資源の1つとして位置づけ、その活用・管理・取引に際しては企業の社会的責任(CSR)を踏まえて最適な選択を行い、結果として企業価値を最大化するというCREの新しい戦略について解説しました。「企業経営は社会の役に立ってなんぼ」。社会的価値の創出を企業活動の上位概念とすることで、企業は中長期的なリターンや持続的な成長、企業価値の向上を実現できるという原理原則に立ち返り、経営戦略におけるCREの在り方を再定義します。
外国人持ち株比率の上昇や「物言う株主」の台頭、資本市場からの要請、さらには不動産に着目した敵対的買収の増加などを背景に、CREの有効活用は企業にとって喫緊の課題です。本書ではCRE戦略の「三種の神器」として①CREマネジメントの一元化②先進的・創造的なワークプレイス・ワークスタイル③アウトソーシングの戦略的な活用――を掲げています。経営におけるCREの位置づけを整理し、外部のリソースを活用して従業員や地域社会にとって理想的な環境を構築する。それにより、志の高い真のESG経営の実践が可能になることを事例とともに解説しています。
さらに、出口戦略の具体例や組織体制、財務上の評価、環境認証など、CRE戦略を進めるうえで必要な知識やルールを、各種専門家への取材も交えて紹介しています。
目次
●巻頭特別レポート&対談「地域のポテンシャルを引き出し、社会課題の解決を図る
優れたCRE戦略としての先進的スマートタウン」
宮原智彦氏(パナソニックオペレーショナルエクセレンス ビジネスソリューション本部 本部長)
百嶋 徹氏(ニッセイ基礎研究所 社会研究部 上席研究員)
●Part1 CRE戦略とは何か
1.企業経営の在り方とは
企業経営は社会の役に立ってこそ 真のCSR・ESG経営とは
2.外部性の視点から見るCREの役割①
CREは外部性を持つ経営資源 CSR実践のプラットフォームに
3.外部性の視点から見るCREの役割②
大きな社会的インパクトをもたらす先進的スマートシティの構築
4.CRE戦略の企業経営における位置付け
事業戦略と整合性を取るべき CREは“社内顧客”に貢献してなんぼ
5.シェアードサービスとしてのCRE戦略
中期経営戦略遂行のサポートがCRE戦略のコア機能
●Part2 いま企業にCRE戦略が求められる理由
1.企業の中長期的成長と社会的価値創出
資本コスト・株価を意識した経営へ 要請の意図やCREとの関わりとは
2.企業における保有不動産の実態と課題
不動産の活用法も多様化の時代
●Part3 CRE戦略の三種の神器
1.CRE戦略に取り組むための準備
CRE戦略に取り組む上で重要な3つのポイント=「三種の神器」
2.CRE三種の神器①
まず取り組むべきはCREマネジメントの一元化
3.CRE三種の神器②
先進的・創造的なワークプレイスとワークスタイルの重視
4.CRE三種の神器③
アウトソーシングの戦略的活用 CRE専門人材の育成がカギに
●Part4 CRE戦略実践のポイント
1.CRE戦略の主な手法
働き方を支える一要素 ワークプレイス戦略の重要性
2.不動産評価
不動産評価の意義を理解し経営判断に活かす
3.会計・ファイナンス
不動産の競争力と事業の収益性から付加価値を生み出す成長ストーリー
4.保有不動産の管理運営
継続的なアップデートによって より「来たい」と思わせるオフィスへ
5.不動産リスク情報
情報の一元化がリスク管理の第一歩 今後はESG対応が求められる
●Part5 CRE戦略のケーススタディ
総論 CRE戦略が経済成長のカギ
不動産投資市場の利用で、CREをさらに活発に
1.三菱商事都市開発
行政とも連携したCREの利活用によって産業創出・振興を図る
2.JR西日本不動産開発/JR西日本不動産投資顧問
私募リート×CRE 両輪の“Make PLACE”によって社会貢献を